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【総まとめ】店舗改装費用相場を完全網羅!内訳から資金調達までこれ1本で解決

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 11月19日
  • 読了時間: 23分
店舗 改装 費用 相場

店舗の改装を計画しているものの、一体いくらかかるのか見当もつかず、何から手をつければ良いのかわからない…。そんな悩みを抱えていませんか?店舗改装の費用は、業態や物件の状態、工事の規模によって大きく変動するため、情報収集が難しいのが現実です。この記事では、業態別のリアルな費用相場から、工事費の詳細な内訳、コストを賢く抑える5つのコツ、さらには失敗しない業者の選び方や資金調達の方法まで、店舗改装に関する全知識を一つの記事に凝縮しました。結論として、店舗改装の費用は「坪単価」で算出するのが一般的であり、飲食や美容室といった業態、そして物件が「スケルトン」か「居抜き」かによって大きく変動します。補助金や融資の活用法、オープンまでの具体的なステップも解説しており、まさに「これ1本で解決」できる完全ガイドです。まずは最も気になる費用相場から、あなたの疑問を解消していきましょう。


1. まずは結論から 店舗改装の費用相場は坪単価で変わる

店舗の改装にかかる費用は、物件の広さや業態、工事の内容によって大きく変動しますが、一般的には「坪単価」で算出されます。まずは全体像を掴むために、業態別の坪単価相場と、物件の状態による費用の違いを把握しましょう。この最初のステップで、ご自身の計画に必要な予算規模を大まかにイメージすることができます。


1.1 業態別の坪単価相場一覧

店舗改装の費用は、どのようなビジネスを行うかによって必要な設備や内装が異なるため、坪単価も大きく変わります。ここでは代表的な4つの業態について、それぞれの費用相場と特徴を解説します。


1.1.1 飲食店の改装費用相場

飲食店は、厨房設備に多額の投資が必要となるため、他の業態に比べて坪単価が高くなる傾向にあります。特に、ガスや水道、排気・換気といったインフラ工事は費用を大きく左右するポイントです。カフェやバーのような軽飲食店か、本格的な厨房が必要なレストランかによっても費用は変動します。

飲食店の坪単価相場は、およそ30万円~80万円です。


1.1.2 美容室・サロンの改装費用相場

美容室やエステサロンでは、シャンプー台や施術ベッドの設置に伴う給排水工事が必須となります。また、ドライヤーや美容器具などを使用するための電気工事(コンセント増設など)も重要です。お客様がリラックスできる空間を演出するための、デザイン性の高い内装も求められます。

美容室・サロンの坪単価相場は、およそ25万円~60万円です。


1.1.3 アパレル・物販店の改装費用相場

アパレルや雑貨店などの物販店は、飲食店や美容室のような大掛かりな設備工事が少ないため、比較的費用を抑えやすい業態です。ただし、ブランドイメージを表現するための内装デザインや、商品を魅力的に見せるための陳列棚(什器)、照明計画などが費用に影響します。

アパレル・物販店の坪単価相場は、およそ20万円~50万円です。


1.1.4 クリニック・整体院の改装費用相場

クリニックや整体院は、清潔感が最も重要視されるため、使用する内装材も専門的なものが求められます。また、プライバシーに配慮した間取りや、専門的な医療機器を設置するための電気・給排水工事、バリアフリー対応など、専門性の高い工事が必要になる場合があります。

クリニック・整体院の坪単価相場は、およそ30万円~70万円です。



業態別・店舗改装の坪単価相場

業態

坪単価の相場

費用の主な特徴

飲食店

30万円 ~ 80万円

厨房設備、ガス・水道・排気工事の費用が大きい。

美容室・サロン

25万円 ~ 60万円

給排水設備、電気工事、デザイン性の高い内装が中心。

アパレル・物販店

20万円 ~ 50万円

大規模な設備工事は少ないが、内装デザインや什器費用が重要。

クリニック・整体院

30万円 ~ 70万円

清潔感のある内装、専門機器の設置、プライバシーへの配慮が必要。

※上記の金額はあくまで目安です。物件の状態やデザインのこだわりによって費用は変動します。


1.2 スケルトン物件と居抜き物件の費用相場の違い

店舗改装の費用を大きく左右するもう一つの重要な要素が、物件の状態です。「スケルトン物件」か「居抜き物件」かによって、初期投資額は数百万円単位で変わることもあります。




