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あなたも対象?アスベスト調査・除去の補助金|申請方法から必要書類まで徹底解説

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 9月8日
  • 読了時間: 15分
アスベスト 補助金

ご自宅や所有建物の解体・改修時に気になるアスベスト。その調査や除去には高額な費用がかかりますが、国や自治体の補助金を活用すれば負担を大幅に軽減できます。本記事では、ご自身が補助金の対象になるかの確認方法から、申請の流れ、必要書類、注意点までを専門家が徹底解説。この記事を読めば、アスベスト補助金の全体像を掴み、スムーズに手続きを進めるための知識がすべて手に入ります。


1. アスベスト調査・除去で補助金が利用できます

ご自宅や所有する建築物にアスベスト(石綿)が使用されているか不安に思っていませんか。アスベストの調査や除去工事には専門的な知識と技術が必要で、費用も高額になりがちです。しかし、国や地方自治体が提供する補助金制度を活用することで、その費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。この制度は、アスベストによる健康被害を防ぎ、安全な生活環境を確保するために設けられています。まずは、お住まいの地域で利用できる制度があるか確認してみましょう。


1.1 国や自治体がアスベスト対策を支援する理由

国や自治体が税金を財源とする補助金を出してまでアスベスト対策を支援するのには、明確な理由があります。アスベストは、吸い込むと肺がんや中皮腫といった深刻な健康被害を引き起こすことが知られている極めて危険な物質です。かつては建材として広く利用されたため、今なお多くの建築物に残存しており、建物の老朽化や解体工事に伴う飛散が社会的な問題となっています。

国民の生命と健康を守り、安全な住環境を確保することは行政の重要な責務です。そのため、法律による規制強化と並行して、補助金制度によってアスベストの除去を促進し、将来にわたる健康被害のリスクをなくすことを目指しているのです。


1.2 補助金と助成金の違いとは

アスベスト対策で利用できる制度を調べる際、「補助金」と「助成金」という言葉を目にすることがあります。両者は似ていますが、厳密には異なる性質を持っています。主な違いを以下の表にまとめました。

項目

補助金

助成金

目的

国や自治体が推進する公益性の高い事業(アスベスト対策など)を支援するため

主に厚生労働省が管轄し、雇用促進や労働環境の改善などを奨励するため

財源

主に税金

主に雇用保険料

審査

申請要件を満たしても、予算の上限などにより採択されない場合がある(選考あり)

申請要件を満たしていれば、原則として受給できる

受付期間

年度ごとに定められた期間のみ受付けるのが一般的

通年で受付けるものが多い

アスベストの調査や除去工事に関しては、主に国や地方自治体が主体となる「補助金」制度が適用されます。この記事では、この「補助金」について詳しく解説していきます。


2. アスベスト補助金の対象となる条件をチェック

アスベスト 補助金

アスベストの調査や除去工事に関する補助金制度は、お住まいの自治体によって内容が異なります。しかし、多くの自治体で共通している基本的な対象条件があります。ここでは、補助金の対象となる「人」「建築物」「工事内容」の3つのポイントについて、一般的な条件を解説します。ご自身が対象になるかどうかの目安としてご確認ください。

最終的な詳細条件は、必ずお住まいの市区町村の公式ホームページや担当窓口で確認するようにしてください。


2.1 補助金の対象者

補助金を申請できるのは、原則として対象となる建築物の所有者です。法人か個人かは問われないことがほとんどですが、自治体によっては細かな要件が定められています。

対象者の主な要件

詳細

建築物の所有者

個人、法人のほか、マンションの場合は管理組合などが対象となります。

納税状況

住民税や固定資産税などの税金を滞納していないことが条件となる場合がほとんどです。

その他

暴力団員等でないことなど、自治体が定める要件を満たす必要があります。

2.2 補助金の対象となる建築物

補助金の対象となるのは、アスベスト(石綿)が使用されている可能性のある建築物です。特に、アスベストの使用が規制される以前に建てられた建物が主な対象となります。

建築物の主な要件

詳細

建築物の所在地

補助金を申請する自治体の区域内にある建築物である必要があります。

建築物の用途

戸建て住宅、共同住宅(マンション・アパート)、店舗、工場、倉庫など、多くの自治体で民間の建築物を幅広く対象としています。ただし、一部の自治体では住宅に限定している場合もあります。

アスベスト含有の可能性

吹付けアスベストやアスベスト含有建材が使用されている可能性のある建築物が対象です。一般的に、2006年(平成18年)9月1日より前に着工された建築物が該当します。

