アスベスト解体費用を種類別に徹底比較!補助金活用で賢くコストを削減する方法
- seira murata
- 8月28日
- 読了時間: 17分

アスベストを含む建物の解体費用は、建物の種類やアスベストのレベルによって大きく変動するため、相場が分かりにくいのが実情です。この記事では、一戸建てやマンションなどの種類別費用相場から、費用の内訳、高額になる要因までを徹底解説。さらに、国や自治体の補助金制度を活用して費用を賢く抑える方法や、信頼できる業者の選び方も紹介します。適正価格で安心して解体工事を依頼するための知識が身につきます。
1. アスベスト解体費用の相場と内訳を解説
アスベストを含む建物の解体費用は、通常の解体工事に加えて特殊な作業が必要となるため、高額になる傾向があります。アスベストの除去作業は、専門的な知識と技術、そして作業員の安全と周辺環境への飛散を防止するための厳格な措置が法律で定められているからです。ここでは、建物の種類に応じた費用相場と、費用の詳細な内訳について詳しく解説します。
1.1 建物の種類ごとのアスベスト解体費用相場
アスベストの解体費用は、建物の規模や構造、使用されているアスベスト建材の種類や量によって大きく変動します。以下に、建物の種類ごとの一般的な費用相場を示しますが、あくまで目安としてお考えください。正確な費用は、専門業者による現地調査と見積もりが必要です。
1.1.1 一戸建ての場合
一般的な木造一戸建て(延床面積30坪程度)では、屋根材や外壁材などの比較的発じん性が低い「レベル3」のアスベストが使用されているケースが多く見られます。ただし、古い住宅では内装材に吹付けアスベスト(レベル1)が使われている可能性もゼロではありません。
一戸建てのアスベスト除去費用相場(レベル3建材) | ||
除去箇所 | 建材の種類 | 費用相場(/㎡) |
屋根 | スレート屋根 | 2,000円~8,000円 |
外壁 | 窯業系サイディング | 2,000円~7,000円 |
内装 | ビニル床タイル | 1,500円~6,000円 |
一戸建て全体での除去費用は、アスベストの含有箇所や面積にもよりますが、20万円~100万円程度がひとつの目安となります。
1.1.2 マンションやアパートの場合
マンションやアパートなどの集合住宅では、共用部の廊下や階段の床材、天井の吹付け材、配管の保温材など、広範囲にアスベストが使用されている可能性があります。工事規模が大きくなるため、足場の設置費用なども含めて総額が高くなる傾向にあります。
マンション・アパートのアスベスト除去費用相場 | ||
除去箇所 | 建材の種類(レベル) | 費用相場(/㎡) |
天井・壁 | 吹付けアスベスト(レベル1) | 20,000円~85,000円 |
配管 | 保温材・断熱材(レベル2) | 10,000円~60,000円 |
床 | Pタイル(レベル3) | 1,500円~6,000円 |
特に危険性の高いレベル1の吹付けアスベストが発見された場合、工事は大掛かりになり、費用も数百万から数千万円に及ぶことがあります。
1.1.3 ビルや工場の場合
大規模なビルや工場では、鉄骨の耐火被覆材として吹付けアスベスト(レベル1)が使用されているケースが非常に多いです。また、ボイラー室や機械室の配管、煙突の断熱材など、構造が複雑な場所にアスベストが使われていることも少なくありません。
ビル・工場のアスベスト除去費用相場 | ||
除去箇所 | 建材の種類(レベル) | 費用相場(/㎡) |
鉄骨耐火被覆 | 吹付けアスベスト(レベル1) | 20,000円~85,000円 |
煙突・ダクト | 断熱材(レベル2) | 12,000円~70,000円 |
屋根 | 折板屋根用断熱材(レベル3) | 3,000円~10,000円 |
建物の規模や構造の複雑さから、費用はケースバイケースで大きく異なります。総額で数千万円から億単位の費用がかかることも珍しくありません。
1.2 アスベスト解体費用の詳しい内訳
アスベスト解体費用の見積もりは、様々な項目から構成されています。見積書を確認する際に、何にどれくらいの費用がかかっているのかを理解するために、主な内訳を把握しておきましょう。
アスベスト解体費用の内訳 | ||
項目 | 内容 | 費用相場 |
事前調査費用 | 設計図書での確認、現地での目視調査、検体の採取・分析を行う費用。 | 3万円~15万円/検体 |
届出書類作成・申請費用 | 労働基準監督署や自治体への計画届などの書類作成と提出を代行する費用。 | 3万円~10万円 |
