【戸建て向け】アスベスト除去の補助金|費用はいくら?申請から受け取りまでの全手順
- seira murata
- 8月5日
- 読了時間: 20分

ご自宅のアスベスト除去、高額な費用がネックになっていませんか。実は、戸建てのアスベスト除去には国や自治体の補助金が利用でき、費用負担を大きく軽減できる可能性があります。この記事では、補助金の対象条件や金額の相場、実際の除去費用、そして申請から受け取りまでの全手順を徹底解説。制度を賢く活用し、費用を抑えながら安全な住まいを実現するための知識がすべてわかります。
1. 戸建てのアスベスト除去で補助金は使える?制度の概要を解説
「もしかしたら自宅にアスベストが使われているかもしれない…」「除去工事は高額だと聞くし、どうにか費用を抑えたい」とお悩みではありませんか?ご安心ください。一定の条件を満たせば、戸建て住宅のアスベスト除去工事で国や地方自治体の補助金制度を利用できます。
この章では、アスベスト除去に関する補助金制度の基本的な仕組みや目的について、分かりやすく解説します。
1.1 【結論】条件を満たせば戸建てでも補助金は利用可能
多くの方が知らないかもしれませんが、個人が所有する戸建て住宅もアスベスト除去補助金の対象となる場合があります。国が推進するアスベスト対策の一環として、多くの地方自治体(都道府県や市区町村)が、住民の安全確保と経済的負担の軽減を目的とした独自の補助金制度を設けています。
ただし、補助金を受け取るためには、お住まいの自治体が定める建物の種類、工事内容、所得などの条件をクリアする必要があります。まずは、ご自身の状況が補助金の対象となりうるかを確認することが重要です。
1.2 アスベスト除去補助金とは?制度の目的と根拠
アスベスト除去補助金制度は、建築物の解体や改修時にアスベストが飛散し、住民や作業員、近隣住民に健康被害が及ぶことを防ぐことを主な目的としています。
アスベストは、かつて多くの建材に使用されていましたが、その粉じんを吸い込むことで肺がんや中皮腫といった深刻な病気を引き起こすことが判明しています。特に、老朽化した建物の解体・改修工事ではアスベストが飛散するリスクが高まります。そこで国は、建物の所有者が適切な飛散防止対策(除去、封じ込め、囲い込み)を講じやすくするために、その費用の一部を補助する制度を推進しているのです。
この制度は、国土交通省の「住宅・建築物アスベスト改修事業」などに基づき、各地方自治体が主体となって運営されています。
1.3 補助金制度の実施主体は「地方自治体」
アスベスト除去の補助金に関する具体的な制度内容や申請手続きは、国が直接定めているわけではありません。実際の手続きの窓口となるのは、お住まいの都道府県や市区町村といった「地方自治体」です。
そのため、補助金の有無、対象となる建物の条件、補助率や上限額、申請期間、必要書類などは、自治体ごとに大きく異なります。A市では対象となる工事でも、B市では対象外となるケースも少なくありません。したがって、補助金の利用を検討する際は、必ずご自身がお住まいの自治体の担当窓口(建築指導課、環境保全課など)に問い合わせて、最新の情報を確認する必要があります。
1.4 補助金の主な種類と対象
アスベスト対策に関する補助金は、大きく分けて「調査」に対するものと「除去工事」に対するものの2種類があります。どちらか一方のみを対象とする自治体もあれば、両方を補助対象としている自治体もあります。
補助金の種類 | 対象となる内容 | 概要 |
