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【徹底比較】戸建ての解体かリフォームか?費用とメリット・デメリットを完全解説

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 6 日前
  • 読了時間: 22分
戸建て リフォーム 解体

老朽化した戸建て、リフォームか解体・建て替えかお悩みではありませんか?どちらを選ぶかで費用や工期、税金は大きく変わります。この記事では、両者の費用相場からメリット・デメリットまでを徹底比較。結論として、最適な選択は築年数や予算、将来設計で決まります。この記事を読めば、あなたの状況に合った選択肢が明確になり、後悔しないための具体的な判断基準がわかります。


1. 戸建ての改修は解体かリフォームか 選択肢を正しく理解する

愛着のある我が家も、築年数が経つにつれて修繕や改修が必要になります。その際、多くの人が直面するのが「リフォーム」と「解体して建て替え」のどちらを選ぶかという大きな決断です。この2つの選択肢は、費用や工期、実現できる内容が大きく異なります。後悔のない選択をするために、まずはそれぞれの基本的な意味と違いを正しく理解することから始めましょう。


1.1 リフォーム(リノベーション)とは

リフォームとは、既存の住宅の基礎や柱、梁といった骨組み(構造躯体)はそのまま活かし、老朽化した部分の修繕や内外装の刷新、設備の交換などを行う工事を指します。キッチンや浴室といった水回りの交換、壁紙の張り替え、外壁塗装などが代表的な例です。

また、間取りの大幅な変更や耐震補強、断熱性能の向上など、大規模な改修工事を行う場合は「リノベーション」と呼ばれます。リノベーションは、既存の建物の価値を大きく向上させることを目的としますが、本記事ではこうした大規模な改修も広い意味での「リフォーム」に含めて解説します。いずれにせよ、今ある家の良さを残しながら、より快適な住環境を目指すのがリフォームの基本的な考え方です。


1.2 解体して建て替え(新築)とは

解体して建て替えとは、その名の通り、現在建っている家を基礎部分からすべて取り壊して更地にし、そこに全く新しい家を建てることを指します。工事のプロセスとしては、まず解体業者が建物を撤去し、その後ハウスメーカーや工務店が新築住宅を建設します。つまり、法的な手続きや工事内容は「新築」とほぼ同じです。

既存の建物の制約を一切受けないため、間取りやデザイン、住宅性能(耐震性・断熱性など)をすべて最新の基準で、かつゼロから自由に設計できるのが最大の特徴です。思い出の詰まった家を取り壊す寂しさはありますが、理想の住まいを根本から実現するための選択肢と言えるでしょう。


2. 【項目別】戸建ての解体とリフォームを徹底比較

戸建て リフォーム 解体

戸建て住宅の改修を考えたとき、「解体して建て替える」か「リフォームする」かは非常に大きな決断です。費用、工期、設計の自由度など、様々な側面から両者を比較し、ご自身の状況に最適な選択肢を見つけるための情報を提供します。それぞれの特徴を正しく理解し、後悔のない家づくりを目指しましょう。


2.1 費用の比較 解体とリフォームどちらが安い?

多くの方が最も気になるのが費用面でしょう。一般的にはリフォームの方が安価に収まる傾向にありますが、工事の規模や建物の状態によっては、建て替えの方がコストパフォーマンスに優れるケースもあります。それぞれの費用相場と内訳を詳しく見ていきましょう。


2.1.1 解体・建て替えの費用相場と内訳

解体して新築する場合、「解体費用」と「新築工事費用」の2つが合算された金額が必要になります。30坪の木造住宅の場合、総額で2,000万円〜3,500万円程度がひとつの目安となります。

解体費用の坪単価は、建物の構造によって異なります。

  • 木造:坪4万円〜5万円

  • 鉄骨造:坪6万円〜7万円

  • 鉄筋コンクリート造(RC造):坪7万円〜8万円

これに加えて、新築の本体工事費(坪60万円〜100万円程度)や付帯工事費、設計料などが発生します。アスベスト含有建材の除去が必要な場合は、別途費用がかかるため注意が必要です。


