【用途別】店舗・住宅の内装 解体 費用はいくら?坪単価の相場と事例を徹底比較
- seira murata
- 9月17日
- 読了時間: 23分

店舗や住宅の内装解体を検討中で、費用相場が分からずお困りではありませんか?この記事では、用途別の坪単価相場から内訳、具体的な工事事例、費用を安く抑える5つのコツまで網羅的に解説します。結論から言うと、費用は坪単価2万円〜8万円が目安ですが、物件の状況で変動します。本記事を読めば、適正価格で信頼できる業者に依頼するための知識が全て手に入ります。
1. 【結論】内装解体の費用相場は坪単価2万円から8万円
内装解体の費用相場は、坪単価でおおよそ2万円~8万円が目安です。ただし、この金額はあくまで一般的な相場であり、建物の種類や構造、解体の範囲、立地条件などによって大きく変動します。
例えば、木造の戸建てよりも鉄筋コンクリート造のマンションの方が費用は高くなる傾向にあります。また、内装をすべて撤去する「スケルトン解体」か、入居時の状態に戻す「原状回復」かによっても、工事内容と費用は大きく異なります。正確な費用を知るためには、必ず専門の解体業者から見積もりを取得することが重要です。
以下に、建物の用途別に坪単価の相場をまとめました。ご自身のケースに近いものを参考にしてください。
用途別・内装解体費用の坪単価相場 | ||
建物の種類 | 坪単価の目安 | 費用の特徴 |
住宅(戸建て) | 2万円~5万円 | 木造が多く、比較的解体しやすい。ただし、アスベスト含有の可能性がある古い家は追加費用がかかる。 |
住宅(マンション) | 2万円~6万円 | 管理組合の規約や養生、搬出経路の確保など、戸建てにはない注意点があり、費用が割高になる場合がある。 |
飲食店 | 3万円~8万円 | 厨房設備や排気ダクト、防水工事など、特殊な設備の撤去に手間とコストがかかるため、高額になる傾向がある。 |
美容室・サロン | 3万円~7万円 | シャンプー台やボイラーなどの給排水設備、複雑な内装デザインの撤去に費用がかかる。 |
物販店 | 2万円~5万円 | 大規模な設備が少ないため、比較的安価に収まることが多い。陳列棚や什器の量によって変動する。 |
オフィス | 2万円~5万円 | 間仕切り(パーテーション)の撤去が主となり、費用は比較的安価。OAフロアや大量の什器がある場合は高くなる。 |
このように、内装解体費用は物件の状況によって大きく左右されます。この後の章で、費用の詳しい内訳や、用途別の具体的な事例、費用を安く抑えるコツについて詳しく解説していきます。
2. 内装解体費用の内訳を解説

内装解体の見積書に記載される費用は、大きく分けて「解体工事費」「産業廃棄物の処分費」「諸経費」の3つで構成されています。坪単価だけで判断するのではなく、それぞれの内訳を正しく理解することが、適正価格を見極める第一歩です。ここでは、各項目がどのような作業や費用を指すのかを詳しく解説します。
2.1 解体工事費(人件費)
解体工事費は、内装解体費用の中で最も大きな割合を占める項目です。主に、現場で作業する職人の人件費や、工事に必要な重機・工具の使用料などが含まれます。具体的には、壁や天井、床などを手作業や工具を使って取り壊していく作業の費用です。
この費用は「職人の人数 × 作業日数」で算出されるのが基本で、工事の規模や解体する箇所の構造、作業の難易度によって大きく変動します。例えば、重機が入れない狭い場所での手壊し作業や、商業施設など夜間にしか作業ができない現場では、人件費が高くなる傾向にあります。
2.2 産業廃棄物の処分費
内装解体工事では、木くず、石膏ボード、コンクリートがら、金属くず、ガラスなど、さまざまな種類の産業廃棄物が発生します。産業廃棄物の処分費は、これらの廃棄物を法律に則って適正に処分するための費用です。
廃棄物の種類と量によって処分単価が異なるため、総額が大きく変わる重要なポイントです。特に、アスベスト含有建材やPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害物質が含まれる場合は、特殊な処理が必要となり、処分費が通常よりも高額になります。信頼できる業者は、廃棄物処理法に基づき「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を発行し、適正な処理を行います。
