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【知らないと損】空き家の固定資産税を軽減する5つの方法|特定空き家になる前に!

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 11月7日
  • 読了時間: 12分
空き家 固定資産税 軽減

親から相続した実家など、使っていない空き家の固定資産税に頭を悩ませていませんか?実は、その空き家を放置し続けると「特定空き家」に指定され、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。本記事では、空き家の固定資産税が高くなる仕組みから、放置するリスク、そして税負担を軽減するための具体的な5つの方法を網羅的に解説します。結論として、固定資産税の負担を軽くするには、放置せずに売却・活用・解体といった対策を早期に講じることが重要です。手遅れになって後悔する前に、この記事を読んでご自身の状況に合った最適な解決策を見つけましょう。


1. なぜ空き家の固定資産税は高くなるのか

「空き家をそのままにしていたら、ある日突然、固定資産税の請求額が跳ね上がった」という話を聞いたことはありませんか?実は、空き家を放置することで固定資産税が高くなるのには、明確な理由があります。その鍵を握るのが「住宅用地の特例」という制度です。この仕組みを正しく理解しないと、知らず知らずのうちに大きな損をしてしまう可能性があります。まずは、なぜ空き家の固定資産税が高くなるのか、その根本的な原因から見ていきましょう。


1.1 住宅用地の特例が鍵を握る

固定資産税が高くなる仕組みを理解するためには、まず「住宅用地の特例」について知る必要があります。これは、土地の上に住宅が建っている場合、その土地(住宅用地)にかかる固定資産税が大幅に軽減される制度です。現在、空き家が建っている土地も、この特例の適用を受けているため、税金が安く抑えられています。

具体的にどれくらい軽減されるのか、以下の表で確認してみましょう。

土地の面積

区分

固定資産税の課税標準額

200㎡以下の部分

小規模住宅用地

評価額 × 1/6

200㎡を超える部分

一般住宅用地

評価額 × 1/3

このように、住宅が建っているだけで、土地の固定資産税は最大で6分の1にまで減額されています。しかし、後ほど詳しく解説する「特定空き家」に指定されてしまうと、この特例の対象から外されてしまいます。その結果、軽減されていた税金が一気に元に戻り、固定資産税が急騰することになるのです。


1.2 更地にすると固定資産税が最大6倍になる理由

「管理が大変だから、いっそのこと建物を解体して更地にしてしまおう」と考える方もいるかもしれません。しかし、この判断は慎重に行う必要があります。なぜなら、建物を解体して更地にすると、その土地は「住宅用地」ではなくなり、「住宅用地の特例」が適用されなくなるからです。

前述の通り、小規模住宅用地の場合、特例によって課税標準は評価額の6分の1に抑えられています。この特例がなくなると、課税標準が元の評価額に戻ってしまいます。つまり、単純計算で固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があるのです。空き家の解体を検討する際は、税金の負担増という大きなデメリットがあることを必ず念頭に置き、解体後の土地活用計画まで含めて総合的に判断することが極めて重要です。


2. 放置は危険 「特定空き家」に指定されると起こること

空き家 固定資産税 軽減

管理されていない空き家を放置し続けると、自治体から「特定空き家」に指定されるリスクがあります。これは単なる名称の変更ではなく、所有者にとって金銭的・社会的に大きなデメリットを伴うものです。ここでは、「特定空き家」とは何か、そして指定された場合に起こる深刻な事態について詳しく解説します。


2.1 特定空き家とは 管理不全空き家との違い

「特定空き家」とは、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家法)」に基づき、以下のいずれかの状態にあると自治体が判断した建物を指します。

  • 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態

  • 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態

  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

さらに、2023年の法改正により、特定空き家になる手前の段階として「管理不全空き家」が新設されました。これは、放置すれば特定空き家になるおそれがある空き家を指します。両者の違いを理解しておくことが重要です。



管理不全空き家と特定空き家の違い

項目

管理不全空き家

特定空き家

状態

放置すれば特定空き家になるおそれがある状態

倒壊の危険や衛生上の有害性が著しい状態

行政からの措置

指導・勧告

指導・勧告・命令・行政代執行

固定資産税の特例

勧告を受けると解除

勧告を受けると解除

2.2 特定空き家に指定される4つのデメリット

もし所有する空き家が「特定空き家」に指定され、自治体からの改善勧告を受けると、以下のような厳しい措置が取られます。これは所有者にとって計り知れない負担となる可能性があります。


2.2.1 デメリット1 固定資産税の軽減措置が適用されない

最大のデメリットは、固定資産税の「住宅用地の特例」が適用されなくなることです。通常、住宅が建っている土地は、固定資産税が最大で6分の1、都市計画税が最大で3分の1に軽減されています。しかし、特定空き家として勧告を受けると、この特例が解除され、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。これは空き家を維持する上で非常に大きな経済的負担となります。