法令遵守

建築基準法などの関係法令に違反していない建築物であることが求められます。

2.3 補助金の対象となる工事内容

補助金の対象となる工事は、大きく「アスベストの含有調査」と「アスベストの除去等工事」の2つに分けられます。解体工事やリフォーム工事そのものの費用は対象外となるため注意が必要です。

工事内容

詳細

アスベスト含有調査

建築物にアスベスト含有建材が使用されているかを調べるための費用です。資格者(建築物石綿含有建材調査者など)による現地調査や、採取した検体の分析調査が対象となります。

アスベスト除去等工事

吹付け材などのアスベスト含有建材を除去、封じ込め、または囲い込みを行う工事の費用が対象です。除去工事だけでなく、飛散防止のための工法も含まれる場合があります。

これらの条件はあくまで一般的なものです。補助金制度の利用を検討する際は、計画の初期段階で必ず管轄の自治体に問い合わせ、ご自身のケースが対象となるかを確認することが成功への第一歩です。


3. アスベスト補助金の金額はいくら?補助率と上限額の目安

アスベスト 補助金

アスベストの調査や除去工事で利用できる補助金の金額は、お住まいの自治体によって大きく異なります。国の「住宅・建築物アスベスト改修事業」を基に、各自治体が独自の制度を設けているためです。ここでは、補助金額の一般的な目安について解説します。

補助金額は、基本的に「補助対象となる経費」に「補助率」を掛け合わせて算出され、工事内容に応じた「上限額」が定められています。正確な金額を知るためには、必ず事前にお住まいの自治体の担当窓口に確認することが重要です。


3.1 アスベスト調査の補助金額

アスベスト含有の有無を調べるための分析調査にかかる費用に対する補助金です。建物の解体・改修工事を行う前に、アスベストの使用状況を把握するために実施されます。

多くの自治体では、補助対象経費の全額を補助するケースが多く、上限額は10万円から25万円程度に設定されています。ただし、設計図書などでアスベストの使用が明らかな場合は、調査の補助対象外となることもあります。


アスベスト調査補助金の目安

項目

金額の目安

補助率

補助対象経費の10/10(全額)が一般的

上限額

10万円~25万円/棟

3.2 アスベスト除去工事の補助金額

吹付けアスベストなどの除去、封じ込め、囲い込みといった工事費用に対する補助金です。飛散性の高いアスベスト(レベル1、レベル2建材)の除去が主な対象となります。

補助率は補助対象経費の1/2から2/3程度が一般的で、上限額は30万円から200万円程度と、自治体や工事内容によって幅があります。特に、多くの人が利用する共同住宅や店舗などでは、戸建住宅よりも手厚い補助が受けられる傾向にあります。


アスベスト除去工事補助金の目安

項目

金額の目安

補助率

補助対象経費の1/2~2/3

上限額

30万円~200万円/棟(建築物の用途により異なる場合あり)

3.3 【具体例】主要都市のアスベスト補助金制度

補助金制度の内容は自治体によって様々です。ここでは参考として、いくつかの主要都市の制度概要をご紹介します。下記は一例であり、年度によって内容が変更される可能性があるため、申請前には必ず各自治体の公式情報をご確認ください。




主要都市のアスベスト補助金制度の例

自治体名

対象工事

補助率

上限額

東京都(区市町村)

分析調査

全額

10万円~25万円(区市町村による)

横浜市

除去等工事(吹付け建材)

対象費用の1/2

100万円

大阪市

分析調査

全額

25万円

名古屋市

除去等工事(吹付けアスベスト等)

対象費用の2/3

120万円

このように、お住まいの地域によって補助内容が大きく異なります。まずはご自身の建物の所在地を管轄する自治体のウェブサイトを調べるか、建築指導課などの担当部署に問い合わせてみましょう。


4. アスベスト補助金の申請方法と流れを5ステップで解説

アスベスト 補助金

アスベストの補助金制度を利用するには、定められた手順に沿って申請を進める必要があります。多くの場合、工事の契約や着工前に申請を完了させなければなりません。ここでは、一般的な申請の流れを5つのステップに分けて、具体的に解説します。


4.1 ステップ1 事前相談とお住まいの自治体の制度確認

まず最初に行うべきは、お住まいの市区町村の担当窓口(建築指導課、環境保全課など)への事前相談です。アスベストに関する補助金制度は、自治体によって制度の有無、対象となる条件、補助率、申請期間などが大きく異なります。

