top of page

アスベスト 除去 費用はいくら?戸建て・解体別の相場と見積もりの注意点

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 8月29日
  • 読了時間: 19分
アスベスト 除去 費用

アスベスト除去費用はいくらかかるのか、その相場を知りたい方へ。本記事では、アスベストのレベルや建材別のm2単価から、戸建て解体時の総額目安までを詳しく解説します。費用は建材の種類や面積で大きく変動しますが、国や自治体の補助金活用と複数業者への相見積もりが費用を抑える鍵です。信頼できる業者の選び方や見積もりの注意点も網羅し、あなたの不安を解消します。


1. アスベスト除去費用の相場一覧【レベル・建材別】

アスベスト除去費用を把握する上で最も重要なのが、除去対象のアスベスト含有建材の「レベル(発じん性)」と「使用されている場所・建材の種類」です。危険度が高いレベルほど、厳重な飛散防止対策が法律で義務付けられており、それに伴って費用も高額になります。ここでは、まずアスベストのレベル別、そして具体的な場所・建材別に費用の相場を詳しく解説します。


1.1 【レベル別】アスベスト除去費用のm2単価相場

アスベストはその飛散のしやすさ(発じん性)に応じて、レベル1からレベル3までの3段階に分類されています。レベルの数字が小さいほど危険性が高く、除去費用も高くなると覚えておきましょう。以下に、各レベルのm2(平米)あたりの単価相場をまとめました。

アスベストレベル

主な建材の例

除去費用のm2単価相場

レベル1(発じん性が著しく高い)

吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール

20,000円~85,000円/m2

レベル2(発じん性が高い)

保温材、耐火被覆材、断熱材(配管のエルボ部分など)

10,000円~60,000円/m2

レベル3(発じん性が比較的低い)

スレート屋根、窯業系サイディング、Pタイル、石膏ボード

3,000円~20,000円/m2

※上記はあくまで目安です。作業面積、建物の立地条件、廃棄物処理量などによって費用は変動します。


1.1.1 レベル1(吹付け材)の除去費用

レベル1は、綿状のアスベストが吹き付けられている状態で、少しの衝撃でも飛散する最も危険な状態です。そのため、作業場全体をシートで完全に隔離し、負圧除じん装置で内部の気圧を下げるなど、最も厳重な対策が求められます。作業員の防護服や呼吸用保護具も最高レベルのものが必要となり、これが費用を押し上げる最大の要因です。主に鉄骨の耐火被覆材として、駐車場や工場の天井・壁に使用されているケースが多く見られます。


1.1.2 レベル2(保温材・耐火被覆材)の除去費用

レベル2は、ボイラー本体や配管の保温材、柱の耐火被覆材など、シート状や筒状の建材が該当します。レベル1ほどではありませんが、密度が低く脆いため発じん性が高く、除去作業には厳重な管理が必要です。レベル1に準じた隔離措置や飛散防止対策が求められるため、費用は比較的高額になります。


1.1.3 レベル3(成形板など)の除去費用

レベル3は、アスベストをセメントなどで固めた「成形板」と呼ばれる硬い建材です。戸建て住宅の屋根(スレート)や外壁(サイディング)、床(Pタイル)など、最も身近な場所で使われています。破砕や切断をしない限りアスベストの飛散リスクは低いため、作業レベルは他のレベルに比べて下がります。除去作業は、原則として手作業で丁寧に取り外し、湿潤化させて飛散を防ぎながら行います。


1.2 【場所・建材別】アスベスト除去費用の相場

アスベストのレベルに加え、実際にどの場所でどのような建材が使われているかによっても費用は大きく異なります。ここでは、一般住宅でよく見られるケースを中心に、場所・建材別の費用相場をご紹介します。


1.2.1 屋根(スレート)の除去費用

戸建て住宅で最も多いのが、屋根材として使用されている「アスベスト含有スレート(コロニアル、カラーベスト)」の除去です。これはレベル3に該当し、除去費用の相場は1m2あたり2,000円~20,000円程度です。ただし、屋根の除去工事には、安全確保のための足場の設置が必須となります。この足場設置費用として、別途20万円~50万円程度がかかるのが一般的です。