スケルトン物件と居抜き物件の比較

物件タイプ

特徴

メリット

デメリット

スケルトン物件

建物の構造躯体(床・壁・天井)がむき出しの状態。内装や設備が何もない。

・レイアウトやデザインの自由度が非常に高い


・すべて新品の設備を導入できる

・内装や設備をゼロから作るため、工事費用が高額になりやすい


・工期が長くなる傾向がある

居抜き物件

前のテナントが使用していた内装や設備が残っている状態。

・既存の設備を流用できれば、初期費用を大幅に抑えられる


・工期を短縮でき、早く開業できる可能性がある

・レイアウトの自由度が低い


・設備の劣化や故障のリスクがある(修繕費がかかることも)

このように、スケルトン物件は理想の店舗を自由に作れる反面、費用は高額になります。一方、居抜き物件は費用を抑えられる大きなメリットがありますが、既存の設備の状態を慎重に見極める必要があります。どちらの物件を選ぶかが、全体の予算計画を立てる上で最初の重要な判断となります。


2. 店舗改装費用の詳細な内訳を徹底解説

店舗 改装 費用 相場

店舗の改装にかかる費用は、決して一つの項目で成り立っているわけではありません。工事費はもちろん、設計費や備品購入費など、様々な要素が組み合わさって総額が決定します。予算オーバーを防ぎ、適切な資金計画を立てるためには、まず費用の内訳を正確に理解することが不可欠です。ここでは、店舗改装費用の主な内訳を6つのカテゴリーに分けて、それぞれ具体的に解説します。


2.1 設計デザイン費

設計デザイン費は、店舗のコンセプトやレイアウトを形にするための費用です。具体的には、設計士やデザイナーが作成するデザイン案、平面図や展開図などの各種設計図面、そして工事が図面通りに進んでいるかを確認する工事監理などが含まれます。費用の相場は、総工事費の10%~15%程度が一般的ですが、依頼するデザイナーの名声や業務範囲によって変動します。集客力や従業員の作業効率にも直結する重要な投資と捉えましょう。


2.2 内装工事費

内装工事費は、店舗改装費用の中で最も大きな割合を占める中心的な費用です。壁、床、天井といった店舗の基本的な空間を作り上げる工事全般を指します。使用する素材のグレードや施工範囲によって費用は大きく変わります。

工事の種類

主な工事内容

仮設工事

工事期間中の養生(床や壁の保護)、資材置き場の確保、仮設トイレの設置など。

軽鉄・ボード工事

軽量鉄骨(LGS)で壁や天井の下地を作り、石膏ボードを張る工事。間取りの変更に不可欠。

内装仕上げ工事

壁紙(クロス)貼り、塗装、床材(フローリング、タイル、長尺シートなど)の施工、天井の仕上げなど。

建具工事

出入り口のドア、窓、室内の間仕切りドアなどの設置・交換。

造作工事

カウンターや陳列棚、収納など、店舗に合わせてオーダーメイドで家具や什器を製作・設置する工事。

2.3 外装・ファサード工事費

外装・ファサードは店舗の「顔」であり、お客様が最初に見る重要な部分です。集客に直結するため、デザイン性や視認性を考慮した工事が求められます。特に看板は、店舗の存在を知らせるために欠かせません。

工事の種類

主な工事内容

外壁工事

外壁の塗装、サイディングやタイルの張り替えなど。建物の印象を大きく左右します。

看板工事

壁面看板、突き出し看板、スタンド看板、ウィンドウサインなどのデザイン・製作・設置。

エントランス工事

入口ドアの交換や新設、ガラス面の変更、庇(ひさし)やテントの設置など。

外構工事

店舗前の植栽、アプローチの整備、駐車場の舗装など。

2.4 設備工事費(電気・ガス・水道・空調)

設備工事は、お客様やスタッフが快適に過ごせる環境を整えるためのライフラインに関わる工事です。特に飲食店では、厨房設備の仕様によって費用が大きく変動します。業態によっては、内装工事費と同等かそれ以上の費用がかかる場合もあります。

