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【完全ガイド】住宅の解体工事|費用相場から流れ、業者選びまで徹底解説

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 7月21日
  • 読了時間: 32分
住宅 解体工事

住宅の解体工事は、費用や流れ、業者選びなど不明な点が多く不安に感じるものです。この記事では、構造別の費用相場から安く抑えるコツ、準備から完了までの具体的な流れ、優良業者の見極め方、よくあるトラブル対策まで、解体工事の全てを網羅的に解説します。後悔しない工事の鍵は、正しい知識と準備にあります。この記事を読めば、安心して解体工事を進めるための全てが分かります。


1. 住宅の解体工事を始める前に知っておくべき基礎知識

長年住み慣れた家の建て替えや、相続した空き家の整理など、様々な理由で住宅の解体工事を検討されることでしょう。しかし、いざ解体工事を進めようと思っても、「何から始めればいいのか」「どんな種類があるのか」など、分からないことばかりで不安に感じる方も多いのではないでしょうか。この章では、後悔しない解体工事を行うために、まず押さえておきたい基本的な知識を分かりやすく解説します。


1.1 住宅の解体工事とは何か

住宅の解体工事とは、単に建物を重機で壊すだけの作業ではありません。建築物を取り壊して更地にするまでの一連の工程すべてを指す、専門的な工事です。具体的には、建物本体の取り壊しはもちろん、地中に埋まっている建物の基礎の撤去、工事で発生した木材やコンクリート、金属などの廃棄物を法律に則って適切に分別・処分し、最後に土地を平らにならす「整地」作業までが含まれます。

また、工事中は騒音や振動、粉塵の発生が避けられないため、近隣住民への配慮が不可欠です。さらに、建設リサイクル法などの関連法規を遵守し、必要な届出を事前に行うことも義務付けられています。このように、住宅の解体工事は、安全管理、環境保全、法的手続き、近隣対応など、多岐にわたる専門知識と技術が求められる総合的なプロジェクトなのです。


1.2 解体工事の種類と工法

住宅の解体工事は、その建物の構造によって工法や使用する重機、注意すべき点が大きく異なります。ご自身の家がどの構造にあたるかを確認し、それぞれの特徴を理解しておくことが、適切な業者選びや費用感の把握につながります。ここでは、日本の住宅で一般的な「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の3つの構造別に、解体の特徴を解説します。



構造別の解体工事の概要

構造種別

主な解体工法

特徴・注意点

木造(W造)

手壊し併用機械解体工法

手作業で内装や屋根材を分別撤去後、重機で解体。他の構造に比べ工期が短く、費用も比較的安い。

鉄骨造(S造)

機械解体工法(カッター・ガス溶断併用)

鉄骨を切断するため、ガス溶断機などを使用。火花の飛散防止対策が必須。木造より頑丈なため、騒音や振動が大きくなる傾向がある。

鉄筋コンクリート造(RC造)

圧砕工法

大型重機のアタッチメントでコンクリートを砕きながら解体。騒音・振動・粉塵が最も大きいため、防音・防塵対策が極めて重要。


1.2.1 木造住宅の解体

日本の戸建て住宅で最も多いのが木造住宅です。木造住宅の解体は「手壊し併用機械解体工法」が主流です。まず、リサイクル可能な木材や石膏ボード、ガラス、断熱材といった内装材や屋根瓦などを手作業で丁寧に分別・撤去します。その後、バックホウなどの重機を使い、柱や梁といった構造体を解体していく流れです。手作業による分別を先行させることで、廃棄物のリサイクル率を高め、環境負荷を低減しています。他の構造に比べて解体しやすく、工期も短期間で済むことが多いのが特徴です。


1.2.2 鉄骨造住宅の解体

鉄骨造(S造)は、柱や梁に鉄骨を使用した構造で、アパートや店舗、倉庫、一部の住宅(軽量鉄骨造・重量鉄骨造)で採用されています。木造と異なり、頑丈な鉄骨の骨組みを解体する必要があるため、よりパワフルな重機が使われます。重機のアタッチメントを鉄骨カッターに付け替えて切断したり、ガス溶断機を使って高温で鉄骨を焼き切ったりする作業が必要です。特にガス溶断の際は火花が激しく飛散するため、延焼を防ぐための散水や防火シートの設置といった、徹底した火災予防対策が不可欠となります。木造に比べて騒音や振動が大きくなる傾向があります。


1.2.3 鉄筋コンクリート造住宅の解体

鉄筋コンクリート造(RC造)は、鉄筋の型枠にコンクリートを流し込んで作る非常に強固な構造で、マンションやビルに多く見られますが、堅牢な戸建て住宅にも採用されています。この構造の解体は最も難易度が高く、専門的な技術を要します。大型のバックホウの先端に「ブレーカー」や「圧砕機(クラッシャー)」といった強力なアタッチメントを取り付け、コンクリートを強力な圧力で砕きながら解体を進めます。解体作業に伴う騒音、振動、そしてコンクリートの粉塵の発生レベルが他の構造と比べて格段に大きいため、防音パネル付きの養生シートで建物を完全に覆うなど、近隣環境への最大限の配慮が求められます。そのため、工期も長くなり、費用も高額になるのが一般的です。


