【完全ガイド】内装解体工事の費用はいくら?坪単価別の相場と内訳、見積もり例を解説
- seira murata
- 7月22日
- 読了時間: 34分
更新日:7月24日

内装解体工事の費用はいくらかかるのか、坪単価の相場や内訳がわからずお困りではありませんか?本記事では、店舗や住宅など用途別の費用相場から、スケルトン解体と原状回復の違い、見積書のチェックポイント、費用を安く抑えるコツまで網羅的に解説します。適正価格で工事を依頼する結論は、複数の優良業者から相見積もりを取ることです。この記事を読めば、後悔しない業者選びと費用交渉の知識がすべて手に入ります。
1. まずは知っておきたい 内装解体工事の費用相場
内装解体工事を検討する際、最も気になるのが「費用は一体いくらかかるのか」という点でしょう。費用は工事の規模や内容によって大きく変動しますが、一般的には「坪単価」や「平米(m²)単価」を基準に算出されます。この章では、建物の「構造」「用途」「広さ」という3つの切り口から、内装解体工事の費用相場を詳しく解説します。ご自身のケースに近い条件を参考に、おおよその予算感を掴んでみましょう。
ただし、ここで示す費用はあくまで目安です。実際の費用は、現場の状況や解体する範囲、後述する付帯工事の有無など、様々な要因によって変動することを念頭に置いておきましょう。
1.1 建物の構造別の坪単価と平米単価
内装解体費用は、建物の骨格となる構造によって大きく変わります。構造が頑丈であるほど、壁や天井の解体に手間と時間がかかり、使用する工具も専門的になるため、費用は高くなる傾向にあります。
1.1.1 木造の内装解体費用
木造建築は、柱や梁が木材でできており、比較的解体しやすい構造です。そのため、他の構造に比べて費用を安く抑えられるケースが多く見られます。ただし、築年数が古い木造住宅の場合、壁材などにアスベスト含有建材が使われている可能性があり、その場合は別途除去費用が必要になるため注意が必要です。
木造の内装解体費用相場 | ||
単位 | 費用相場 | 備考 |
坪単価 | 20,000円~40,000円/坪 | 比較的解体が容易なため、費用は安価な傾向。 |
平米単価 | 6,000円~12,000円/m² |
1.1.2 鉄骨造(S造)の内装解体費用
鉄骨造(Steel)は、柱や梁に鉄骨を使用している建物です。木造に比べて頑丈ですが、内装材を固定するために溶接や強力なボルトが使われていることがあり、解体に専用の工具や技術が必要になるため、木造よりも費用は高くなります。特に、軽量鉄骨造よりも頑丈な重量鉄骨造の方が、解体費用は高くなる傾向があります。
鉄骨造(S造)の内装解体費用相場 | ||
単位 | 費用相場 | 備考 |
坪単価 | 25,000円~50,000円/坪 | 内装材の固定方法が複雑な場合、費用が上がることがある。 |
平米単価 | 7,500円~15,000円/m² |
1.1.3 鉄筋コンクリート造(RC造)の内装解体費用
鉄筋コンクリート造(Reinforced Concrete)は、鉄筋とコンクリートを組み合わせた非常に強固な構造です。壁や床の解体には大型の重機や特殊な工具が必要となり、騒音や振動も大きくなるため、丁寧な作業と近隣への配慮が求められます。解体作業に最も手間と時間がかかるため、3つの構造の中では費用が最も高額になります。
鉄筋コンクリート造(RC造)の内装解体費用相場 | ||
単位 | 費用相場 | 備考 |
坪単価 | 30,000円~60,000円/坪 | 頑丈な構造のため解体作業が大掛かりになり、費用は高額になる。 |
平米単価 | 9,000円~18,000円/m² |
1.2 建物の用途別の坪単価と平米単価
建物の使われ方(用途)によって、内装の仕様や設備の有無が大きく異なります。そのため、同じ構造・広さであっても、用途が違えば解体費用も変わってきます。
1.2.1 店舗やテナントの内装解体費用
店舗やテナントは、業種によって内装が大きく異なります。例えば、飲食店であれば厨房設備や排気ダクト、グリストラップなど、美容室であればシャンプー台や複雑な給排水設備など、特殊な設備の撤去が必要になります。これらの専門的な設備の解体・撤去には追加の費用がかかるため、住宅やオフィスに比べて坪単価は高くなる傾向があります。
店舗・テナントの内装解体費用相場 | ||
単位 | 費用相場 | 備考 |
坪単価 | 20,000円~70,000円/坪 | 飲食、物販、美容など業種により大きく変動。厨房設備の撤去は高額になりやすい。 |
平米単価 | 6,000円~21,000円/m² |
1.2.2 オフィスや事務所の内装解体費用
オフィスや事務所は、パーテーション(間仕切り)、OAフロア、天井の照明器具、空調設備などが主な解体対象です。比較的シンプルな内装が多いため、店舗に比べると坪単価は安価な傾向にあります。ただし、大量のパーテーションや造作家具の撤去は産業廃棄物の量が増えるため、費用が加算される要因となります。
オフィス・事務所の内装解体費用相場 | ||
単位 | 費用相場 | 備考 |
坪単価 | 20,000円~50,000円/坪 | パーテーションの数やOAフロアの有無で費用が変わる。 |
平米単価 | 6,000円~15,000円/m² |
1.2.3 住宅(戸建て・マンション)の内装解体費用
住宅の内装解体では、壁紙や床材の撤去、間仕切り壁の解体、キッチン・浴室・トイレといった水回り設備の撤去が中心となります。特にマンションの場合、管理規約によって工事可能な時間帯や曜日、搬出経路、共用部分の養生方法などが厳しく定められていることが多く、戸建てに比べて作業に制約が多くなるため、坪単価が割高になるケースがあります。