アスベスト含有調査補助金 | 吹付け建材などのアスベスト含有分析調査 | 建材にアスベストが含まれているかどうかを専門機関で分析するための費用を補助します。 |
アスベスト除去等工事補助金 | 除去、封じ込め、囲い込み工事 | アスベストが飛散しないように行う除去工事や、建材をシート等で完全に覆う「封じ込め」、壁などを設けて隔離する「囲い込み」といった対策工事の費用を補助します。 |
まずは調査補助金を利用してアスベストの有無を確認し、含有が判明した場合に除去等工事補助金を申請するという流れが一般的です。
2. アスベスト除去補助金の対象となる条件と金額

アスベスト除去工事の補助金制度は、国が地方公共団体を支援し、各自治体が主体となって実施しています。そのため、お住まいの市区町村によって制度の有無や内容が異なります。ここでは、多くの自治体で共通する一般的な条件や金額の傾向について詳しく解説します。
2.1 補助金の対象となる建物や工事内容
補助金を受け取るためには、対象となる建物や工事内容の条件を満たす必要があります。特に、危険性の高い「吹付けアスベスト」などが使われている建築物が主な対象となります。
多くの自治体では、戸建て住宅の屋根や外壁に使用されることが多い「レベル3」のアスベスト含有建材は補助金の対象外となる傾向にありますが、一部対象となる自治体も存在します。必ずお住まいの自治体の最新情報を確認してください。
項目 | 内容 | 備考 |
対象となる建物 | 個人が所有する戸建て住宅、共同住宅、店舗、工場、倉庫などの民間建築物 | 自治体によっては住宅に限定される場合があります。 |
対象となる工事 |
| 除去工事が原則ですが、封じ込めや囲い込みといった工法も対象となる場合があります。 |
対象外となりやすい工事 |
| レベル3建材の除去は、解体工事の一環として扱われることが多いためです。 |
2.2 補助金の対象となる人(申請者)
補助金を申請できるのは、原則として対象となる建物の所有者です。申請者にもいくつかの条件が定められています。
対象となる建築物の所有者であること(個人・法人は問わない)
分譲マンションなどの場合は、管理組合の代表者であること
所有者が複数いる場合は、代表者または全員の同意を得ていること
市町村民税などの税金を滞納していないこと
暴力団員または暴力団と密接な関係を有する者でないこと
賃貸物件の場合は、入居者ではなく所有者(オーナー)が申請者となります。
2.3 補助金はいくらもらえる?金額の相場と上限
補助金の額は、「補助対象となる経費」に「補助率」を掛け合わせた金額となり、さらに「上限額」が定められています。実際にかかった費用の全額が補助されるわけではない点に注意が必要です。
補助率や上限額は自治体によって大きく異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
項目 | 金額・割合の目安 | 解説 |
補助率 | 補助対象経費の2分の1または3分の2 | 除去工事費や調査費など、補助の対象となる経費のうち、何割を補助するかという割合です。 |
上限額 | 戸建て住宅の場合:20万円~30万円程度 共同住宅や大規模な建築物の場合:100万円~200万円程度 | 補助率で計算した金額が上限額を超えた場合、支給されるのは上限額までとなります。 |
例えば、「補助対象経費100万円、補助率2/3、上限額30万円」の制度の場合、計算上は100万円×2/3=約66万円となりますが、上限額が30万円のため、実際に支給される補助金は30万円となります。
2.4 アスベスト調査費用も補助金の対象になる?