相談の際には、建物の所在地や構造、築年数などがわかる資料(登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、図面など)を持参すると、話がスムーズに進みます。この段階で、ご自身の建物が補助金の対象になるか、どのような手続きが必要か、予算の状況などを必ず確認しておきましょう。


4.2 ステップ2 専門業者の選定と見積もり取得

次に、アスベストの調査や除去工事を依頼する専門業者を選定します。自治体によっては、補助金の利用にあたり「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者が在籍している業者に依頼することを条件としている場合があります。制度の要件を満たす業者を複数探し、必ず複数の業者から見積もり(相見積もり)を取得しましょう。

見積もりを比較検討することで、費用の妥当性を判断できるだけでなく、業者の対応や専門性を見極めることにも繋がります。この見積書は、補助金の申請時に必要となる重要な書類です。


4.3 ステップ3 補助金の交付申請と必要書類の提出

依頼する業者を決定したら、自治体の窓口で入手した申請書類を作成し、必要書類を揃えて提出します。一般的に、建物の所有者が申請者となります。提出する書類は自治体によって異なりますが、主に以下のようなものが必要となります。

  • 補助金交付申請書

  • 事業計画書

  • 工事の見積書の写し

  • 建物の位置を示す案内図

  • 建物の登記事項証明書

  • 所有者の住民票

  • 納税証明書

書類に不備があると手続きが遅れる原因となるため、提出前に窓口で確認してもらうと安心です。


4.4 ステップ4 交付決定後にアスベスト調査・除去工事を実施

申請書類を提出し、自治体による審査が行われます。審査に通ると「交付決定通知書」が送付されます。最も重要な注意点は、必ずこの「交付決定通知書」を受け取ってから、業者と工事の契約を結び、着工することです。

交付決定前に契約や着工をしてしまうと、補助金の対象外となってしまうケースがほとんどです。焦って工事を進めないよう、くれぐれもご注意ください。交付決定を受けたら、業者と正式に契約を交わし、工事を開始します。


4.5 ステップ5 工事完了後の実績報告と補助金の請求

工事が完了したら、定められた期間内に「工事完了実績報告書」を自治体に提出します。この報告書には、工事が適切に行われたことを証明するための書類を添付する必要があります。

主な添付書類には、領収書の写し、工事中および工事完了後の写真、アスベストの分析結果報告書の写し、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写しなどがあります。提出された実績報告書が審査され、補助金額が確定すると「額の確定通知書」が届きます。その後、請求書を提出し、指定した口座に補助金が振り込まれるという流れになります。


5. アスベスト補助金の申請に必要な書類一覧

アスベスト 補助金

アスベスト補助金の申請手続きでは、段階に応じてさまざまな書類の提出が求められます。ここでは「交付申請時」と「工事完了報告時」の2つのフェーズに分けて、一般的に必要となる書類を解説します。ただし、必要書類の名称や書式は自治体によって大きく異なるため、申請前にお住まいの自治体の担当窓口や公式ホームページで必ず最新の情報を確認してください。


5.1 交付申請時に必要な書類

交付申請は、アスベスト調査や除去工事の契約・着工前に行う必要があります。この段階では、どのような建築物で、どのような工事を計画しているのかを証明するための書類が中心となります。

書類の種類

主な内容・注意点

補助金交付申請書

自治体が指定する公式な申請様式です。自治体のウェブサイトからダウンロードできる場合がほとんどです。

事業計画書

工事の概要、スケジュール、費用などを記載します。こちらも指定の様式があることが多いです。

工事費用の見積書の写し

複数の専門業者から取得した見積書の提出を求められる場合があります。内訳が詳細に記載されているものが必要です。

建築物の概要がわかる書類

付近見取図、配置図、各階平面図など、対象建築物の位置や構造がわかる図面です。

アスベスト含有の証明書類

アスベストの事前調査結果報告書の写しや、分析機関による分析結果報告書の写しなど、建材にアスベストが含まれていることを客観的に証明する書類です。

所有権を証明する書類

建物の登記事項証明書(登記簿謄本)や固定資産評価証明書など、申請者が建物の所有者であることを証明する書類です。

納税証明書

住民税や固定資産税などの滞納がないことを証明するための書類です。

5.2 工事完了報告時に必要な書類

補助金の交付決定後、計画通りに工事が完了したことを報告し、補助金を請求するために必要な書類です。契約内容や支払いの事実、適正な工事が行われたことを証明する書類が求められます。