2. 【構造別】住宅の解体工事にかかる費用相場と内訳

住宅 解体工事

住宅の解体工事にかかる費用は、建物の構造や大きさ、立地条件、そして付帯工事の有無など、様々な要因によって大きく変動します。いざ見積もりを取った際に驚くことがないよう、まずは費用の相場観と、その内訳を正しく理解しておくことが重要です。この章では、建物の構造別に見た坪単価の相場から、具体的な費用の内訳、そして費用が高くなるケースまでを詳しく解説します。


2.1 住宅解体費用の坪単価相場

解体費用の目安として最もよく使われるのが「坪単価」です。これは、建物の延床面積1坪(約3.3㎡)あたりの解体費用を指します。ただし、坪単価はあくまで概算を把握するための指標であり、立地や廃棄物の量、付帯工事の内容によって最終的な総額は変わるため注意が必要です。ここでは、建物の構造別に一般的な坪単価の相場をご紹介します。



住宅の構造別解体費用 坪単価相場

建物の構造

坪単価の目安

特徴

木造(W造)

40,000円~60,000円/坪

最も一般的な構造で、比較的解体が容易なため費用は安価な傾向にあります。手作業での解体も比較的進めやすいです。

鉄骨造(S造)

60,000円~80,000円/坪

柱や梁に鉄骨を使用。木造より頑丈なため解体に手間がかかります。特に重量鉄骨造は軽量鉄骨造よりも高額になります。

鉄筋コンクリート造(RC造)

70,000円~100,000円/坪

非常に頑丈で、解体には大型の重機や特殊な工法が必要です。騒音や振動も大きくなるため、養生なども含め費用が高額になります。


2.1.1 木造住宅の坪単価

日本の戸建て住宅で最も多い木造住宅の解体費用は、坪単価40,000円~60,000円が相場です。他の構造に比べて解体がしやすく、発生する廃棄物もリサイクルしやすいため、費用を抑えやすいのが特徴です。ただし、築年数が古い木造住宅の場合、アスベスト含有建材が使用されている可能性があり、その場合は別途調査・除去費用が必要になります。


2.1.2 鉄骨造住宅の坪単価

鉄骨造住宅の解体費用は、坪単価60,000円~80,000円が相場です。鉄骨には、比較的薄い鋼材を使った「軽量鉄骨造」と、厚い鋼材を使った「重量鉄骨造」があります。アパートや小規模な店舗でよく見られる軽量鉄骨造に比べ、マンションやビルなどで採用される重量鉄骨造は解体に手間がかかるため、費用が高くなる傾向にあります。また、鉄骨は木材よりも重量があるため、廃棄物の運搬処分費用も高めになります。


2.1.3 鉄筋コンクリート造住宅の坪単価

マンションやビルに多い鉄筋コンクリート造(RC造)の解体費用は、坪単価70,000円~100,000円が相場となり、他の構造に比べて最も高額です。コンクリートを砕くために大型の重機や特殊なアタッチメントが必要となり、作業に時間と手間がかかります。また、解体時に発生する騒音や振動、粉塵が大きいため、防音・防塵対策をより厳重に行う必要があり、そのための仮設費用も高額になります。


2.2 解体工事費用の主な内訳

解体費用の総額は、前述の「坪単価 × 延床面積」だけで決まるわけではありません。実際には、様々な費用の積み重ねで構成されています。見積書を正しく理解するためにも、主な内訳について知っておきましょう。


2.2.1 仮設工事費用

工事を安全かつスムーズに進め、近隣への影響を最小限に抑えるための準備にかかる費用です。具体的には、作業員の安全を確保し、粉塵や騒音の飛散を防ぐための「足場・養生シートの設置」、工事車両の駐車スペース確保、現場の「仮設トイレ設置」や「水道・電気の引き込み」などが含まれます。費用の目安は、総額の10%~20%程度です。


2.2.2 建物本体の解体費用

建物を直接取り壊すための費用で、いわゆる「坪単価」で計算される中心的な費用項目です。重機のリース代や燃料費、現場で作業する職人の人件費などが含まれます。建物の構造や規模、工法によって大きく変動します。


2.2.3 廃棄物運搬処分費用

解体工事で発生した木くず、コンクリートがら、鉄くず、プラスチック、ガラスなどの産業廃棄物を、分別して中間処理施設や最終処分場へ運搬し、適正に処分するための費用です。この費用は解体費用の総額の30%~50%を占めることもあり、非常に重要な項目です。不法投棄などのトラブルを避けるためにも、マニフェスト(産業廃棄物管理票)をきちんと発行してくれる信頼できる業者を選ぶことが不可欠です。


2.2.4 付帯工事費用

建物本体以外で撤去が必要なものがある場合に発生する追加費用です。見積もりの段階で、どこまでが工事範囲に含まれているかをしっかり確認する必要があります。主な付帯工事には以下のようなものがあります。