アスベストの有無を調べるための事前調査(分析調査)にも、補助金制度が適用される場合があります。これには大きく分けて2つのパターンがあります。
除去工事の補助金に含めて申請する
多くの自治体では、除去工事費とあわせて、その事前調査にかかった費用も補助対象経費に含めることができます。この場合、除去工事を行うことが前提となります。
調査専用の補助金制度を利用する
自治体によっては、除去工事とは別に「アスベスト分析調査補助金」といった、調査費用のみを対象とした制度を設けている場合があります。調査の結果、アスベストが検出されなかった場合でも補助を受けられるのが特徴です。
いずれの場合も、補助対象となる調査は「建築物石綿含有建材調査者」という資格を持つ専門家が実施することが条件となります。
3. アスベスト除去工事にかかる費用相場

アスベスト除去の補助金を検討する上で、まず工事にどれくらいの費用がかかるのかを把握することが不可欠です。除去費用は、建物の規模、アスベスト含有建材の種類、飛散性の危険度(レベル)、作業場所の状況など、様々な要因によって大きく変動します。ここでは、費用の内訳や場所別の相場を詳しく解説します。
正確な金額は専門業者による現地調査と見積もりが必要不可欠ですが、事前に相場を知っておくことで、資金計画や補助金の活用をスムーズに進めることができます。
3.1 アスベスト除去費用の内訳と単価
アスベスト除去工事の見積もりは、主に以下の項目で構成されています。それぞれの単価の目安を把握し、見積書の内容を理解できるようにしておきましょう。
項目 | 内容 | 費用単価の目安 |
除去作業費 | アスベスト含有建材を撤去する作業員の人件費。レベルに応じて必要な装備や作業員の人数が変わります。 | 2.0万円~8.5万円/m² |
足場設置費 | 高所作業(屋根や外壁など)で必要となる仮設足場の設置・解体費用。 | 800円~1,500円/m² |
養生費 | 作業場所をシートで隔離し、アスベストの飛散を防ぐための費用。負圧除じん機の設置なども含まれます。 | 1,500円~3,000円/m² |
廃棄物処理費 | 除去したアスベスト建材を「特別管理産業廃棄物」として法令に基づき適正に処理するための費用。 | 2.0万円~5.0万円/m³ |
諸経費 | 機材運搬費、各種届出の書類作成費用、現場管理費など。工事費全体の5%~10%が目安です。 | 工事費全体の5%~10% |
※上記の単価はあくまで目安です。工事の規模や現場の状況によって変動します。
3.2 【場所別】戸建ての除去費用事例
戸建て住宅でアスベストが使用されていることが多い場所別に、除去費用の事例を紹介します。
3.2.1 屋根(スレート)のアスベスト除去費用
戸建てで最も多いのが、屋根材(化粧スレート、コロニアル、カラーベストなど)にアスベストが含まれているケースです。屋根の工事には、既存の屋根を撤去する「除去工法」のほか、上から新しい屋根材を被せる「カバー工法」があります。
アスベスト含有スレートを完全に撤去する場合の費用相場は、1平方メートルあたり約2万円から8.5万円程度です。これには、足場代、養生費、撤去費用、廃棄物処理費などが含まれます。30坪程度の一般的な戸建て住宅の場合、総額で80万円~200万円程度になることが多いです。
3.2.2 外壁のアスベスト除去費用
外壁では、セメントを主原料とした窯業系サイディングや、モルタル壁の仕上げ材(リシン吹付け、スタッコなど)にアスベストが含まれている可能性があります。外壁の除去費用は、1平方メートルあたり約1万円から6万円程度が相場です。
屋根と同様に足場の設置が必要となり、建物の形状や隣家との距離によって養生が大掛かりになる場合は費用が加算されます。
3.2.3 内装(天井・壁)のアスベスト除去費用
内装では、天井や壁の吸音材として使われる「ひる石(バーミキュライト)吹付け」や、石膏ボード、ビニール床タイルなどにアスベストが含まれていることがあります。特に吹付け材は飛散性が高いため、厳重な隔離養生が必須となり、費用が高くなる傾向にあります。
内装の除去費用は、1平方メートルあたり約2万円から10万円程度と幅広く、アスベストのレベルによって大きく変動します。
3.3 アスベストのレベルによる費用の違い