2.1.2 リフォームの費用相場と内訳

リフォーム費用は、工事の範囲によって大きく変動します。部分的なリフォームから、家全体に手を入れるフルリフォーム(リノベーション)まで様々です。

  • 部分リフォーム:50万円〜500万円


    キッチンや浴室などの水回り交換、壁紙の張り替え、外壁塗装など、特定の箇所を改修する工事です。

  • フルリフォーム(スケルトンリフォーム):1,000万円〜2,000万円以上


    建物の骨組み(構造躯体)だけを残して内外装を全面的に改修する大規模な工事です。間取りの変更や耐震補強、断熱改修なども含みます。

ただし、工事を進める中で柱や土台の腐食など、想定外の問題が見つかり追加費用が発生するリスクも考慮しておく必要があります。


2.1.3 諸費用(税金・登記費用など)の違い

工事費以外にかかる諸費用も、両者で大きく異なります。特に登記関連の費用は、建て替えの方が高額になる傾向があります。

項目

解体・建て替え

リフォーム

登記費用

建物滅失登記、建物表題登記、所有権保存登記などが必要。高額になりやすい。

大規模な増改築がなければ基本的に不要。(増築の場合は建物表題変更登記が必要)

不動産取得税

新築時に課税される。(軽減措置あり)

原則として課税されない。(大規模な増改築で評価額が上がった場合は課税対象)

印紙税

工事請負契約書、住宅ローン契約書に必要。

工事請負契約書、リフォームローン契約書に必要。

ローン手数料

住宅ローンを利用する場合に必要。

リフォームローンを利用する場合に必要。住宅ローンより金利が高めの傾向。

2.2 工期の比較 住めるまでの期間はどれくらい違う?

工事期間と、それに伴う仮住まいの必要性も重要な比較ポイントです。建て替えはゼロから作り上げるため、リフォームに比べて格段に長い期間を要します。

項目

解体・建て替え

リフォーム

工期の目安

約8ヶ月〜1年半


(設計期間、解体工事、建築工事の合計)


【部分】数日〜1ヶ月


【全体】約3ヶ月〜6ヶ月


(工事規模による)

仮住まいの必要性

必須。工事期間中ずっと必要になる。

大規模な工事でなければ、住みながらの工事も可能。フルリフォームの場合は必要。

2.3 設計自由度の比較 間取りはどこまで変えられる?

理想の住まいを実現する上で、設計の自由度は欠かせません。この点においては、建て替えが圧倒的に有利です。

  • 解体・建て替え


    完全にゼロの状態から、間取り、デザイン、設備などを自由に計画できます。最新の住宅性能(耐震性、断熱性、省エネ性)を取り入れ、ライフスタイルに合わせた理想の家を追求することが可能です。

  • リフォーム


    既存の柱や梁、基礎といった構造躯体を活かすため、間取り変更には構造上の制約が伴います。特に壁で建物を支えるツーバイフォー(2×4)工法などは、壁の撤去が難しい場合があります。ただし、スケルトンリフォームであれば、比較的自由度の高い間取り変更が可能です。


2.4 法規制の比較 再建築不可物件などの注意点

現在の建築基準法を満たしていない土地や建物の場合、安易に解体すると大きな問題に発展する可能性があります。

最も注意すべきは「再建築不可物件」です。これは、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していないなどの理由で、一度解体すると新しい建物を建てられない土地のことです。このような物件の場合、選択肢はリフォームに限られます。

また、現在の建ぺい率や容積率をオーバーしている「既存不適格建築物」の場合も、解体して建て替えると、元の家より小さな家しか建てられない可能性があります。ご自身の土地の法規制については、必ず事前に役所や専門家に確認しましょう。


2.5 税金の比較 固定資産税はどう変わる?