産業廃棄物の種類と処分費用の目安 | |
廃棄物の種類 | 処分費用の目安(1㎥あたり) |
木くず | 5,000円~10,000円 |
石膏ボード | 8,000円~15,000円 |
コンクリートがら | 10,000円~20,000円 |
混合廃棄物 | 15,000円~30,000円 |
※上記はあくまで目安であり、地域や処分業者によって費用は異なります。
2.3 養生費や運搬費などの諸経費
諸経費には、工事を円滑かつ安全に進めるために必要なさまざまな費用が含まれます。見積書では「一式」とまとめられることもありますが、主な項目は以下の通りです。
養生費:解体しない部分や共用部(マンションのエレベーターや廊下など)を、粉塵や傷から守るための保護シートやパネルを設置する費用。
運搬費:発生した産業廃棄物を、現場から中間処理施設や最終処分場まで運ぶためのトラックの費用。距離や台数によって変動します。
足場設置費:天井が高い場合など、高所作業のために足場を組む必要がある場合の費用。
駐車場代:現場にトラックを停めるスペースがない場合に、近隣のコインパーキングなどを利用する実費。
官公庁への届出費用:建設リサイクル法など、法律で定められた届出を代行してもらう際の手数料。
現場管理費:工事全体の管理や事務手続きなど、業者が会社を運営するために必要な経費。
これらの諸経費は、現場の立地条件や建物の構造によって内容が大きく変わります。見積もりを取る際は、諸経費に何が含まれているのかをしっかりと確認することが大切です。
3. 【用途別】内装解体費用の坪単価相場

内装解体の費用は、建物の用途によって大きく変動します。住宅と店舗・オフィスでは、内装の構造や設備の複雑さが異なるため、坪単価の相場も変わってきます。ここでは、それぞれの用途別に費用相場を詳しく解説します。
3.1 住宅(戸建て・マンション)の内装解体費用
住宅の内装解体は、主にリフォームやリノベーション、売却に伴う原状回復のために行われます。キッチンや浴室などの水回り設備や、間取り変更のための壁の撤去などが主な工事内容です。
3.1.1 戸建ての費用相場
戸建て住宅の内装解体費用は、坪単価2万円~5万円が相場です。木造住宅か鉄骨造かといった構造の違いや、解体する範囲によって費用は変動します。例えば、間仕切り壁の撤去だけの場合と、床・壁・天井をすべて解体するスケルトン解体では、費用が大きく異なります。
戸建ての部分的な解体費用目安 | |
工事内容 | 費用相場 |
間仕切り壁の撤去 | 3万円~10万円/箇所 |
床材の撤去(フローリング・CF) | 1,500円~3,000円/㎡ |
キッチン設備の撤去 | 5万円~15万円 |
ユニットバスの撤去 | 8万円~20万円 |
トイレの撤去 | 3万円~8万円 |
3.1.2 マンションの費用相場と注意点
マンションの内装解体費用は、坪単価3万円~6万円が相場となり、戸建てに比べてやや高くなる傾向があります。これは、資材の搬入・搬出に手間がかかることや、エレベーターや廊下といった共用部分の養生を厳重に行う必要があるためです。
また、マンションの解体で最も重要なのが「管理規約」の確認です。管理規約には、工事可能な曜日や時間帯、使用できる資材、解体してよい範囲(専有部分)などが細かく定められています。規約に違反すると工事の中断やトラブルにつながるため、必ず事前に管理組合に確認しましょう。特に、騒音や振動が発生するため、近隣住民への配慮も欠かせません。
3.2 店舗・オフィスの内装解体費用
店舗やオフィスの解体は、テナントの退去時に行われる「原状回復工事」がほとんどです。契約内容によって、入居時の状態に戻すのか、建物の骨組みだけを残す「スケルトン解体」にするのかが異なります。厨房設備や造作物など、解体・撤去するものが多いため、住宅よりも費用は高くなる傾向にあります。
3.2.1 飲食店の費用相場
飲食店の内装解体費用は、坪単価3万円~8万円が相場で、他の店舗形態に比べて高額になりがちです。その主な理由は、厨房設備にあります。コンロ、シンク、業務用冷蔵庫、排気ダクト、グリストラップといった重量物の撤去や、複雑な給排水管・ガス管の処理に専門的な作業と費用がかかるためです。また、床の防水工事やコンクリートの解体が必要になるケースも多く、費用を押し上げる要因となります。
