RC 解体 費用を100万円以上安くする裏ワザ|知らないと損する補助金・見積もりの知識
- seira murata
- 8月27日
- 読了時間: 20分

RC造の解体費用は木造の2倍以上と高額ですが、諦める必要はありません。この記事では、坪数別の費用相場から内訳、国や自治体の補助金活用、優良業者の見分け方まで、解体費用を100万円以上安くする具体的な5つの裏ワザを徹底解説します。なぜ費用が高いのか、その理由と対策を知ることで、誰でも賢くコストを削減できます。見積もりで損をしないための必須知識も網羅しています。
1. RC造の解体費用はなぜ高い?木造・鉄骨造との坪単価比較
RC造の建物を解体しようと見積もりを取った際、その金額の高さに驚いた方も多いのではないでしょうか。RC造の解体費用は、一般的な木造や鉄骨造の建物と比較して高額になる傾向があります。その理由は、RC造特有の頑丈な構造にあります。ここでは、なぜRC造の解体費用が高くなるのか、その構造的な理由と、他の構造との坪単価の違いを詳しく解説します。
1.1 RC造の構造と解体の難しさ
RC造とは「Reinforced Concrete」の略で、日本語では「鉄筋コンクリート造」と呼ばれます。その名の通り、コンクリートを鉄筋で補強することによって、圧縮力に強いコンクリートと引張力に強い鉄筋の長所を組み合わせた、非常に強固な構造です。
この頑丈さが、建物の安全性や耐久性を高める一方で、解体時には大きな障壁となります。木造のように簡単に壊すことはできず、解体には以下のような難しさがあります。
専用の大型重機が必要:分厚いコンクリートの壁や床を破壊するためには、油圧ショベルに強力なアタッチメント(圧砕機など)を取り付けた重機が必要です。これらの重機のレンタル費用や燃料費、オペレーターの人件費がコストを押し上げます。
騒音と振動が大きい:コンクリートを砕く際には、大きな騒音と振動が発生します。そのため、近隣住民への影響を最小限に抑えるための防音パネルや養生シートの設置が不可欠となり、仮設工事の費用がかさみます。
粉塵対策が必須:解体作業中は大量のコンクリート粉塵が飛散します。作業員の健康や周辺環境への配慮から、常に散水を行い粉塵を抑制する必要があり、そのための人件費や水道代も費用に含まれます。
廃棄物(コンクリートガラ)の重量:解体によって発生するコンクリートガラは、木材などに比べて非常に重く、量も多くなります。廃棄物の運搬・処分費用は重量に応じて決まるため、処分費全体が高額になる最大の要因となります。
このように、RC造の解体は、その堅牢な構造ゆえに、大掛かりな重機や厳重な周辺対策、そして高額な廃棄物処分費が必要となり、結果として工事費用全体が高くなってしまうのです。
1.2 坪単価で見るRC解体費用の相場
建物の解体費用は、構造によって坪単価の相場が大きく異なります。以下の表で、一般的な構造別の解体費用坪単価の目安を比較してみましょう。
構造種別 | 解体費用の坪単価(目安) |
木造(W造) | 40,000円~60,000円/坪 |
鉄骨造(S造) | 60,000円~80,000円/坪 |
RC造(鉄筋コンクリート造) | 70,000円~100,000円/坪 |
表からもわかるように、RC造の解体費用は木造の約1.5倍から2倍、鉄骨造と比較しても高額です。例えば、30坪の建物を解体する場合、木造であれば120万円~180万円が相場ですが、RC造では210万円~300万円が目安となり、その差は歴然です。
もちろん、この坪単価はあくまで目安であり、建物の立地条件(前面道路の広さ、重機の搬入経路など)や、アスベストの有無、地中埋設物の状況などによって変動します。しかし、構造自体の解体のしにくさが、費用を決定づける大きな要因であることは間違いありません。
2. 【坪数・用途別】RC解体費用の相場シミュレーション

RC造の解体費用は、前述した坪単価に建物の延床面積を掛けることで概算を算出できます。しかし、実際には建物の用途や規模によって坪単価自体も変動します。ここでは、より具体的なイメージを持っていただけるよう「一戸建て」「ビル・マンション」「アパート」の3つのケースに分けて費用相場をシミュレーションします。ご自身の状況と近いものをご参照ください。ただし、あくまで一般的な目安であり、立地条件や建物の状態によって金額は変動します。