アスベスト除去費用を左右する最も大きな要因が、アスベストの「レベル(発じん性)」です。レベルは1から3まであり、数字が小さいほど飛散の危険性が高く、除去作業も厳重になるため費用が高額になります。
レベル | 発じん性(危険度) | 主な使用箇所・建材 | 費用の傾向 |
レベル1 | 著しく高い | 吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール(耐火被覆、吸音・断熱材など) | 最も高額。厳重な隔離空間での作業、高性能な防護服の着用が必須。 |
レベル2 | 高い | アスベスト含有保温材、耐火被覆材、断熱材(配管の保温材など) | 高額。レベル1に準じた飛散防止対策が必要。 |
レベル3 | 比較的低い | 成形板(スレート屋根、サイディング、石膏ボード、Pタイルなど) | 比較的安価。破砕・切断しないよう手作業で慎重に除去。 |
戸建て住宅で見られるアスベストの多くはレベル3の成形板ですが、古い建物ではレベル1やレベル2の建材が使われている可能性もゼロではありません。補助金の対象となる工事は、このレベルによっても規定されている場合があるため、事前の調査が非常に重要です。
4. 【完全ガイド】アスベスト除去補助金の申請から受け取りまでの全手順

アスベスト除去の補助金制度は、正しい手順を踏むことでスムーズに活用できます。申請から補助金の受け取りまでにはいくつかのステップがあり、特に工事を始める前に申請を完了させることが重要です。ここでは、戸建て住宅のアスベスト除去で補助金を受け取るための全手順を5つのステップに分けて詳しく解説します。
4.1 ステップ1 事前相談とアスベスト調査
補助金利用の第一歩は、お住まいの自治体への事前相談から始まります。まずは、市区町村の環境課や建築指導課といった担当窓口に連絡し、補助金制度の有無、対象条件、申請期間、予算の上限などを確認しましょう。担当窓口がわからない場合は、代表電話で「アスベスト除去の補助金について相談したい」と伝えれば、適切な部署につないでもらえます。
次に、補助金の申請に必須となるアスベストの事前調査を行います。建築物石綿含有建材調査者などの資格を持つ専門の調査会社に依頼し、建材にアスベストが含まれているかどうかを分析してもらいます。この調査結果を証明する「調査結果報告書」が、後の補助金申請で必要不可欠な書類となります。自治体によっては、この調査費用も補助の対象となる場合がありますので、事前相談の際に併せて確認しておきましょう。
4.2 ステップ2 除去業者の選定と見積もり取得
アスベスト調査で含有が確認されたら、次に行うのは除去工事を依頼する業者の選定です。アスベスト除去は専門的な知識と技術を要する危険な作業のため、都道府県などに登録されている専門業者に依頼する必要があります。信頼できる業者を見つけるために、複数の業者から見積もり(相見積もり)を取得し、工事内容や費用を比較検討することをおすすめします。
見積書を取得する際は、以下の点が明記されているかを確認してください。
除去工事の具体的な内容と工法
養生や飛散防止対策の詳細
アスベスト廃棄物の処理費用
工事全体の費用内訳
工期
この見積書も補助金申請時の必須書類となりますので、必ず保管しておきましょう。
4.3 ステップ3 補助金の交付申請と必要書類
アスベスト調査報告書と工事業者の見積書が揃ったら、いよいよ自治体の窓口で補助金の交付申請手続きを行います。申請期間が定められている場合がほとんどですので、期限に遅れないよう注意してください。最も重要な注意点は、必ず工事の契約や着工前に申請を済ませることです。すでに始まっている工事は補助金の対象外となります。
申請に必要な書類は自治体によって異なりますが、一般的に以下のものが求められます。
書類の種類 | 内容 |
補助金交付申請書 | 自治体の指定様式。ウェブサイトからダウンロードできることが多いです。 |
アスベスト調査結果報告書の写し | アスベストの含有を証明する書類です。 |
工事の見積書の写し | 除去業者から取得した詳細な見積書です。 |
案内図・配置図・平面図など | 工事対象となる建物の場所や範囲がわかる図面です。 |
建物の所有者がわかる書類 | 建物の登記事項証明書や固定資産税納税通知書の写しなどです。 |
施工業者の資格を証明する書類 | 業者がアスベスト除去工事を行える資格を持つことの証明書です。 |