仮設費用 | 作業場所の隔離養生、セキュリティゾーンの設置、足場、負圧除じん機などの設置費用。 | 5万円~50万円 |
除去作業費 | アスベスト含有建材の湿潤化、除去、袋詰めなどの作業員の人件費や保護具の費用。 | 費用の大部分を占める |
廃棄物運搬・処理費用 | 除去したアスベストを「特別管理産業廃棄物」として、法律に則って最終処分場まで運搬・処理する費用。 | 30,000円~80,000円/t |
その他諸経費 | 現場管理費、交通費、駐車場代、保険料など。 | 総額の10%~15% |
これらの項目が積み重なり、最終的なアスベスト解体費用が算出されます。特に、アスベストのレベルに応じた厳重な「仮設費用」と、特別に処理が必要な「廃棄物運搬・処理費用」が、通常の解体工事にはない追加コストとなります。
2. アスベスト解体費用が決まる4つの要因

アスベストの解体費用は、単に建物の広さだけで決まるわけではありません。アスベストの危険度や除去する場所、建物の状況など、複数の要因が複雑に絡み合って算出されます。ここでは、費用を左右する4つの主要な要因について詳しく解説します。
2.1 アスベストの種類(レベル)による費用の違い
アスベスト含有建材は、粉じんの飛散のしやすさ(発じん性)によって3つのレベルに分類されています。レベルが高いほど危険性が増し、飛散防止対策も厳重になるため、解体費用は高額になります。作業前には必ず専門家による事前調査が行われ、どのレベルに該当するかが判断されます。
2.1.1 レベル1 発じん性が著しく高い建材の費用
レベル1は、アスベスト含有吹付け材など、綿状で飛散リスクが最も高い建材が該当します。解体作業の際は、作業場所を完全に隔離するための養生や、内部の気圧を外部より低く保つ「負圧除じん装置」の設置が法律で義務付けられています。このように極めて厳重な管理と専門的な設備が必要となるため、費用は最も高額になります。
2.1.2 レベル2 発じん性が高い建材の費用
レベル2は、アスベスト含有保温材や耐火被覆材など、シート状の建材が該当します。レベル1ほどではありませんが発じん性が高く、解体時には湿潤化させるなどの措置に加え、レベル1に準じた飛散防止対策が求められます。作業計画の届出も必要となり、相応の費用がかかります。
2.1.3 レベル3 その他アスベスト含有建材の費用
レベル3は、スレート屋根材やPタイル、サイディングなど、硬い板状でアスベストが建材に練り込まれているものが該当します。通常の状態では飛散しにくい「非飛散性アスベスト」ですが、解体時に割ったり砕いたりすると飛散する危険性があるため、手作業で丁寧に取り外す必要があります。他のレベルに比べて費用は抑えられますが、適切な処理が不可欠です。
レベル | 発じん性 | 主な建材例 | 特徴・作業内容 |
レベル1 | 著しく高い | 石綿含有吹付け材、石綿含有保温材 | 作業場の完全隔離、負圧除じん装置の設置など、最も厳重な対策が必要。 |
レベル2 | 高い | 石綿含有耐火被覆材、石綿含有断熱材 | レベル1に準じた飛散防止対策が求められる。作業計画の届出が必要。 |
レベル3 | 比較的低い | スレート屋根材、ビニル床タイル(Pタイル)、窯業系サイディング | 破砕・切断を避け、湿潤化させて手作業で除去するのが基本。 |
2.2 アスベストの含有面積と場所
当然ながら、アスベストが使用されている面積が広ければ広いほど、除去費用や処分費用は増加します。ただし、単純な面積比例ではありません。たとえ小面積であっても、作業員の安全確保や養生、機材の搬入といった基本費用がかかるため、面積あたりの単価は割高になる傾向があります。
また、除去作業を行う場所も費用に大きく影響します。天井裏や壁の内部、複雑な配管周りなど、作業スペースが狭く、高所作業や手作業が多くなる場所は、作業効率が落ちるため人件費が加算され、費用が高くなります。
2.3 建物の構造と立地条件
建物の構造(木造、鉄骨造、RC造など)によって、解体の手順や難易度が変わるため費用も変動します。さらに、建物の立地条件も重要な要素です。
例えば、前面道路が狭く重機や廃棄物を運ぶトラックが進入できない場合、手作業での解体や小型車両での小運搬が必要となり、人件費や作業時間が増加します。また、隣家との距離が近い住宅密集地では、騒音や粉じん飛散防止のために、より丁寧な養生や防音シートの設置が求められ、追加費用が発生することがあります。
2.4 除去工事の方法と工期