家を所有している限りかかり続ける固定資産税も、建て替えとリフォームで変化します。

項目

解体・建て替え

リフォーム

固定資産税

新しい建物は評価額が上がるため、税額は高くなる傾向。ただし、新築住宅の軽減措置が適用される。

建物の評価額に大きな変動がなければ、税額もほぼ変わらない。耐震・省エネ改修で減額措置を受けられる場合がある。

注意点

解体後、翌年の1月1日時点で建物が完成していないと「住宅用地の特例」が適用されず、土地の固定資産税が最大6倍になるリスクがある。

大規模なリフォームで建物の評価額が上がった場合、税額が増える可能性がある。

3. 戸建てリフォームのメリットとデメリット

戸建て リフォーム 解体

既存の住まいを活かしながら改修するリフォーム。建て替えと比較してどのような利点や注意点があるのでしょうか。ここでは、戸建てリフォームが持つメリットとデメリットを多角的に解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、最適な選択をするための判断材料としてください。


3.1 リフォームのメリット 思い出を残し費用を抑える

リフォームの最大の魅力は、コストを抑えつつ、愛着のある住まいの記憶を未来へつなげられる点にあります。具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。


3.1.1 費用を抑えられる

リフォームは、既存の基礎や構造躯体を再利用するため、解体費用や新しい構造材の費用がかからず、建て替えに比べて総費用を大幅に抑えることができます。工事の規模によっては、仮住まいを用意せずに住みながら工事を進めることも可能で、その場合は引っ越し費用や仮住まいの家賃も節約できます。


3.1.2 工期が短い

基礎工事や構造躯体の組み立てが不要なため、建て替えよりも工期が短くなるのが一般的です。内装のみのリフォームであれば数週間から、大規模なリノベーションでも数ヶ月で完了することが多く、新しい生活をより早くスタートできる点は大きなメリットです。


3.1.3 税金面の優遇

建て替えで新築すると、建物の評価額が上がり固定資産税が高くなります。一方、リフォームの場合は建物の評価額が急激に上がることは少なく、固定資産税の負担を比較的軽く抑えることができます。また、耐震リフォームや省エネリフォームなど、工事内容によっては減税制度や補助金を利用できる場合もあります。


3.1.4 愛着のある家を残せる

家族と共に過ごした柱の傷や、慣れ親しんだ庭の景色など、お金には代えがたい思い出や愛着のある部分を残しながら、住環境を改善できるのがリフォームの醍醐味です。今の住まいの良いところはそのままに、不便な部分だけを解消したいというニーズに的確に応えられます。


3.2 リフォームのデメリット 構造上の制約と隠れたリスク

費用や工期面で魅力的なリフォームですが、既存の建物をベースにするからこそのデメリットも存在します。計画段階でリスクを正しく理解しておくことが、後悔しないための鍵となります。


3.2.1 設計の自由度に制限がある

既存の柱や壁、基礎の位置は動かせないため、間取りの変更には大きな制約が伴います。特に、壁で建物を支えるツーバイフォー(2×4)工法などは、壁の撤去が難しく、希望通りの間取りを実現できない可能性があります。抜本的な間取り変更やデザインを求める場合は、建て替えの方が適しているでしょう。


3.2.2 建物の劣化状況が不明確

リフォームの最大のリスクは、壁や床を剥がしてみないと、内部の劣化状況が正確にわからない点です。工事を始めてから、シロアリによる土台の腐食や、雨漏りによる柱の劣化、基礎のひび割れといった想定外の問題が見つかることがあります。その場合、追加の補修費用や工期の延長が発生する可能性を覚悟しておく必要があります。

隠れた劣化の例

発生しうるリスク

構造材の腐食・シロアリ被害

耐震性の低下、補修のための追加費用

断熱材の欠損・劣化

断熱性能の低下、光熱費の増大

基礎のひび割れ・鉄筋の錆

建物の安全性への影響、大規模な補強工事

給排水管や電気配線の老朽化

漏水や漏電の危険性、交換のための追加工事

3.2.3 耐震性や断熱性の向上に限界がある

耐震補強や断熱改修を行うことは可能ですが、最新の新築住宅と同等の性能まで引き上げるのは難しい場合があります。特に、旧耐震基準(1981年5月以前)で建てられた住宅の場合、十分な耐震性を確保するための工事が大規模になり、費用がかさむケースも少なくありません。求める住宅性能が高い場合は、慎重な検討が必要です。