住宅(戸建て・マンション)の内装解体費用相場 | ||
単位 | 費用相場 | 備考 |
坪単価 | 20,000円~45,000円/坪 | マンションは管理規約の遵守や養生費で割高になる傾向。 |
平米単価 | 6,000円~13,500円/m² |
1.3 【広さ別】内装解体工事の費用シミュレーション
ここでは、これまで解説した坪単価を基に、具体的な広さ別の費用シミュレーションをご紹介します。あくまで「坪単価 × 広さ」で算出した概算費用であり、実際の見積もりとは異なる場合がある点にご留意ください。
1.3.1 10坪から20坪の場合の費用
小規模な店舗や事務所、住宅の一室リフォームなどがこの規模に該当します。総額は抑えられますが、解体工事には最低限必要な人件費や車両費、養生費などがかかるため、坪数が小さいほど坪単価は割高になる傾向があります。
10坪(約33m²)の場合:20万円~50万円程度
20坪(約66m²)の場合:40万円~100万円程度
1.3.2 30坪から50坪の場合の費用
一般的なオフィスや飲食店、戸建て住宅のフルリノベーションなどがこの規模に該当します。作業の効率化が図りやすくなるため、坪単価は安定してくる価格帯です。
30坪(約99m²)の場合:60万円~150万円程度
50坪(約165m²)の場合:100万円~250万円程度
1.3.3 100坪以上の場合の費用
大規模なオフィスフロアや大型店舗、倉庫などが該当します。工事規模が大きくなるため総額は高くなりますが、スケールメリットが働き、坪単価は割安になることが多くなります。ただし、工期が長くなり、発生する産業廃棄物の量も膨大になるため、綿密な計画が必要不可欠です。
100坪(約330m²)の場合:200万円~500万円以上
2. 内装解体工事の費用は何で決まる?費用の内訳を徹底解説

内装解体工事の見積もりを見て、「一式〇〇円」という表記だけでは、何にいくらかかっているのか分からず不安になりますよね。費用は単に「坪単価 × 広さ」で決まるわけではありません。実際には、様々な要素が組み合わさって最終的な金額が算出されます。ここでは、費用の大部分を占める4つの主要な内訳について、それぞれ詳しく解説します。この内訳を理解することで、見積書の内容を正しく読み解き、適正価格かどうかを判断できるようになります。
2.1 解体作業費(人件費・養生費など)
解体作業費は、実際に工事を行うために直接必要となる費用です。主に「人件費」「養生費」「機材・工具費」などが含まれます。
人件費は、解体作業を行う職人や作業員の費用で、工事全体の費用の中でも大きな割合を占めます。「作業員の人数 × 作業日数」で計算されるのが基本です。複雑な構造の建物や、手壊し作業が多い現場では、より多くの人員と時間が必要になるため人件費は高くなります。
養生費は、解体しない壁や床、窓、エレベーターや廊下といった共用部分などを、ホコリや傷から守るためにシートやパネルで保護(養生)する費用です。特にマンションやテナントビルでは、他の居住者やテナントとのトラブルを防ぐために共用部の養生が規約で義務付けられていることがほとんどです。養生する範囲や使用する資材によって費用は変動します。
その他、解体に使用するハンマードリルなどの工具や、廃材を運び出すための一輪車などの費用も解体作業費に含まれます。
2.2 産業廃棄物の処分費
内装解体工事において、解体作業費と同じくらい、あるいはそれ以上に大きな割合を占めるのが産業廃棄物の処分費です。解体工事で発生した木くず、コンクリートがら、石膏ボード、ガラス、金属くずなどは、法律に基づいて適正に処分しなければなりません。
この処分費用は、廃棄物の「種類」と「量(m³やトン)」によって決まります。種類ごとに処分単価が大きく異なるため、どのような廃材がどれだけ出るかによって総額が大きく変動します。不法投棄などのトラブルを避けるためにも、解体業者が「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」をきちんと発行してくれるかどうかも重要な確認ポイントです。
以下は、産業廃棄物の種類と処分費用の目安です。
産業廃棄物の種類 | 処分費用の目安(1m³あたり) | 主な発生源 |
木くず | 5,000円~10,000円 | 壁、床、天井の下地材、造作家具など |
石膏ボード | 8,000円~20,000円 | 壁、天井の内装材(アスベスト含有の場合は別途高額な処理費が必要) |
コンクリートがら | 6,000円~12,000円 | 土間コンクリート、壁、基礎など |
金属くず | 5,000円~15,000円 | 軽量鉄骨(LGS)、スチールパーテーション、配管など |
ガラス・陶磁器くず | 15,000円~25,000円 | 窓ガラス、鏡、タイル、衛生陶器など |
※上記の費用はあくまで目安であり、地域や処分場、時期によって変動します。
2.3 付帯工事費(アスベスト除去・残置物撤去など)
付帯工事費とは、標準的な内装解体工事には含まれない、追加で発生する特別な作業にかかる費用です。見積もり段階でこれらの有無を確認しておくことが、後々の追加請求を防ぐ鍵となります。
2.3.1 アスベスト除去費
2006年以前に建てられた建物の場合、アスベスト(石綿)が建材に含まれている可能性があります。アスベストの除去は専門的な知識と技術、厳重な管理体制が必要なため、非常に高額な費用がかかります。アスベストの含有調査費用(数万円~)が別途必要になるほか、除去費用はアスベストのレベル(発じん性の高さ)や範囲によって数十万円から数百万円に及ぶこともあります。
2.3.2 残置物撤去費
