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【完全版】アスベスト撤去の費用相場を網羅!1円でも安くする補助金・業者選びの全知識

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 7月25日
  • 読了時間: 27分
アスベスト 撤去 費用 相場

アスベスト撤去の費用は建物の種類やアスベストのレベルで大きく変動し、相場が分かりにくいですよね。この記事では、戸建て・マンション等の建物別、屋根・外壁等の箇所別に費用相場を徹底解説します。さらに、国や自治体の補助金を使って費用を抑える方法や、信頼できる優良業者の選び方まで網羅。あなたのケースでの適正価格を把握し、1円でも安く安全に工事を進めるための全知識をお届けします。


1. アスベスト撤去費用の相場はいくら?建物・施工箇所・レベル別に解説

アスベスト撤去にかかる費用は、建物の種類や規模、アスベストが使用されている箇所、そして最も重要な「アスベストのレベル」によって大きく変動します。まずは、ご自身の状況に近いケースを参考に、大まかな費用感を掴みましょう。

ここで提示する金額はあくまで一般的な相場です。正確な費用は、専門業者による現地調査と見積もりによって確定することを念頭に置いてお読みください。


1.1 建物の種類別のアスベスト撤去費用相場

建物の構造や用途によって、アスベストが使用されている可能性のある建材や撤去作業の難易度が異なります。ここでは代表的な建物の種類別に費用相場を見ていきましょう。


1.1.1 戸建て住宅の費用相場

一般的な戸建て住宅(木造2階建て・延床面積30〜40坪程度)の場合、アスベストの含有箇所やレベルによって費用は大きく変わります。特に屋根や外壁、内装の一部に使用されているケースが多く見られます。

施工箇所

費用相場(総額)

備考

屋根(スレート)

40万円~80万円

足場設置費用が別途必要になる場合があります。

外壁(サイディング)

50万円~100万円

面積や足場の規模によって変動します。

内装(天井・壁など)

5万円~30万円

小規模なリフォームに伴う撤去の目安です。

建物全体の解体に伴う撤去

解体費用+20万円~

アスベストのレベルや量に応じて加算されます。

家全体の解体工事と同時に行う場合、足場などを共用できるため、個別に撤去するよりも割安になる傾向があります。


1.1.2 マンション・アパートの費用相場

マンションやアパートなどの集合住宅では、吹付けアスベストが駐車場や機械室、廊下などに使用されていることがあります。撤去費用は施工面積やアスベストのレベルに大きく左右されます。

施工箇所

費用相場(m2単価)

備考

吹付けアスベスト(レベル1)

2.0万円~8.5万円/m2

最も厳重な対策が必要なため高額になります。

天井・壁(石膏ボードなど)

2,000円~1.0万円/m2

レベル3建材の撤去費用の目安です。

大規模修繕の一環としてアスベスト調査・撤去を行うケースが多く、管理組合やオーナーが主体となって計画を進めるのが一般的です。


1.1.3 工場・倉庫の費用相場

工場や倉庫は、建物自体が大規模で天井が高い、構造が複雑であるなどの特徴から、撤去費用が高額になりやすい傾向があります。特に鉄骨の耐火被覆材として吹付けアスベストが多用されてきました。

施工箇所

費用相場(m2単価)

備考

吹付けアスベスト(レベル1)

2.0万円~8.5万円/m2

天井高や設備の有無で費用が大きく変動します。

屋根(大波スレート)

3,000円~1.5万円/m2

面積が広大になるため総額は高くなります。

煙突断熱材

50万円~数百万円

特殊な作業となり、個別見積もりが必須です。

工場や倉庫は操業を続けながら工事を行う場合、生産活動への影響を最小限に抑えるための特別な配慮が必要となり、費用が加算されることがあります。


1.2 施工箇所別のアスベスト撤去費用相場

アスベストは建物の様々な箇所に使用されています。ここでは、特に撤去の相談が多い箇所別の費用相場を解説します。


1.2.1 屋根(スレート屋根)の撤去費用

戸建て住宅で最も一般的なアスベスト含有建材が屋根のスレート(コロニアル、カラーベスト)です。費用は屋根の面積や勾配によって変わります。

費用相場の目安は、1m2あたり3,000円~8,000円程度です。一般的な30坪の住宅の場合、屋根面積は約60m2~80m2となるため、撤去費用だけで20万円~60万円程度、これに足場代や廃材処分費などが加わります。