工事の種類

主な工事内容

電気設備工事

照明器具の設置、コンセントの増設・移設、ブレーカー(分電盤)の容量変更、専用回路の配線など。

給排水設備工事

キッチン(厨房)のシンク、トイレ、洗面台などの設置に伴う給水管・排水管の配管工事。

ガス設備工事

厨房機器へのガス管の引き込みや増設。ガスの容量が不足する場合は、ガス管の引き直しが必要になります。

空調・換気設備工事

業務用エアコンの設置・交換、換気扇や排気ダクトの設置。特に飲食店では排気設備の性能が重要です。

防災設備工事

自動火災報知設備、誘導灯、スプリンクラーなどの設置・移設。消防法の規定に沿った施工が必須です。

2.5 什器・備品購入費

什器・備品購入費は、工事費とは別に必要となる費用です。店舗運営に直接必要な家具や機器類がこれにあたります。どのような商品やサービスを提供するかに応じて、必要なものが大きく異なります。例えば、飲食店であればテーブルや椅子、厨房機器、レジシステム、食器類が必要です。美容室ならスタイリングチェアやシャンプー台、アパレル店なら陳列棚やハンガーラック、フィッティングルームの鏡などが該当します。これらは新品か中古か、ブランド品か否かで費用が大きく変わるため、予算に応じて賢く選択する必要があります。


2.6 諸経費その他

見積書では「諸経費」や「その他」として計上されることが多い、見落としがちな費用項目です。これらを考慮せずに予算を組むと、後で資金が不足する原因になります。

  • 解体工事費:居抜き物件の不要な設備を撤去したり、スケルトン物件にするために内装をすべて解体したりする際の費用。

  • 産業廃棄物処理費:解体工事などで発生した廃材を、法律に則って処分するための費用。

  • 現場管理費:施工業者が現場を管理・監督するために必要な経費。職人の交通費や通信費、書類作成費などが含まれます。

  • 官公庁申請費用:保健所や消防署、建築確認など、開業に必要な各種申請手続きにかかる手数料や代行費用。

  • 消費税:全ての費用に対してかかる税金。総額が大きくなるため、必ず予算に含めて計算しましょう。


3. 店舗改装の費用を相場より安く抑える5つのコツ

店舗 改装 費用 相場

店舗改装は大きな投資です。だからこそ、品質を維持しつつ、いかに費用を抑えるかが成功の鍵を握ります。ここでは、誰でも実践できるコスト削減の具体的な5つのコツを、プロの視点から徹底的に解説します。少しの工夫で、数百万円単位のコスト削減も夢ではありません。


3.1 居抜き物件を最大限に活用する

店舗改装の費用を最も大きく左右するのが、物件の状態です。内装や設備が何もない「スケルトン物件」から改装するのに比べ、前のテナントの設備や内装が残っている「居抜き物件」は、初期投資を劇的に抑えられる可能性を秘めています。

特に飲食店の場合、厨房設備や排気ダクト、空調設備などは高額な工事費がかかります。これらをそのまま流用できれば、内装工事費や設備工事費を大幅に節約できます。もちろん、設備の老朽化やレイアウトの制約といったデメリットもありますが、自身の店舗コンセプトと合致する居抜き物件を見つけられれば、これ以上ないコスト削減策となるでしょう。


3.2 DIYで対応できる範囲を見極める

専門的な技術を要しない作業を自分たちで行う「DIY(Do It Yourself)」も、費用削減に有効な手段です。特に人件費や施工費を直接的にカットできるのが大きな魅力です。ただし、何でも自分でやろうとするのは危険です。安全性や法規制、仕上がりのクオリティを考慮し、プロに任せるべき範囲を明確に見極めることが重要です。



DIYとプロ依頼の作業範囲の目安

分類

具体的な作業例

ポイント

DIYで対応しやすい作業

壁紙の貼り付け、壁の塗装、棚の設置、家具の組み立て、照明器具の取り付け(簡易なもの)