  • ブロック塀やフェンス、門扉の撤去

  • カーポートやガレージ、物置の解体

  • 庭木や庭石、池の撤去・埋め戻し

  • 浄化槽の撤去と埋め戻し

  • 井戸のお祓いと埋め戻し

  • アスファルトやコンクリートの土間はつり


2.3 住宅の解体工事で費用が高くなるケース

当初の見積もりよりも費用が高くなってしまうケースも存在します。予期せぬ出費に慌てないよう、事前にリスクとして把握しておきましょう。


2.3.1 アスベスト含有建材の撤去

2006年(平成18年)9月1日以前に着工された建物には、アスベスト(石綿)を含む建材が使用されている可能性があります。アスベストの飛散は健康被害に直結するため、法律で厳しく規制されており、除去作業は専門の知識と技術を持つ業者が慎重に行う必要があります。事前調査でアスベストの使用が判明した場合、その除去と処分に別途高額な費用が発生します。


2.3.2 重機が入れない狭い立地

解体現場の前面道路が狭く、大型の重機やトラックが進入できない場合、工事費用は高騰します。重機が使えないと、大部分を手作業(手壊し)で行う必要があり、工期が長引いて人件費がかさむためです。また、小型の重機を使用する場合でも、搬入・搬出に手間がかかったり、廃棄物を小分けにして何度も運び出したりする必要があるため、割高になります。


2.3.3 地中埋設物の発見

建物を解体し、基礎を撤去した後の地中から、予期せぬ障害物が見つかることがあります。例えば、以前の建物の基礎やコンクリートがら、浄化槽、井戸、大きな岩石などです。これらの地中埋設物の撤去費用は、通常、当初の見積もりには含まれていません。発見された場合、施主へ報告・相談の上で追加工事となり、別途費用が請求されるのが一般的です。


3. 住宅の解体工事費用を安く抑える5つの方法

住宅 解体工事

住宅の解体工事は、数百万円単位の大きな出費となることが少なくありません。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を賢く節約することが可能です。ここでは、解体工事の費用を安く抑えるための具体的な5つの方法を、誰にでも分かりやすく解説します。


3.1 複数の解体業者から相見積もりを取る

解体工事の費用を抑えるための最も基本的かつ効果的な方法が、複数の解体業者から見積もりを取る「相見積もり」です。解体費用には定価がなく、業者によって見積金額が数十万円、場合によっては100万円以上も異なるケースがあります。

最低でも3社以上の業者に現地調査を依頼し、詳細な見積書を提出してもらいましょう。単に総額を比較するだけでなく、工事内容や費目の内訳を細かくチェックすることが重要です。「工事一式」といった大雑把な見積もりを出す業者ではなく、仮設工事、建物本体の解体、廃棄物処分費用、付帯工事など、各項目が明確に記載されているかを確認してください。

相見積もりを取ることで、その地域の解体費用の適正な相場観を養うことができ、不当に高額な請求をする業者や、逆に安すぎて後から追加費用を請求するような悪質な業者を見抜くことにも繋がります。安さだけで選ばず、見積もりの内容や担当者の対応を総合的に判断して、信頼できる業者を選びましょう。


3.2 国や自治体の補助金制度を活用する

お住まいの地域によっては、国や自治体が解体工事費用の一部を補助してくれる制度があります。これらの制度をうまく活用すれば、費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。

代表的な補助金・助成金には以下のようなものがあります。

補助金の種類(例)

主な対象条件(例)

注意点

空き家解体撤去補助金

一定期間以上使用されていない空き家で、管理不全な状態であることなど。

自治体ごとに要件が異なります。事前申請が必須です。

老朽危険家屋解体補助金

倒壊の危険性があると診断された建物や、周辺への悪影響が懸念される建物など。

自治体による現地調査や判定が必要な場合があります。

耐震化促進事業に伴う解体費用補助

旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)で建築され、耐震診断の結果、倒壊の危険性が高いと判断された住宅など。

建て替えを前提とする場合など、条件が厳しいことがあります。

これらの補助金は、解体工事の契約前に申請する必要があるケースがほとんどです。また、予算の上限が定められており、年度の途中で受付が終了してしまうことも少なくありません。解体を決めたら、まずは解体する建物が所在する市区町村の役所のウェブサイトを確認したり、建築指導課や都市計画課といった担当窓口に問い合わせて、利用できる制度がないか早めに確認しましょう。


3.3 家財や不用品は事前に自分で処分する

家の中に残された家具、家電、衣類などの家財道具(残置物)の処分を解体業者に依頼すると、費用が高額になる原因となります。

その理由は、解体業者がこれらを処分する場合、一般家庭から出る「一般廃棄物」ではなく、事業活動に伴って排出される「産業廃棄物」として扱われるためです。産業廃棄物は処分費用が割高に設定されているため、自分で処分するよりも費用がかさんでしまいます。

解体工事が始まる前に、できる限り自分で家財や不用品を処分しておくことが費用節約の大きなポイントです。処分方法としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 自治体のルールに従って、一般ごみや粗大ごみとして出す

  • リサイクルショップやフリマアプリなどを活用して売却する

  • まだ使えるものは友人や知人に譲る

  • 不用品回収業者に依頼する(※「一般廃棄物収集運搬業許可」を持つ正規の業者か必ず確認しましょう)