1.2.2 外壁(サイディング)の除去費用

外壁材として使われる「窯業系サイディング」にも、2004年以前の製品にはアスベストが含まれている可能性があります。これもレベル3に該当し、除去費用の相場は1m2あたり2,000円~20,000円程度です。屋根と同様に、高所作業となるため足場の設置が不可欠であり、その費用が別途発生します。


1.2.3 天井・内壁(石膏ボードなど)の除去費用

内装材では、天井に使われる「アスベスト含有石膏ボード」やビニール床タイル(Pタイル)などがレベル3に該当します。これらの除去費用相場は1m2あたり3,000円~20,000円程度です。注意点として、古い建物の天井裏には、レベル1の吹付けアスベストが使用されているケースがあります。その場合、費用は数十倍に跳ね上がるため、事前の入念な調査が極めて重要です。


1.2.4 煙突(アスベスト含有断熱材)の除去費用

家庭用のボイラーや業務用焼却炉の煙突内部には、断熱材としてレベル2のアスベスト含有保温材が使われていることがあります。煙突内部は狭く、高所作業となるため、特殊な工法が必要となり費用は高額になる傾向があります。m2単価ではなく「一式」で見積もられることが多く、小規模なものでも数十万円から、規模によっては数百万円以上かかる場合もあります。


2. 【建物別】アスベスト除去・解体費用の総額目安

アスベスト 除去 費用

アスベスト除去費用は、m2単価だけでなく、建物の種類や規模によって総額が大きく変動します。特に解体工事を伴う場合は、除去費用に加えて解体費用も必要です。ここでは、一般的な「戸建て」「マンション・アパート」「工場・倉庫」の3つのケースに分けて、除去・解体費用の総額目安を解説します。


2.1 戸建てのアスベスト除去・解体費用

一般的な木造2階建ての戸建て(延床面積30坪/約100m2)を例に、アスベスト除去費用と解体工事を含めた総額の目安を見ていきましょう。戸建てでは、屋根のスレート材や外壁のサイディング、内装の石膏ボードなどにアスベストが含有されている可能性があります。

除去費用はアスベストのレベルや使用されている面積によって異なりますが、解体工事と同時に行うことで、足場の設置費用などを一本化できるメリットがあります。



【戸建て】アスベスト除去・解体費用の総額目安(延床面積30坪の場合)

工事内容

費用相場

備考

屋根(スレート)の除去のみ

20万円~80万円

足場設置の有無や屋根の面積・形状による。

外壁(サイディング)の除去のみ

30万円~100万円

足場設置の有無や外壁の面積による。

アスベスト除去+建物全体の解体

150万円~350万円

除去費用(20万円~)+解体費用(120万円~)+諸経費。アスベストのレベルや量、立地条件で大きく変動。

上記の金額はあくまで目安です。アスベスト含有建材の種類や量、建物の構造、周辺環境(前面道路の広さなど)によって費用は大きく変わるため、必ず複数の専門業者から詳細な見積もりを取得しましょう。


2.2 マンション・アパートのアスベスト除去費用

マンションやアパートなどの集合住宅では、専有部分(各住戸内)と共用部分(廊下、エントランス、配管など)で対応が異なります。特に鉄骨造の建物では、梁や柱に吹付けアスベスト(レベル1)が使用されているケースがあり、除去費用は高額になる傾向があります。

  • 専有部分のリフォームに伴う除去:内壁の石膏ボードや床のビニル床タイルなど、比較的危険性の低いレベル3建材の除去が中心です。費用は数万円~数十万円程度が目安ですが、リフォームの内容によって変動します。

  • 共用部分の除去(大規模修繕・解体):吹付け材や配管の保温材など、レベル1やレベル2のアスベストが対象となることが多いです。隔離養生や作業員の装備が大掛かりになるため、工事規模によっては数百万~数千万円単位の費用がかかることも珍しくありません。費用は管理組合の修繕積立金から支出されるのが一般的です。