3.2.2 美容室・サロンの費用相場
美容室やエステサロンの解体費用は、坪単価3万円~6万円が相場です。シャンプー台や施術台など、特殊な設備が多く、給排水管が複雑に配置されていることが多いため、撤去費用がかさみます。また、デザイン性の高い内装に伴う造作家具や大きな鏡、間仕切りの撤去も費用の内訳に含まれます。
3.2.3 物販店の費用相場
アパレルショップなどの物販店の解体費用は、坪単価2万円~5万円が相場です。飲食店や美容室のような大掛かりな水回り設備が少ないため、比較的安価に収まる傾向があります。ただし、商品の陳列棚や什器、ストックルームの間仕切り、壁面の装飾などが多ければ、その分撤去費用や廃棄物処分費が加算されます。
3.2.4 オフィスの費用相場
オフィスの解体費用は、坪単価2万円~5万円が相場です。主な工事内容は、パーテーション(間仕切り)の撤去や床のタイルカーペットの剥がし、造作棚の解体などです。IT企業などで床下に配線を張り巡らせるOAフロアを設置している場合、その撤去費用が追加で発生します。また、大規模なオフィスビルでは、搬出経路や作業時間帯に厳しい制約があるため、費用が割高になることもあります。
4. 内装解体費用の事例を坪数別に紹介

ここでは、実際の費用感がイメージしやすいように、用途や坪数別の内装解体費用事例を3つ紹介します。ただし、建物の構造や立地条件、解体の範囲によって費用は大きく変動するため、あくまで参考としてご覧ください。正確な金額は、必ず解体業者からの見積もりで確認しましょう。
4.1 10坪の店舗の解体費用事例
ここでは、10坪のカフェをスケルトン状態に戻す内装解体工事を想定した事例を紹介します。厨房設備やカウンター、固定された什器の撤去が含まれるため、同規模の物販店などに比べて費用は高くなる傾向があります。
10坪のカフェのスケルトン解体費用事例 | ||
工事項目 | 費用 | 備考 |
解体工事費(人件費) | 約200,000円 | 内装材の解体、厨房設備・什器の撤去作業など |
産業廃棄物の処分費 | 約150,000円 | 木くず、コンクリートがら、金属くずなどの分別処分 |
養生費や運搬費などの諸経費 | 約50,000円 | 搬出経路の養生、車両費、現場管理費など |
合計 | 約400,000円 | 坪単価:約40,000円 |
この事例では、坪単価は約4万円となりました。飲食店の場合、厨房の防水工事や排気ダクトなどが複雑な構造になっていると、解体作業に手間がかかり費用が上乗せされることがあります。また、搬出経路が狭い、夜間作業が必要になるなどの条件下では、追加費用が発生する可能性も考慮しておきましょう。
4.2 30坪のオフィスの解体費用事例
次に、30坪のオフィスを入居時の状態に戻す原状回復工事を想定した事例です。パーティションや造作家具の撤去、タイルカーペットの張り替えなどが主な作業となります。
30坪のオフィスの原状回復工事費用事例 | ||
工事項目 | 費用 | 備考 |
解体工事費(人件費) | 約450,000円 | パーティション・造作物の撤去、床・壁・天井の復旧作業 |
産業廃棄物の処分費 | 約300,000円 | 石膏ボード、軽天材、タイルカーペットなどの処分 |
養生費や運搬費などの諸経費 | 約150,000円 | 共用部の養生、車両費、ビル管理会社との調整費など |
合計 | 約900,000円 | 坪単価:約30,000円 |
この事例の坪単価は約3万円です。オフィスの原状回復工事では、ビル管理会社が定めたルールや指定業者の有無を事前に確認することが非常に重要です。ルールを無視して工事を進めると、やり直しを命じられたり、トラブルに発展したりするケースがあるため注意が必要です。
4.3 3LDKマンションの解体費用事例
最後に、約70㎡(約21坪)の3LDKマンションをリノベーションするために、スケルトン状態にする内装解体工事の事例です。間仕切り壁や水回り設備をすべて撤去する大掛かりな工事を想定しています。
3LDKマンション(約21坪)のスケルトン解体費用事例 | ||
工事項目 | 費用 | 備考 |