手間はかかりますが、事前に整理しておくことで、数十万円単位の費用を削減できる可能性もあります。


3.4 解体工事の時期を調整する

解体業界にも、依頼が集中する「繁忙期」と、比較的落ち着いている「閑散期」があります。可能であれば、工事の時期を調整することで費用を抑えられる場合があります。

一般的に、公共工事が減り、個人の依頼も少なくなる4月~8月頃は閑散期にあたり、業者のスケジュールに余裕があるため、価格交渉に応じてもらいやすい傾向があります。

一方で、年度末にあたる2月~3月や、年末の12月は繁忙期です。この時期は業者が多忙になるため、人件費や重機のレンタル費用が高騰し、通常よりも解体費用が高くなる可能性があります。急ぎの事情がなければ、こうした繁忙期を避けて工事を依頼することで、コストを抑えられるかもしれません。


3.5 建物滅失登記を自分で行う

建物を取り壊した場合、その建物が存在しなくなったことを法務局に届け出る「建物滅失登記」を、解体後1ヶ月以内に行う必要があります。この手続きは法律上の義務です。

通常、この登記手続きは土地家屋調査士に依頼することが多く、その場合、3万円~5万円程度の代行手数料が発生します。しかし、建物滅失登記は、必要書類を揃えれば自分で行うことが可能で、その場合、代行手数料をまるごと節約できます。

手続きに必要な主な書類は以下の通りです。

  • 登記申請書

  • 解体業者から発行される「取毀(とりこわし)証明書」

  • 解体業者の印鑑証明書・代表者事項証明書

  • 現地の案内図(地図のコピーなど)

申請書の書き方や手続きの流れが分からなくても、管轄の法務局の相談窓口で丁寧に教えてもらえます。少しの手間で数万円を節約できるため、挑戦してみる価値は十分にあるでしょう。


4. 住宅の解体工事の流れと期間【準備から完了まで】

住宅 解体工事

住宅の解体工事は、思い立ってすぐに始められるものではありません。事前の準備から各種届出、実際の工事、そして完了後の手続きまで、多くのステップを踏む必要があります。ここでは、解体工事をスムーズに進めるための全体像を、9つのステップに分けて時系列で詳しく解説します。一般的な木造30坪住宅の場合、準備開始から工事完了後の手続きまで含めると、全体で2ヶ月〜3ヶ月程度かかるのが一般的です。各ステップのおおよその期間も紹介しますので、スケジュールを立てる際の参考にしてください。


4.1 ステップ1 事前準備と業者探し

【期間の目安:1週間~1ヶ月】

すべての始まりは、解体工事の目的を明確にすることです。建て替え、土地の売却、更地での管理など、目的によってその後の動きが変わってきます。目的が定まったら、解体工事を依頼する業者探しを開始します。インターネットの専門サイトや一括見積もりサービス、地元の工務店からの紹介など、様々な方法があります。この段階では1社に絞らず、最低でも3社程度の候補をリストアップしておくことが、後の比較検討において非常に重要になります。


4.2 ステップ2 現地調査と見積もり

【期間の目安:1週間~2週間】

リストアップした業者に連絡を取り、現地調査を依頼します。現地調査とは、業者の担当者が実際に解体する住宅を訪れ、建物の構造(木造、鉄骨造など)、延床面積、立地条件(前面道路の幅、隣家との距離など)、アスベスト含有建材の有無、庭木やブロック塀といった付帯物の状況などを詳細に確認する作業です。正確な見積もりを出すためには、この現地調査が不可欠


4.3 ステップ3 工事請負契約と各種届出

【期間の目安:1週間~2週間】

見積もり内容や担当者の対応などを総合的に判断し、依頼する業者を1社に決定したら、工事請負契約を結びます。口約束は絶対に避け、必ず書面で契約を交わしてください。契約書では、工事内容、金額、工期、支払い条件、万が一の事故に備えた保険の加入状況などを隅々まで確認します。契約と並行して、解体工事に必要な各種届出の準備を進めます。これらの届出は、多くの場合、解体業者が代行してくれますが、施主としてどのような手続きが必要か把握しておくことが大切です。


4.3.1 建設リサイクル法の届出

延床面積が80㎡以上の建物を解体する場合、工事着手の7日前までに、施主が都道府県知事へ届け出る義務があります。これは、建設工事で発生する廃棄物を分別し、再資源化を促進するための法律です。届出には、分別解体の計画書などを添付する必要がありますが、通常は業者が書類作成から提出までをサポートしてくれます。


4.3.2 道路使用許可申請

工事車両の駐車や足場の設置などで公道を使用する際に必要な申請です。解体業者が管轄の警察署へ申請します。この許可がなければ、重機や廃棄物を運ぶトラックを道路に停めることができず、工事が進みません。これも業者が行う手続きですが、見積もりに申請費用が含まれているか確認しておくと良いでしょう。


4.4 ステップ4 近隣への挨拶まわり

【期間の目安:1日】

解体工事では、騒音や振動、粉塵の発生が避けられません。近隣住民とのトラブルを未然に防ぎ、円滑に工事を進めるために、工事開始の1週間~10日前までには、近隣への挨拶まわりを済ませておきましょう。業者の担当者と一緒に、両隣、向かいの3軒、裏の家など、影響が及ぶ可能性のある範囲を回るのが理想的です。その際、工事の期間や作業時間、連絡先を記載した書面と、タオルや洗剤などの粗品を持参すると、より丁寧な印象を与えられます。