1.2.2 外壁(サイディング)の撤去費用

窯業系サイディングボードにもアスベストが含まれていることがあります。屋根と同様に足場の設置が必須となります。

費用相場の目安は、1m2あたり3,000円~10,000円程度です。外壁は屋根よりも面積が広くなることが多く、総額では50万円~100万円以上になるケースも珍しくありません。


1.2.3 内装(天井・壁)の撤去費用

内装では、天井や壁の仕上材(珪藻土、じゅらく壁など)や、下地材である石膏ボードにアスベストが含まれている可能性があります。室内での作業となるため、家具の移動や厳重な養生が不可欠です。

費用相場の目安は、1m2あたり2,000円~10,000円程度ですが、アスベストのレベルや作業範囲によって大きく異なります。小規模なリフォームに伴う撤去であれば、数万円で済む場合もあります。


1.2.4 煙突の撤去費用

アスベスト含有の煙突断熱材は、主に工場のボイラーや焼却炉の煙突に使用されています。発じん性が高いレベル2に該当することが多く、高所での特殊作業となるため専門性が求められます。

費用は数十万円から数百万円と非常に高額になることが多く、個別の見積もりが必須です。煙突の高さや構造、周辺環境によって費用は大きく変動します。


1.3 アスベストのレベル別撤去費用相場

アスベスト撤去費用を決定づける最も重要な要素が、除去対象のアスベストの「レベル」です。レベルは発じん性(飛散のしやすさ)によって1~3に分類され、レベルが高いほど厳重な管理と対策が求められるため、費用も高くなります。


1.3.1 レベル1(発じん性が著しく高い)の費用相場

吹付けアスベストなどが該当し、最も危険度が高い分類です。作業場所を完全に隔離するためのセキュリティーゾーンの設置や、作業員の防護服、高性能な集じん・排気装置の使用が義務付けられています。

費用相場(m2単価)

主な建材

2.0万円~8.5万円/m2

石綿含有吹付け材(耐火被覆、吸音・断熱目的)

小規模な面積であっても、隔離や機材設置などの費用がかかるため、最低でも20万円以上になることがほとんどです。


1.3.2 レベル2(発じん性が高い)の費用相場

アスベスト含有の保温材、耐火被覆材、断熱材などが該当します。レベル1ほどではありませんが、飛散しやすいため、レベル1に準じたばく露防止対策が必要です。

費用相場(m2単価)

主な建材

1.0万円~6.0万円/m2

保温材、耐火被覆材、断熱材(配管やボイラー、空調ダクトなど)

配管に巻き付けられているなど、複雑な形状のものを手作業で除去する必要があるため、作業員の技術力が費用に影響します。


1.3.3 レベル3(発じん性が比較的低い)の費用相場

スレート屋根やサイディング、Pタイルなど、固い板状に成形された建材が該当します。割ったり砕いたりしない限りは飛散のリスクは低いですが、手作業で丁寧に解体・除去する必要があります。

費用相場(m2単価)

主な建材

2,000円~1.0万円/m2

石綿含有成形板(屋根スレート、外壁サイディング)、ビニル床タイル(Pタイル)など

レベル3は他のレベルに比べて安価ですが、法令で定められた作業基準や廃棄物処理のルールを遵守する必要があることに変わりはありません。


2. アスベスト撤去費用の内訳を大公開!何にいくらかかるのか

アスベスト 撤去 費用 相場

アスベスト撤去の見積書を見て、「思ったより高いな」と感じたことはありませんか?その金額は、単なる工事費だけではありません。安全に作業を進めるための様々な費用が含まれています。ここでは、アスベスト撤去費用の具体的な内訳を一つひとつ解説します。内訳を理解することで、見積書の内容が適正かどうかを判断する重要な手がかりになります。


2.1 事前調査・分析費用

建物の解体や改修工事を行う前に、アスベスト(石綿)が含まれているかどうかを調べる費用です。2022年4月から、建物の規模に関わらず事前調査の実施と報告が法律で義務化されました。調査は専門の資格を持つ「建築物石綿含有建材調査者」が行います。

調査・分析項目

費用相場

備考

書面調査

30,000円~50,000円

設計図書などの資料でアスベスト使用の有無を確認します。

現地調査(試料採取)

