アスベスト調査の費用を種類別に比較!義務化に対応した優良業者の選び方とは
- seira murata
- 2025年8月19日
- 読了時間: 20分

アスベスト調査の費用はいくらかかるのか、法改正で義務化されたけれど何から始めればよいかお悩みではありませんか。本記事では、調査の種類別・建物別の費用相場から、国や自治体の補助金を使って費用を抑える方法まで詳しく解説します。正確な調査を適正価格で行うには、複数の業者から相見積もりを取り、資格や実績を比較することが重要です。信頼できる優良業者の選び方や調査の流れも分かり、安心して依頼先を見つけられます。
1. アスベスト調査は義務です 2022年の法改正で何が変わった?
建物の解体やリフォームを検討する際、アスベスト(石綿)調査は避けて通れない重要なプロセスです。かつては特定の条件下でのみ必要とされていましたが、法改正によりその対象が大きく広がりました。ここでは、2022年4月1日に施行された改正労働安全衛生法(石綿障害予防規則)のポイントを解説し、なぜアスベスト調査が「義務」となったのかを明らかにします。
1.1 アスベスト調査の義務化とは 対象となる工事の範囲
2022年4月1日から、建物の解体・改修工事を行う際には、規模の大小や金額にかかわらず、アスベストの有無を事前に調査することが全面的に義務化されました。これは、作業員や周辺住民をアスベストによる健康被害から守るための重要な措置です。
これまで対象外とされていた小規模なリフォームや内装の改修工事なども、原則としてすべて事前調査の対象となります。具体的にどのような工事が対象になるのか、以下の表で確認しましょう。
項目 | 詳細 |
対象となる工事 | 建築物の解体、改修(リフォーム、リノベーションなど)、工作物(貯蔵槽、ボイラー、煙突など)の解体・改修工事全般 |
対象となる建材 | 屋根材、外壁材、天井材、壁材、床材、断熱材、保温材、耐火被覆材、配管の継手(パッキン)など、アスベスト含有の可能性があるすべての建材 |
調査が不要なケースの例 | ・釘を打つ、ビスを留めるなど、建材に損傷を与えない軽微な作業 ・既存の塗装の上から新たに塗装を行う作業 ・木材、金属、石、ガラスなど、アスベストが含まれていないことが明らかな材料のみで構成されている部分の工事 |
このように、ごく一部の例外を除き、ほとんどの工事で事前調査が必須です。「うちの工事は小さいから大丈夫だろう」という自己判断は非常に危険ですので、必ず専門家にご相談ください。
1.2 事前調査結果の報告義務について
事前調査の実施義務に加え、一定規模以上の工事では、調査結果を労働基準監督署へ電子システム(石綿事前調査結果報告システム)で報告することも義務付けられています。この報告は、アスベストの含有が「有り」でも「無し」でも、どちらの場合でも必要です。
報告義務の対象となる工事の規模は以下の通りです。
解体工事:解体する部分の床面積の合計が80平方メートル以上のもの
改修工事:請負金額が100万円(税込)以上のもの
特定の工作物の解体・改修工事:請負金額が100万円(税込)以上のもの
この報告は元請業者が行う義務がありますが、施主様もご自身の工事が適切に報告されているかを確認することが大切です。報告を怠ると罰則の対象となるため、業者選定の際には報告手続きまで責任を持って対応してくれるかを確認しましょう。
1.3 調査をしなかった場合の罰則とリスク
アスベストの事前調査や結果の報告を怠った場合、法律に基づく罰則が科せられます。具体的には、労働安全衛生法第100条(報告等)および第119条に基づき、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
しかし、リスクは罰金だけではありません。無調査で工事を進めてしまうことには、さらに深刻な問題が潜んでいます。
健康被害のリスク:最も重大なリスクです。アスベスト含有建材を知らずに解体・破壊すると、目に見えないアスベスト繊維が飛散し、作業員や近隣住民が吸い込んでしまう恐れがあります。アスベストは肺がんや中皮腫といった深刻な病気の原因となり、その影響は数十年後に現れることもあります。