前の入居者が残していった家具、家電、什器、ゴミなどの「残置物」を処分する費用です。これらは産業廃棄物ではなく一般廃棄物として扱われる場合もあり、分別や処分に手間とコストがかかります。可能な限り自分で処分することで、この費用を節約できます。
2.3.3 その他の付帯工事
設備機器の撤去・移設:エアコン、厨房機器、給排水設備、ガス管、電気配線などを撤去・移設する工事。専門業者による作業が必要な場合があります。
土間コンクリートの斫り(はつり):床のコンクリートを削ったり壊したりする作業。騒音や振動が大きいため、作業時間帯が限られることがあります。
内装仕上げ工事:原状回復工事の場合、解体後のクロス張り替えや塗装、床の補修など、内装を元に戻すための工事費用がかかります。
2.4 諸経費(駐車場代・書類作成費など)
諸経費は、現場管理費や一般管理費とも呼ばれ、工事を円滑に進めるために必要な間接的な費用を指します。見積書では「諸経費一式」とまとめられていることが多いですが、主に以下のような費用が含まれています。
現場管理費:現場監督の人件費、近隣への挨拶回りの費用など。
交通費・駐車場代:作業員の移動にかかるガソリン代や、トラックを停めるための駐車場代。特に都心部では駐車場代が高額になる傾向があります。
各種届出・書類作成費:建設リサイクル法に基づく届出や、道路使用許可申請といった行政手続きにかかる費用。
保険料:万が一の事故に備えるための労災保険や損害賠償保険の掛け金。
会社の利益:解体業者が事業を継続していくための利益。
諸経費は、工事費総額の5%~15%程度が一般的です。この割合が極端に高い場合は、内訳について業者に説明を求めることをお勧めします。誠実な業者であれば、どのような費用が含まれているのかを丁寧に説明してくれるはずです。
3. 費用が高くなるケースと変動要因

内装解体工事の費用は、建物の坪単価だけで決まるわけではありません。様々な要因によって、当初の見積もりから変動したり、相場よりも高額になったりするケースがあります。ここでは、費用に大きく影響を与える4つの代表的な要因について詳しく解説します。ご自身の状況と照らし合わせることで、費用の見通しを立てやすくなるでしょう。
3.1 スケルトン解体か原状回復かで費用は変わる
内装解体工事には、大きく分けて「スケルトン解体」と「原状回復」の2種類があり、どちらを選択するかで費用は大きく異なります。これは、解体する範囲と工事の目的が根本的に違うためです。
スケルトン解体は、建物の構造躯体(柱、梁、床、壁)以外をすべて撤去する工事で、コンクリートがむき出しの状態(スケルトン状態)にします。一方、原状回復は、賃貸物件などを借りる前の状態に戻す工事で、後から設置した間仕切りや設備、内装材のみを撤去するのが一般的です。
スケルトン解体は撤去範囲が広く、解体する部材の量も多いため、人件費や廃棄物の処分費がかさみ、原状回復工事に比べて費用が高くなる傾向にあります。
項目 | スケルトン解体 | 原状回復 |
|---|---|---|
主な目的 | 店舗やオフィスの大規模なリニューアル、用途変更(コンバージョン) | 賃貸物件の契約終了に伴う退去 |
解体範囲 | 天井、壁、床、内部設備など、構造躯体以外のすべて | 入居後に設置した間仕切り、造作家具、床材、壁紙など(契約内容による) |
費用相場 | 高額になる傾向 | 比較的安価に収まる傾向 |
工事期間 | 長くなる傾向 | 比較的短期間で完了する傾向 |
3.2 建物の立地条件や周辺環境
建物の立地や周辺の環境も、工事の作業効率や安全性に直結し、費用を左右する重要な要素です。特に以下のようなケースでは、追加の費用が発生しやすくなります。
前面道路の道幅が狭い
大型のトラックや重機が現場に進入できない場合、小型車両で何度も往復したり、手作業での廃材搬出(手運び)が必要になったりします。これにより、作業員の人数や作業時間が増え、人件費が上乗せされます。
駐車スペースがない
工事車両を停めるスペースが敷地内にない場合、近隣のコインパーキングなどを利用する必要があります。その駐車場代は「諸経費」として見積もりに計上されます。
建物の階数とエレベーターの有無
解体現場が建物の高層階にある場合、廃材の搬出に手間がかかります。エレベーターがなければ階段を使って手作業で搬出するため、作業員の負担が増え人件費が高騰します。エレベーターがあっても、共用部を傷つけないための養生費や、他の居住者・利用者に配慮した作業時間の制約などにより、コストが上がることがあります。
近隣との距離が近い
住宅密集地や繁華街など、隣接する建物との距離が近い現場では、騒音や粉塵、振動への対策がより一層求められます。防音・防塵性能の高い養生シートを使用したり、作業時間を制限したりする必要があり、そのための費用が追加で発生します。
3.3 アスベストの有無
アスベスト(石綿)は、かつて多くの建材に使用されていましたが、健康被害のリスクから現在は使用が禁止されています。2006年9月以前に建てられた建物には、アスベスト含有建材が使用されている可能性があり、その有無は費用に極めて大きな影響を与えます。
アスベストが含まれている場合、通常の解体工事とは別に、法令で定められた厳格な手順に則って除去作業を行わなければなりません。これには以下のような専門的な費用が発生します。
事前調査・分析費用:設計図書での確認や、現地でのサンプル採取・分析を行うための費用です。
届出作成費用:労働基準監督署や地方自治体への届出書類を作成するための費用です。
アスベスト除去作業費:隔離養生、負圧集塵機といった特殊な機材の設置、専門作業員の防護服など、安全対策のための費用です。アスベストの発じん性レベル(レベル1~3)によって費用は大きく変動します。