30,000円~100,000円

現地で目視調査し、分析のために建材の一部を採取します。

アスベスト分析

30,000円~50,000円 / 1検体

採取した試料を分析機関で調べ、アスベストの有無や種類を特定します。

2.2 届出書類作成費用

アスベスト撤去工事を行うには、労働基準監督署や都道府県などの行政機関へ事前に届出が必要です。これらの複雑な専門書類の作成と提出を業者に代行してもらうための費用です。工事の規模やアスベストのレベルによって必要な書類が異なり、費用も変動します。

主な届出には「工事計画届」や「特定粉じん排出等作業実施届出書」などがあり、提出を怠ると罰則の対象となるため、専門業者に確実に依頼するのが一般的です。費用相場は30,000円~100,000円程度です。


2.3 足場設置費用

屋根や外壁など、高所での作業が必要な場合に仮設足場を設置・解体するための費用です。作業員の安全確保はもちろん、この足場に防音・防じんシート(養生シート)を張り巡らせることで、アスベストの粉じんが近隣へ飛散するのを防ぐという非常に重要な役割も担っています。費用相場は、足場の種類や建物の形状にもよりますが、1平方メートルあたり700円~1,500円程度が目安です。


2.4 除去作業費用(人件費・工事費)

アスベスト撤去費用の中で最も大きな割合を占めるのが、この除去作業費用です。専門知識と技術を持つ作業員が、法律で定められた手順に沿ってアスベスト含有建材を撤去・除去する作業の人件費や工事費が含まれます。「石綿作業主任者」という国家資格を持つ監督者のもと、防護服や防じんマスクを着用した作業員が慎重に作業を進めます。アスベストのレベルや作業場所の状況によって、作業の難易度や必要な人員が大きく変わるため、費用も変動します。


2.5 隔離・養生費用

アスベストの粉じんが作業エリアの外に漏れ出さないように、作業場所をビニールシートなどで密閉・隔離するための費用です。特にレベル1やレベル2といった発じん性の高いアスベストを除去する際には、二重、三重の厳重な養生が法律で義務付けられています。また、作業エリア内を負圧(内部の気圧を外部より低く保つこと)にするための「負圧除じん機」の設置費用などもここに含まれます。周辺環境と作業員の安全を守るための生命線とも言える費用で、1平方メートルあたり1,500円~3,000円程度が相場です。


2.6 アスベスト廃棄物処理費用

撤去したアスベスト含有建材は「特別管理産業廃棄物」として、法律に基づき適正に処理しなければなりません。この費用には、現場から中間処理施設や最終処分場までの収集運搬費と、処分場での処理費用が含まれます。不法投棄は極めて重い罰則が科されるため、信頼できる業者は必ず「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を発行します。これにより、廃棄物が正しく処理されたことを最後まで追跡・確認できます。

項目

費用相場

収集運搬費

20,000円~50,000円 / 1台

処分費用

20,000円~50,000円 / 1㎥ もしくは 30円~80円 / 1kg


2.7 その他諸経費(交通費・機材費など)

上記以外にかかる費用で、見積書では「諸経費」として一括りにされていることが多い項目です。具体的には、現場までの作業員の交通費やガソリン代、有料道路料金、現場近くの駐車場代、特殊な機材のレンタル費用や運搬費、保険料、事務手数料などが含まれます。一般的に、見積り総額の5%~10%程度が目安となります。もし「諸経費」の内訳が気になる場合は、業者に説明を求めると良いでしょう。


3. 要注意!アスベスト撤去の費用が高くなるケースとは

アスベスト 撤去 費用 相場

アスベスト撤去の費用は、建物の状況や周辺環境によって大きく変動します。提示された見積もりが相場より高いと感じた場合、これから解説するケースに該当している可能性があります。どのような場合に費用が高くなるのかを事前に把握し、見積もりの妥当性を判断する知識を身につけましょう。


3.1 アスベスト含有建材のレベルが高い場合

アスベスト撤去費用を決定づける最も大きな要因は、使用されている建材のアスベストレベル(発じん性の高さ)です。レベル1が最も危険度が高く、法律で定められた厳重な措置が必要になるため、費用も高額になります。

アスベストのレベルは、隔離養生の規模や作業員の装備、廃棄物処理の方法まで左右するため、費用に直接影響します。

アスベストレベル

主な建材例

費用が高くなる理由

レベル1(発じん性が著しく高い)

吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール

作業場所を完全に隔離する大規模な養生、高性能な集じん・排気装置の設置、作業員の防護服や呼吸用保護具がより厳重になるため。廃棄物は「特別管理産業廃棄物」として厳格に処理する必要がある。

レベル2(発じん性が高い)

アスベスト含有保温材、耐火被覆材、断熱材

レベル1に準じた隔離養生や保護具が必要となるため。特に配管に巻き付けられた保温材など、手作業での丁寧な除去が求められるケースが多い。

レベル3(発じん性が比較的低い)

スレート屋根、サイディング外壁材、Pタイル(床材)

他のレベルに比べて費用は安いが、湿潤化させて手壊しで解体するなど、飛散させないための丁寧な作業が求められる。面積が広い場合は費用がかさむ。

3.2 施工面積が広い・作業場所が複雑な場合

当然ながら、アスベストが使用されている面積が広ければ広いほど、撤去費用は高くなります。使用する資材の量、作業員の数、作業時間、そして廃棄物の量がすべて増加するためです。屋根や外壁など、広範囲にわたる施工は総額が高くなる傾向にあります。

また、天井裏や壁の内部、配管が入り組んだ機械室など、作業スペースが狭く複雑な場所も費用が割高になります。作業効率が低下し、安全を確保するための追加措置が必要になるため、人工(にんく)と呼ばれる人件費が通常より多くかかってしまうのです。


3.3 高所作業や重機が必要な場合

2階建て以上の建物の屋根や外壁など、高所での作業が必要な場合は、安全対策のために足場の設置が必須となります。この足場の設置・解体費用が別途発生するため、総額が大きく上がります。

足場費用は、建物の規模や形状によって変動しますが、一般的に数十万円単位の追加費用となることを覚悟しておく必要があります。さらに、敷地が狭く資材の搬入出が困難な場合や、大きな建材を吊り上げる必要がある場合には、クレーン車などの重機を使用します。そのレンタル費用やオペレーターの人件費も費用に上乗せされます。


3.4 周辺環境への特別な配慮が必要な場合

アスベスト撤去工事は、粉じんの飛散を防ぐことが最も重要です。そのため、現場の周辺環境によっては、通常以上の厳重な対策が求められ、費用が高くなることがあります。

例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 学校や病院、公園などが隣接している

  • 住宅が密集しており、隣家との距離が近い

  • 人通りや交通量の多い道路に面している

これらの現場では、防音シートの設置、交通誘導員の配置、作業時間の制限(平日日中のみなど)、近隣住民への説明会の開催といった追加の対応が必要になるため、その分のコストが撤去費用に加算されます。


4. アスベスト撤去費用を1円でも安くする4つの方法

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高額になりがちなアスベスト撤去費用ですが、工夫次第で負担を大きく軽減することが可能です。ここでは、誰でも実践できる費用削減の具体的な方法を4つ、詳しく解説します。知っているか知らないかで数十万円単位の差がつくこともあるため、必ずチェックしておきましょう。


4.1 国や自治体のアスベスト補助金・助成金制度を活用する

最も効果的な費用削減方法が、国や地方自治体が設けている補助金・助成金制度の活用です。アスベストによる健康被害を防ぐため、国は建物の所有者が行う除去工事費用の一部を補助する制度を推進しています。お住まいの地域で利用できる制度がないか、必ず確認しましょう。


4.1.1 補助金の対象となる工事と条件

補助金の対象となるのは、主に以下のような工事です。自治体によって詳細は異なりますが、一般的な条件をまとめました。

  • 対象工事: アスベストの事前調査、除去工事、封じ込め・囲い込み工事など。

  • 対象建築物: 個人住宅、共同住宅、事業用建築物など。多くの場合、吹付けアスベスト等が施工されている可能性のある建築物が対象です。

  • 対象者: 対象建築物の所有者(個人・法人問わず)。

  • 施工業者: 都道府県に登録された専門業者による施工が必須条件となることがほとんどです。

最も重要な注意点は、多くの補助金制度で「工事の契約・着工前」に申請が必要となることです。工事を始めてしまってからでは申請できないため、計画段階で自治体の担当窓口(環境課、建築指導課など)に相談することが不可欠です。