解体工事費(人件費) | 約400,000円 | 間仕切り壁、床・天井材、水回り設備(キッチン・風呂・トイレ)の撤去 |
産業廃棄物の処分費 | 約300,000円 | 木材、石膏ボード、断熱材、住宅設備機器などの処分 |
養生費や運搬費などの諸経費 | 約140,000円 | エレベーターや廊下など共用部分の養生、近隣挨拶費用など |
合計 | 約840,000円 | 坪単価:約40,000円 |
この事例では、坪単価は約4万円となりました。マンションの解体工事は、騒音や振動が発生するため、管理組合への届け出や近隣住民への配慮が不可欠です。また、エレベーターの使用時間や搬出経路に制限がある場合が多く、戸建てに比べて養生費や人件費が割高になる傾向があります。
5. 内装解体の費用を安く抑える5つのコツ

内装解体工事は決して安い買い物ではありません。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を賢く節約することが可能です。ここでは、解体費用を安く抑えるための具体的な5つのコツをご紹介します。
5.1 複数の業者から相見積もりを取る
内装解体費用を抑えるための最も基本的かつ効果的な方法は、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」です。業者によって費用設定や得意な工事内容が異なるため、1社だけの見積もりではその金額が適正かどうか判断できません。
最低3社から相見積もりを取得し、費用とサービス内容を比較検討することが重要です。単に総額が安い業者を選ぶのではなく、見積書の内訳が明確か、追加費用の可能性について説明があるか、対応は丁寧かといった点も総合的に判断しましょう。適正な市場価格を把握し、悪質な業者を避けるためにも、相見積もりは必須のステップです。
5.2 自分で処分できるものは処分しておく
解体工事費の中には、現場に残された家具や什器、ゴミなどを処分するための「産業廃棄物処分費」が含まれています。この廃棄物の量が多ければ多いほど、費用は高くなります。
そこで、解体前に不要な家具や什器を自分で処分するだけで、産業廃棄物の処分費用を大幅に削減できます。家庭ごみや粗大ごみとして自治体のルールに従って処分したり、リサイクルショップに持ち込んだりすることで、コストを抑えることが可能です。ただし、何をどこまで自分で処分してよいか、事前に解体業者と打ち合わせをしておくとスムーズです。
5.3 買取業者を活用する
店舗やオフィスで使用していた設備や什器の中には、まだ価値があり買い取ってもらえるものがあります。例えば、厨房機器、業務用エアコン、オフィス家具、音響設備などは、専門の買取業者に査定を依頼する価値があります。
まだ使える設備や什器は、専門の買取業者に売却することで処分費用を節約し、解体費用に充当できます。解体業者によっては買取サービスと提携している場合もあるため、見積もり依頼の際に相談してみるのも良いでしょう。廃棄物として費用を払うのではなく、資産として売却するという発想の転換がコスト削減につながります。
5.4 自治体の補助金制度を確認する
内装解体工事の内容によっては、国や自治体の補助金・助成金制度を利用できる場合があります。全ての工事が対象になるわけではありませんが、条件に合致すれば費用負担を大きく軽減できます。
代表的な例としては、以下のようなケースが挙げられます。
耐震リフォームに伴う内装解体
省エネ改修(断熱リフォームなど)に伴う解体
空き家の解体・改修に関する補助金
事業再構築補助金などを活用した店舗の改装
お住まいの自治体によっては、解体工事に関する補助金や助成金制度が利用できる場合があります。制度の有無や申請条件、期間は自治体によって異なるため、まずは市区町村のウェブサイトや担当窓口で情報を確認してみましょう。
5.5 解体業者に直接依頼する
店舗の退去や住宅のリフォームの際、管理会社や不動産会社、工務店に解体工事をまとめて依頼するケースは少なくありません。しかし、この場合、紹介料として中間マージンが発生し、費用が割高になる可能性があります。
工務店やリフォーム会社を通さず、解体専門業者に直接依頼することで、中間マージンを削減できます。これにより、コストを抑えられるだけでなく、解体業者と直接コミュニケーションが取れるため、要望が伝わりやすく、工事もスムーズに進むというメリットがあります。