この他にも、住民票や納税証明書などが必要になる場合があります。必ずお住まいの自治体のホームページや窓口で最新の情報を確認してください。
4.4 ステップ4 交付決定後のアスベスト除去工事
申請書類を提出後、自治体による審査が行われます。審査には数週間から1ヶ月程度かかるのが一般的です。審査に通ると、自治体から「補助金交付決定通知書」が郵送で届きます。
この「交付決定通知書」を受け取ってから、初めてアスベスト除去業者と正式に工事契約を結び、工事を開始できます。通知書が届く前に契約や工事着工をしてしまうと、補助金が受け取れなくなるため、絶対に焦って進めないようにしてください。
工事が始まったら、後の実績報告で必要となるため、施工前・施工中・施工後の状況がわかる写真を必ず撮影しておきましょう。業者に依頼すれば、通常は撮影してもらえます。
4.5 ステップ5 実績報告と補助金の受け取り
アスベスト除去工事が完了し、業者への支払いも済んだら、定められた期限内に自治体へ工事完了の報告(実績報告)を行います。この手続きをもって、最終的な補助金額が確定します。
実績報告には、主に以下の書類が必要です。
書類の種類 | 内容 |
実績報告書 | 自治体の指定様式です。 |
工事請負契約書の写し | 業者と交わした契約書です。 |
工事費用の領収書の写し | 業者に費用を支払ったことを証明する書類です。 |
工事写真 | 施工前、施工中、施工後の状況がわかる写真です。 |
産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し | アスベスト廃棄物が適正に処理されたことを証明する重要な書類です。 |
実績報告書と添付書類を提出し、内容に不備がないことが確認されると、「補助金確定通知書」が届きます。その後、申請時に指定した銀行口座に補助金が振り込まれます。振り込みまでは、確定通知から1ヶ月程度かかるのが一般的です。
5. お住まいの自治体の補助金制度を確認する方法

アスベスト除去に関する補助金制度は、国が主体ではなく、お住まいの市区町村などの地方自治体がそれぞれ独自に設けています。そのため、制度の有無、補助対象となる工事の内容、補助金額、申請条件などは自治体によって大きく異なります。ご自身のケースで補助金が利用できるかを知るためには、必ず管轄の自治体の最新情報を確認することが不可欠です。ここでは、その具体的な確認方法について解説します。
5.1 主要な自治体のアスベスト補助金制度の例
補助金制度の内容は自治体ごとに様々です。参考として、いくつかの主要な自治体における補助金制度の一般的な例を以下に示します。ただし、これはあくまで一例であり、制度の名称や補助率、上限額は年度によって変更される可能性があるため、必ず最新の情報を各自治体の公式ウェブサイトや窓口でご確認ください。
主要自治体のアスベスト補助金制度の例(※内容は変更される場合があります) | ||
自治体名 | 補助対象の主な工事 | 補助率・上限額の一般的な例 |
東京都(区市町村) | 分析調査、除去工事 | 調査費用:全額(上限25万円など) 除去費用:対象経費の1/2〜2/3(上限100万円〜200万円など) |
横浜市 | 分析調査、除去・封じ込め・囲い込み工事 | 調査費用:上限25万円 除去費用:対象経費の1/3(上限60万円など) |
大阪市 | 分析調査、除去工事 | 調査費用:上限25万円 除去費用:対象経費の1/2(上限100万円など) |
名古屋市 | 分析調査、除去工事 | 調査費用:上限10万円 除去費用:対象経費の2/3(上限120万円など) |
上記のように、補助対象が「分析調査」のみの場合や、「除去工事」まで含まれる場合など、自治体によって差があります。また、木造戸建て住宅を対象とする制度や、特定の建材(吹付けアスベストなど)に限定した制度を設けている場合もあります。
5.2 自治体のウェブサイトでの探し方と相談窓口
ご自身の自治体の補助金制度を調べるには、まず公式ウェブサイトを確認するのが最も効率的です。多くの場合、以下の手順で見つけることができます。
1. ウェブサイトでの検索自治体の公式ウェブサイトのトップページにある検索窓に、以下のようなキーワードを入力して検索します。
「(お住まいの市区町村名) アスベスト 補助金」
「(お住まいの市区町村名) アスベスト 助成」