失敗してもやり直しが効きやすく、専門資格が不要な範囲。デザインのアクセントとして取り入れやすい。

プロに依頼すべき作業

電気配線工事、ガス工事、水道・給排水工事、空調設備の設置、構造に関わる壁の解体・造作

専門資格が必要な工事や、店舗の安全性・機能性に直結する部分。無理に行うと火災や漏水の原因となる。

3.3 国や自治体の補助金・助成金を徹底的に調べる

店舗の新規開業や改装には、国や地方自治体が提供する様々な補助金・助成金制度が利用できる場合があります。これらを活用すれば、返済不要の資金で改装費用の一部を賄うことが可能です。代表的なものに「小規模事業者持続化補助金」や「事業再構築補助金」などがありますが、自治体独自の創業者支援制度や商店街活性化のための助成金なども数多く存在します。

これらの制度は、申請期間や対象となる経費、採択条件が細かく定められています。計画段階の早い時期から、中小企業庁のポータルサイト「ミラサポplus」や、開業する地域の自治体、商工会議所のウェブサイトなどで情報収集を始めましょう。


3.4 複数の業者から相見積もりを取る

改装業者を1社に絞って話を進めるのは、費用が高騰するリスクがあります。必ず、最低でも3社以上の業者から相見積もりを取得しましょう。これにより、提示された金額が地域の相場と比較して適正かどうかを判断できます。また、業者ごとに提案内容や得意なデザイン、工法が異なるため、自身の理想とする店舗像に最も近い提案を選べるというメリットもあります。

見積もりを比較する際は、総額の安さだけで判断してはいけません。「工事項目一式」のように内訳が不明瞭な見積書は避け、材料費や工事内容、諸経費などが詳細に記載されているかを確認しましょう。不明な点は遠慮なく質問し、誠実に対応してくれる業者を選ぶことが、後のトラブルを避けることにも繋がります。


3.5 中古の什器やアウトレット品を賢く利用する

テーブルや椅子、陳列棚、レジカウンターといった什器や備品は、すべて新品で揃えようとすると予想以上に費用がかさみます。そこで検討したいのが、中古品やアウトレット品の活用です。特に厨房機器などは、専門の中古販売業者から購入すれば、新品の半額以下で手に入ることも少なくありません。

最近では、質の良い中古オフィス家具やデザイナーズ家具を扱う店舗も増えています。また、インターネットオークションやフリマアプリも賢く利用すれば、掘り出し物が見つかる可能性があります。お店のコンセプトに合うもの、そして機能性や安全性に問題がないものを丁寧に見極めることで、デザイン性を損なうことなく大幅なコストダウンが実現できます。


4. 失敗しない店舗改装業者の選び方と比較ポイント

店舗 改装 費用 相場

店舗改装の費用は決して安いものではありません。だからこそ、プロジェクトの成功を左右する業者選びは最も重要なステップです。単に費用が安いという理由だけで選んでしまうと、「追加費用が次々と発生した」「イメージと全く違う仕上がりになった」といった失敗に繋がりかねません。ここでは、後悔しないための信頼できるパートナー選びのポイントを3つの視点から詳しく解説します。


4.1 実績や得意な業態を確認する

まず最初に確認すべきは、業者の施工実績です。特に、ご自身の店舗と同じ業態(飲食店、美容室、物販店など)の実績が豊富かどうかは重要な判断基準となります。

業態が違えば、必要な設備や動線設計、適用される法律(消防法や保健所の規定など)も大きく異なります。同じ業態の施工経験が豊富な業者は、専門的なノウハウを蓄積しており、デザイン性だけでなく機能性も兼ね備えた質の高い提案が期待できます。業者の公式ウェブサイトで施工事例(ポートフォリオ)を念入りにチェックし、デザインのテイストやクオリティが自分のイメージと合っているかを確認しましょう。

また、店舗改装を請け負う業者にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。ご自身の希望に合わせて依頼先を検討しましょう。