工事中断のリスク:調査義務違反が発覚した場合、行政から工事の中止命令が出されることがあります。工期が大幅に遅れるだけでなく、計画そのものが見直しを迫られる可能性もあります。
近隣トラブルと信用の失墜:アスベスト飛散への不安から近隣住民との間でトラブルに発展したり、企業の社会的信用を大きく損なったりする原因となります。
アスベスト調査は、単なる法律上の義務ではなく、人々の健康と安全な環境を守り、工事を円滑に進めるために不可欠なプロセスなのです。
2. アスベスト調査の費用相場 種類別の内訳を徹底解説

アスベスト調査にかかる費用は、調査内容や建物の規模・構造によって大きく変動します。解体やリフォーム工事を計画する上で、費用の全体像を把握しておくことは非常に重要です。ここでは、調査の種類別、建物の種類別に具体的な費用相場と内訳を詳しく解説します。
2.1 【調査の種類別】費用の目安
アスベスト調査は、大きく「書面調査」「現地調査」「分析調査」の3つのステップで進められます。それぞれの調査内容と費用相場は以下の通りです。
調査の種類 | 費用相場 | 主な調査内容 |
書面調査(図面調査) | 20,000円~50,000円程度 | 設計図書、施工記録、メンテナンス記録などの書類を確認し、アスベスト含有建材の使用履歴を調査します。 |
現地調査(目視調査) | 30,000円~100,000円程度 | 資格者が現地で建材を目視で確認し、アスベスト含有の可能性がある建材を特定します。建物の規模により変動します。 |
分析調査(検体採取・分析) | 1検体あたり 30,000円~100,000円程度 | 現地調査で特定した建材の一部を採取(サンプリング)し、専門の分析機関でアスベストの有無や種類を分析します。 |
多くの場合、「書面調査」と「現地調査」はセットで行われます。その上で、アスベスト含有の疑いがある建材が見つかった場合に「分析調査」が必要となります。最終的な総額は、分析調査の検体数によって大きく左右されることを覚えておきましょう。
2.1.1 書面調査(図面調査)の費用
書面調査は、設計図書や竣工図などの資料をもとに、アスベストが使用されている可能性のある建材を洗い出す初期段階の調査です。費用相場は2万円~5万円程度です。この段階でアスベスト含有建材が使用されていないことが明確になれば、調査は完了となり、費用を最も安く抑えることができます。しかし、古い建物で図面が残っていない場合は、現地調査が必須となります。
2.1.2 現地調査(目視調査)の費用
現地調査は、建築物石綿含有建材調査者の資格を持つ専門家が、実際に建物を訪れて目視で調査を行います。費用相場は3万円~10万円程度で、建物の延床面積や部屋数、構造の複雑さによって変動します。書面調査とセットで見積もりが出されることが一般的です。目視で明らかにアスベスト非含有と判断できる建材以外は、分析調査の対象候補となります。
2.1.3 分析調査(検体採取・分析)の費用
分析調査は、現地調査で特定された建材を採取し、顕微鏡などを用いてアスベストの含有を調べる科学的な調査です。費用は1検体あたり3万円~10万円が相場で、アスベストの有無を調べる「定性分析」か、含有率まで調べる「定量分析」かによっても費用が異なります。複数の箇所から検体を採取する必要がある場合、その数に応じて費用が加算されていきます。
2.2 【建物の種類別】アスベスト調査費用の総額例
建物の種類や規模によって、調査が必要な範囲や分析検体数が変わるため、総額も大きく異なります。ここでは、一般的な建物の種類別に、書面調査から分析調査まで含めた費用の総額例をご紹介します。
2.2.1 戸建て住宅の場合
一般的な木造2階建ての戸建て住宅(延床面積100㎡~150㎡程度)の場合、アスベスト調査の費用総額は5万円~20万円程度が目安です。屋根材、外壁材、内装材(天井、壁、床)、断熱材などが主な調査対象となります。過去に増改築やリフォームを繰り返している場合は、調査箇所が増え、費用が相場より高くなる可能性があります。
2.2.2 マンション・アパートの場合