特別管理産業廃棄物の処分費:除去したアスベストは「特別管理産業廃棄物」として、通常の廃棄物よりも高額な費用で処分する必要があります。
アスベストの調査や除去は、専門の資格を持つ業者しか行えません。見積もりの段階でアスベストの有無が不明な場合は、調査費用が含まれているか、また、もし発見された場合の追加費用について必ず確認しておきましょう。
3.4 夜間や休日の工事
オフィスビルやショッピングモール内のテナントなど、日中の営業に支障が出る場所では、夜間や休日に工事を行う必要があります。このような時間帯の作業は、費用が高くなる主な要因の一つです。
理由は、労働基準法により、作業員に対して割増賃金(深夜手当・休日手当)を支払う必要があるためです。一般的に、夜間(22時~翌5時)は25%以上、法定休日の作業は35%以上の割増賃金が発生し、これが人件費に直接反映されます。
また、夜間は騒音に対する配慮から使用できる重機や工具に制限がかかることがあり、作業効率が低下して工期が延び、結果的に総額が割高になる可能性もあります。建物の管理規約などで作業時間が指定されている場合は、事前に解体業者に伝え、正確な見積もりを依頼することが重要です。
4. 【見積もり例あり】内装解体工事の見積書で見るべきポイント

内装解体工事の見積書は、専門用語が多く、初めて見る方にとっては内容を正確に理解するのが難しいかもしれません。しかし、見積書は工事内容と費用を明確にするための最も重要な書類です。安さだけで業者を選んでしまうと、後から高額な追加費用を請求されるなどのトラブルに発展する可能性もあります。ここでは、安心して工事を任せられる優良な業者を見極めるために、見積書でチェックすべき重要なポイントを、具体的な見積もり例とともに詳しく解説します。
4.1 良い見積書と注意すべき見積書の違い
複数の業者から見積もりを取った際に、まず比較したいのが見積書の「詳細さ」です。良い見積書は誰が見ても工事内容が明確にわかるように作られていますが、注意が必要な見積書は内容が曖昧で、後々のトラブルの原因となりがちです。具体的な違いを以下の表で確認しましょう。
項目 | 良い見積書の特徴 | 注意すべき見積書の特徴 |
工事内容の内訳 | 「天井解体」「壁撤去」「床材剥がし」など、作業内容ごとに項目が分かれ、数量や単価が明記されている。 | 「解体工事一式」のように、具体的な作業内容がまとめられており、何にいくらかかるのかが不明瞭。 |
産業廃棄物処分費 | 「木くず」「石膏ボード」「コンクリートガラ」など、廃棄物の種類ごとに分別され、それぞれの量と処分単価が記載されている。 | 「廃棄物処分費一式」と記載されているか、解体費用の中に含まれていて内訳がわからない。 |
諸経費 | 「現場管理費」「駐車場代」「書類作成費」など、内訳が具体的に示されている。 | 「諸経費一式」と記載され、何に対する費用なのかが不明。 |
追加費用の条件 | どのような場合に、どのような費用が追加で発生する可能性があるのかが備考欄などに明記されている。 | 追加費用に関する記載が一切ないか、「別途協議」などと曖昧に書かれている。 |
会社情報 | 会社名、住所、電話番号に加え、建設業許可番号や産業廃棄物収集運搬業許可番号が記載されている。 | 会社の連絡先が携帯電話番号のみであったり、必要な許可番号の記載がなかったりする。 |
4.2 「一式」の表記が多い見積書は要注意
見積書の中で特に注意が必要なのが「〇〇工事 一式」という表記です。「一式」という言葉は、本来、細かく数量を出すのが難しい作業や軽微な作業をまとめる際に使われます。しかし、本来は詳細に記載すべき解体作業費や産業廃棄物処分費まで「一式」でまとめられている見積書は、非常に危険です。
なぜなら、工事の範囲が曖昧になるため、「その作業は一式には含まれていません」と言って、後から追加費用を請求する悪質な業者が存在するからです。例えば、「解体工事一式」に共用部分の養生費や工事後の清掃費が含まれていないケースや、「残置物処分一式」に家電リサイクル料が含まれていないケースなどがあります。
「一式」の記載がある場合は、その費用にどの作業範囲までが含まれているのかを必ず書面で確認しましょう。口頭での説明だけでなく、見積書の備考欄に追記してもらうなど、証拠として残すことがトラブル防止の鍵となります。
4.2.1 【参考】良い見積書の見本(30坪オフィスのスケルトン解体)
以下に、内訳が詳細で分かりやすい見積書の例を挙げます。ご自身の見積書と比較する際の参考にしてください。
大項目 | 項目・内容 | 数量 | 単位 | 単価(円) | 金額(円) |
仮設工事 | 共用部養生(エレベーター・廊下) | 1 | 式 | 50,000 | 50,000 |
室内養生(配管・配線等) | 1 | 式 | 30,000 | 30,000 | |
仮設電気・水道 | 1 | 式 | 20,000 | 20,000 | |
解体・撤去工事 | 天井解体(ジプトーン) | 99 | ㎡ | 800 | 79,200 |
壁解体(LGS+石膏ボード) | 80 | ㎡ | 1,200 | 96,000 | |
床撤去(タイルカーペット) | 99 | ㎡ | 500 | 49,500 | |
設備機器撤去(エアコン・照明器具) | 1 | 式 | 40,000 | 40,000 | |
産業廃棄物運搬処分費 | 石膏ボード | 1.5 | m³ | 20,000 | 30,000 |
木くず・廃プラ | 1.0 | m³ | 15,000 | 15,000 | |
金属くず | 0.5 | m³ | 8,000 | 4,000 | |
運搬費(2tトラック) | 2 | 台 | 25,000 | 50,000 | |