4.5 ステップ5 電気やガスなどライフラインの停止

【期間の目安:連絡に1日(1~2週間前には手続きを)】

解体工事を開始する前に、建物に引き込まれている電気、ガス、電話、インターネット回線などのライフラインを停止・撤去する手続きが必要です。これらの手続きは、原則として契約者である施主本人が各供給会社へ連絡します。工事開始日に間に合うよう、余裕を持って連絡しましょう。ただし、水道については注意が必要です。工事中に粉塵の飛散を防ぐための散水や、清掃で使用することがあるため、自己判断で止めずに、必ず解体業者に確認してから手続きを進めてください


4.6 ステップ6 解体工事の着工

【期間の目安:1週間~3週間】

いよいよ実際の解体工事が始まります。建物の規模や構造、立地条件によって工期は変動しますが、一般的な木造住宅であれば1〜2週間程度が目安です。工事はいくつかの工程に分かれて進められます。



【参考】一般的な木造30坪住宅の解体工事期間

工程

作業内容

期間の目安

足場・養生の設置

高所作業の安全性確保と、騒音・粉塵の飛散防止のために設置。

1~2日

内装材の撤去

畳、建具、石膏ボード、断熱材などを手作業で分別しながら撤去。

2~3日

建物本体の解体

重機を使い、屋根、壁、柱、梁の順に解体。散水しながら作業。

3~5日

基礎の撤去と整地

地中のコンクリート基礎を掘り起こして撤去し、土地を平らにならす。

2~4日


4.6.1 足場設置と養生

まず、建物の周囲に足場を組み、その外側を防音・防塵効果のある養生シートで覆います。これは、作業員の安全を確保すると同時に、騒音や粉塵が近隣へ拡散するのを最小限に抑えるための非常に重要な工程です。


4.6.2 内装材の撤去

重機を入れる前に、手作業で分別しながら内装材を撤去していきます。畳、窓ガラス、サッシ、ドア、住宅設備(キッチン、風呂、トイレ)、石膏ボード、断熱材などを丁寧に取り外します。この段階でアスベスト含有建材が見つかった場合は、法令に基づき厳重な管理のもとで専門業者が除去作業を行います。


4.6.3 建物の解体

内装が空になったら、いよいよ重機(バックホーなど)を使って建物本体を解体します。屋根材を撤去した後、壁、柱、梁といった構造部分を壊していきます。この際、粉塵が舞い上がらないよう、常に散水しながら慎重に作業を進めます。


4.6.4 基礎の撤去と整地

地上部分の建物がなくなったら、最後に地中に埋まっているコンクリートの基礎を掘り起こして撤去します。基礎を撤去した後の地面は、ガラや石などを取り除きながら、重機で平らにならしていきます(整地)。この整地作業をもって、建物本体の解体工事は完了となります。


4.7 ステップ7 産業廃棄物の搬出

【期間の目安:解体工事と並行】

解体工事で発生した木くず、コンクリートがら、金属くず、廃プラスチックなどは、すべて産業廃棄物として法律に則って適正に処理しなければなりません。分別解体された廃棄物は、品目ごとにトラックに積み込まれ、中間処理施設や最終処分場へと運搬されます。この際、不法投棄を防ぐためにマニフェスト(産業廃棄物管理票)という伝票が発行されます。優良な業者は、このマニフェストの写しを施主に渡してくれますので、工事完了後に必ず受け取り、5年間保管しましょう。


4.8 ステップ8 工事完了の確認

【期間の目安:1日】

すべての工事が完了したら、施主立ち会いのもとで最終確認を行います。契約書通りの範囲がきちんと解体されているか、整地の状態は良好か、地中にコンクリート片などが残っていないかなどを自分の目で確かめます。隣家の壁に傷がついていないかなど、敷地境界の確認も忘れずに行いましょう。問題がなければ、工事は完了となり、見積書に基づいた最終的な費用の支払いに進みます。


4.9 ステップ9 建物滅失登記の申請

【期間の目安:申請に1日(登記完了まで1~2週間)】

解体工事の最後の仕上げが、建物滅失登記の申請です。これは、法務局にある登記簿から、取り壊した建物の情報を抹消するための手続きです。この手続きを怠ると、存在しない建物に対して翌年以降も固定資産税が課され続けてしまうため、非常に重要です。建物を取り壊してから1ヶ月以内に申請する義務があります。申請は、解体業者から発行される「建物取毀証明書」などの必要書類を揃えて、土地家屋調査士に依頼するか、自分で行うことも可能です。自分で行えば、数万円の報酬費用を節約できます。


5. 失敗しない優良な住宅解体業者の選び方

住宅 解体工事

住宅の解体工事は、決して安くはない費用がかかる上、騒音や振動など近隣への影響も大きい工事です。だからこそ、信頼できる優良な業者を選ぶことが、トラブルを未然に防ぎ、安心して工事を任せるための最も重要なポイントとなります。ここでは、悪徳業者に騙されず、優良な解体業者を見極めるための5つのチェックポイントを具体的に解説します。これらの基準を参考に、複数の業者を比較検討しましょう。