業者の種類と特徴

業者の種類

特徴

メリット

デメリット

設計事務所

デザイン設計を専門に行う。施工は別途工務店に依頼する。

デザイン性が高く、独創的な空間を実現しやすい。第三者として施工を監理してくれる。

設計料が別途必要。施工業者との連携が重要になる。

デザイン施工会社

設計から施工までを一貫して請け負う。

窓口が一つで済むため、コミュニケーションがスムーズ。責任の所在が明確。

設計と施工が一体のため、デザインの自由度が制限される場合がある。

工務店

施工を専門に行う。設計は提携の設計事務所に依頼するか、自社で行う。

地域密着型が多く、施工技術に定評がある。比較的費用を抑えやすい傾向。

デザイン提案力は会社によって差が大きい。

4.2 見積書の内容が明確で詳細かチェックする

複数の業者から相見積もりを取ることは必須ですが、その際に重要となるのが見積書の内容です。総額だけを比較するのではなく、「何に」「いくらかかるのか」が詳細に記載されているかを必ず確認してください。

「内装工事一式」のように項目が大雑把な見積書は、後から追加費用を請求されるトラブルの原因になります。信頼できる業者の見積書は、工事項目ごとに材料費や人件費、数量、単価などが細かく記載されています。不明な点があれば遠慮なく質問し、納得できるまで説明を求めましょう。


4.2.1 見積書で特に注意すべきチェック項目

  • 工事の範囲が明確に示されているか(どこからどこまでが工事対象か)

  • 各項目の単価と数量が明記されているか

  • 使用する建材や設備のメーカー名・型番まで記載されているか

  • 「一式」という表記が多く使われていないか

  • 諸経費の内訳(現場管理費、廃材処分費など)が記載されているか

  • 設計デザイン料が含まれているか、別途必要なのか

逆に、他社と比べて極端に安い見積もりにも注意が必要です。安さの裏には、グレードの低い材料を使っていたり、必要な工事が含まれていなかったりする可能性があります。なぜその価格で実現できるのか、理由をしっかりと確認することが大切です。


4.3 担当者との相性やコミュニケーションの円滑さ

店舗改装は、数ヶ月にわたる長いプロジェクトです。そのため、担当者との相性やコミュニケーションの取りやすさは、業者選びにおいて非常に重要な要素となります。

こちらの漠然としたイメージや要望を丁寧にヒアリングし、プロの視点から具体的な形にしてくれる提案力があるかを見極めましょう。また、専門用語を多用せず、分かりやすい言葉で説明してくれるかどうかもポイントです。質問や相談がしやすく、レスポンスが迅速かつ丁寧な担当者であれば、工事期間中も安心して任せることができます

最初の問い合わせや打ち合わせの段階で、「この人になら任せられそうだ」と感じられるかどうか、ご自身の直感も大切にしてください。円滑なコミュニケーションは、理想の店舗を実現するための鍵となります。


5. 店舗改装費用のための資金調達完全ガイド

店舗 改装 費用 相場

店舗の改装にはまとまった資金が必要です。自己資金だけで賄うのが難しい場合も少なくありません。ここでは、店舗改装に活用できる主要な資金調達方法を網羅的に解説します。それぞれの特徴を理解し、ご自身の事業計画に最適な方法を見つけましょう。


5.1 自己資金で準備する場合の注意点

自己資金で改装費用を賄う最大のメリットは、返済義務や金利負担がないことです。しかし、注意すべき点もあります。最も重要なのは、改装費用で自己資金をすべて使い切ってしまわないことです。

店舗経営は、開業してからが本番です。売上が安定するまでの数ヶ月間、家賃、人件費、仕入れ費、水道光熱費などの運転資金が必要になります。手元の資金がなくなってしまうと、少しのトラブルで経営が行き詰まるリスクが高まります。最低でも3ヶ月分、できれば6ヶ月分程度の運転資金は必ず確保した上で、改装の予算を組むようにしましょう。


5.2 日本政策金融公庫からの融資制度

日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系金融機関です。個人事業主や中小企業の支援を目的としており、民間の金融機関に比べて融資を受けやすいのが特徴です。特に、これから開業する方や実績の少ない事業者にとっては、心強い味方となります。

店舗改装に活用できる代表的な融資制度には、以下のようなものがあります。

  • 新規開業資金


    新たに事業を始める方や、事業開始後おおむね7年以内の方が利用できる制度です。運転資金と設備資金の両方に利用でき、店舗の改装費用も対象となります。

  • 中小企業経営力強化資金


    認定経営革新等支援機関の指導や助言を受けながら事業計画を策定することで、通常よりも低い金利で融資を受けられる可能性がある制度です。

  • 生活衛生改善貸付(衛経融資)