4. 戸建て解体・建て替えのメリットとデメリット

戸建て リフォーム 解体

既存の家を一度すべて取り壊し、更地にしてから新しい家を建てる「解体・建て替え」。時間も費用もかかりますが、それを上回る大きなメリットも存在します。ここでは、解体・建て替えを選択した場合のメリットとデメリットを詳しく解説します。


4.1 解体・建て替えのメリット 最新の性能と自由な設計

建て替えの最大の魅力は、すべてをゼロから創り上げられる点にあります。現代のライフスタイルや将来の計画に合わせた、理想の住まいを実現できます。


4.1.1 メリット1:設計の自由度が非常に高い

建て替えでは、間取り、デザイン、設備のすべてを自由に決めることができます。家族構成の変化に合わせた二世帯住宅や、将来を見据えたバリアフリー設計、趣味を楽しむための防音室やビルトインガレージなど、リフォームでは実現が難しい大胆なプランも可能です。現在の土地の形状を最大限に活かし、採光や風通しを考慮した最適な設計を追求できるのも大きな利点です。


4.1.2 メリット2:耐震性・断熱性など住宅性能が飛躍的に向上する

現在の建築基準法に則って建築されるため、耐震性や耐火性といった基本性能が格段に向上します。また、最新の断熱材や高効率な設備を導入することで、ZEH(ゼッチ)基準や長期優良住宅といった高い省エネ性能を持つ住まいを実現できます。これにより、夏は涼しく冬は暖かい快適な室内環境が手に入り、月々の光熱費を大幅に削減することも期待できます。


4.1.3 メリット3:基礎や構造躯体から一新できる安心感

リフォームでは確認が難しい基礎部分や柱、梁といった構造躯体をすべて新しくするため、建物の根幹部分から安心感を得られます。隠れた雨漏りやシロアリ被害、基礎のひび割れといった構造上の不安要素を根本から解消できることは、建て替えならではの大きなメリットです。


4.1.4 メリット4:資産価値の向上が期待できる

最新の設備と性能を備えた新築住宅は、中古物件としてリフォームした場合と比較して、一般的に資産価値が高く評価される傾向にあります。将来的に売却や賃貸を検討する際にも、有利な条件で取引できる可能性が高まります。


4.2 解体・建て替えのデメリット 高額な費用と長い工期

多くのメリットがある一方で、建て替えには相応の費用と時間が必要です。計画を進める前に、デメリットもしっかりと把握しておくことが重要です。


4.2.1 デメリット1:リフォームに比べて費用が高額になる

建て替えには、既存家屋の解体費用、新しい家の建築費用に加え、様々な諸費用が発生します。リフォームと比較すると、総額は大幅に高くなるのが一般的です。

費用の種類

主な内容

解体費用

木造、鉄骨造などの構造や坪数によって変動。アスベスト除去が必要な場合は追加費用が発生。

建築工事費用

設計費、本体工事費、外構工事費など、新しい家を建てるための費用全般。

諸費用

登記費用(建物滅失登記、表示登記、保存登記)、不動産取得税、各種申請費用、地盤調査費、地盤改良費など。

その他費用

工事期間中の仮住まいの家賃や、2回分の引越し費用など、直接的な工事費以外にも多くの費用がかかります。

4.2.2 デメリット2:工期が長く、仮住まいが必要になる

設計プランの打ち合わせから始まり、解体工事、基礎工事、建築工事と多くの工程を経るため、完成までには1年以上の期間を要することも少なくありません。その間は当然ながら現在の家に住むことはできないため、賃貸物件などでの仮住まいが必須となり、その分の家賃や手間が発生します。


4.2.3 デメリット3:税金が高くなる可能性がある

新しい家を建てると、固定資産税評価額が再計算されます。一般的に、新しい建物は評価額が高くなるため、建て替え後に固定資産税や都市計画税が増額されるケースが多いです。また、新たに不動産取得税も課税されます。