諸経費 | 現場管理費(解体工事費の10%) | 1 | 式 | 26,470 | 26,470 |
書類作成費(マニフェスト等) | 1 | 式 | 10,000 | 10,000 | |
小計 | 500,170 | ||||
消費税(10%) | 50,017 | ||||
合計金額 | 550,187 |
※上記はあくまで一例です。実際の費用は建物の状況や業者によって変動します。
4.3 追加費用が発生する可能性を確認する
見積書に記載された金額が最終的な支払い金額になるとは限りません。工事を進める中で、予期せぬ事態が発生し、追加費用がかかるケースがあります。契約を結ぶ前に、どのような状況で追加費用が発生するのか、その際の費用はいくらくらいになるのかを必ず業者に確認しておきましょう。
主な追加費用の発生要因には、以下のようなものがあります。
アスベストの発見:事前調査で判明しなかったアスベスト含有建材が、壁や天井の内部から新たに見つかった場合、除去・処分に専門的な作業が必要となり、高額な追加費用が発生します。
想定外の残置物:見積もり時にはなかった大量の残置物(ゴミや家具など)が工事開始時にあった場合、その処分費用が追加で請求されます。
構造上の問題:壁を解体したところ、建物の強度を保つために必要な柱や梁が出てきてしまい、計画変更や補強工事が必要になった場合。
近隣からの要望:騒音や振動、粉塵などに対する近隣からのクレームが激しく、防音シートの追加や作業時間の大幅な短縮など、特別な対応が必要になった場合。
優良な業者は、これらのリスクについて事前に説明し、追加費用が発生する際の連絡・確認・承認のフローを明確にしてくれます。「何かあったらその時に相談します」といった曖昧な返答をする業者ではなく、具体的なケースを想定して説明してくれる業者を選ぶことが、安心して工事を任せるための重要なポイントです。
5. 内装解体工事の費用を安く抑える5つのコツ

内装解体工事は、決して安い買い物ではありません。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を賢く抑えることが可能です。ここでは、誰でも実践できる5つの具体的なコツを詳しく解説します。少しの手間をかけるだけで、数十万円単位のコスト削減につながるケースもありますので、ぜひ参考にしてください。
5.1 複数の業者から相見積もりを取る
内装解体工事の費用を抑える上で最も重要かつ効果的な方法が、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」です。同じ工事内容であっても、業者によって見積金額は大きく異なります。その理由は、業者の得意な工事の種類、廃棄物処分のルート、保有する重機やトラック、人件費の設定などが違うためです。
最低でも3社以上から相見積もりを取り、それぞれの見積書を詳細に比較検討しましょう。単に総額が安いというだけで判断するのではなく、「どの項目にどれくらいの費用がかかっているのか」をしっかり見比べることが重要です。詳細な内訳を比較することで、その工事の適正な費用相場が見えてきます。また、他社の見積もりを提示することで、価格交渉の材料としても有効に活用できます。
5.2 残置物は可能な限り自分で処分する
オフィスや店舗、住宅に残された家具、家電、什器、私物などの「残置物」の撤去を解体業者に依頼すると、「産業廃棄物」として扱われる場合があり、処分費用が割高になる傾向があります。
そこで、まだ使える家具や家電はリサイクルショップやフリマアプリで売却したり、粗大ごみとして自治体のルールに従って自分で処分したりすることで、残置物撤去費用を大幅に削減できます。特に、まだ価値のあるオフィス什器や厨房機器などは、専門の買取業者に依頼すると、処分費用がかかるどころか、逆にお金になる可能性もあります。
ただし、すべてのものを自分で処分するのは手間と時間がかかります。どの範囲までを自分で処分し、どこからを業者に依頼するか、費用対効果を考えて判断しましょう。
自分で処分する場合の主な方法 | ||
品目 | 主な処分方法 | ポイント |
オフィス家具・什器 | 専門買取業者、リサイクルショップ、不用品回収業者 | 状態が良ければ高価買取の可能性も。複数社に見積もりを依頼するのがおすすめ。 |
家電リサイクル法対象品 (テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機など) | 家電量販店、指定引取場所への持ち込み、自治体が案内する方法 | 法律で定められたリサイクル料金と収集運搬料金がかかる。 |
その他の家具・粗大ごみ | 自治体の粗大ごみ回収、クリーンセンターへの持ち込み | 自治体によって料金やルールが異なるため、事前にホームページなどで確認が必要。 |
衣類・書籍・食器など | リサイクルショップ、フリマアプリ、寄付、資源ごみ | 手間はかかるが、売却できればプラスになることも。 |
5.3 解体業者に直接依頼する
店舗の移転やリフォームに伴う内装解体を、管理会社や不動産会社、工務店、リフォーム会社に一括で依頼するケースは少なくありません。しかし、この場合、紹介料としての中間マージンが見積もりに上乗せされていることがほとんどです。
費用を抑えたいのであれば、内装解体を専門とする業者に直接依頼(分離発注)することをおすすめします。中間マージンが発生しないため、同じ工事内容でも10%〜30%程度費用を安くできる可能性があります。自分で優良な解体業者を探す手間はかかりますが、コスト削減効果は非常に大きいため、ぜひ検討してみてください。
5.4 補助金や助成金制度を活用する