マンションやアパートの場合、調査範囲によって費用が大きく異なります。1室のみの内装リフォームに伴う調査であれば10万円前後から可能ですが、建物全体の解体を前提とした調査では10万円~50万円以上かかることもあります。吹付材や保温材、共用廊下や階段の床材など、調査対象が多岐にわたるため、戸建て住宅に比べて高額になる傾向があります。
2.2.3 ビル・工場の場合
鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)のビルや工場は、構造が複雑で延床面積も広いため、調査費用は高額になります。総額は20万円~100万円以上と幅広く、建物の規模や用途によっては数百万単位になるケースも少なくありません。特に、鉄骨の耐火被覆材として吹付アスベストが使用されている可能性があり、その場合は調査も除去も大掛かりになります。
2.3 アスベスト調査の費用を左右する要因
アスベスト調査の見積もり額は、様々な要因によって変動します。費用を左右する主な要因は以下の通りです。
建物の延床面積や階数:建物が広く、階数が多いほど調査範囲が広がり、費用は高くなります。
建物の構造と用途:木造より鉄骨造、住宅より工場の方が、使用されている建材の種類が多く複雑なため、費用が高くなる傾向があります。
設計図書など資料の有無:図面などの資料が揃っていると書面調査がスムーズに進み、費用を抑えられる場合があります。
分析調査の検体数:最も費用に影響する要因です。アスベスト含有が疑われる建材の種類や箇所が多いほど、検体数が増え費用が加算されます。
調査の難易度:天井裏や高所など、特殊な足場や機材が必要な場所の調査は、追加費用が発生することがあります。
出張費などの諸経費:調査会社の所在地から現場までの距離によって、出張費が加算される場合があります。
3. アスベスト調査の費用を安く抑える方法はある?

アスベスト調査は法律で義務付けられていますが、その費用は決して安価ではありません。しかし、いくつかの方法を活用することで、調査にかかる経済的な負担を軽減することが可能です。ここでは、費用を賢く抑えるための具体的な方法として「補助金・助成金制度の活用」と「複数業者からの相見積もり」について詳しく解説します。
3.1 国や自治体のアスベスト調査に関する補助金・助成金制度
アスベストの飛散防止を推進するため、国や多くの地方自治体が調査や除去工事に対する補助金・助成金制度を設けています。これらを活用することで、調査費用の一部、場合によっては全額に近い補助を受けられる可能性があります。
制度の内容は自治体によって大きく異なりますが、一般的に以下のような経費が補助対象となります。
アスベスト含有の有無を調べるための分析調査費用
アスベストの除去、封じ込め、囲い込みといった対策工事費用
まずは、建物の所在地を管轄する市区町村のホームページで「アスベスト 補助金」などのキーワードで検索するか、環境保全課や建築指導課といった担当部署に直接問い合わせてみましょう。国土交通省の「地方公共団体における住宅・建築物のアスベスト対策に関する支援制度」のページでも各自治体の制度を検索できます。
表:アスベスト関連の補助金制度の例(※内容は自治体により異なります) | |
項目 | 内容の例 |
対象となる建物 | 個人住宅、分譲マンション、事業用の建築物など |
対象者 | 建物の所有者(個人・法人)、管理組合など |
補助対象経費 | 吹付け建材等の分析調査費用、除去等工事費用 |
補助額(補助率) | ・分析調査:費用の全額(上限10万円~25万円程度) ・除去工事:費用の2分の1~3分の2(上限数十万円~数百万円程度) |
3.2 補助金制度を利用する際の注意点
非常に有用な補助金制度ですが、利用する際にはいくつか注意すべき点があります。後で「対象外だった」ということにならないよう、事前にしっかりと確認しておきましょう。
申請のタイミング:最も重要な注意点として、ほとんどの補助金は調査や工事の「契約前」または「着手前」に申請が必要です。すでに契約・着手してしまった場合は対象外となるため、必ず業者に依頼する前に自治体へ相談してください。