2.2.2 デメリット2 50万円以下の過料が科される可能性

自治体は特定空き家の所有者に対し、助言・指導・勧告・命令という段階的な措置を取ります。再三の指導や勧告に従わず、最終的な「命令」にも違反した場合、罰則が科されます。空き家法に基づき、50万円以下の過料(行政罰)が科される可能性があります。これは税金とは別に支払わなければならないペナルティです。


2.2.3 デメリット3 行政代執行で強制的に解体される

所有者が命令に従わず、危険な状態が改善されない場合、行政は最終手段として「行政代執行」を行います。これは、所有者に代わって行政が強制的に空き家の解体や修繕を行う制度です。解体にかかった費用はすべて所有者に請求され、支払えない場合は給与や不動産などの財産が差し押さえられることもあります。解体費用は数百万円に上ることも珍しくありません。


2.2.4 デメリット4 自治体のホームページで公表される

行政からの命令に従わない場合、その事実が公表される可能性があります。具体的には、特定空き家の所在地や所有者の氏名、住所などが自治体のホームページなどで公開されます。個人情報が公になることで、社会的な信用を失ったり、近隣住民との関係が悪化したりするリスクがあります。これは、金銭的な負担だけでなく、精神的な負担にもつながる深刻なデメリットです。


3. 空き家の固定資産税を軽減する5つの方法

空き家 固定資産税 軽減

所有している空き家の固定資産税負担を軽減するには、いくつかの選択肢があります。空き家の状態や立地、所有者様のご意向によって最適な方法は異なります。ここでは、代表的な5つの方法をメリット・デメリットとあわせて具体的に解説します。


3.1 方法1 更地にして売却する

建物を解体し、土地だけの状態(更地)にしてから売却する方法です。建物が老朽化して住むのが難しい場合や、買主が自由に建物を建てたいと考えるエリアで有効な手段となります。

メリットは、買主が土地の用途を自由に決められるため、古家付きよりも買い手が見つかりやすい点です。建物の管理責任や、売却後の契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を問われる心配もありません。

一方で、デメリットとして100万円以上の解体費用が発生する点が挙げられます。また、建物を解体すると「住宅用地の特例」が適用されなくなるため、売却が完了するまでの期間は固定資産税が最大6倍になるリスクも考慮しなければなりません。売却活動を始める前に、不動産会社に査定を依頼し、売却見込み額と期間を確認しておくことが重要です。


3.2 方法2 古家付きのまま売却する

建物を解体せず、そのままの状態で土地とセットで売却する方法です。「古家付き土地」として売り出すのが一般的で、近年ではリノベーションやDIYの素材として中古住宅を探している人も増えています。

最大のメリットは、解体費用がかからず、現状のまますぐに売却活動を始められることです。また、買主が見つかるまでは「住宅用地の特例」が適用され続けるため、固定資産税が急に高くなる心配もありません。

ただし、建物の状態が悪いと買い手が見つかりにくかったり、売却価格が低くなったりする可能性があります。また、売却後に雨漏りやシロアリ被害などの欠陥が見つかった場合、契約不適合責任を問われるリスクがある点には注意が必要です。


3.3 方法3 解体して土地活用を始める

空き家を解体した後の土地を売却せず、駐車場やアパートなどを経営して収益を得る方法です。立地条件が良ければ、長期的に安定した収入源になる可能性があります。

土地活用には様々な方法があり、それぞれ初期費用や収益性、リスクが異なります。代表的な土地活用の方法を以下の表にまとめました。

活用方法

メリット

デメリット

駐車場経営

初期費用が比較的安い、狭い土地でも始めやすい

収益性が低い、税金の軽減効果はあまりない

アパート・マンション経営

高い収益性が期待できる、相続税対策になる

初期費用が高額、空室リスクがある

トランクルーム経営

管理の手間が少ない、住宅地以外でも需要がある

認知度が低いと利用者が集まりにくい

太陽光発電

安定した売電収入が期待できる、管理の手間が少ない

天候に左右される、制度変更のリスクがある

土地活用は大きな投資を伴うため、専門家と相談しながら慎重に計画を進めることが不可欠です。まずは所有する土地がどのような活用に向いているか、市場調査から始めましょう。


3.4 方法4 リフォームして賃貸物件にする

建物がまだ十分に使える状態であれば、リフォームやリノベーションを施して賃貸物件として貸し出す方法も有効です。家賃収入によって固定資産税や維持管理費を賄い、さらに収益を得ることも可能です。

メリットは、大切な家を資産として活かし続けられる点です。定期的に人が住むことで建物の劣化を防ぐ効果も期待できます。自治体によっては、空き家のリフォームに対する補助金制度を設けている場合もあります。