内装解体工事そのものを対象とした補助金は多くありませんが、関連する工事と組み合わせることで活用できる制度が存在します。特に、アスベスト(石綿)除去や耐震補強、省エネ改修に伴う解体工事は、国や地方自治体が補助金・助成金制度を設けている場合があります。
これらの制度は、自治体によって内容や要件、申請期間が大きく異なります。また、年度ごとに予算が決められており、上限に達し次第締め切られることがほとんどです。工事を計画する段階で、必ず所在地の自治体のホームページを確認したり、建築指導課や環境保全課といった担当窓口に問い合わせたりして、利用できる制度がないか確認しましょう。
補助金・助成金の例 | ||
制度の例 | 対象となる工事の例 | 主な問い合わせ先 |
アスベスト除去等補助制度 | 吹付けアスベストなどの除去、封じ込め、囲い込み工事 | 各市区町村の環境保全課、建築指導課など |
耐震改修促進事業補助金 | 耐震補強工事に伴う壁や天井の解体 | 各市区町村の建築指導課、防災課など |
省エネリフォーム補助金 | 断熱材の入れ替えなどに伴う内装の解体 | 各市区町村の環境関連部署、または国の事業窓口 |
事業再構築補助金など(事業者向け) | 事業転換や業態転換に伴う店舗改装時の解体工事 | 商工会議所、中小企業庁など |
5.5 解体工事の時期を調整する
解体業界にも繁忙期と閑散期があります。一般的に、公共工事や企業の決算が集中する年度末(2月〜3月)や、年末年始を前に工事を終えたいと考える人が多い年末(11月〜12月)は繁忙期にあたります。
繁忙期は業者のスケジュールが埋まりやすく、作業員やトラックの確保が難しくなるため、工事費用が高くなる傾向にあります。また、価格交渉にも応じてもらいにくいかもしれません。
一方で、梅雨の時期(6月)や、多くの人が休暇を取る真夏(8月)、年明けの1月などは比較的閑散期とされています。もし工期に余裕があるのなら、こうした閑散期を狙って工事を依頼することで、業者のスケジュールに空きがあり、費用交渉がしやすくなる可能性があります。ただし、梅雨や台風の時期は天候によって工期が遅れるリスクもあるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
6. 失敗しない優良な内装解体業者の選び方

内装解体工事は、専門的な知識と技術が求められる工事です。費用が安いという理由だけで業者を選んでしまうと、ずさんな工事による追加費用の発生や、近隣トラブル、不法投棄といった深刻な問題につながる可能性があります。大切な資産を守り、安心して工事を任せるためには、信頼できる優良な業者を慎重に見極めることが不可欠です。ここでは、業者選びで失敗しないための具体的なチェックポイントを解説します。
6.1 必要な許可や登録の有無を確認する
内装解体工事を行うためには、法律で定められた許可や登録が必要です。これらの許可がない業者は「違法業者」であり、依頼してしまうと施主側もトラブルに巻き込まれるリスクが非常に高くなります。契約前には必ず、必要な許可を保有しているかを確認しましょう。
主に確認すべき許可は以下の通りです。
許可・登録の種類 | 内容 | 確認のポイント |
建設業許可(解体工事業) | 消費税込みで500万円以上の解体工事を請け負う場合に必須となる許可です。この許可を得るには、経営経験や技術力など厳しい要件をクリアする必要があります。 | 500万円未満の工事でも、この許可を持つ業者は一定の信頼性があると判断できます。許可番号を確認し、国土交通省の検索システムで正規の業者か照合しましょう。 |
産業廃棄物収集運搬業許可 | 解体工事で発生した木くずやコンクリートガラなどの産業廃棄物を、中間処理施設や最終処分場まで運搬するために必要な許可です。 | この許可がないと廃棄物の運搬ができず、不法投棄につながる恐れがあります。廃棄物を運ぶ都道府県ごとに許可が必要なため、現場と処分場の所在地両方の許可を持っているか確認することが重要です。 |
石綿(アスベスト)関連の資格 | アスベスト含有建材の除去作業を行う場合、「石綿作業主任者」という国家資格を持つ作業員の配置が義務付けられています。 | 古い建物(特に2006年以前)の解体では、アスベスト調査が必須です。調査の結果、除去が必要になった場合に、有資格者が在籍しているかを確認しておくと安心です。 |
6.2 損害賠償保険に加入しているか
どれだけ優良な業者でも、工事中に事故が起こる可能性はゼロではありません。例えば、作業中に壁や床を誤って傷つけてしまったり、搬出作業中に共用部を破損させたり、近隣の建物に損害を与えてしまったりするケースが考えられます。万が一の事態に備え、業者が「請負業者賠償責任保険」などの損害賠償保険に加入しているかを必ず確認してください。
保険に未加入の業者に依頼した場合、事故による損害賠償費用を施主が負担しなければならなくなる可能性があります。見積もり時や契約前に、保険に加入しているか尋ねるだけでなく、保険証券の写しを見せてもらうとより確実です。「加入している」という口約束だけを信じるのは避けましょう。
6.3 過去の実績や口コミを参考にする
業者の技術力や信頼性を判断する上で、過去の工事実績は重要な指標となります。特に、自身が依頼したい工事内容(例:店舗のスケルトン解体、オフィスの原状回復など)と類似した実績が豊富かどうかを確認しましょう。
業者の公式ウェブサイトに掲載されている施工事例をチェックし、どのような建物の、どのような工事を、どのくらいの期間と費用で行ったのかが具体的に記載されているかを見ると参考になります。写真が豊富に掲載されていれば、仕上がりのイメージも掴みやすいでしょう。