予算の上限:自治体の補助金は年度ごとに予算が定められています。申請が予算の上限に達した時点で受付が終了してしまうため、制度の利用を検討している場合は早めに手続きを進めることをおすすめします。
対象条件の確認:建物の用途や規模、使用されている建材の種類、申請者の所得など、自治体ごとに細かな条件が定められています。ご自身のケースが補助対象になるか、要綱を詳しく確認する必要があります。
必要書類の準備:申請には、見積書、建物の図面、現地の写真など、様々な書類の提出が求められます。不備なくスムーズに申請できるよう、事前に必要書類をリストアップしておきましょう。
3.3 複数の業者から相見積もりを取る重要性
補助金の活用と並行して必ず行いたいのが、複数の調査会社から見積もりを取る「相見積もり」です。アスベスト調査の費用には定価がなく、業者によって金額が異なるため、1社だけの見積もりではその金額が適正かどうか判断できません。
最低でも2〜3社から相見積もりを取り、費用やサービス内容を比較検討することで、以下のようなメリットが得られます。
ご自身の建物の調査費用の適正な相場がわかる
不当に高額な請求をする悪質な業者を避けられる
調査内容、報告書の質、担当者の対応などを比較し、最も信頼できる業者を選べる
ただし、単に「一番安い業者」を選ぶのは避けるべきです。安さだけを追求するあまり、必要な調査が省略されたり、報告書の内容が不十分だったりするケースも考えられます。見積書の内訳が明確で、調査内容について丁寧に説明してくれる、信頼性の高い業者を選ぶことが、最終的な満足度に繋がります。
4. 失敗しないアスベスト調査会社の選び方 5つのポイント

アスベスト調査は専門性が高く、建物の所有者や利用者の安全に直結する重要な業務です。そのため、業者選びは慎重に行わなければなりません。ここでは、信頼できる優良なアスベスト調査会社を見極めるための5つのポイントを解説します。
4.1 必要な資格を保有しているか確認する
アスベスト調査を行うには、専門的な知識と技術を証明する国家資格が必要です。2023年10月1日の法改正により、建築物のアスベスト事前調査は厚生労働大臣が定める講習を修了した者、すなわち有資格者が行うことが義務化されました。資格を持たない業者による調査は法令違反となるだけでなく、調査の信頼性も担保されません。必ず資格保有者が在籍しているか、ウェブサイトや見積もり依頼時に確認しましょう。
4.1.1 建築物石綿含有建材調査者とは
アスベスト調査に必要な資格が「建築物石綿含有建材調査者」です。この資格は、調査対象となる建物の構造によって、必要な種類が異なります。依頼する建物の規模に応じた資格を持つ調査会社を選ぶことが重要です。
資格の種類 | 調査可能な建築物の範囲 |
特定建築物石綿含有建材調査者 | すべての建築物(工場、ビル、共同住宅、戸建てなど) |
一般建築物石綿含有建材調査者 | すべての建築物(特定建築物石綿含有建材調査者と同様) |
一戸建て等石綿含有建材調査者 | 一戸建て住宅や共同住宅の住戸の内部など(延べ面積の規模要件なし) |
※一般と特定は受講要件が異なるのみで、調査可能な範囲は同じです。複雑な構造のビルや大規模な工場などを調査する場合は、より高度な知識を持つ「特定建築物石綿含有建材調査者」が在籍していると、さらに安心です。
4.2 調査実績が豊富か
アスベスト含有建材は、建物の様々な箇所に、多種多様な形で使用されています。そのため、経験豊富な調査員でなければ見落としてしまうリスクがあります。アスベストの見落としは、後の解体・改修工事における作業員の健康被害や、周辺環境への飛散、さらには工事の遅延や追加費用といった深刻な問題に直結します。
業者のウェブサイトで、これまでの調査実績(件数や建物の種類)を確認しましょう。特に、自分が依頼したい建物(戸建て、マンション、店舗、工場など)と同様の建物の調査実績が豊富であれば、より信頼性が高いと判断できます。
4.3 見積もりの内容が明確で分かりやすいか
複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」は必須ですが、その内容を比較検討する際には、金額の安さだけで判断してはいけません。重要なのは、見積もりの内訳が明確であることです。