集合住宅の場合、工事計画や費用負担について管理組合や他の居住者との合意形成が不可欠となります。


2.3 工場・倉庫のアスベスト除去費用

工場や倉庫は、規模が大きく、特殊な建材が使われていることが多いため、アスベスト除去費用も高額になりがちです。特に、大規模な鉄骨造の建物では、耐火被覆材として柱や梁にレベル1の吹付けアスベストが広範囲に使用されている場合があります。

また、屋根に波形スレート、壁に押出成形セメント板、煙突に断熱材が使われているケースも多く見られます。これらの建材の除去・処分には専門的な知識と技術が求められます。

費用は建物の規模、構造、使用されているアスベストのレベルと量によって大きく異なり、一概に相場を示すことは困難です。小規模な倉庫でも数十万円から数百万円、大規模な工場やプラント施設では数千万円から億単位の費用がかかる可能性もあります。工場や倉庫のアスベスト除去を検討する際は、実績豊富な専門業者による綿密な事前調査と見積もりが不可欠です。


3. アスベスト除去費用の内訳と高くなる要因

アスベスト 除去 費用

アスベスト除去費用は、単に「除去作業費」だけでなく、安全対策や廃棄物処理など様々な費用で構成されています。ここでは、費用の内訳と、どのような場合に費用が高額になるのかを詳しく解説します。


3.1 アスベスト除去費用の主な内訳項目

アスベスト除去工事の見積もりは、主に以下の項目から成り立っています。業者によって項目の名称は多少異なりますが、内容はほぼ共通です。

分類

項目名

内容

直接工事費

仮設工事費

作業に必要な足場の設置・解体、現場事務所の設置など。

隔離養生費

アスベストの飛散を防ぐための作業場所の隔離、セキュリティゾーンの設置、負圧除じん機の設置・稼働など。


除去作業費

アスベスト含有建材の湿潤化、除去、袋詰めなどの作業員の人件費。


資材費

保護衣、防じんマスク、グローブ、養生シート、薬剤などの消耗品費用。


その他費用

事前調査・届出費用

アスベストの含有調査(分析調査)、および労働基準監督署や自治体への計画届などの書類作成・提出費用。

廃棄物運搬処分費

除去したアスベスト(特別管理産業廃棄物)を専用の運搬車で最終処分場まで運び、処分するための費用。


空気環境測定費

除去作業中および作業後に、作業場所や周辺の空気中にアスベスト繊維が飛散していないかを確認するための測定費用。


諸経費

現場管理費、事務手数料、保険料など、工事全体を管理・運営するための費用。


3.2 除去費用が高額になるケースとは

同じ面積でも、アスベスト除去費用は現場の状況によって大きく変動します。特に以下のようなケースでは、費用が高額になる傾向があります。


3.2.1 アスベストのレベルが高い(特にレベル1)

アスベストは発じん性の高さによってレベル1〜3に分類されます。最も危険性が高い「レベル1(吹付け材)」は、厳重な飛散防止対策が法律で義務付けられています。作業場を完全に隔離する大規模な養生や、高性能な負圧除じん機の設置、作業員の特別な保護具などが必要となるため、レベル2やレベル3に比べて費用が大幅に高くなります。


3.2.2 除去面積が広い・建材の量が多い

当然ながら、除去するアスベスト含有建材の面積が広ければ広いほど、また量が多ければ多いほど、作業時間と人件費、そして廃棄物の処分費用が増加するため、総額は高くなります。


3.2.3 作業場所の環境が悪い

高所や狭所、複雑な構造の場所での作業は、作業効率が低下し、特別な足場が必要になるなど、追加の費用が発生します。例えば、天井裏や機械室など、機材の搬入や作業員の移動が困難な場所は費用が割高になります。また、隣家との距離が近いなど、周辺環境への配慮が特に必要な場合も、養生がより厳重になりコストが上がることがあります。


3.2.4 複数の建材にアスベストが使用されている

屋根のスレートだけでなく、外壁のサイディングや内壁の石膏ボードなど、建物の複数箇所にアスベスト含有建材が使われている場合、それぞれの場所で除去作業が必要になります。作業箇所が増えれば、その分だけ工期も長くなり、費用もかさみます。