2.1 30坪から50坪の一戸建てRC解体費用
一般的な戸建て住宅で多い30坪から50坪のRC造家屋の解体費用シミュレーションです。都市部では特に強固な住宅として建てられることがありますが、解体時にはその頑丈さが費用に反映されます。
延床面積 | 坪単価の目安 | 解体費用総額の目安 |
30坪 | 6万円~9万円 | 180万円~270万円 |
40坪 | 6万円~9万円 | 240万円~360万円 |
50坪 | 6万円~9万円 | 300万円~450万円 |
この費用には、建物本体の解体とコンクリートガラの処分費用が含まれるのが一般的です。庭の樹木やブロック塀、カーポートといった外構の撤去費用や、室内に残された家具・家電などの残置物処分費用は別途必要になるケースが多いため、見積もりの際に必ず確認しましょう。
2.2 100坪以上のビル・マンションのRC解体費用
100坪を超えるような大規模なビルやマンションの解体は、より高度な技術と大型重機が必要となるため、坪単価も高くなる傾向にあります。特に階数が高くなるほど、足場の設置費用や安全対策費がかさみます。
延床面積 | 坪単価の目安 | 解体費用総額の目安 |
100坪 | 7万円~10万円 | 700万円~1,000万円 |
200坪 | 7万円~10万円 | 1,400万円~2,000万円 |
300坪 | 7万円~10万円 | 2,100万円~3,000万円 |
ビルやマンションの場合、アスベスト含有建材が使用されている可能性も高まります。アスベストの調査や除去作業が必要になった場合、規模によっては数百万円単位の追加費用が発生することもあります。また、隣接する建物との距離が近い場合は、騒音や振動、粉塵対策がより厳重に求められ、養生費用などが高額になることも考慮しておく必要があります。
2.3 アパートや集合住宅のRC解体費用
RC造のアパートや集合住宅の解体費用は、一戸建てとビル・マンションの中間的な位置づけになります。延床面積で計算する点は同じですが、部屋数が多いため内装解体に手間がかかる場合があります。
建物の例 | 延床面積の目安 | 解体費用総額の目安 |
2階建て・6戸 | 80坪 | 480万円~720万円 |
3階建て・9戸 | 120坪 | 840万円~1,200万円 |
アパートの場合も、駐車場のコンクリート舗装やフェンスなどの外構部分、各部屋に残されたエアコンや給湯器といった設備の撤去費用が別途かかることが一般的です。解体範囲をどこまでにするのかを業者と明確に打ち合わせし、見積もりに含めてもらうことがトラブル回避の鍵となります。
3. RC解体費用の内訳を完全ガイド|何にいくらかかるのか

RC造の解体費用は一見すると高額に感じられますが、その内訳を正しく理解することで、見積書の内容が妥当かどうかを判断する基準を持つことができます。解体費用は主に「仮設工事費」「解体工事費」「廃棄物処分費」「付帯工事費・諸経費」の4つに大別されます。それぞれの項目で何にいくらかかっているのかを詳しく見ていきましょう。
3.1 仮設工事費(足場・養生シート)
仮設工事費は、解体工事を安全かつスムーズに進めるための準備にかかる費用です。特に、騒音や粉塵の飛散を防ぎ、近隣住民への影響を最小限に抑えるために不可欠な工事です。主な項目には、足場の設置、防音・防塵効果のある養生シートや防音パネルの設置などがあります。
工事項目 | 費用相場(30坪の建物の場合) | 内容 |
足場設置 | 15万円~30万円 | 作業員の安全確保と養生シートを張るための骨組みを設置します。 |
養生シート・防音パネル | 10万円~25万円 | 足場の周りをシートで囲い、騒音や粉塵の飛散を防止します。交通量の多い道路沿いなどではより防音性の高いパネルを使用します。 |
これらの仮設工事は、工事の品質と安全、そして近隣トラブルを未然に防ぐための重要な先行投資と言えます。
3.2 解体工事費(重機・人件費)
解体工事費は、見積もり総額の中で最も大きな割合を占める、いわゆる「本体工事費」です。頑丈なRC造の建物を壊すための重機費用と、それを操作するオペレーターや作業員の人件費が主な内訳です。RC造は木造に比べて構造が強固なため、より大型で強力な重機が必要となり、工期も長くなる傾向があるため費用が高くなります。