4.1.2 自治体別のアスベスト補助金制度の例

補助金の内容は自治体によって大きく異なります。ここでは代表的な例をいくつかご紹介します。最新の情報や詳細な条件は、必ずお住まいの自治体の公式ウェブサイトで確認するか、直接お問い合わせください。

自治体名

補助対象

補助金額(上限など)

東京都(区市町村経由)

民間建築物の所有者等が行うアスベスト含有調査・除去等工事

調査:費用の全額(上限25万円)


除去等:対象経費の2/3(共同住宅は5/6)など、区市町村により異なる

横浜市

吹付け建材のアスベスト含有調査・除去等工事

調査:上限25万円


除去等:対象費用の2/3(上限600万円)

大阪市

民間建築物のアスベスト含有調査・除去等工事

調査:上限25万円


除去等:対象費用の1/3(上限100万円)

※上記は一例です。制度は年度ごとに予算や内容が変更される可能性があります。


4.1.3 補助金申請の流れと注意点

一般的な補助金申請のフローは以下の通りです。自治体によって手順や必要書類が異なるため、あくまで参考としてください。

  1. 自治体の担当窓口へ事前相談

  2. 補助金交付申請書の提出(見積書、工事計画書などを添付)

  3. 自治体による審査・交付決定通知の受領

  4. アスベスト撤去業者との本契約・工事着工

  5. 工事完了・実績報告書の提出

  6. 自治体による検査・補助金額の確定

  7. 補助金の受領

申請には専門的な書類が必要になることも多く、手続きが煩雑に感じられるかもしれません。多くの除去業者は申請サポートの経験も豊富なので、見積もり依頼の際に相談してみるのも良いでしょう。


4.2 必ず3社以上から相見積もりを取る

アスベスト撤去費用には決まった定価がなく、同じ工事内容でも業者によって見積金額は大きく異なります。そのため、適正な費用相場を把握し、不当に高額な請求を避けるために、必ず3社以上の専門業者から相見積もりを取りましょう。

相見積もりは、単に価格を比較するだけが目的ではありません。見積書の内訳の細かさ、担当者の説明の分かりやすさ、質問への対応の丁寧さなどを比較することで、信頼できる業者を見極める重要な判断材料となります。安さだけを追求すると、ずさんな工事や不法投棄を行う悪徳業者に依頼してしまうリスクもあるため、総合的に比較検討することが大切です。


4.3 家の解体工事と同時に撤去を依頼する

建物の老朽化や建て替えなどで、いずれ家全体の解体を考えている場合は、解体工事とアスベスト撤去を同じタイミングで依頼することで費用を抑えられる可能性があります。

費用が安くなる主な理由は以下の通りです。

  • 足場設置費用の削減: 撤去工事と解体工事で足場を共用できるため、設置・解体の費用と手間が一度で済みます。

  • 諸経費の効率化: 現場監督の人件費や重機のリース代、廃材の運搬費用などを一本化でき、コスト削減につながります。

  • 手続きの簡素化: 行政への届出などをまとめて行える場合があります。

解体工事とアスベスト除去工事をまとめて依頼することで、業者側も効率的に作業を進められるため、セット割引のような形で費用交渉がしやすくなるメリットもあります。解体を検討している場合は、アスベスト撤去と解体の両方の実績が豊富な業者に相談してみましょう。


4.4 火災保険が適用できるか確認する

これは限定的なケースになりますが、自然災害が原因でアスベスト含有建材が破損した場合、その修繕に伴う撤去費用に火災保険が適用される可能性があります。

例えば、台風や強風でスレート屋根が破損し、その復旧工事のためにアスベスト含有の屋根材を撤去・処分する必要が生じたケースなどが該当します。「風災補償」が付帯している火災保険に加入していれば、保険金が支払われるかもしれません。

ただし、保険が適用されるかは契約内容や被害の状況、原因によって細かく判断されます。経年劣化による破損は対象外となるのが一般的です。まずは自己判断で工事を進めず、必ず契約している保険会社や代理店に連絡し、保険適用の可否を確認することが重要です。


5. 【重要】信頼できるアスベスト撤去業者の選び方5つのポイント

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アスベスト撤去工事は、専門的な知識と技術を要する非常にデリケートな作業です。万が一、不適切な工事が行われると、アスベストが飛散し、ご自身やご家族、近隣住民の健康に深刻な被害を及ぼす危険性があります。費用も大切ですが、それ以上に安全・確実に工事を遂行してくれる信頼できる業者を選ぶことが最も重要です。ここでは、優良業者を見極めるための5つのポイントを詳しく解説します。