書類の種類

主な内容・注意点

工事完了実績報告書

自治体が指定する公式な報告様式です。工事が完了した旨を報告します。

工事請負契約書の写し

実際に契約した専門業者との契約内容がわかる書類です。

工事費用の領収書の写し

業者へ工事費用を支払ったことを証明する書類です。

工事写真

「施工前」「施工中(養生や除去作業の様子)」「施工後」の各段階の写真が必要です。どの部分の工事かがわかるように整理して提出します。

産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し

除去したアスベスト含有建材が、法令に則って適正に処理されたことを証明する非常に重要な書類です。E票までの写しを求められることが一般的です。

補助金交付請求書

実績報告が承認された後、最終的に補助金を振り込んでもらうための請求書です。

6. アスベスト補助金を利用する際の3つの注意点

アスベスト 補助金

アスベストの調査や除去に関する補助金は、費用負担を大幅に軽減できる非常に有効な制度です。しかし、申請にはいくつかの重要なルールがあり、これを知らずに進めてしまうと「補助金が受け取れなかった」という事態になりかねません。ここでは、後悔しないために必ず押さえておきたい3つの注意点を詳しく解説します。


6.1 注意点1 必ず工事の契約・着工前に申請する

アスベスト補助金を利用する上で、最も重要な注意点が申請のタイミングです。ほとんどすべての自治体で、補助金の申請は工事の「契約前」かつ「着工前」に行うことが絶対条件とされています。

これは、自治体が申請された工事内容や見積金額が補助金の要件に合致しているかを事前に審査し、「交付決定」を行ってからでなければ、補助の対象として認められないためです。すでに契約を済ませていたり、工事を開始・完了してしまったりした後に申請しても、原則として補助金は交付されませんので、くれぐれもご注意ください。まずは自治体への事前相談と補助金の交付申請を済ませ、交付決定通知書を受け取ってから業者との契約・工事着工へと進むのが正しい手順です。


6.2 注意点2 補助金には予算と受付期間がある

国や自治体のアスベスト補助金は、年度ごとに予算が定められています。そのため、申請額が予算の上限に達した時点で、年度の途中であっても受付が終了してしまう場合があります。特に、補助金制度の認知度が高まっている都市部では、早い段階で予算がなくなるケースも少なくありません。

また、多くの自治体では4月頃から新年度の受付を開始し、翌年の1月〜2月頃に締め切るなど、受付期間が設けられています。アスベストの調査や除去工事を検討し始めたら、まずは計画を立て、できるだけ早い段階でお住まいの自治体の担当窓口(建築指導課など)に問い合わせ、その年度の予算状況や受付期間を確認することが重要です。「まだ大丈夫だろう」と思わず、早めに行動を開始しましょう。


6.3 注意点3 信頼できる専門業者に依頼する

補助金の申請手続きをスムーズに進めるためには、信頼できる専門業者選びが不可欠です。補助金の申請には、専門的な知見に基づいた調査計画書や正確な見積書など、業者が作成する書類が多数必要となります。

補助金制度の利用実績が豊富で、申請手続きに精通した業者に依頼することで、書類の不備による手戻りを防ぎ、円滑に手続きを進めることができます。業者を選ぶ際は、費用だけで判断せず、以下のポイントを総合的に確認して慎重に選定しましょう。複数の業者から相見積もりを取ることも、適正な費用相場を把握し、信頼できる業者を見極める上で非常に有効です。


信頼できる専門業者の選び方

チェック項目

確認するポイント

実績と専門性

アスベスト調査・除去工事の実績が豊富か。建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が在籍しているか。

補助金申請の知見

自治体の補助金制度の利用実績や、申請サポートの経験があるか。

見積もりの透明性

見積書の内訳が詳細で分かりやすいか。「一式」などの曖昧な表現が多くないか。

説明の丁寧さ

工事内容や補助金制度について、専門用語ばかりでなく分かりやすく説明してくれるか。質問に真摯に回答してくれるか。

許認可・登録

都道府県への解体工事業登録や、建設業許可を受けているか。

7. まとめ

アスベストの調査や除去には、国や地方自治体の補助金制度が利用できます。これは、アスベストによる健康被害を未然に防ぎ、安全な生活環境を確保するという重要な目的があるためです。補助金の対象となる条件や金額は自治体ごとに異なりますが、費用負担を大きく軽減できる可能性があります。申請は必ず工事の契約・着工前に行う必要があり、予算や受付期間にも限りがあります。まずは、お住まいの自治体の制度を確認し、信頼できる専門業者へ相談することから始めましょう。

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