費用項目 | 内容 | 備考 |
重機費用 | 油圧ショベル、大型ブレーカー、クラッシャーなどのリース代、燃料費、現場までの回送費など。 | 建物の規模や立地条件(道幅など)によって使用する重機の種類や大きさが変わります。 |
人件費 | 現場監督、重機オペレーター、手元作業員、ガードマンなどの費用。 | 工事の規模や工期に応じて必要な人数が変動します。 |
解体工事費は、業者の技術力や効率性によって差が出やすい項目です。見積もりを比較する際は、どのような重機や工法で、何日かけて工事を行う計画なのかを確認すると良いでしょう。
3.3 廃棄物処分費(コンクリートガラ・アスベスト)
RC造の解体では、大量のコンクリートガラや鉄筋くずといった産業廃棄物が発生します。これらの廃棄物を法律に従って適正に処理するための費用が廃棄物処分費です。特に、アスベスト(石綿)が使用されている場合は、専門的な除去作業と特別な処分方法が必要となり、費用が大幅に加算されます。
廃棄物の種類 | 処分費用の目安 | 注意点 |
コンクリートガラ | 8,000円~15,000円 / ㎥ | RC解体で最も多く発生する廃棄物です。 |
鉄筋くず | 有価物として買い取られる場合もある | 買取価格は市場相場によって変動します。 |
アスベスト含有建材 | 20,000円~85,000円 / ㎡(除去費) | 飛散性の高いレベル1からレベル3まであり、レベルが高いほど除去・処分費用が高額になります。 |
廃棄物の不法投棄は厳しく罰せられます。適正な処理を証明する「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」の写しを必ず受け取るようにしましょう。
3.4 付帯工事費と諸経費
付帯工事費とは、建物の本体以外を解体・撤去するための費用です。また、諸経費には、工事そのもの以外で発生するさまざまな費用が含まれます。これらは現場の状況によって大きく変動するため、見積もり段階で何が含まれているかをしっかり確認することが重要です。
費用の種類 | 具体例 | 備考 |
付帯工事費 | ブロック塀、門扉、カーポート、庭木、庭石、浄化槽、井戸、地中埋設物の撤去など。 | 見積もりに含まれていない場合、追加費用の原因になりやすい項目です。 |
諸経費 | 官公庁への書類申請費用、近隣挨拶の粗品代、車両の駐車場代、損害賠償保険料など。 | 見積書では「諸経費一式」と記載されることが多いですが、可能であれば内訳を確認しましょう。 |
特に、図面にはない地中埋設物が見つかった場合などは、予期せぬ追加費用が発生する可能性があります。契約前に、追加費用が発生するケースについて業者とよく話し合っておくことがトラブル回避の鍵となります。
4. 知らないと損!RC解体費用を100万円以上安くする5つの裏ワザ

RC造の解体費用は高額になりがちですが、正しい知識を持っていくつかの工夫を凝らすことで、費用を大幅に抑えることが可能です。ここでは、知っているだけで100万円以上の差がつくこともある、費用削減のための5つの具体的な裏ワザを詳しく解説します。
4.1 裏ワザ1 国や自治体の補助金・助成金を活用する
解体工事には、国や地方自治体が設けている補助金・助成金制度を利用できる場合があります。これらを活用することが、費用を抑える最も効果的な方法の一つです。申請は解体工事の契約・着工前に行う必要があり、事後の申請は認められないため、計画段階での情報収集が不可欠です。
4.1.1 空き家解体に関する補助金制度
近年、社会問題となっている「空き家」の増加対策として、多くの自治体が解体費用の補助制度を設けています。倒壊の危険性がある「特定空家」に認定された建物などが対象となりやすく、費用の2分の1(上限50万円〜100万円程度)といった補助を受けられるケースが一般的です。「老朽危険家屋解体撤去補助金」など、自治体によって制度の名称や条件、補助額が異なるため、必ずお住まいの市区町村のウェブサイトや担当窓口(建築指導課など)で確認しましょう。
4.1.2 アスベスト除去に関する補助金制度
解体するRC造の建物にアスベスト(石綿)が使用されている場合、その除去費用に対して補助金が支給されることがあります。特に、飛散性の高い吹付けアスベスト(レベル1)などが対象となることが多いです。アスベストの有無を調べる事前調査に対しても補助金が出る自治体もありますので、解体業者への見積もり依頼と並行して、自治体の環境課などに問い合わせてみましょう。