5.1 解体工事業に必要な許可や登録を確認する

解体工事を行う業者は、法律に基づいた許可や登録が義務付けられています。無許可・無登録の業者は違法であり、不法投棄や高額請求などのトラブルに巻き込まれるリスクが非常に高いため、必ず最初に確認しましょう。

主に必要な許可・登録は以下の通りです。

許可・登録の種類

概要

確認のポイント

建設業許可(解体工事業)

消費税込みで500万円以上の解体工事を請け負う場合に必要となる、都道府県知事または国土交通大臣からの許可。

許可番号の提示を求める。会社のウェブサイトや見積書に記載されていることが多い。

解体工事業登録

消費税込みで500万円未満の解体工事を請け負う場合に必要となる、都道府県知事への登録。

登録番号の提示を求める。小規模な工事でも必須の登録。

産業廃棄物収集運搬業許可

解体工事で発生した廃材(産業廃棄物)を、自社で処分場まで運搬するために必要な許可。

解体を行うエリアと、処分場があるエリアの両方の都道府県から許可を得ているか確認する。

これらの許可や登録は、業者の信頼性を担保する最低限の条件です。見積もりを依頼する際に、許可証のコピーの提示を求めるなどして、必ず確認してください。


5.2 見積書の内容が詳細で分かりやすいか

複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」は必須ですが、単に金額の安さだけで判断するのは危険です。重要なのは、見積書の内容が詳細で分かりやすいかどうかです。優良な業者の見積書は、何にいくらかかるのかが明確に記載されています。


5.2.1 チェックすべき見積書の項目

  • 仮設工事費用:足場の設置、防音・防塵のための養生シート、仮設トイレなど。

  • 建物本体の解体費用:建物の構造(木造、鉄骨造など)と面積(㎡や坪)が明記されているか。

  • 廃棄物運搬処分費用:木くず、コンクリートがら、鉄くず、プラスチックなど、品目ごとに数量と単価が記載されているか。

  • 付帯工事費用:ブロック塀、カーポート、庭石、樹木、浄化槽などの撤去費用。本体工事に含まれるのか別途費用なのかを確認。

  • 諸経費:書類作成費用(建設リサイクル法届出など)、近隣挨拶、警備員配置費用など。

「解体工事一式」のように大雑把な記載しかない見積書を提示する業者は要注意です。工事完了後に追加費用を請求されるトラブルの原因になります。また、廃棄物の適正処理を証明する「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」の発行が可能かどうかも、事前に確認しておくとより安心です。


5.3 損害賠償保険に加入しているか

どれだけ熟練した業者が慎重に作業を進めても、解体工事には予期せぬ事故のリスクが伴います。例えば、重機の操作ミスで隣家の壁を傷つけたり、廃材が飛散して通行人に怪我をさせたりする可能性はゼロではありません。

万が一の事態に備え、業者が「請負業者賠償責任保険」などの損害賠償保険に加入しているかを確認することは極めて重要です。保険に未加入の業者に依頼して事故が起きた場合、損害賠償責任が施主であるあなたに及ぶ可能性があります。

見積もり時や契約前に、保険に加入しているか、また、その補償内容(対人・対物でいくらまで補償されるかなど)について質問し、必要であれば保険証券のコピーを見せてもらいましょう。誠実な業者であれば、快く応じてくれるはずです。


5.4 担当者の対応と実績を確認する

工事の品質は、会社の規模だけでなく、現場を担当するスタッフの質にも大きく左右されます。契約前の担当者の対応は、その会社の姿勢を判断する重要な指標となります。


5.4.1 担当者の対応チェックポイント

  • 質問に対して専門用語を多用せず、素人にも分かりやすく丁寧に説明してくれるか。

  • メールや電話へのレスポンスが迅速かつ誠実か。

  • 現地調査を丁寧に行い、こちらの要望や不安を親身に聞いてくれるか。

  • 近隣への配慮や工事中の安全対策について、具体的な説明があるか。

また、会社の解体工事における実績も確認しましょう。会社のウェブサイトで、これまでの施工事例を確認するのが有効です。特に、ご自身の住宅と同じ構造(木造、鉄骨造など)や、似たような立地条件(狭小地、隣家との距離が近いなど)での工事経験が豊富'mark>な業者は、様々な状況に柔軟に対応できる技術力とノウハウを持っている可能性が高く、信頼できます。


5.5 インターネットの口コミや評判を参考にする

実際にその業者を利用した人の声は、業者選びの貴重な判断材料になります。Googleマップのレビューや、解体工事の比較サイト、地域の情報サイト、SNSなどで、候補となる業者の口コミや評判を調べてみましょう。

ただし、インターネット上の情報を参考にする際は注意が必要です。良い評価だけでなく、悪い評価の内容にも目を通し、「なぜ低評価なのか」「どのようなトラブルがあったのか」を具体的に把握することが大切です。一方で、内容が具体的でなく、ただ褒めちぎるだけの口コミや、逆に根拠のない誹謗中傷は、サクラや競合他社による書き込みの可能性も考えられます。