依頼方法 | メリット | デメリット |
解体業者に直接依頼 | 中間マージンがなく費用が安い 業者と直接やり取りできる | 自分で業者を探す手間がかかる |
管理会社や工務店経由で依頼 | 窓口が一本化され手間が少ない | 中間マージンが発生し割高になる 要望が伝わりにくい場合がある |
少し手間はかかりますが、信頼できる解体業者を自分で探し、直接契約することが、最終的な費用を抑えるための賢い選択と言えるでしょう。
6. 失敗しない内装解体業者の選び方

内装解体工事の費用を抑えることは重要ですが、安さだけで業者を選ぶと、ずさんな工事や不法投棄、近隣トラブルなど、後悔する結果になりかねません。ここでは、安心して任せられる優良な内装解体業者を見極めるための4つのポイントを解説します。
6.1 建設業許可や解体工事業登録があるか
内装解体工事を行うには、法律で定められた許可や登録が必要です。無許可・無登録の業者は違法であり、トラブルに巻き込まれるリスクが非常に高いため絶対に避けましょう。
工事を依頼する業者が、請負金額に応じて下記のいずれかの資格を保有しているか、必ず事前に確認してください。
資格の種類 | 必要なケース | 概要 |
建設業許可 | 解体工事の請負金額が500万円(税込)以上の場合 | 一定以上の実務経験や資格、財産的基礎などが求められるため、信頼性の高い業者である一つの指標になります。都道府県知事または国土交通大臣から交付されます。 |
解体工事業登録 | 解体工事の請負金額が500万円(税込)未満の場合 | 解体工事を営むために必要な登録です。工事を行う都道府県ごとに登録が必要となります。 |
これらの許可や登録の有無は、業者のウェブサイトや見積書で確認できます。不明な場合は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で調べることも可能です。
6.2 見積書の内容が明確か
複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」は必須ですが、その内容をしっかり比較検討することが重要です。「解体工事一式」のように内訳が不明瞭な見積書を提出する業者は注意が必要です。後から高額な追加費用を請求される可能性があります。
信頼できる業者の見積書には、以下のような項目が詳細に記載されています。
解体工事費(仮設工事、内装材撤去など)
廃棄物運搬処分費(木くず、コンクリートがら、石膏ボードなど品目別の単価・数量)
養生費(共用部、エレベーターなど)
諸経費(現場管理費、駐車場代など)
各項目の単価や数量が適正か、不明な点はないかを確認し、疑問があれば契約前に担当者に質問して納得のいく説明を受けましょう。
6.3 損害賠償保険に加入しているか
内装解体工事では、細心の注意を払っていても、壁や床の思わぬ損傷、近隣への騒音・粉塵による被害、第三者への物損事故など、予期せぬトラブルが発生するリスクがゼロではありません。万が一の事故に備え、業者が損害賠償責任保険に加入しているか必ず確認してください。
保険に未加入の業者に依頼した場合、事故が起きても十分な補償が受けられず、最悪の場合、施主であるあなたが責任を負わなければならないケースもあります。見積もり時や契約前に、保険証券の写しを見せてもらうなどして、加入の有無と補償内容をしっかりチェックしましょう。
6.4 実績が豊富で口コミが良いか
業者の技術力や信頼性を判断する上で、過去の実績は重要な指標となります。業者のウェブサイトで、自分が行いたい工事(住宅、飲食店、オフィスなど)と類似の施工事例が豊富にあるかを確認しましょう。実績が豊富な業者は、様々な現場に対応してきた経験から、効率的で質の高い工事が期待できます。
また、Googleマップのレビューや比較サイトなど、第三者からの客観的な口コミも参考にしましょう。良い評価だけでなく、悪い評価の内容にも目を通し、業者の対応姿勢を見極めることが大切です。最終的には、担当者の人柄や説明の丁寧さ、問い合わせへのレスポンスの速さなども含めて、総合的に信頼できる業者を選びましょう。
7. 内装解体工事の流れと期間