4.2.4 デメリット4:法規制により同じ規模の家が建てられない場合がある

家を建てた当時と現在とでは、建築基準法や都市計画法などの法規制が変わっている場合があります。例えば、建ぺい率や容積率、斜線制限などが厳しくなっていると、以前と同じ床面積や高さの家を建てられない可能性があります。特に、接道義務を満たしていない「再建築不可物件」の場合は、原則として建て替え自体ができないため、事前の確認が不可欠です。


5. あなたはどっち?解体かリフォームかの判断基準5選

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ここまで費用や工期など様々な角度から解体とリフォームを比較してきましたが、最終的にどちらを選ぶべきか迷いますよね。ここからは、あなた自身の状況に合わせて最適な選択をするための、5つの具体的な判断基準を解説します。


5.1 基準1 築年数と建物の劣化状況

まず考慮すべきは、建物の基本的な状態です。築年数は一つの目安になりますが、本当に重要なのは目に見えない構造部分の劣化度合いです。ご自身の家の状態を客観的に把握することから始めましょう。

特に以下の点は、専門家でなくても確認できる劣化のサインです。

  • 基礎部分に幅の広いひび割れ(クラック)がある

  • 床が大きく傾いている、または沈んでいる

  • 雨漏りが長期間続いている

  • 柱や梁にシロアリの被害が見られる

これらの症状が複数見られる場合、表面的なリフォームでは根本的な解決にならず、大規模な修繕が必要になる可能性があります。築年数ごとの一般的な傾向は以下の通りです。

築年数

一般的な状態と選択肢の傾向

築20年~30年

構造躯体はまだしっかりしていることが多い時期。水回りや内装など、部分的なリフォームで快適性を大きく向上させることが可能です。

築30年~40年

大規模リフォーム(リノベーション)か、建て替えかの大きな分岐点。配管や断熱材、耐震性など、建物全体の性能を見直す必要が出てきます。

築40年以上

建物の寿命を考えると、建て替えが有力な選択肢となります。特に1981年以前の旧耐震基準の建物は、安全性の観点からも建て替えを検討する価値が高いでしょう。

ただし、これらはあくまで目安です。正確な状態を知るためには、専門家による住宅診断(ホームインスペクション)を受けることを強くおすすめします。費用はかかりますが、数千万円の決断をするための重要な情報が得られます。


5.2 基準2 予算と資金計画

予算は、選択を左右する最も現実的な要素です。一般的に、リフォームは建て替えよりも費用を抑えられますが、工事の規模によっては建て替え費用に近くなることもあります。

重要なのは、利用できるローンの種類が異なる点です。リフォームでは「リフォームローン」、建て替えでは「住宅ローン」を利用するのが一般的です。住宅ローンの方が金利が低く、借入期間も長く設定できる傾向にあります。

大規模なリフォームを検討している場合、建て替えで住宅ローンを組んだ方が月々の返済額を抑えられる可能性もあります。金融機関に相談し、両方のパターンで資金計画を立てて比較検討しましょう。

また、リフォームでは解体後に予期せぬ柱の腐食などが見つかり、追加費用が発生するリスクも考慮に入れて、予算には余裕を持たせておくことが肝心です。


5.3 基準3 将来のライフプラン

「これから先、この家でどのように暮らしていきたいか」という長期的な視点も欠かせません。10年後、20年後の家族構成やライフスタイルを想像してみましょう。

  • 子供の独立:夫婦2人の生活になるなら、部屋数を減らして広々としたリビング中心の間取りにしたい。

  • 親との同居:二世帯住宅への変更や、家全体のバリアフリー化が必要になる。

  • 働き方の変化:在宅ワーク用の書斎や、趣味の部屋が欲しくなるかもしれない。

現在の間取りに大きな不満があり、将来的に大幅な変更を望むのであれば、制約の少ない建て替えが適しています。一方で、今の家の間取りが気に入っており、今後も大きな変化がないのであれば、リフォームで十分満足できるでしょう。