アスベストの処理には、完全に除去する「除去工法」のほかに、薬剤で固めて飛散を防ぐ「封じ込め工法」や、板材などで覆って隔離する「囲い込み工法」があります。一般的に、根本的な対策となる除去工法が最も費用が高くなります。封じ込めや囲い込みは比較的安価ですが、アスベスト自体は建物内に残存するため、将来的なリスクを考慮する必要があります。
工事全体の期間(工期)も費用に影響します。工期が長引けば、その分人件費や現場管理費、機材のレンタル費用などがかさみます。特に、アスベストレベル1や2の除去工事は、事前調査や行政への届出、厳重な養生、作業後の空気環境測定など多くの工程を要するため、工期が長くなる傾向にあります。
3. アスベスト解体費用を抑える補助金活用術

高額になりがちなアスベストの解体・除去費用ですが、国や地方自治体が設けている補助金制度を活用することで、経済的な負担を大幅に軽減できる可能性があります。ここでは、賢くコストを削減するための補助金活用術について詳しく解説します。
3.1 国や自治体のアスベスト除去に関する補助金制度
アスベスト除去に関する補助金は、主に地方自治体(都道府県や市区町村)が窓口となり、国の補助制度と連携して実施されています。制度の有無や内容は自治体によって異なりますが、一般的には以下のような費用が補助の対象となります。
補助対象の費用 | 内容 | 補助率・上限額の目安 |
アスベスト含有調査費用 | 建材にアスベストが含まれているかを調べる分析調査にかかる費用。 | 費用の1/2~全額(上限10万円~25万円程度) |
アスベスト除去等工事費用 | 吹付けアスベストなどの除去、封じ込め、囲い込み工事にかかる費用。 | 費用の1/3~2/3(上限数十万円~数百万円程度) |
補助の対象となる建築物は、多くの自治体で多数の人が利用する民間建築物(共同住宅、工場、店舗など)が主ですが、個人の住宅を対象とする制度を設けている場合もあります。補助金制度は予算の上限に達し次第、年度の途中でも受付を終了することがあるため、早めに情報を確認することが重要です。
3.2 補助金申請の流れと注意点
補助金を利用するためには、定められた手順に沿って申請を行う必要があります。一般的な申請の流れは以下の通りです。
お住まいの自治体の担当窓口(建築指導課など)へ事前相談
補助金交付申請書の提出(工事の見積書、調査結果報告書などを添付)
自治体による審査・交付決定通知の受領
アスベスト除去工事の契約・着工
工事完了後、実績報告書の提出
自治体による完了検査・補助金額の確定
補助金の受領
補助金申請において、最も注意すべき点は必ず工事に着手する前に申請を行い、自治体からの「交付決定通知」を受けてから契約・着工しなければならないことです。交付決定前に着工してしまうと、補助金の対象外となってしまうため、絶対に避けてください。また、申請手続きには時間がかかる場合があるため、解体工事のスケジュールには余裕を持たせましょう。
3.3 お住まいの地域の補助金制度を調べる方法
ご自身が所有する建物で利用できる補助金制度を調べるには、以下の方法が確実です。
市区町村のウェブサイトで確認する
「〇〇市 アスベスト 補助金」や「〇〇区 助成金 アスベスト調査」といったキーワードで検索すると、関連情報が見つかることが多いです。
自治体の担当窓口に直接問い合わせる
最も確実な方法は、建物の所在地を管轄する市区町村の建築指導課や環境保全課などに電話で問い合わせることです。制度の有無だけでなく、対象条件や申請期間などの詳細も確認できます。
解体業者に相談する
地域のアスベスト解体実績が豊富な業者は、利用可能な補助金制度に詳しい場合があります。業者選定の際に、補助金活用のサポートが可能かどうかも確認してみると良いでしょう。
自治体ごとに制度が大きく異なるため、まずはご自身の地域の情報を正確に把握することが、費用を抑えるための第一歩となります。
4. アスベスト解体の流れと期間

アスベストの解体・除去工事は、作業員の安全と周辺環境への配慮が最優先されるため、法律に基づいた厳格な手順で進められます。事前調査から工事完了まで、どのようなステップを踏むのか、またどれくらいの期間が必要になるのかを具体的に見ていきましょう。
4.1 事前調査から工事完了までのステップ
アスベスト解体工事は、調査から廃棄物処理まで多岐にわたる工程があります。建物の規模やアスベストのレベルによって期間は変動しますが、一般的な一戸建ての場合でも、調査開始から工事完了まで1ヶ月〜数ヶ月を要することが多く、余裕を持った計画が不可欠です。