内装解体工事を依頼する際、どのような手順で進むのか、どれくらいの時間がかかるのかを事前に把握しておくことは非常に重要です。ここでは、問い合わせから工事完了までの一般的な流れと、工事期間の目安について詳しく解説します。
7.1 問い合わせから工事完了までのステップ
内装解体は、業者への問い合わせから引き渡しまで、いくつかのステップを踏んで進められます。トラブルを避け、スムーズに工事を完了させるために、各ステップの内容を理解しておきましょう。
ステップ | 内容詳細 |
1. 問い合わせ・相談 | まずは解体業者に電話やメールで連絡し、物件の概要(用途、広さ、構造、住所など)や解体を希望する範囲、希望工期などを伝えます。この段階で、おおまかな費用感を確認することも可能です。 |
2. 現地調査 | 業者の担当者が実際に現場を訪れ、解体範囲、搬出経路、周辺環境、アスベスト含有建材の有無などを詳細に確認します。正確な見積もりを出すために不可欠な工程ですので、必ず立ち会い、要望を正確に伝えましょう。 |
3. 見積書の提示・検討 | 現地調査の結果をもとに、詳細な見積書が提出されます。工事内容、各項目の費用、産業廃棄物の処分費などが明記されているかを確認します。不明点があれば、この時点で必ず質問してください。 |
4. 契約 | 見積もり内容や工事条件に納得できたら、工事請負契約を締結します。契約書には、工事内容、金額、工期、支払い条件などが記載されているため、隅々まで目を通し、内容を理解した上で署名・捺印しましょう。 |
5. 近隣への挨拶 | 工事中は騒音や振動、粉塵などが発生するため、近隣トラブルを防ぐために事前の挨拶が重要です。通常は業者が主体となって行いますが、施主も同行することで、より丁寧な印象を与えられます。 |
6. 準備工事(養生など) | 解体作業を始める前に、共用部(エレベーター、廊下など)や解体しない箇所を保護するための養生を行います。また、必要に応じて電気や水道、ガスなどのライフラインの停止手続きも進めます。 |
7. 内装解体工事 | 計画に従い、天井、壁、床、造作物の撤去、設備の取り外しなどを進めます。手作業と重機を使い分け、安全に配慮しながら作業が行われます。 |
8. 産業廃棄物の搬出 | 解体で発生した木くず、コンクリートがら、金属くずなどの産業廃棄物を分別し、法令に基づいて適切に処理場へ搬出します。マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行についても確認しておくと安心です。 |
9. 清掃・引き渡し | 解体工事と廃棄物の搬出が完了したら、現場の清掃を行います。施主が最終確認を行い、契約通りの状態になっているかチェックします。問題がなければ、工事完了となり引き渡しです。 |
7.2 工事にかかる期間の目安
内装解体工事にかかる期間は、物件の広さや構造、解体の範囲によって大きく異なります。あくまで一般的な目安として参考にしてください。
物件の種類・規模 | 工事期間の目安 |
小規模店舗(〜20坪) | 3日〜1週間程度 |
中規模オフィス(〜50坪) | 1週間〜2週間程度 |
マンション(3LDK / 約70㎡) | 5日〜10日程度 |
大規模な店舗・オフィス(100坪〜) | 2週間〜1ヶ月以上 |
上記の期間は、あくまで解体作業そのものにかかる日数です。実際には、問い合わせから引き渡しまで、全体で1ヶ月から2ヶ月程度を見込んでおくと余裕を持ったスケジュールを組むことができます。
また、以下の要因によって工事期間が変動する場合があります。
アスベスト含有建材の除去作業が必要な場合
エレベーターがなく、階段での搬出作業となる場合
商業施設内の店舗などで、夜間や休日にしか作業ができない場合
解体する設備の数や造作物の複雑さ
8. 内装解体費用に関する注意点

内装解体工事の見積もりを取得した後でも、予期せぬ費用が発生することがあります。契約後にトラブルにならないよう、事前に注意すべきポイントをしっかりと把握しておきましょう。ここでは、特に注意が必要な3つの項目について詳しく解説します。
8.1 アスベスト含有建材の調査と除去費用