3.2.5 アスベスト含有建材の劣化が激しい

建材の劣化が進んでいると、通常よりもアスベストが飛散しやすくなります。そのため、除去作業前の湿潤化や飛散抑制剤の散布をより入念に行う必要があり、作業が慎重になるため費用が上がる一因となります。


4. アスベスト除去費用を安く抑える3つの方法

アスベスト 除去 費用

高額になりがちなアスベスト除去費用ですが、工夫次第で負担を軽減できる可能性があります。ここでは、費用を安く抑えるための具体的な3つの方法を解説します。公的な制度の活用から、賢い業者選びまで、知っておくべき重要なポイントを押さえましょう。


4.1 国や自治体の補助金・助成金制度を活用する

アスベストの飛散による健康被害を防ぐため、国や地方自治体はアスベストの調査や除去工事に対する補助金・助成金制度を設けています。お住まいの地域で利用できる制度がないか、必ず確認しましょう。

制度の名称や内容は自治体によって異なりますが、一般的に以下のような工事が対象となります。

制度の種類

対象となる工事の例

補助額の目安

アスベスト分析調査補助

建材にアスベストが含まれているかどうかの調査

調査費用の半額~全額(上限10万円~25万円程度)

アスベスト除去等工事補助

吹付けアスベストなどの除去、封じ込め、囲い込み工事

工事費用の1/2~2/3程度(上限数十万円~数百万円)

これらの制度は、予算の上限に達し次第、受付を終了することがほとんどです。また、申請には着工前の手続きが必要な場合が多いため、解体やリフォームを計画し始めた段階で、まずは市区町村の環境課や建築指導課といった担当窓口に問い合わせることを強くおすすめします。


4.2 複数の専門業者から相見積もりを取る

アスベスト除去費用は、業者によって見積もり金額が大きく異なる場合があります。適正な価格で信頼できる業者に依頼するためにも、必ず複数の専門業者から相見積もりを取りましょう。

相見積もりを取る際は、最低でも3社以上から見積もりを依頼するのが理想です。その際、単に総額の安さだけで判断するのは危険です。以下の点に注意して、各社の見積もりを比較検討してください。

  • 工事内容の詳細(除去範囲、工法、養生の方法など)が明確か

  • 安全対策に関する費用がきちんと計上されているか

  • アスベストの廃棄物処理費用が含まれているか

  • 諸経費の内訳が不自然に高くないか

見積もり内容に不明な点があれば、遠慮なく質問し、納得できる説明を求めることが重要です。丁寧に対応してくれるかどうかも、信頼できる業者を見極めるための一つの判断材料になります。


4.3 火災保険が適用されるケースもある

通常、経年劣化によるアスベスト除去工事に火災保険は適用されません。しかし、台風や竜巻、豪雪、洪水といった自然災害によってアスベスト含有建材が破損した場合、その復旧工事の一環として除去費用が補償の対象となる可能性があります。

これは、火災保険に付帯する「風災」「雪災」「水災」などの補償項目が適用されるケースです。例えば、「台風でアスベスト含有のスレート屋根が破損した」といった状況がこれに該当します。

ただし、保険が適用されるかどうかは、以下の条件によって決まります。

  • 加入している火災保険の契約内容(補償範囲)

  • 被害の原因が自然災害であることの証明(被災状況の写真など)

  • 保険会社の損害調査の結果

自然災害による被害を受けた場合は、まずご自身が加入している保険証券を確認し、速やかに保険会社や代理店に連絡して相談してください。自己判断で工事を進めてしまうと、保険金が支払われない可能性もあるため、必ず事前に相談することが大切です。


5. 失敗しないアスベスト除去業者の選び方と見積もりの注意点

アスベスト 除去 費用

アスベスト除去は、専門的な知識と技術を要する非常に危険な作業です。費用だけでなく、安全性や信

頼性を最優先に考え、慎重に業者を選ばなくてはなりません。ここでは、信頼できる優良業者を見極めるためのポイントと、見積もり取得時の注意点を詳しく解説します。


5.1 信頼できる除去業者を見極めるポイント

アスベスト除去を依頼する業者を選ぶ際には、以下の点を必ず確認しましょう。複数の業者を比較検討し、総合的に判断することが失敗を防ぐ鍵となります。

チェック項目

確認すべき内容

許認可・資格の有無

都道府県知事などから「解体工事業登録」や「産業廃棄物収集運搬業許可」を受けているかを確認します。また、現場には「石綿作業主任者」という国家資格を持つ技術者の配置が義務付けられています。これらの許認可や資格の提示を求め、必ず確認しましょう。