また、第三者の客観的な意見として、Googleマップのレビューや口コミサイトなども参考になります。良い評価だけでなく、悪い評価の内容にも目を通し、どのような点でトラブルになりやすいのか、その際に業者がどのような対応をしたのかを把握することで、多角的に業者を判断できます。ただし、口コミはあくまで個人の感想であるため、鵜呑みにせず、総合的な判断材料の一つとして活用しましょう。
6.4 担当者の対応が丁寧で説明が分かりやすいか
最終的に工事を円滑に進めるためには、窓口となる担当者との相性も非常に重要です。問い合わせから現地調査、見積もり提出、契約、工事完了まで、担当者とは密にコミュニケーションを取ることになります。
以下のポイントをチェックし、信頼できる担当者かを見極めましょう。
問い合わせへの返信や対応が迅速かつ丁寧か
専門用語ばかりを使わず、素人にも分かりやすい言葉で説明してくれるか
こちらの質問や要望に対して、真摯に耳を傾け、的確に答えてくれるか
現地調査の際に、建物の状況を細かく確認し、リスクや注意点を正直に伝えてくれるか
見積書の内訳について、一つひとつの項目を明確に説明できるか
強引に契約を迫るなど、不誠実な営業活動をしてこないか
些細な疑問や不安にも誠実に向き合ってくれる担当者であれば、工事中も安心して任せることができます。複数の業者と実際に話してみて、最も信頼できると感じた業者に依頼することが、工事の成功につながる鍵となります。
7. 問い合わせから完了まで 内装解体工事の基本的な流れ

内装解体工事を依頼したいと思っても、何から手をつければ良いのか、どのような手順で進むのか分からず不安に感じる方も多いでしょう。ここでは、業者への問い合わせから工事完了、そして引き渡しまでの一連の流れを7つのステップに分けて具体的に解説します。全体像を把握しておくことで、スムーズに工事を進めることができます。
7.1 業者への問い合わせと現地調査
内装解体工事の第一歩は、解体業者への問い合わせから始まります。複数の業者に声をかけ、比較検討の準備をしましょう。
問い合わせの際には、以下の情報を伝えると、その後のやり取りがスムーズになります。
建物の所在地(住所)
建物の種類(店舗、オフィス、戸建て、マンションなど)
建物の構造(木造、鉄骨造、RC造など)
解体を希望する範囲とおおよその広さ(坪数・平米数)
希望する工事の時期
解体の種類(原状回復かスケルトンか)
問い合わせ後、業者は正確な見積もりを作成するために現地調査を行います。現地調査は、工事費用を正確に算出するために不可欠な工程です。図面だけでは分からない建物の状態、搬入・搬出経路、周辺環境などをプロの目で直接確認します。特別な事情がない限り、施主も立ち会うことをおすすめします。立ち会うことで、解体範囲の細かい要望を直接伝えたり、疑問点をその場で質問したりできるため、後の認識のズレを防ぐことができます。
7.2 見積書の確認と契約
現地調査から数日~1週間程度で、業者から見積書が提出されます。複数の業者から見積もりを取り(相見積もり)、内容をじっくり比較検討しましょう。単に金額の安さだけで判断するのではなく、工事内容や諸経費の内訳が明確に記載されているか、追加費用の発生条件は何かなどを細かくチェックすることが重要です。
依頼する業者が決まったら、工事請負契約を結びます。契約書は法的な効力を持つ重要な書類です。口約束は避け、必ず書面で契約を交わしましょう。契約書では、特に以下の項目を必ず確認してください。
工事内容と解体範囲の明記
請負代金の総額、支払い方法、支払時期
工期(着工日と完了予定日)
追加工事が発生した場合の取り決め
損害賠償保険(請負業者賠償責任保険など)への加入の有無
契約解除に関する条件
内容に不明な点があれば、納得できるまで説明を求め、すべてに合意した上で署名・捺印をしましょう。
7.3 近隣への挨拶と各種届出
解体工事は、騒音や振動、粉塵の発生など、どうしても近隣に迷惑をかけてしまう可能性があります。そのため、工事開始前に近隣住民への挨拶回りを行うのがマナーです。通常は業者が主体となって行いますが、施主も一緒に回ることで、より丁寧な印象を与え、トラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。
また、内装解体工事を行うにあたり、法律に基づいた各種届出が必要です。これらの手続きは、基本的に解体業者が代行してくれますが、どのような届出が必要なのか施主として把握しておきましょう。
内装解体工事で必要となる主な届出 | ||
届出の種類 | 概要 | 届出先 |
建設リサイクル法に基づく届出 | 床面積の合計が80㎡以上の解体工事で必要。分別解体や再資源化の計画を届け出る。 | 都道府県知事 |
アスベスト除去に関する届出 | 一定量以上のアスベスト含有建材の除去工事で必要。「特定粉じん排出等作業実施届出書」などを提出する。 | 都道府県知事・労働基準監督署 |
道路使用許可申請 | 工事車両の駐車や資材の搬出入で公道を使用する場合に必要。 | 管轄の警察署 |
7.4 解体工事の開始
すべての準備が整ったら、いよいよ解体工事の開始です。工事はまず、現場の養生作業から始まります。養生とは、解体しない部分や共用部(マンションの廊下やエレベーターなど)を、シートやパネルで覆って傷や汚れから保護する作業です。また、粉塵が外部に飛散するのを防ぐため、解体エリア全体をシートで密閉することもあります。
養生が完了すると、内装材の撤去作業に移ります。一般的には、天井、壁、床の順に解体が進められます。手作業で石膏ボードやクロスを剥がし、必要に応じて小型の重機を使いながら、効率的かつ安全に作業を進めていきます。この際、建設リサイクル法に基づき、木材、コンクリートガラ、プラスチック、金属くずなどを現場で分別しながら解体する「分別解体」が行われます。