2006年以前に建てられた建物では、耐火性や断熱性を高めるためにアスベスト(石綿)を含んだ建材が使用されている可能性があります。法改正により、2022年4月からは建物の解体・改修工事を行う際にアスベストの事前調査が義務化されました。
この事前調査の結果、アスベスト含有建材が見つかった場合は、その除去費用が別途必要になります。アスベスト除去は専門的な知識と技術を要する作業であり、飛散レベルに応じて厳重な対策が求められるため、高額な費用がかかるケースも少なくありません。
アスベストのレベル別特徴と費用目安 | |||
レベル | 危険度(発じん性) | 主な使用箇所 | 除去費用の目安(/平方メートル) |
レベル1 | 最も高い | 鉄骨の耐火被覆材(吹付けアスベスト)など | 20,000円~85,000円 |
レベル2 | 高い | 配管の保温材、断熱材など | 10,000円~60,000円 |
レベル3 | 比較的低い | 天井の石膏ボード、床のPタイルなど | 3,000円~5,000円 |
事前調査の費用は数万円程度が相場ですが、除去費用はアスベストのレベルや範囲によって数十万円から数百万円に及ぶこともあります。見積もりにアスベスト調査・除去費用が含まれているか、必ず確認しましょう。
8.2 原状回復とスケルトン解体の違い
内装解体には、大きく分けて「原状回復」と「スケルトン解体」の2種類があります。どちらの工事を行うかは、主に店舗やオフィスの賃貸借契約書によって定められており、工事範囲が大きく異なるため費用も変動します。
契約書の内容を事前に確認せず工事を進めると、貸主(オーナー)が求める状態と異なり、再工事や追加費用が発生するリスクがあります。
原状回復とスケルトン解体の比較 | ||
項目 | 原状回復 | スケルトン解体 |
工事内容 | 入居時の状態に戻す工事。借主が設置した設備や間仕切り、内装材などを撤去する。 | 建物の構造躯体(コンクリートの床・壁・天井など)以外をすべて解体・撤去する。 |
工事範囲 | 限定的 | 広範囲 |
費用相場 | 比較的安い | 比較的高くなる傾向 |
主なケース | オフィス、居抜き物件の返却時など | スケルトン貸しの物件、大規模なリノベーション時など |
解体業者に見積もりを依頼する際は、必ず賃貸借契約書を提示し、どの範囲までの解体が必要なのかを明確に伝えてください。
8.3 追加費用が発生するケース
当初の見積もり金額は、あくまで現地調査で確認できた範囲を基に算出されています。そのため、工事を開始してからでないと判明しない問題によって、追加費用が発生することがあります。
主なケースは以下の通りです。
想定外の廃棄物の発生
壁や床を解体した後に、図面にはないコンクリートガラや以前のテナントの残置物など、地中埋設物が見つかった場合、その撤去・処分費用が追加でかかります。
建物の構造上の問題
内装材を撤去した結果、躯体の劣化や補修が必要な箇所が発見された場合、補強工事などの費用が発生することがあります。
搬出経路の問題
エレベーターが使用できない、共用部が狭い、前面道路にトラックを駐車できないなど、廃棄物の搬出に想定以上の手間や人員が必要になった場合、人件費が追加されることがあります。
近隣への配慮による追加作業
商業施設内の店舗や近隣からの要望で、通常の養生以上の防音対策が必要になったり、作業時間が夜間や休日に限定されたりする場合、割増料金が発生します。
こうした事態を避けるためにも、見積もり時に「追加費用が発生する可能性があるケース」について、業者に具体的に確認しておくことが重要です。誠実な業者であれば、考えられるリスクについて事前に説明してくれます。
9. まとめ
内装解体の費用相場は坪単価2万円から8万円が目安ですが、建物の用途や規模、解体の範囲によって大きく変動します。費用を適正価格に抑える最も効果的な方法は、複数の解体業者から相見積もりを取ることです。その際、価格の安さだけでなく、見積書の内容が明確か、建設業許可などを保有しているかを確認し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。この記事で解説した費用相場や業者選びのポイントを参考に、ご自身の状況に合った最適な計画を立ててください。
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