5.4 基準4 耐震性や断熱性など求める性能

現在の住宅に求められる性能は、数十年前と比べて格段に向上しています。特に「耐震性」と「断熱性」は、安心して快適に暮らすために非常に重要です。


5.4.1 耐震性

お住まいの家が1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた「旧耐震基準」の建物である場合、建て替えを優先的に検討すべきです。大規模な地震に対する安全性が現行基準と大きく異なります。リフォームによる耐震補強も可能ですが、基礎から見直せる建て替えの方が、より高い安全性を確保できます。


5.4.2 断熱性・省エネ性

夏の暑さや冬の寒さにお悩みの場合、断熱性能の向上が不可欠です。リフォームでも壁に断熱材を追加したり、窓を二重サッシに交換したりすることで性能は向上します。しかし、ZEH(ゼッチ)住宅のような高いレベルの省エネ性能を求めるなら、家全体を魔法瓶のように設計できる建て替えが有利です。


5.5 基準5 土地の法規制(再建築不可など)

これは見落とされがちですが、最も注意すべき判断基準です。土地によっては、法律上の制限で建て替えができない場合があります。

代表的なのが「再建築不可物件」です。これは、建築基準法で定められた「幅4m以上の道路に2m以上接する」という接道義務を果たしていない土地などのことで、一度建物を解体して更地にしてしまうと、二度と新しい家を建てることができません

このような土地にお住まいの場合、選択肢はリフォームかリノベーションに限られます。また、建て替えは可能でも、現行の建ぺい率や容積率が適用されるため、今ある家よりも小さな家しか建てられないケースもあります(既存不適格建築物)。

ご自身の土地がどのような規制を受けているか、必ず市区町村の役所の建築担当部署で確認するか、不動産や建築の専門家に調査を依頼してください。


6. 失敗しないための業者選びのポイント

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戸建てのリフォームや解体・建て替えは、決して安くない費用と長い時間のかかる一大プロジェクトです。その成否を大きく左右するのが「業者選び」。ここでは、あなたの計画を成功に導くための、信頼できるパートナーの見つけ方を解説します。リフォームと解体・建て替え、それぞれのケースに分けてポイントを見ていきましょう。


6.1 リフォーム会社の選び方

リフォームを依頼できる会社には、それぞれ得意分野や特徴があります。まずはどのような種類の会社があるのかを理解し、自分の希望に合った会社を見つけることが重要です。複数の会社を比較検討するために、最低でも3社からは相見積もりを取得しましょう。


6.1.1 リフォーム会社の主な種類と特徴

リフォーム会社の主な種類とそれぞれの特徴を以下の表にまとめました。どこに依頼すべきか検討する際の参考にしてください。

会社の種類

特徴

こんな人におすすめ

地域密着型の工務店

地域での実績が豊富で、フットワークが軽い。設計から施工まで一貫して対応してくれることが多い。比較的費用も抑えやすい傾向がある。

特定の地域で長く住む予定の方、担当者と密にコミュニケーションを取りたい方。

大手ハウスメーカー系のリフォーム会社

ブランド力があり、品質や保証が安定している。パッケージ化された商品が多く、大規模なリフォームや建て替えに近いリノベーションも得意。

品質や保証を重視する方、資金計画やローン相談もまとめて行いたい方。

設計事務所

デザイン性が高く、施主のこだわりを形にするのが得意。設計と施工管理を専門に行い、施工は別の工務店が行う(設計施工分離)。

間取りやデザインに強いこだわりがある方、唯一無二の空間を作りたい方。

専門工事店(塗装・内装・設備など)

特定の分野に特化しているため、専門性が高い。中間マージンが発生しないため、費用を抑えられる場合がある。

キッチン交換や外壁塗装など、リフォーム箇所が限定的で明確な方。

6.1.2 見積もりと担当者のチェックポイント

相見積もりを取った際は、単に金額の安さだけで判断してはいけません。以下のポイントをしっかり確認しましょう。

  • 見積書の詳細さ:「工事一式」のような大雑把な記載ではなく、材料費、工事費、諸経費などの内訳が詳細に記載されているかを確認します。不明な項目があれば、遠慮なく質問しましょう。