口コミや評判はあくまで参考情報の一つと位置づけ、最終的にはご自身の目で見た担当者の対応や見積書の内容と合わせて、総合的に判断するようにしましょう。


6. 住宅の解体工事でよくあるトラブルと注意点

住宅 解体工事

住宅の解体工事は、計画通りに進めば問題ありませんが、予期せぬトラブルが発生しやすい工事でもあります。事前に起こりうるトラブルとその対策を把握しておくことで、リスクを最小限に抑え、安心して工事を任せることができます。ここでは、解体工事で特に発生しやすい代表的なトラブルとその注意点を詳しく解説します。


6.1 近隣住民との騒音や粉塵をめぐるトラブル

解体工事において最も多いのが、近隣住民とのトラブルです。工事中は大きな騒音や振動、粉塵の発生が避けられないため、近隣への配慮が不可欠となります。対策を怠ると、クレームが原因で工事が中断したり、その後のご近所付き合いに悪影響を及ぼしたりする可能性があります。

最も重要な対策は、工事開始前の丁寧な挨拶まわりです。業者任せにせず、施主も一緒に訪問し、工事の概要や期間、連絡先を伝えることで、相手の心証は大きく変わります。その際、タオルや洗剤などの粗品を持参すると、より誠意が伝わりやすいでしょう。

また、優良な業者であれば、以下のような対策を標準的に行います。契約前に、近隣対策についてどのような配慮をしてくれるかを確認しておくことが重要です。



主な近隣トラブルと業者の対策例

トラブルの種類

具体的な内容

業者による主な対策

騒音・振動

重機や工具の稼働音、建材が崩れる音や振動に対するクレーム。

防音シートやパネルの設置、低騒音・低振動型の重機の使用、工事時間(例:午前8時半~午後5時)や休工日(日曜・祝日)の遵守。

粉塵・ほこり

粉塵が飛散し、洗濯物や車が汚れる、窓が開けられないといった苦情。

建物全体を覆う養生シートの設置、作業中の定期的な散水による飛散防止対策。

道路の使用

工事車両の路上駐車や、道路の汚れによる通行の妨げ。

道路使用許可の取得と適切な車両誘導員の配置、作業終了時の周辺道路の清掃。

作業員の対応

作業員の喫煙マナーや挨拶、私語などに対する不満。

作業員へのマナー教育の徹底、休憩場所の確保。


6.2 契約後に高額な追加費用を請求されるケース

「見積もり金額が安かったので契約したのに、工事が終わったら高額な追加費用を請求された」というのも、悪質な業者との間で起こりがちな金銭トラブルです。もちろん、予期せぬ地中埋設物の発見など、正当な理由で追加費用が発生することもあります。トラブルを避けるためには、契約内容を事前にしっかり確認することが重要です。

注意すべきは、「解体工事一式」といった大雑把な見積書を提示してくる業者です。優良な業者は、どの作業にいくらかかるのか、項目ごとに単価や数量を明記した詳細な見積書を作成します。

また、契約時には、追加費用が発生する可能性がある項目について事前に説明を求め、もし発生した場合は「作業前に必ず施主に報告し、書面で見積もりを提示、承諾を得てから着手する」というルールを明確に取り決めておきましょう。口約束ではなく、契約書に一文を加えてもらうのが最も確実です。これにより、知らない間に作業が進められ、事後報告で高額請求されるリスクを防げます。


6.3 アスベスト除去に関する問題

アスベスト(石綿)は、かつて多くの建材に使用されていましたが、健康被害のリスクから現在は使用が禁止されています。2006年9月以前に建てられた建物には、アスベスト含有建材が使用されている可能性があり、その除去には専門的な知識と技術、そして法に定められた厳格な手続きが必要です。

トラブルとしては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 必要な事前調査を怠り、工事中にアスベストが飛散し、近隣住民や作業員の健康を脅かす。

  • アスベストの存在を把握していながら、除去費用を見積もりに含めず、契約後に追加費用として高額請求する。

  • 無資格の業者が不適切な方法で除去を行い、環境中に飛散させたり、不法投棄したりする。

これらの問題を避けるため、解体業者がアスベストの事前調査を適切に行い、その結果を報告書として提出してくれるか必ず確認してください。2022年4月からは、建物の規模にかかわらず、解体工事を行う際にはアスベストの有無の事前調査と、その結果の都道府県等への報告が義務付けられています。もしアスベストが発見された場合は、そのレベルに応じた適切な除去作業ができる専門業者に依頼する必要があります。


6.4 解体後の地中からの障害物発見

建物を解体し、地面を更地にした後で、地中から予期せぬ障害物(地中埋設物)が見つかることがあります。これは、解体業者に過失がなくても起こりうるトラブルです。

地中埋設物には、以前の建物の基礎やコンクリートガラ、浄化槽、井戸、大きな岩石などがあります。これらが残っていると、土地の売却や新築工事の際に問題となるため、必ず撤去しなければなりません。

問題は、これらの撤去費用が見積もりに含まれていないため、発見された時点で追加工事となり、別途費用が発生することです。撤去費用は、障害物の種類や量、処分方法によって大きく変動します。

対策としては、まず契約前に「地中埋設物が発見された場合の対応と費用負担」について、業者と明確に協議しておくことが大切です。また、もし業者から発見の報告があった際は、人任せにせず、必ず自分の目で現場の状況を確認しましょう。写真や動画で記録を残しておくと、後のトラブル防止に役立ちます。その上で、撤去方法と費用の見積もりに納得してから、作業を依頼するようにしてください。