ステップ | 主な内容 | 期間の目安 |
1. 事前調査・分析 | 設計図書等の確認と現地での目視調査を行います。必要に応じて建材を採取し、専門機関でアスベスト含有の有無・種類を分析します。 | 1日~2週間程度 |
2. 工事計画・見積もり | 調査結果に基づき、アスベストのレベルに応じた除去方法、作業手順、安全対策などを盛り込んだ施工計画書を作成し、見積もりを提示します。 | 3日~1週間程度 |
3. 各種届出 | 労働基準監督署や自治体など、関係各所へ法律に基づいた届出書類を提出します。 | 1日~(届出受理まで約2週間) |
4. 近隣への説明 | 工事内容、期間、安全対策について、近隣住民の方々へ丁寧に説明を行います。トラブルを未然に防ぐ重要な工程です。 | 1日~数日 |
5. 準備・養生作業 | 作業区域をビニールシート等で完全に隔離(養生)し、負圧除じん機を設置して、アスベスト繊維が外部へ飛散しない環境を整えます。 | 1日~3日程度 |
6. 除去工事 | 作業員は専用の保護衣・マスクを着用し、湿潤化剤でアスベストを湿らせながら、手作業で慎重に除去・撤去します。 | 数日~数週間 |
7. 清掃・濃度測定 | 高性能真空掃除機(HEPAフィルター付き)で清掃後、飛散防止剤を散布。空気中のアスベスト濃度を測定し、安全基準値以下であることを確認します。 | 1日~2日程度 |
8. 廃棄物処理 | 除去したアスベスト含有建材を、二重に密閉梱包し、「特別管理産業廃棄物」として法律に則り、許可を得た最終処分場へ運搬・処分します。 | 1日~ |
9. 完了報告 | 全ての工程が完了した後、作業内容や各種記録をまとめた完了報告書を発注者へ提出します。 | 1日~ |
※上記期間はあくまで目安です。建物の規模、アスベストの含有量や場所、除去方法によって大きく変動します。
4.2 必要な届出と法的手続き
アスベスト解体工事を行う際には、「大気汚染防止法」や「石綿障害予防規則」などに基づき、工事開始の14日前までに所定の行政機関への届出が義務付けられています。これらの手続きは、発注者ではなく元請業者が行う責任がありますが、発注者側も適正に行われているかを確認することが重要です。
届出の種類 | 主な提出先 | 対象となる工事 | 根拠法 |
特定粉じん排出等作業実施届出書 | 都道府県・市など | レベル1、レベル2建材の除去工事 | 大気汚染防止法 |
建設工事計画届 | 労働基準監督署 | レベル1建材の除去工事(一定規模以上) | 労働安全衛生法 |
建築物解体等作業届 | 労働基準監督署 | レベル1、レベル2建材の除去工事 | 石綿障害予防規則 |
事前調査結果の報告 | 労働基準監督署(電子システム) | 一定規模以上の解体・改修工事(アスベストの有無に関わらず必要) | 石綿障害予防規則 |
これらの届出を怠ると、業者だけでなく発注者にも罰則が科される可能性があります。契約前には、業者がこれらの法的手続きに精通しているか、必ず確認するようにしましょう。
5. 信頼できるアスベスト解体業者の選び方

アスベスト解体工事は、専門的な知識と技術が求められるだけでなく、関連法規を遵守する必要がある非常にデリケートな工事です。費用だけで業者を選んでしまうと、不適切な工事による健康被害や近隣トラブル、後からの追加請求といった問題に発展しかねません。ここでは、安心して工事を任せられる信頼できる業者を見極めるための方法を詳しく解説します。
5.1 優良業者を見分ける5つのチェックポイント
優良な解体業者を選ぶためには、いくつかの重要なポイントを確認する必要があります。以下の5つのチェックポイントを参考に、複数の業者を比較検討しましょう。
5.1.1 1. 必要な許認可や資格を保有しているか
アスベスト解体工事を行うには、国や都道府県から正式な許可を得ている必要があります。また、現場には有資格者を配置することが法律で義務付けられています。これらの許認可や資格がない業者は違法業者であり、絶対に契約してはいけません。見積もり依頼時や契約前に、必ず以下の許認可・資格の有無を確認しましょう。
分類 | 許認可・資格の名称 | 確認するポイント |
会社の許認可 | 建設業許可(解体工事業) | 500万円以上の解体工事を請け負うために必要。許可番号を確認しましょう。 |
会社の許認可 | 産業廃棄物収集運搬業許可 | アスベストを含む廃棄物を運搬するために必須の許可です。 |