4.1.3 補助金申請の流れと注意点
補助金の申請は、一般的に以下の流れで進みます。予算の上限に達し次第、受付が終了してしまうため、早めの行動が肝心です。
ステップ | 内容 | ポイント |
1. 事前相談 | 自治体の担当窓口に補助金制度の対象となるか相談する。 | 建物の状況がわかる写真や図面を持参するとスムーズです。 |
2. 申請書類の提出 | 申請書、見積書の写し、建物の登記事項証明書などを提出する。 | この段階ではまだ解体業者と契約してはいけません。 |
3. 交付決定通知 | 自治体による審査後、補助金の交付が決定されると通知が届く。 | この通知を受け取ってから、正式に業者と契約します。 |
4. 解体工事の実施 | 解体工事に着手し、完了させる。 | 工事中の写真など、報告に必要な記録を残しておきます。 |
5. 実績報告 | 工事完了後、報告書や領収書の写しなどを提出する。 | 提出期限が定められているため、注意が必要です。 |
6. 補助金の交付 | 報告内容が承認されると、指定の口座に補助金が振り込まれる。 | 振り込みまでには1〜2ヶ月程度かかる場合があります。 |
4.2 裏ワザ2 解体業者への直接依頼で中間マージンをカット
建物の建て替えなどの際にハウスメーカーや工務店に解体工事もまとめて依頼すると、多くの場合、実際に工事を行うのは下請けの解体業者です。このとき、元請けのハウスメーカーや工務店が受け取る中間マージン(紹介料)が発生し、解体費用に上乗せされます。このマージンは、工事費用の20%〜30%にも及ぶことがあります。解体工事は、解体専門業者に直接依頼することで、この中間マージンをまるごと削減でき、大幅なコストダウンにつながります。
4.3 裏ワザ3 複数の解体業者から相見積もりを取る
解体費用は業者によって大きく異なるため、1社だけの見積もりで契約を決めてしまうのは非常に危険です。必ず最低でも3社以上の解体専門業者から相見積もり(複数の業者から見積もりを取ること)を取得しましょう。相見積もりを取ることで、ご自身の建物の解体費用の適正価格を把握できるだけでなく、業者間の価格競争が働き、より有利な条件を引き出しやすくなります。ただし、単に金額が安いという理由だけで選ぶのではなく、見積書の内訳が詳細で分かりやすいか、担当者の対応は誠実かなども含めて総合的に判断することが、優良な業者を選ぶ上で重要です。
4.4 裏ワザ4 建物内の残置物は自分で処分する
建物内に残された家具、家電、衣類、食器などの不用品(残置物)の処分を解体業者に依頼すると、「産業廃棄物」として扱われるため、処分費用が割高になります。解体工事が始まる前に、自分でこれらの残置物を処分しておくだけで、数万円から数十万円の費用を節約できます。自治体の粗大ごみ収集を利用したり、リサイクルショップに買い取ってもらったり、フリマアプリで売却したりと、手間はかかりますが費用削減効果は絶大です。特にまだ使える家電や家具は、思わぬ収入になる可能性もあります。
4.5 裏ワザ5 解体工事の時期を調整する
解体業界にも繁忙期と閑散期があります。公共工事が集中する年度末(2月〜3月)や年末(11月〜12月)は繁忙期にあたり、解体業者のスケジュールが埋まりやすく、人件費や重機のレンタル費用が高騰する傾向にあります。一方で、雨季で工事が進めにくい梅雨時期(6月〜7月)や、猛暑で作業効率が落ちる夏場(8月)は比較的閑散期とされています。もし工期に余裕がある場合は、こうした閑散期を狙って業者に相談することで、値引き交渉に応じてもらいやすくなる可能性があります。
5. RC解体費用の見積もりで失敗しないためのチェックポイント

RC造の解体は高額な費用がかかるため、見積もりの段階で内容を詳細に確認することが、後のトラブルを防ぎ、最終的な費用を適正に保つための鍵となります。複数の業者から見積もりを取り、その内容を正しく比較検討することで、信頼できる業者を見極めましょう。
5.1 見積書に記載必須の項目とは
「工事一式」といった曖昧な記載しかない見積書は非常に危険です。詳細な内訳がなければ、何にいくらかかっているのかが不透明で、後から不当な追加請求をされるリスクが高まります。信頼できる業者の見積書には、必ず以下の項目が詳細に記載されています。