アスベスト除去の実績

公式サイトの施工事例などで、戸建てやマンションなど、ご自身の建物と類似したアスベスト除去工事の実績が豊富かを確認します。経験豊富な業者は、様々な状況に的確に対応できるノウハウを持っています。

保険への加入状況

工事中の事故や近隣への万一の損害に備え、労働災害保険や損害賠償責任保険に加入しているかは必須の確認項目です。保険証券の写しを見せてもらうとより安心です。

丁寧で分かりやすい説明

アスベストの危険性、具体的な工事内容、安全対策、費用の内訳などについて、専門用語を多用せず、分かりやすく説明してくれる業者を選びましょう。質問に対して誠実かつ的確に回答してくれるかも重要な判断基準です。

自社施工かどうか

下請け業者に工事を丸投げする会社ではなく、調査から施工、廃棄物処理まで一貫して自社で管理・施工する業者がおすすめです。責任の所在が明確になり、品質管理や情報伝達がスムーズに行われます。

5.2 見積もり依頼時に確認すべき重要事項

複数の業者から見積もり(相見積もり)を取ることは、費用の適正価格を知る上で非常に重要です。見積書を受け取ったら、金額の安さだけで判断せず、以下の項目をしっかりと比較検討してください。

チェック項目

確認すべき内容

詳細な見積内訳

「工事一式」といった大雑把な記載ではなく、「足場設置」「隔離養生」「除去作業」「廃棄物運搬・処分費」「各種届出費用」など、項目ごとに単価と数量が明記されているかを確認します。内訳が不明瞭な場合は、詳細な説明を求めましょう。

作業範囲の明確さ

見積もりに含まれる工事の範囲がどこまでなのかを明確に確認します。例えば、屋根の除去工事の場合、除去後の屋根材の葺き替えは含まれているのか、別途費用なのかなどを事前に確認し、認識の齟齬を防ぎます。

安全対策の具体的内容

作業場の隔離養生、負圧除じん装置の設置、作業員の保護具着用、周辺へのアスベスト飛散防止対策など、どのような安全対策を講じるのか具体的に記載されているかを確認します。安全対策の費用を極端に削っている業者は危険です。

追加費用の可能性

どのような場合に追加費用が発生する可能性があるのかを事前に確認しておくことが重要です。「事前調査で判明しなかったアスベスト建材が見つかった場合」などの対応について、あらかじめ書面で取り交わしておくと安心です。

廃棄物の適正処理

除去したアスベスト含有廃棄物をどのように処理するのかを確認します。最終処分場までの流れを管理する「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」の写しを発行してもらえるかどうかも確認しましょう。不法投棄は排出者である施主の責任も問われる可能性があります。

5.3 注意!アスベスト除去の悪徳業者とトラブル事例

残念ながら、アスベスト除去工事には悪徳業者が存在するのも事実です。高額な費用を請求されたり、ずさんな工事で健康被害を引き起こしたりするケースもあります。以下のような手口には特に注意してください。

  • 極端に安い見積もりを提示する: 安全対策を怠ったり、アスベスト廃棄物を不法投棄したりして費用を削減している可能性があります。相場からかけ離れた安い見積もりには裏があると疑いましょう。

  • 突然訪問し不安を煽る: 「このままだと危険です」「近所で工事をしているので今なら安くできます」などと不安を煽り、契約を急がせる手口です。その場で契約せず、必ず複数の業者から話を聞きましょう。

  • 契約後に高額な追加工事を要求する: 当初は安い金額で契約させ、工事が始まってから「追加のアスベストが見つかった」などと理由をつけて高額な追加費用を請求するケースです。