7. 住宅の解体工事に関するよくある質問

住宅 解体工事

住宅の解体工事を検討する際、多くの方が抱く疑問や不安があります。ここでは、特に問い合わせの多い質問について、専門的な視点から分かりやすくお答えします。事前に疑問を解消し、安心して工事に臨みましょう。


7.1 解体工事中の立ち会いは必要ですか

結論から言うと、解体工事期間中、施主様が常に現場に立ち会う必要は基本的にありません。解体業者は安全管理を徹底し、工程に沿って作業を進めます。しかし、いくつかの重要なタイミングで立ち会うことで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな工事進行につながります。

立ち会いが推奨される主なタイミングは以下の通りです。

  • 工事開始前の近隣挨拶: 業者と一緒に挨拶まわりをすることで、近隣住民の方へ誠意が伝わりやすくなります。

  • 工事完了時の最終確認: 見積もり通りに工事が完了しているか、整地の状態は希望通りか、廃棄物などが残っていないかなどを業者と一緒に確認します。

  • 予期せぬ事態の発生時: 地中埋設物が見つかった場合など、追加工事や費用の相談が必要になった際に、現地で状況を確認しながら協議するために立ち会いを求められることがあります。

遠方にお住まいなどの理由で立ち会いが難しい場合は、写真や動画で進捗を報告してくれる業者を選ぶと安心です。契約前に対応可能か確認しておきましょう。


7.2 お祓いはした方が良いですか

解体工事前のお祓い(解体清祓・かいたいきよばらい)は、法律などで定められた義務ではありません。そのため、必ずしも行う必要はありませんが、施主様の気持ちを整理するための一つの儀式として行われる方が多くいらっしゃいます

お祓いには、主に以下のような意味合いがあります。

  • 長年住み慣れた家や土地への感謝を伝える

  • 工事の安全を祈願する

  • 土地の神様にご挨拶し、工事の許しを得る

特に、先祖代々受け継いできた土地や、家族の思い出が詰まった家を解体する際には、お祓いをすることで気持ちに区切りをつけやすいという側面もあります。お祓いを希望する場合は、近隣の神社に依頼するのが一般的です。費用は神社によって異なりますが、2万円~5万円程度が相場とされています。業者によっては神主さんを手配してくれる場合もあるので、一度相談してみるのも良いでしょう。


7.3 解体後の土地の固定資産税はどうなりますか

住宅を解体して更地にすると、翌年度からの土地の固定資産税が大幅に高くなる可能性が高いため、注意が必要です。これは、住宅が建っている土地に適用されていた「住宅用地の特例措置」が受けられなくなるためです。

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地や建物の状況に基づいて課税額が決定されます。住宅が建っている土地(住宅用地)は、税負担を軽減するための特例措置が設けられています。


住宅用地の特例措置による課税標準額の軽減

区分

軽減率

小規模住宅用地(200㎡以下の部分)

評価額の1/6

一般住宅用地(200㎡を超える部分)

評価額の1/3

例えば、200㎡の土地の場合、建物がある状態では課税標準額が6分の1にまで減額されています。しかし、建物を解体して1月1日時点で更地になっていると、この特例が適用されなくなり、土地本来の評価額で課税されるため、税額が最大で6倍になるケースもあります。

もし解体後の土地の活用計画がすぐに決まっていない場合は、解体工事の時期を調整することも一つの方法です。例えば、年を越して1月2日以降に工事を完了させれば、その年の固定資産税は住宅用地として計算され、税額の上昇を1年遅らせることができます。ただし、業者とのスケジュール調整が必要になるため、早めに相談しましょう。


7.4 庭の木やブロック塀も一緒に撤去できますか

はい、庭木や庭石、ブロック塀、カーポート、物置なども建物本体と一緒に撤去することが可能です。これらは「付帯工事(ふたいこうじ)」と呼ばれ、建物本体の解体費用とは別に費用が発生するのが一般的です。

付帯工事の対象となる主なものには、以下のようなものがあります。

  • 外構関連: ブロック塀、フェンス、門扉、カーポート、駐車場のアスファルトやコンクリート

  • 庭関連: 庭木、庭石、灯篭、池、植栽

  • その他: 物置、倉庫、浄化槽、井戸など

付帯工事で最も重要なのは、最初の見積もり段階で、どこまで撤去してほしいのかを業者に明確に伝えることです。口頭での伝達ミスを防ぐためにも、現地調査の際に業者と一緒に敷地内を回り、撤去を希望するものを一つひとつ指さしで確認することをおすすめします。その内容が見積書に項目としてきちんと記載されているかを確認することで、「言った・言わない」のトラブルや、後からの高額な追加請求を防ぐことができます。


8. まとめ

住宅の解体工事は、費用相場や工事の流れ、法的な手続きなど、事前に把握すべき点が多岐にわたります。工事費用を適正に保ち、予期せぬトラブルを避けるためには、複数の解体業者から相見積もりを取得することが最も重要です。本記事で解説した業者選びのポイントや工事全体の流れを参考に、信頼できるパートナーを見つけ、計画的に準備を進めることが、解体工事を成功させる鍵となります。

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