デメリットは、入居者が見つかるように魅力的な物件にするためのリフォーム費用がかかることです。また、入居者がいなければ家賃収入はゼロになり、管理の手間や費用も発生します。賃貸経営の経験がない場合は、入居者募集から家賃回収、トラブル対応までを代行してくれる賃貸管理会社に委託するのが一般的です。


3.5 方法5 自治体の空き家バンクに登録する

空き家バンクとは、空き家を「売りたい」「貸したい」所有者と、「買いたい」「借りたい」利用者をマッチングさせるために、自治体が運営している情報提供制度です。

最大のメリットは、自治体が仲介役となるため、安心して取引を進めやすい点です。移住希望者や地域活性化に関心のある人が主な利用者であるため、地域に貢献したいという想いも叶えられます。また、空き家バンクへの登録を条件に、改修費用や家財道具の撤去費用に対する補助金が受けられる自治体もあります。

ただし、登録すればすぐに買い手や借り手が見つかるわけではなく、あくまで情報掲載の場である点には注意が必要です。また、不動産会社が仲介に入るケースも多く、その場合は規定の仲介手数料が発生します。まずは、お住まいの自治体のホームページで空き家バンク制度の詳細を確認してみましょう。


4. 空き家の固定資産税軽減に関するよくある質問

空き家 固定資産税 軽減

空き家の固定資産税に関して、多くの方が抱える疑問について解説します。放置するリスクを正しく理解し、早めの対策を検討しましょう。


4.1 固定資産税はいつから高くなるの?

固定資産税が高くなるのは、空き家が「特定空き家」または「管理不全空き家」に指定され、自治体から改善の「勧告」を受けた翌年度からです。勧告を受けると、固定資産税を最大で6分の1に軽減する「住宅用地の特例」が適用されなくなります。

自治体は、いきなり勧告を出すわけではありません。「助言・指導」といった行政指導が事前に行われます。この段階で適切に対処すれば、税金の増額を避けることが可能です。そのため、自治体から通知が届いた際は、決して放置せず、速やかに対応することが重要です。


4.2 相続放棄をすれば支払い義務はなくなる?

家庭裁判所で手続きを行い、相続放棄が受理されれば、固定資産税の支払い義務はなくなります。しかし、注意すべき点があります。

それは、相続放棄をしても、次の相続人や相続財産清算人が管理を始めるまでは、元の相続人に管理責任が残るという点です。管理を怠った結果、空き家が倒壊して隣家や通行人に被害を与えた場合、損害賠償を請求されるリスクがあります。また、相続放棄は空き家だけでなく、預貯金などのプラスの財産もすべて手放すことになるため、慎重な判断が求められます。


4.3 相談はどこにすればいい?

空き家に関する悩みは多岐にわたるため、相談したい内容に応じて適切な専門家を選ぶことが解決への近道です。主な相談先を以下にまとめました。

相談したい内容

主な相談先

相談できることの例

空き家に関する全般的なこと

市区町村の役所・役場

補助金制度、空き家バンク、地域の規制や条例など

売却や賃貸を検討している

不動産会社

査定、売却活動、賃貸管理、市場の動向など

土地活用や解体を考えている

ハウスメーカー、工務店、解体業者

アパート経営、駐車場経営、解体費用の見積もりなど

相続手続きや権利関係で困っている

司法書士、弁護士

相続登記、相続放棄の手続き、近隣トラブルの法的な相談など

税金について詳しく知りたい

税理士

固定資産税、譲渡所得税、相続税の計算や節税対策など

まずは、空き家が所在する自治体の担当窓口(空き家対策課など)に相談することで、状況に応じた専門家を紹介してもらえる場合もあります。


5. まとめ

本記事では、空き家の固定資産税が高くなる理由と、その負担を軽減するための5つの具体的な方法について解説しました。

空き家の固定資産税が最大6倍にもなり得るのは、建物がなくなる、あるいは「特定空き家」に指定されることで、「住宅用地の特例」という軽減措置が適用されなくなるためです。特定空き家に指定されると、税金の増額だけでなく、過料や行政代執行による強制解体といった深刻な事態を招くリスクもあります。

そうした事態を避けるためにも、空き家を所有している方は放置せず、早めに対策を講じることが重要です。ご紹介した「更地にして売却」「古家付きで売却」「解体して土地活用」「リフォームして賃貸」「空き家バンクに登録」といった方法の中から、ご自身の状況や空き家の状態に合った最適な選択肢を検討しましょう。

どの方法が最適か判断に迷う場合は、不動産会社や自治体の専門窓口へ相談することをおすすめします。大切な資産を守り、将来の負担を減らすために、先延ばしにせず今日から行動を起こしましょう。

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