5.1 都道府県知事の許可や国の登録を受けているか

アスベストの除去工事を行うには、法律で定められた許可や登録、資格が必要です。これらの資格を持たない業者は違法であり、絶対に依頼してはいけません。見積もりを依頼する際には、必ず以下の許可や資格を保有しているかを確認しましょう。

許可・登録・資格の種類

内容

建設業許可 または 解体工事業登録

建物の解体や改修工事を行うために必要な許可・登録です。工事の請負金額によって必要な種類が異なります。

石綿作業主任者(国家資格)

アスベスト除去作業の現場には、この資格を持つ者を必ず配置することが法律で義務付けられています。作業員の安全管理や作業方法の決定など、現場全体を指揮監督します。

特別管理産業廃棄物管理責任者

撤去したアスベストは「特別管理産業廃棄物」として厳重に処理する必要があります。この資格を持つ者が在籍しているかどうかも、適正な処理を行う業者かを見極めるポイントです。

これらの情報は、業者のウェブサイトや会社案内で確認できるほか、見積書に許可番号が記載されていることもあります。不明な場合は、直接問い合わせて明確な回答を得ましょう。


5.2 アスベスト工事の実績が豊富か

アスベストは建物の様々な箇所に使用されており、その種類や状態によって最適な除去工法が異なります。実績が豊富な業者は、多様な現場を経験しているため、建物の構造やアスベストのレベルに応じた最も安全で効率的な施工方法を熟知しています。

業者のウェブサイトで公開されている施工事例を確認し、ご自身の建物(戸建て、マンションなど)や除去を検討している箇所(屋根、外壁など)と同様の工事経験が豊富かどうかをチェックしましょう。具体的な事例写真や工事内容が掲載されていれば、より信頼性が高いと判断できます。


5.3 見積書の内訳が詳細で分かりやすいか

信頼できる業者は、透明性の高い見積書を提示します。逆に、「工事一式」のように大雑把な記載しかない見積書は注意が必要です。後から不当な追加料金を請求されるトラブルに繋がりかねません。

以下の項目がきちんと明記されているか、複数の業者の見積書を比較検討しましょう。

  • 事前調査・分析費用

  • 届出書類作成費用

  • 足場設置費用(単価と面積)

  • 隔離・養生費用(単価と面積)

  • 除去作業費用(レベル別の単価と面積)

  • アスベスト廃棄物処理費用(量と単価)

  • 諸経費(運搬費など)

少しでも不明な点や疑問に思う項目があれば、遠慮なく担当者に質問してください。その際の回答が曖昧だったり、納得のいく説明がなかったりする業者は避けるのが賢明です。


5.4 損害賠償責任保険に加入しているか

どれだけ優良な業者でも、工事中に予期せぬ事故が起こる可能性はゼロではありません。例えば、作業中に資材が落下して隣家を破損させたり、万が一アスベストを飛散させてしまったりするリスクも考えられます。

このような不測の事態に備え、業者が「損害賠償責任保険」に加入しているかを確認することは非常に重要です。この保険に加入していれば、万が一の事故が発生した際も、保険で損害を補償してもらえます。

保険未加入の業者に依頼してしまうと、トラブル発生時に施主が賠償責任を負わされるケースもあります。必ず保険証券のコピーを提示してもらうなどして、加入の有無と補償内容を確認しておきましょう。


5.5 悪徳業者の手口と見分け方を知っておく

残念ながら、アスベストに関する人々の不安に付け込む悪徳業者も存在します。高額な費用を請求されたり、ずさんな工事で健康被害を引き起こされたりするトラブルを避けるため、典型的な手口と見分け方を知っておきましょう。