    飲食店や美容室、クリーニング店など、生活衛生関係の事業を営む方が対象の融資制度です。運転資金や設備資金に利用でき、比較的低金利で借り入れが可能です。


5.3 制度融資や信用保証協会の活用

制度融資とは、地方自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携して行う融資制度のことです。事業所の所在地がある都道府県や市区町村が窓口となります。

この制度の大きなメリットは、自治体による利子補給や、信用保証協会による保証を受けられる点です。信用保証協会が公的な保証人となることで、金融機関は貸し倒れリスクを軽減できるため、プロパー融資(金融機関独自の融資)に比べて審査のハードルが下がる傾向にあります。実績が少ない事業者でも融資を受けやすくなるため、積極的に活用を検討しましょう。お近くの自治体の商工担当課や、信用保証協会に問い合わせてみてください。


5.4 申請可能な補助金・助成金の具体例

補助金や助成金は、国や地方自治体が事業者の取り組みを支援するために支給する資金で、原則として返済が不要という最大のメリットがあります。ただし、一般的に後払いであり、申請すれば必ず採択されるわけではない点に注意が必要です。

店舗改装で活用できる可能性のある代表的な補助金・助成金は以下の通りです。公募期間が限られているため、常にアンテナを張り、最新情報をチェックすることが重要です。

補助金・助成金の種類

概要と対象経費の例

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が販路開拓や生産性向上のために行う取り組みを支援します。店舗の改装費用(バリアフリー化、顧客層拡大のための内装変更など)が対象になる場合があります。

事業再構築補助金

新型コロナウイルスの影響を受け、新分野展開や業態転換など思い切った事業再構築に挑戦する事業者を支援します。大規模な改装を伴う場合に活用できる可能性があります。

ものづくり補助金

革新的な製品・サービス開発や生産プロセス改善のための設備投資などを支援します。特定の厨房機器や美容機器の導入を伴う改装で対象となる場合があります。

各自治体独自の補助金

各都道府県や市区町村が、地域経済の活性化などを目的に独自の補助金制度を設けている場合があります。「〇〇市 店舗改装支援事業」のような名称で公募されていることが多いです。

6. 店舗改装を計画してからオープンまでの7ステップ

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店舗の改装は、思いつきで進めると予算オーバーやスケジュールの遅延といったトラブルに見舞われがちです。ここでは、コンセプト設計からオープンまでの一連の流れを7つのステップに分けて解説します。このロードマップを参考に、計画的に改装を進めましょう。


6.1 ステップ1 コンセプト設計と事業計画

店舗改装の成功は、すべての土台となるコンセプト設計から始まります。「誰に」「何を」「どのように」提供するのかを具体的に定義し、ターゲット顧客、店舗の雰囲気、ブランドイメージを明確にしましょう。このコンセプトが、後のデザインやレイアウト決めの重要な指針となります。

同時に、改装費用だけでなく、運転資金や当面の生活費まで含めた詳細な事業計画を策定します。特に融資を検討している場合、精度の高い事業計画書は審査において不可欠な書類となります。


6.2 ステップ2 物件探しと契約

コンセプトと事業計画が固まったら、次は物件探しです。立地や広さはもちろん、物件の状態が「スケルトン」か「居抜き」かによって、初期費用や工事期間が大きく変わります。居抜き物件は設備を流用できるためコストを抑えやすいですが、レイアウトの自由度が低いという側面もあります。自身のコンセプトに最適な物件を慎重に選びましょう。

契約時には、賃貸借契約書の内容を隅々まで確認することが重要です。特に退去時の原状回復義務の範囲については、後々のトラブルを避けるためにも必ずチェックしてください。


6.3 ステップ3 設計・施工業者の選定と比較

理想の店舗を形にするためには、信頼できるパートナーとなる設計・施工業者の選定が欠かせません。業者のウェブサイトで過去の実績を確認し、特に自身の開業したい業態(飲食店、美容室など)の施工経験が豊富かどうかをチェックしましょう。

候補となる業者を2〜3社に絞り込んだら、必ず相見積もりを取ります。単に金額の安さだけで判断するのではなく、提案内容の質、担当者とのコミュニケーションのしやすさなどを総合的に比較検討することが、後悔しない業者選びのポイントです。