「調査費用一式」といった曖昧な記載ではなく、「書面調査」「現地調査」「分析調査(検体数×単価)」のように、各項目の費用が具体的に記載されているかを確認してください。また、分析調査が必要になった場合の費用や、交通費などの諸経費についても明記されているかチェックしましょう。不明瞭な点があれば、契約前に必ず質問し、納得のいく説明を求めることが大切です。誠実な業者であれば、丁寧に回答してくれるはずです。
4.4 調査から報告書作成まで一貫して対応可能か
アスベスト調査では、調査を実施するだけでなく、その結果をまとめた「調査結果報告書」を作成し、行政へ電子システムで報告するまでが一連の流れとなります。業者によっては、調査は自社で行い、分析や報告書作成は外部に委託するケースもあります。
調査から分析、報告書の作成、行政への報告までをすべて自社で一貫して(ワンストップで)対応できる業者を選ぶことをお勧めします。責任の所在が明確になり、情報伝達もスムーズなため、迅速かつ正確な対応が期待できます。また、万が一アスベストが検出された場合に、除去工事まで対応できる業者であれば、その後の工程も安心して任せることができます。
4.5 丁寧な説明とコミュニケーションが取れるか
アスベスト調査には専門用語が多く、一般の方には分かりにくい点も少なくありません。そのため、調査内容や結果、法的な義務について、こちらのレベルに合わせて分かりやすく説明してくれる業者は信頼できます。
問い合わせ時の電話対応やメールの返信の速さ・丁寧さも判断材料になります。こちらの疑問や不安に真摯に耳を傾け、専門家の視点から的確なアドバイスをくれる担当者がいるかどうかが、安心して調査を任せられるかを見極める重要なポイントです。見積もり依頼の段階から、コミュニケーションが円滑に取れる業者を選びましょう。
5. アスベスト調査を依頼してから完了するまでの流れ

アスベスト調査を依頼する際、どのような手順で進むのか不安に思う方も多いでしょう。ここでは、専門業者への問い合わせから調査結果報告書の受領まで、一連の流れを5つのステップに分けて具体的に解説します。全体像を把握しておくことで、スムーズに調査を進めることができます。
5.1 ステップ1 調査会社への問い合わせと相談
まずは、アスベスト調査を行っている専門会社に電話やウェブサイトのフォームから問い合わせを行います。この段階で、建物の情報(所在地、構造、延床面積、築年数など)、工事の予定、図面の有無などを伝えると、その後の相談がスムーズに進みます。
多くの業者では無料相談に応じており、調査の必要性やおおまかな費用感、今後の流れについて説明を受けることができます。不明点や不安なことがあれば、この時点で遠慮なく質問しましょう。
5.2 ステップ2 見積もりの依頼と契約
相談内容に基づき、調査会社に正式な見積もりを依頼します。正確な費用を算出するため、現地確認が必要になる場合もあります。複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行うことで、費用の適正価格を把握し、サービス内容を比較検討することができます。
見積書を受け取ったら、調査範囲、費用の内訳(書面調査、現地調査、分析調査など)、報告書作成費用、出張費の有無などを細かく確認しましょう。内容に納得できたら、契約手続きに進みます。契約書の内容もしっかりと確認し、不明な点は契約前に解消しておくことが重要です。
5.3 ステップ3 書面調査と現地調査の実施
契約後、専門の資格者(建築物石綿含有建材調査者)による調査が開始されます。まず、設計図書や竣工図、過去の修繕記録などの書類を確認し、アスベスト含有の可能性がある建材が使用されているかを確認します(書面調査)。
その後、資格者が実際に現地を訪れ、書面情報と現場の状況を照らし合わせながら、目視で建材を確認していきます(現地調査)。壁材、天井材、床材、断熱材、配管の保温材など、疑わしい箇所をくまなくチェックします。
5.4 ステップ4 分析調査(必要な場合)