悪徳業者の主な手口

対策・見分け方のポイント

契約を異常に急がせる

「今日契約すれば大幅割引」「キャンペーンは本日まで」などと言って、冷静に考える時間を与えません。その場で契約を迫る業者は疑いましょう。

不安を過剰に煽る

「すぐに工事しないと大変なことになる」などと恐怖心を煽り、不要な工事まで契約させようとします。複数の専門家の意見を聞くことが大切です。

見積もりが極端に安い・高い

相場からかけ離れた金額を提示する業者は要注意です。安すぎる場合は、手抜き工事や不法投棄のリスクがあります。必ず3社以上から相見積もりを取りましょう。

事前調査をしない

現地調査もせずに安易に見積もりを出す業者は、ずさんな工事を行う可能性が高いです。アスベストの有無やレベルを特定する事前調査は必須です。

訪問販売や電話勧誘で来た業者を安易に信用せず、会社の所在地が明確か、担当者の対応は誠実かなどを冷静に見極めることが、悪徳業者から身を守るための第一歩です。


6. アスベスト撤去工事の基本的な流れと期間

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アスベストの撤去工事は、安全性を最優先し、法令に定められた手順に沿って慎重に進められます。ここでは、事前調査から工事完了までの一般的な流れと、各工程にかかる期間の目安を解説します。工事全体の期間は、建物の規模やアスベストのレベルによって大きく変動しますが、一連の流れを把握しておくことで、計画的に準備を進めることができます。



アスベスト撤去工事の工程と期間の目安

ステップ

工程内容

期間の目安

ステップ1

事前調査と分析

1日~1週間程度

ステップ2

工事計画の策定と行政への届出

1~2週間程度

ステップ3

近隣住民への説明と挨拶

工事開始1週間前まで

ステップ4

作業場所の隔離と養生

1~3日程度

ステップ5

アスベストの除去作業

2日~2週間程度

ステップ6

廃棄物の梱包と適正処理

1~2日程度

ステップ7

清掃と完了報告

1~2日程度

6.1 ステップ1 事前調査と分析

まず、専門の資格を持つ「建築物石綿含有建材調査者」が現地を訪問し、設計図書等の書類確認と目視による調査を行います。アスベスト含有の疑いがある建材が見つかった場合は、検体を採取し、専門の分析機関で含有の有無や種類を特定します。この調査結果が、後のすべての工程(工事計画、費用見積もり、行政への届出)の基礎となるため、非常に重要なステップです。


6.2 ステップ2 工事計画の策定と行政への届出

事前調査の結果に基づき、アスベストのレベルに応じた最も安全で効率的な除去方法を定め、詳細な工事計画書を作成します。その後、工事開始の原則14日前までに、労働基準監督署や都道府県・市町村などの管轄行政機関へ「工事計画届」や「特定粉じん排出等作業実施届出書」といった必要書類を提出します。これらの届出は法律で義務付けられています。


6.3 ステップ3 近隣住民への説明と挨拶

工事中の騒音や振動、作業員の出入りなどについて、事前に近隣住民の方々へ丁寧に説明し、理解と協力を得ます。工事の概要、期間、安全対策などを記載した案内文を配布したり、直接挨拶に伺ったりするのが一般的です。近隣トラブルを未然に防ぎ、工事を円滑に進めるための不可欠な工程です。


6.4 ステップ4 作業場所の隔離と養生

アスベストの粉じんが作業エリア外へ飛散しないよう、プラスチックシートや合板などを用いて作業場所を完全に隔離します。出入口には、更衣室やエアシャワー室を設置し、作業区域と外部を遮断します。また、高性能な集じん・排気装置(負圧除じん装置)を稼働させ、内部の気圧を外部より低く保つことで、粉じんの漏洩を徹底的に防ぎます。


6.5 ステップ5 アスベストの除去作業

作業員は専用の防護服、防じんマスク、保護メガネを着用し、万全の安全対策のもとで除去作業にあたります。粉じんの飛散を抑制するために、除去対象の建材に湿潤化剤を散布しながら、手作業や専用の工具を用いて慎重に剥がし取っていきます。アスベストのレベルに応じて工法は異なり、レベル1では最も厳重な管理下で作業が行われます。


6.6 ステップ6 廃棄物の梱包と適正処理

除去したアスベスト含有建材は、飛散防止措置を施した上で、耐水性のプラスチック袋などで二重に梱包します。袋にはアスベスト廃棄物であることを示すラベルを貼り、厳重に管理します。梱包された廃棄物は「特別管理産業廃棄物」として、法律に基づき許可を得た専門の収集運搬業者によって、国が認定した中間処理施設や最終処分場へ運搬・処理されます。この際、不法投棄を防ぐためにマニフェスト(産業廃棄物管理票)で処理の流れが管理されます。