6.4 ステップ4 詳細設計と見積もりの確定

契約する業者を決めたら、具体的な店舗の設計を進めていきます。コンセプトに基づき、動線を考慮したレイアウト、内装・外装のデザイン、使用する素材、照明計画、厨房設備や什器の配置などを詳細に詰めていきます。この段階で、オーナーの理想と予算、そして法的な規制をすり合わせながら、最終的な図面を完成させます。

最終的な見積書を受け取ったら、「一式」などの曖昧な表記がなく、項目ごとに単価や数量が明記されているかをしっかり確認しましょう。不明な点があれば遠慮なく質問し、すべての内容に納得した上で契約を結びます。


6.5 ステップ5 工事着工から引き渡しまで

設計と見積もりが確定し、契約を終えれば、いよいよ工事が始まります。工事期間中は業者に任せきりにするのではなく、定期的に現場を訪れて進捗状況を確認することをおすすめします。図面通りに進んでいるか、現場で気になる点はないかを自分の目で確かめ、担当者と密にコミュニケーションを取ることで、認識のズレやトラブルを未然に防げます。

工事が完了したら、引き渡し前の「施主検査」を行います。業者立ち会いのもと、図面通りに仕上がっているか、傷や汚れ、設備の動作不良などがないかを細かくチェックし、問題があれば修正を依頼します。


6.6 ステップ6 保健所や消防署への届け出

店舗の工事と並行して、開業に必要な行政手続きを進める必要があります。業態によって必要な許可や届け出は異なり、手続きを怠るとオープンできないため注意が必要です。主な届け出の例は以下の通りです。

業態

主な届け出先

主な手続き・許可

飲食店

保健所、消防署、警察署(深夜営業の場合)

飲食店営業許可、防火対象物使用開始届、深夜酒類提供飲食店営業開始届出

美容室・サロン

保健所

美容所開設届

クリニック・整体院

保健所

診療所開設届、施術所開設届

これらの手続きは複雑な場合もあるため、事前に管轄の行政機関に相談するか、行政書士などの専門家や、手続き代行に対応している設計施工業者に依頼することも検討しましょう。


6.7 ステップ7 開業準備と最終チェック

店舗の引き渡しが完了したら、いよいよオープンに向けた最終準備です。什器や備品、消耗品の搬入と設置、レジシステムの導入、スタッフの採用とオペレーション研修、メニューやPOPの作成、食材や商品の仕入れなど、やるべきことは山積みです。

また、ウェブサイトやSNSでの告知、プレスリリースの配信、チラシの配布といった販促活動も本格化させます。可能であれば、オープン前に友人や関係者を招いたプレオープンを実施し、実際の店舗運営の流れや問題点を最終チェックしておくと、スムーズなグランドオープンを迎えることができるでしょう。


7. まとめ

本記事では、店舗改装の費用相場について、業態別の坪単価から詳細な内訳、資金調達の方法まで網羅的に解説しました。結論として、店舗改装の費用は坪単価を基準に考えるのが基本であり、厨房設備が必須となる飲食店は高額に、内装の自由度が高い物販店は比較的安価になる傾向があります。また、内装をゼロから作り上げるスケルトン物件か、既存設備を流用できる居抜き物件かによって、初期投資額が数百万円単位で変動することも重要なポイントです。

改装費用を適正な範囲に抑え、成功に導くためには、補助金・助成金の活用や中古什器の利用といった工夫に加え、最も重要なのが「複数の専門業者から相見積もりを取ること」です。見積書の内容を詳細に比較検討することで、工事内容の妥当性や費用の適正価格を判断できます。実績や担当者との相性も加味し、信頼できるパートナーを見つけることが、理想の店舗を実現するための鍵となります。

店舗改装は、コンセプト設計から資金計画、業者選定、各種届け出まで、オープンまでに多くのステップを踏む必要があります。自己資金だけでなく、日本政策金融公庫の融資制度なども視野に入れ、余裕を持った資金計画とスケジュールを立てることが不可欠です。この記事が、あなたの店舗改装計画を成功させるための一助となれば幸いです。

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