「(お住まいの市区町村名) 吹付けアスベスト 除去」
2. 担当部署のページを確認検索でうまく見つからない場合は、担当部署のページから探す方法もあります。アスベスト関連の補助金は、主に以下のような部署が担当していることが多いです。
環境課、環境保全課
建築指導課、建築審査課
まちづくり推進課、住宅課
3. 電話や窓口で相談ウェブサイトで情報が見つからない、または記載内容が複雑でよくわからないという場合は、直接担当部署に電話で問い合わせるのが確実です。その際は、建物の所在地、構造(木造、鉄骨など)、建築年、アスベストが疑われる場所などを伝えると、相談がスムーズに進みます。補助金の申請を検討している旨を伝え、必要な手続きや書類について詳しく確認しましょう。
6. アスベスト除去補助金を利用する際の注意点

アスベスト除去の補助金は、費用負担を大きく軽減してくれる非常に有効な制度ですが、利用する際にはいくつか重要な注意点があります。ルールを知らずに進めてしまうと、補助金が受け取れなくなる可能性もあるため、必ず事前に確認しておきましょう。
6.1 申請期間や予算上限に注意する
アスベスト除去の補助金制度は、ほとんどの自治体で年度ごとに申請期間と予算が定められています。
申請期間は、一般的にその年度の4月頃から始まり、翌年の1月~2月頃に締め切られるケースが多く見られます。しかし、最も注意すべきなのは「予算の上限」です。自治体の補助金は、期間内であっても予算額に達した時点で受付を終了してしまいます。
人気の制度では、年度の後半を待たずに受付が終了することも珍しくありません。そのため、アスベスト除去を検討し始めたら、年度が替わる春先から情報収集を開始し、できるだけ早めに申請準備を進めることが、補助金を確実に受給するための重要なポイントです。
6.2 工事着工前に申請が必要
補助金を利用する上で、絶対に守らなければならないのが「必ず工事を着工する前に申請を済ませる」というルールです。これは、ほぼ全ての自治体で共通する大原則です。
自治体は、申請された内容(工事内容や見積金額など)を審査し、「補助金の交付を決定します」という通知(交付決定通知書など)を出します。この通知を受け取る前に、業者と契約を結んだり、工事を開始してしまったりすると、原則として補助金の対象外となってしまいます。
「すでに工事が終わってしまった」「もう契約してしまった」というケースでは、後から補助金を申請することはできません。焦って工事を進めず、必ず「事前相談→申請→交付決定→工事着工」という正しい手順を踏むようにしてください。
6.3 信頼できるアスベスト除去業者の選び方
アスベスト除去は、健康被害に直結するリスクを伴う専門的な工事です。また、補助金申請には業者が作成する見積書や工事計画書が必須となるため、信頼できる業者選びが非常に重要になります。
以下のポイントを参考に、複数の業者を比較検討しましょう。
チェックポイント | 確認する内容 |
資格・許認可 |
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実績と経験 |
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見積もりの内容 |
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説明の丁寧さ |
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費用が安いという理由だけで業者を選ぶのは危険です。必ず複数の業者から相見積もりを取得し、金額だけでなく、工事内容や担当者の対応などを総合的に比較検討することが、後悔しない業者選びにつながります。
7. まとめ
戸建てのアスベスト除去には、多くの自治体で補助金制度が用意されており、費用負担を軽減できます。アスベストは健康被害のリスクがあるため、補助金を活用した計画的な除去が重要です。補助金を利用するには、工事着工前の申請が必須です。まずはお住まいの自治体の窓口に相談し、制度の詳細や申請期間を確認することから始めましょう。信頼できる専門業者に調査や見積もりを依頼し、適切な手順で手続きを進めてください。

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