  • 担当者の対応:こちらの要望を丁寧にヒアリングし、専門的な視点からメリット・デメリットを含めた提案をしてくれるかを見極めます。コミュニケーションがスムーズに取れる担当者は、信頼できるパートナーになる可能性が高いです。

  • 実績と施工事例:希望するリフォーム内容と近い施工事例があるかを確認します。過去の実績を見ることで、その会社の得意分野やデザインの傾向を把握できます。

  • 保証とアフターサービス:工事後の保証内容や定期点検の有無は、安心して長く住むために不可欠です。「リフォーム瑕疵(かし)保険」に加入しているかも重要な判断基準となります。


6.2 解体業者と工務店・ハウスメーカーの選び方

解体して建て替える場合は、「解体」と「建築」の2つの工程が発生します。依頼方法には、建築を依頼する会社に解体もまとめてお願いする「一括発注」と、施主がそれぞれ別の業者に依頼する「分離発注」があります。


6.2.1 一括発注と分離発注

一括発注と分離発注、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った方法を選びましょう。

  • 一括発注:窓口が一つで済むため、打ち合わせや手続きの手間が省けます。住宅ローンも解体費用と建築費用をまとめて組みやすいのがメリットです。ただし、解体費用に中間マージンが上乗せされる可能性があります。

  • 分離発注:施主が直接解体業者を探すため、中間マージンがなく費用を抑えられる可能性があります。一方で、業者を探す手間や、解体業者と建築会社との連携を調整する手間がかかります。


6.2.2 解体業者選びで失敗しないための注意点

信頼できる解体業者を選ぶためには、以下の点を必ず確認してください。

  • 許認可の有無:「建設業許可(解体工事業)」または「解体工事業登録」の有無は必ず確認してください。無許可の業者に依頼すると、不法投棄などのトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

  • 見積もりの内容:建物本体の解体費用だけでなく、敷地内のブロック塀や庭木、浄化槽などの撤去費用(付帯工事費)が含まれているかを確認します。

  • 近隣への配慮:工事前の近隣挨拶や、騒音・粉塵対策をしっかり行ってくれる業者を選びましょう。過去のトラブルの有無などを口コミで確認するのも有効です。

  • マニフェストの発行:解体で出た産業廃棄物が適正に処理されたことを証明する「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を発行してくれるかを確認します。これは施主の責任を証明する重要な書類です。


6.2.3 工務店・ハウスメーカー選びのポイント

新しい家を建てるパートナーとなる工務店やハウスメーカーは、性能、デザイン、予算など、総合的な観点から慎重に選びましょう。

  • 会社の得意分野:高気密・高断熱住宅、耐震性の高い家、自然素材を使った家など、各社には得意な工法やコンセプトがあります。自分たちが実現したい暮らしと、その会社の家づくりの方向性が合っているかを見極めましょう。

  • 建て替えの実績:新築だけでなく、建て替え工事の実績が豊富かどうかも重要です。既存の土地の法規制や周辺環境を考慮した提案力があるかを確認しましょう。

  • モデルハウスや見学会の活用:図面やカタログだけではわからない、空間の広さや素材の質感、空気感を実際に体感することが大切です。完成見学会などに積極的に参加し、その会社の建物の質を確認しましょう。


7. まとめ

戸建ての改修で解体かリフォームかを選ぶ際は、絶対的な正解はありません。本記事で比較した通り、費用や工期、設計の自由度など、それぞれにメリット・デメリットが存在します。最も重要なのは、築年数や建物の劣化状況、予算、そして将来のライフプランといったご自身の状況を判断基準とすることです。理想の住まいを実現するため、まずは信頼できるリフォーム会社や工務店に相談し、専門家の視点から最適な選択肢を見つけることから始めましょう。

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