7.5 産業廃棄物の搬出と清掃
解体作業で発生した廃材は、すべて産業廃棄物として法律に則って適切に処理しなければなりません。分別された産業廃棄物は、種類ごとにトラックで収集運搬され、中間処理施設や最終処分場へ運ばれます。
このとき、排出事業主(元請けの解体業者)にはマニフェスト(産業廃棄物管理票)の作成と交付が義務付けられています。マニフェストは、廃棄物がどこでどのように処理されたかを追跡するための伝票で、不法投棄を防ぐ重要な役割を担っています。施主は最終的にマニフェストの写し(E票)を受け取ることで、廃棄物が適正に処理されたことを確認できます。
すべての廃棄物を搬出したら、現場の清掃作業を行います。床を掃き、粉塵をきれいに取り除き、次の工程(リフォームや店舗の内装工事など)にスムーズに入れる状態にします。
7.6 最終確認と引き渡し
工事が完了したら、施主立ち会いのもとで最終確認(竣工検査)を行います。契約書や見積書と照らし合わせながら、以下の点を確認しましょう。
解体範囲に間違いはないか
残すべき壁や設備が誤って解体されていないか
解体箇所以外に新たな傷や損傷がないか
清掃は行き届いているか
もし、契約内容と異なる点や不備が見つかった場合は、遠慮なく手直し(補修工事)を依頼してください。すべての確認が完了し、問題がなければ工事完了となり、現場の引き渡しを受けます。このタイミングで、契約に基づいて工事代金の残金を支払い、業者からマニフェストの写しや保証書などを受け取って、すべての工程が終了となります。
8. 内装解体工事の費用に関するよくある質問

内装解体工事を初めて依頼する方にとって、費用や工事内容に関する疑問は尽きないものです。ここでは、お客様から特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。業者選びや見積もり比較の際の参考にしてください。
8.1 見積もりは無料ですか?
はい、ほとんどの解体業者では現地調査を含めた見積もりを無料で提供しています。業者側も、契約を獲得するために見積もりを重要な営業活動と位置づけているためです。複数の業者から相見積もりを取ることは、適正な費用相場を把握し、信頼できる業者を見極める上で非常に重要です。
ただし、以下のようなケースでは費用が発生する可能性もゼロではありません。
対応エリア外の遠隔地への出張を依頼する場合
アスベストの有無を判断するために、詳細な分析調査が必要な場合
見積もりのために図面の作成が必要な特殊なケース
有料になる場合は必ず事前に説明があるはずですが、念のため問い合わせの段階で「現地調査と見積もりは無料ですか?」と確認しておくとより安心です。
8.2 工事期間はどのくらいかかりますか?
内装解体工事の期間は、建物の広さ、構造、解体の範囲(スケルトンか原状回復か)、アスベストの有無など、様々な要因によって変動します。一概には言えませんが、一般的な目安は以下の通りです。
広さ別の工事期間の目安(アスベスト除去なしの場合) | ||
広さ | 工事期間の目安 | 備考 |
〜30坪(約100㎡) | 3日〜7日程度 | 小規模な店舗や住宅の一室など。搬出経路が確保されていればスムーズに進みます。 |
30坪〜50坪(約100㎡〜165㎡) | 1週間〜2週間程度 | 中規模のオフィスや飲食店など。内装の造作が多い場合は期間が長くなる傾向があります。 |
50坪〜100坪(約165㎡〜330㎡) | 2週間〜4週間程度 | 大規模なオフィスやテナントフロアなど。廃棄物の量が多くなり、搬出に時間がかかります。 |
100坪以上 | 1ヶ月以上 | 大型商業施設や複数フロアにまたがる場合。綿密な工程管理が必要となります。 |
上記はあくまで目安です。アスベスト除去工事が必要な場合は、隔離や飛散防止措置、行政への届出などでさらに1週間〜2週間程度の期間が追加されるのが一般的です。また、商業施設内で夜間しか工事ができないといった制約がある場合も、工期は長くなります。正確な期間については、必ず現地調査の上で見積書に記載された工程表を確認しましょう。
8.3 マニフェストは発行してもらえますか?
はい、優良な解体業者であれば必ずマニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行します。マニフェストとは、解体工事で発生した産業廃棄物が、誰によって収集運搬され、どのように中間処理・最終処分されたかを証明するための書類です。
このマニフェストの管理は、廃棄物処理法によって排出事業者(工事の発注者であるお客様)に義務付けられています。万が一、業者が不法投棄などを行った場合、マニフェストがなければ排出事業者であるお客様が責任を問われる可能性があります。
契約前に「マニフェストを発行し、最終処分が完了した後に写しをいただけますか?」と確認し、発行を渋るような業者は絶対に避けましょう。信頼できる業者は、工事完了後にマニフェストの写し(A票、B2票、D票、E票など)をきちんと発注者に提出し、適正処理を証明してくれます。
9. まとめ
内装解体工事の費用は、坪単価だけでなく建物の構造や立地、アスベストの有無など様々な要因で変動します。適正価格で後悔のない工事を実現するためには、費用の内訳や相場を正しく理解することが重要です。最も効果的な方法は、複数の優良業者から相見積もりを取り、見積書の内容を詳細に比較検討することです。本記事で解説した業者選びのポイントや費用を抑えるコツを参考に、信頼できるパートナーを見つけてください。

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