  • 無資格・無許可での営業: 必要な許認可や資格を持たずに工事を行う違法業者です。適切な安全管理ができず、アスベスト飛散事故につながる危険性が非常に高くなります。

こうしたトラブルを避けるためにも、焦らず、複数の業者を比較検討し、見積書や契約書の内容を十分に確認することが何よりも大切です。少しでも疑問や不安を感じたら、納得できるまで説明を求め、安易に契約しないようにしましょう。


6. アスベスト除去工事の基本的な流れと期間

アスベスト 除去 費用

アスベスト除去工事は、作業員の安全と周辺環境への飛散防止を徹底するため、石綿障害予防規則(石綿則)などの法令に基づき、厳格な手順に沿って進められます。ここでは、事前調査から工事完了までの一般的な流れと、それぞれの工程にかかる期間の目安を解説します。実際の期間は、建物の規模やアスベストのレベル、含有量によって変動します。


6.1 事前調査から届出・工事完了まで

アスベスト除去工事は、大きく分けて「調査・計画」「準備・施工」「完了・処理」の3つのフェーズで進行します。各ステップの具体的な内容と期間の目安は以下の通りです。

ステップ

主な内容

期間の目安

1. 事前調査

設計図書などの書面調査と、現地での目視調査を行い、アスベスト含有の可能性がある建材を特定します。

数日~1週間程度

2. 分析調査

疑わしい建材から検体を採取し、専門の分析機関でアスベストの含有の有無、種類、含有率を調査します。

1週間~2週間程度

3. 施工計画・届出

調査結果に基づき、除去方法、作業手順、安全対策などを盛り込んだ施工計画書を作成します。その後、労働基準監督署や自治体へ工事計画の届出を行います。(工事開始の14日前までに届出が必要な場合があります)

1週間~2週間程度

4. 近隣への説明

工事の概要や期間、粉じん飛散防止対策などを記載した掲示板を設置し、必要に応じて近隣住民へ説明会などを実施します。

届出と並行

5. 準備工(隔離・養生)

除去作業を行う場所を、専用のプラスチックシートなどで完全に隔離(養生)します。内部の気圧を外部より低く保つための負圧除じん機を設置し、アスベストの飛散を防止します。

1日~数日

6. 除去作業

「石綿作業主任者」の監督のもと、作業員は専用の保護衣や防じんマスクを着用し、粉じんが飛散しないよう湿潤化剤を散布しながら、手作業で丁寧にアスベストを除去します。

数日~数週間

7. 清掃・濃度測定

除去作業後、高性能HEPAフィルター付きの真空掃除機で作業場所を清掃します。その後、隔離空間内の空気中にアスベスト繊維が浮遊していないか、濃度測定を行い安全を確認します。

1日~数日

8. 廃棄物処理

除去したアスベスト含有建材は、法令に従い専用の袋で二重に梱包し、許可を受けた産業廃棄物処理業者によって適正に処理されます。マニフェスト(産業廃棄物管理票)で処理工程を管理します。

除去作業完了後

9. 完了報告

隔離の撤去後、すべての作業が完了となります。発注者には、作業記録や写真、マニフェストの写しなどをまとめた完了報告書が提出されます。

1週間程度

上記はあくまで一連の流れと目安です。特に除去作業の期間は、アスベストのレベルや除去面積によって大きく変動します。正確なスケジュールについては、必ず専門業者に見積もりと合わせて確認するようにしましょう。


7. まとめ

アスベスト除去費用は、発じん性の高いレベル1からレベル3、屋根や外壁などの建材によって大きく変動します。費用を安く抑えるためには、国や自治体の補助金制度を確認し、複数の専門業者から相見積もりを取ることが不可欠です。しかし、最も重要なのは、安さだけで選ばず、法令を遵守する信頼できる業者を見極めることです。安全かつ適正な価格で工事を行うため、まずは専門業者に相談し、詳細な見積もりを取りましょう。

コメント


Louis Office

〒533-0014 大阪府大阪市東淀川区豊新1-19-4 山田ハイツII 豊新103
TEL:050-8890-1473
E-Mail:info.louisoffice@eggfamily.shop

Copyright © 株式会社Louis Office All rights Reserved.

bottom of page