項目名 | チェックポイント |
仮設工事費 | 足場の設置面積、養生シートの種類や範囲、仮設トイレや水道・電気の設置費用などが明記されているか。 |
解体工事費 | 建物の構造(RC造)、解体面積(坪数・㎡)、重機の種類や台数、作業員の人数、工期などが具体的に記載されているか。 |
廃棄物処分費 | コンクリートガラ、鉄筋、アスベスト含有建材など、廃棄物の種類ごとの量(㎥やt)と単価が明記されているか。ここが「一式」になっている場合は特に注意が必要です。 |
付帯工事費 | 駐車場(カースペース)の土間コンクリート撤去、ブロック塀、樹木、庭石、浄化槽などの撤去費用が含まれているか。撤去を依頼するものがすべて記載されているか確認しましょう。 |
諸経費 | 官公庁への届出代行費用、近隣挨拶の費用、現場管理費、保険料などの内訳が示されているか。 |
5.2 追加費用が発生するケースと対策
当初の見積もり金額から費用が上乗せされる「追加費用」は、施主にとって最も避けたい事態の一つです。追加費用が発生しやすい代表的なケースと、その対策を事前に把握しておきましょう。
地中埋設物の発見
解体工事を進める中で、地中から以前の建物の基礎や浄化槽、井戸、コンクリートガラなどが見つかるケースです。これらは図面にも記載されていないことが多く、撤去には別途費用が発生します。
アスベスト(石綿)の発見
事前調査では見つからなかった箇所から、レベル1やレベル2といった飛散性の高いアスベストが発見された場合、専門業者による厳重な除去作業が必要となり、高額な追加費用がかかります。
残置物の量が想定より多い
見積もり時の想定よりも、建物内に残された家具や家電などの残置物が多かった場合、その処分費用が追加で請求されることがあります。
これらの予期せぬ出費を防ぐためには、契約前に「追加費用が発生する可能性がある工事」について、業者と書面で取り決めを交わしておくことが最も重要です。「地中埋設物が発見された場合、1㎥あたりの撤去・処分単価はいくらか」といった具体的な条件を確認し、契約書に明記してもらいましょう。
5.3 優良な解体業者の見分け方
高額なRC解体工事を安心して任せるためには、信頼できる優良な業者を選ぶことが不可欠です。価格の安さだけで判断せず、以下のポイントを総合的にチェックして業者を見極めましょう。
必要な許認可を保有しているか
解体工事を行うには、「建設業許可(建築工事業、とび・土工工事業、解体工事業のいずれか)」または「解体工事業登録」が必須です。許可番号や登録番号を見積書や会社のウェブサイトで必ず確認しましょう。
詳細で分かりやすい見積書を提出するか
前述の通り、内訳が明確で見やすい見積書を作成してくれる業者は信頼できます。専門用語ばかりでなく、こちらの質問に対して丁寧に説明してくれるかどうかも重要な判断基準です。
損害賠償保険に加入しているか
万が一、工事中に隣家を傷つけたり、通行人に怪我をさせてしまったりした場合に備え、損害賠償保険に加入しているかを確認しましょう。保険証券のコピーを見せてもらうとより安心です。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行を約束するか
解体工事で出た廃棄物が適正に処理されたことを証明する「マニフェスト」の発行は、業者の義務です。不法投棄などのトラブルに巻き込まれないためにも、マニフェストの写しをもらえるか事前に確認してください。
担当者の対応が誠実で丁寧か
現地調査の際の態度や、電話・メールでのコミュニケーションがスムーズかどうかも見極めのポイントです。近隣への配慮など、細やかな気配りができる業者を選びましょう。極端に安い見積もりを提示する業者には、不法投棄や手抜き工事のリスクが潜んでいる可能性があるため、安易に飛びつかないよう注意が必要です。
6. RC解体工事の基本的な流れと期間

RC造の解体工事は、木造や鉄骨造に比べて構造が頑丈なため、工程が多く工期も長くなる傾向にあります。ここでは、解体工事を依頼してから完了するまでの基本的な流れと、事前に必要な届け出について解説します。全体の流れを把握しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに工事を進めることができます。