6.7 ステップ7 清掃と完了報告

除去作業が完了したら、作業場所内に残ったアスベスト繊維をHEPAフィルター付きの高性能真空クリーナーで徹底的に清掃します。その後、隔離空間内の空気中にアスベスト繊維が浮遊していないか濃度測定を行い、安全基準値以下であることを確認してから養生を撤去します。最後に、作業内容や写真記録などをまとめた完了報告書を発注者に提出し、すべての工程が終了となります。


7. アスベスト撤去の費用や相場に関するよくある質問

アスベスト 撤去 費用 相場

ここでは、アスベストの撤去費用や工事に関して、お客様から特によく寄せられる質問にお答えします。疑問や不安を解消し、安心して工事に臨むための参考にしてください。


7.1 アスベストの調査だけでも費用はかかりますか?

はい、アスベストの有無を調べる調査には専門的な知識と技術が必要なため、原則として費用が発生します。アスベスト調査は、建物の図面などを確認する「書面調査」と、現地で建材を採取して分析する「分析調査」に大別され、それぞれ費用が異なります。

ただし、自治体によっては調査費用に対する補助金制度を設けている場合がありますので、お住まいの地域の役所にご確認ください。



アスベスト調査費用の目安

調査の種類

費用相場

内容

書面調査

2万円~5万円程度

設計図書などの資料からアスベスト使用の有無を推定します。

現地調査(分析調査)

3万円~10万円程度(1検体あたり)

現地で建材サンプルを採取し、専門機関で分析して含有の有無や種類を確定します。

7.2 見積もりは無料ですか?

多くの専門業者では、撤去工事に関する見積もりの作成は無料で行っています。しかし、注意点があります。正確な見積もりを出すためには、前述の「アスベスト事前調査」が必須です。この調査が有料であるため、「見積もりは無料だが、調査は有料」となるケースが一般的です。

業者に問い合わせる際は、「どこまでが無料で、どこからが有料になるのか」を事前にしっかりと確認することがトラブルを避けるポイントです。複数の業者に相談し、サービス内容と費用を比較検討することをおすすめします。


7.3 アスベストを撤去せずに放置するとどうなりますか?

アスベスト含有建材を撤去せずに放置することには、主に「健康被害」と「法的な問題」という2つの大きなリスクがあります。

  • 健康被害のリスク


    建物の老朽化や地震などの影響でアスベスト含有建材が損傷すると、目に見えない微細な繊維が空気中に飛散します。これを吸い込むことで、肺がんや悪性中皮腫といった深刻な病気を引き起こす危険性が高まります。

  • 法的な問題と資産価値の低下


    2022年4月から建築物石綿含有建材調査者による事前調査が義務化され、調査結果の報告も必要になりました。適切な調査や報告を怠ると、法律(石綿障害予防規則)に基づき罰則が科される可能性があります。また、アスベストが残存している建物は、将来的な売買や賃貸の際に買い手や借り手が見つかりにくく、資産価値が著しく低下する恐れがあります。

これらのリスクを避けるためにも、専門家による調査の上、計画的な撤去を検討することが重要です。


7.4 工事期間はどれくらいかかりますか?

アスベスト撤去の工事期間は、建物の規模、アスベストのレベル(発じん性)、施工箇所の状況によって大きく異なります。あくまで一般的な目安ですが、戸建て住宅の場合、数日で終わるケースから2週間以上かかるケースまで様々です

工事期間には、足場の設置や養生、行政への届出、近隣への説明といった準備期間や、作業後の清掃・片付け期間も含まれます。正確な期間については、必ず業者に見積もりを依頼し、工程表を提示してもらいましょう。


【戸建て住宅】工事期間の目安

施工箇所(アスベストレベル)

工事期間の目安

屋根スレート(レベル3)

2日~5日程度

外壁サイディング(レベル3)

3日~7日程度

天井の吹付け材(レベル1)

1週間~2週間以上

配管の保温材(レベル2)

5日~10日程度

※上記は作業自体の期間であり、事前調査や行政への届出期間は含まれていません。


8. まとめ

アスベスト撤去の費用相場は、建物の種類や施工箇所、アスベストのレベルによって大きく変動します。費用を抑えるには、国や自治体の補助金制度の活用や、3社以上から相見積もりを取ることが極めて重要です。アスベストは健康被害のリスクがあるため放置は危険であり、信頼できる専門業者に依頼することが安全な工事の鍵となります。まずは専門業者へ相談し、正確な調査と見積もりから始めましょう。

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