作業員の資格 | 石綿作業主任者 | アスベスト除去作業の現場で、作業員への指揮・監督を行うために必要な国家資格です。 |
作業員の資格 | 特別管理産業廃棄物管理責任者 | 除去したアスベスト(廃石綿)を適正に管理するために必要な資格です。 |
5.1.2 2. アスベスト除去工事の実績が豊富か
アスベスト除去は建物の構造やアスベストのレベルによって工法が異なります。自社の建物と類似した条件での施工実績が豊富かどうかは、業者の技術力と経験を判断する重要な指標となります。業者のウェブサイトで施工事例を確認したり、直接問い合わせて過去の実績について説明を求めたりすることをおすすめします。
5.1.3 3. 事前調査から報告書作成まで一貫して対応できるか
アスベスト解体は、事前調査、施工計画の作成、行政への届出、除去工事、廃棄物の適正処理、完了報告まで、一連の流れがあります。これらの工程をすべて一貫して管理・対応できる業者であれば、責任の所在が明確で、スムーズな工事進行が期待できます。外部の業者に丸投げするのではなく、自社で責任を持って管理できる体制が整っているかを確認しましょう。
5.1.4 4. 賠償責任保険に加入しているか
どれだけ優良な業者でも、工事中に万が一の事故が起こる可能性はゼロではありません。アスベストの飛散事故や近隣の建物への損害、作業員の負傷などに備え、賠償責任保険に加入しているかを確認することは非常に重要です。保険への加入は、業者のリスク管理に対する意識の高さを示すバロメーターにもなります。
5.1.5 5. 丁寧な説明と明確な見積もりを提示してくれるか
専門用語を並べるのではなく、工事内容やアスベスト除去のリスク、安全対策について、依頼者が納得できるまで分かりやすく説明してくれる業者は信頼できます。また、見積書が「一式」などの大雑把な記載ではなく、仮設費用、除去費用、廃棄物処理費用といった項目ごとに単価や数量が明記されているかどうかも、誠実さを見極めるポイントです。
5.2 見積もりを比較する際の注意点
信頼できる業者を選ぶためには、必ず3社程度の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。その際、単に総額の安さだけで判断するのではなく、以下の点に注意して慎重に比較検討することが大切です。
5.2.1 安すぎる見積もりには警戒する
相場よりも極端に安い見積もりを提示する業者には注意が必要です。コストを削減するために、法律で定められた安全対策を怠ったり、除去したアスベストを不法投棄したりする悪徳業者の可能性があります。適正な工事には、飛散防止対策や作業員の保護、適切な廃棄物処理に相応の費用がかかります。安さの裏にあるリスクを十分に理解しましょう。
5.2.2 見積もりの項目を詳細に比較する
総額だけでなく、見積書の内訳を細かく見比べることが重要です。各社で項目名が異なる場合もありますが、以下の内容が含まれているか、またその金額が妥当かを確認しましょう。
事前調査費用:アスベストの有無や種類を分析するための費用。
届出書類作成費用:労働基準監督署や自治体への提出書類を作成する費用。
仮設工事費:足場、養生シート、セキュリティゾーンの設置など、安全対策に関わる費用。
除去工事費:アスベストの除去作業そのものにかかる人件費や機材費。
廃棄物運搬・処分費:除去したアスベストを法律に則って最終処分場まで運搬・処分する費用。
諸経費:現場管理費や保険料など。
特定の項目が極端に安い、あるいは含まれていない場合は、その理由を業者に確認する必要があります。
5.2.3 追加費用の発生条件を確認しておく
「工事を進めてみたら、図面にないアスベストが見つかった」など、予期せぬ事態で追加費用が発生するケースがあります。どのような場合に追加費用が発生するのか、その際の費用算出の根拠は何かを契約前に必ず書面で確認し、後々のトラブルを防ぎましょう。
6. まとめ
アスベスト解体費用は、建物の種類やアスベストのレベル、含有面積など複数の要因で大きく変動します。特に発じん性が著しく高いレベル1は、厳重な管理が必要なため高額になる傾向があります。費用を抑えるためには、国や自治体が設けている補助金制度の活用が非常に有効です。安全かつ適正価格で解体工事を行うためには、信頼できる専門業者に相談し、複数の見積もりを比較検討することが不可欠です。まずは専門業者による事前調査を依頼し、正確な費用と利用可能な補助金を確認することから始めましょう。
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