6.1 近隣への挨拶から滅失登記まで
解体工事は、騒音や振動、粉塵の発生など、近隣住民の方へご迷惑をおかけする可能性があります。着工前の丁寧な挨拶が、後のトラブルを回避する鍵となります。工事完了後の「建物滅失登記」までが解体工事の一連の流れです。
RC解体工事の基本的な流れと期間の目安(30坪程度の戸建ての場合) | ||
ステップ | 作業内容 | 期間の目安 |
1. 事前調査・準備 | 現地調査、アスベスト含有調査、見積もり取得、業者選定・契約、インフラ(電気・ガス・水道)の停止手続きなどを行います。 | 2週間~1ヶ月 |
2. 近隣への挨拶 | 解体業者が工事の概要(期間、作業時間、連絡先など)を説明し、粗品を持って近隣住民へ挨拶に伺います。施主も同行するのが望ましいです。 | 工事開始の1週間前 |
3. 仮設工事 | 工事現場の周囲に足場を設置し、騒音や粉塵の飛散を防ぐための養生シート(防音シート)で覆います。 | 2日~3日 |
4. 内装・設備の解体 | 重機を入れる前に、手作業で建物内部の壁、床、天井などの内装材や、キッチン、トイレ、窓ガラスといった設備を撤去・分別します。 | 3日~5日 |
5. アスベスト除去工事 | 事前調査でアスベストが発見された場合、法律に則って専門業者が飛散防止対策を徹底した上で除去作業を行います。 | 1日~1週間(※レベルによる) |
6. 建物本体(上屋)の解体 | 油圧ショベルなどの大型重機を使用し、屋根、壁、柱、梁などを解体していきます。RC造は頑丈なため、騒音や振動に配慮しながら慎重に作業を進めます。 | 1週間~2週間 |
7. 基礎の解体・撤去 | 地中に埋まっているコンクリートの基礎を重機で掘り起こし、撤去します。地中障害物(以前の建物の基礎など)が見つかった場合は、追加費用と工期が必要になることがあります。 | 3日~5日 |
8. 整地・後片付け | 敷地内に残ったコンクリートガラなどを取り除き、重機で土地を平らにならします(粗整地)。 | 1日~2日 |
9. 建物滅失登記 | 工事完了後、1ヶ月以内に管轄の法務局へ建物の滅失登記を申請します。これを怠ると10万円以下の過料に処される可能性があるため、必ず行いましょう。土地家屋調査士に代行を依頼するのが一般的です。 | 申請後1週間程度 |
6.2 工事前に必要な届け出一覧
解体工事を行うにあたり、関連法規に基づいた各種届け出が義務付けられています。これらの手続きは、多くの場合、解体業者が代行してくれますが、施主としてもどのような届け出が必要なのかを把握しておくことが大切です。
解体工事前に必要な主な届け出 | |||
届け出の種類 | 根拠法規 | 概要 | 届出先 |
建設リサイクル法に基づく届出 | 建設リサイクル法 | 延べ床面積が80㎡以上の建物を解体する場合に必要。分別解体等の計画を届け出ます。 | 都道府県・市区町村 |
道路使用許可申請 | 道路交通法 | 工事車両の駐車や重機の設置などで公道を使用する場合に必要です。 | 管轄の警察署 |
特定建設作業実施届出書 | 騒音規制法・振動規制法 | 指定された重機(バックホウなど)を使用し、著しい騒音や振動を発生させる作業を行う場合に必要です。 | 市区町村 |
アスベスト除去に関する届出 | 大気汚染防止法・石綿障害予防規則 | 一定規模以上のアスベスト含有建材の除去を行う場合に必要。アスベストのレベルによって届出内容が異なります。 | 労働基準監督署・都道府県等 |
これらの届け出を怠ると、工事の中断や罰金の対象となる可能性があります。優良な解体業者は、必要な届け出を漏れなく適切に行ってくれますので、契約前に手続きの代行についてもしっかりと確認しておきましょう。
7. まとめ
RC造の解体費用は構造の頑丈さから高額になりがちですが、本記事で解説した裏ワザを実践すれば大幅にコストを削減できます。特に、国や自治体の補助金活用や複数社からの相見積もりは必須です。信頼できる業者に直接依頼し、不要な中間マージンを省くことも重要です。見積もり内容をしっかり精査し、計画的に準備を進めることで、高額なRC解体費用を賢く抑えましょう。
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