書面調査や現地調査だけではアスベスト含有の有無が判断できない建材があった場合、分析調査へと進みます。この調査は、アスベストの有無を確定させるための最も確実な方法です。
資格者が現地で対象の建材からごく一部を採取(検体採取)し、専門の分析機関に送付します。分析機関では、JIS A 1481規格群などの公定法に基づき、偏光顕微鏡などを用いてアスベスト繊維が含まれているか、またその種類は何かを詳細に分析します。分析調査には別途費用と日数がかかります。
5.5 ステップ5 調査結果報告書の受領
すべての調査が完了すると、結果をまとめた「アスベスト調査結果報告書」が作成され、依頼者に提出されます。報告書には、調査対象の概要、調査方法、各建材のアスベスト含有の有無、含有箇所を示した図面や写真などが詳細に記載されています。
この報告書は、解体・改修工事を行う際に労働基準監督署や自治体へ提出が義務付けられているほか、建物の記録として3年間(工事開始後)保管する義務がある非常に重要な書類です。大切に保管してください。
6. アスベスト調査の費用に関するよくある質問

アスベスト調査を初めて依頼する方にとって、費用以外にも様々な疑問が浮かぶことでしょう。ここでは、アスベスト調査の費用に関連して特にお問い合わせの多い質問について、分かりやすくお答えします。
6.1 調査にかかる期間はどのくらいですか
アスベスト調査にかかる期間は、建物の規模や構造、調査の種類によって異なります。一般的な目安は以下の通りです。
調査の種類 | 期間の目安 | 備考 |
書面調査・現地調査 | 1日~数日程度 | 建物の規模や図面などの資料の有無によって変動します。 |
分析調査 | 検体採取後5日~2週間程度 | 分析機関の混雑状況や、分析方法によって結果が出るまでの期間が変わります。 |
解体や改修工事のスケジュールが決まっている場合は、報告書の作成期間も考慮し、余裕を持ったスケジュールで調査を依頼することが重要です。正確な期間については、依頼する調査会社に直接確認しましょう。
6.2 見積もりだけでも費用はかかりますか
多くの調査会社では、見積もりの作成自体は無料で行っています。複数の業者に相談し、サービス内容や費用を比較検討するために、相見積もりを取得するのが一般的です。
ただし、見積もりを作成するために詳細な現地確認が必要な場合や、調査対象の場所が遠隔地である場合など、一部のケースでは出張費などの実費を請求される可能性もゼロではありません。トラブルを避けるためにも、問い合わせの段階で「見積もりは無料か」「費用が発生するケースはあるか」を必ず確認するようにしてください。
6.3 調査報告書はどのようなものですか
アスベスト調査報告書は、調査結果をまとめた公式な書類であり、法律で定められた様式に則って作成されます。この報告書は、解体・改修工事を行う際の行政への届出や、工事関係者への情報共有に不可欠なものです。主な記載内容は以下の通りです。
調査対象となった建築物の概要(所在地、構造、延べ面積など)
調査年月日および調査方法
調査を行った者の氏名および資格情報(建築物石綿含有建材調査者など)
石綿(アスベスト)含有建材の有無
アスベストが有る場合の建材の種類、使用箇所、範囲(写真や図面を含む)
分析調査を行った場合はその結果詳細
この報告書は、労働安全衛生法および石綿障害予防規則に基づき、工事が完了した後も3年間保存する義務があります。
6.4 アスベストが見つかった場合はどうすればよいですか
調査の結果、アスベスト含有建材が見つかった場合、その建材の状態や工事内容に応じて適切な対策を講じる必要があります。アスベストが見つかったからといって、直ちに危険が及ぶわけではなく、飛散しないように管理されている状態であれば問題ありません。
解体や改修工事に伴い、アスベスト含有建材に損傷が加わる可能性がある場合は、法律に定められた基準に従って「除去」「封じ込め」「囲い込み」といった対策工事を行います。
除去:アスベスト含有建材を完全に取り除く方法。
封じ込め:薬剤を吹き付けるなどして、アスベストの飛散を防止する方法。
囲い込み:アスベスト含有建材を板材などで完全に覆い、飛散を防ぐ方法。
どの対策が最適かは、アスベストのレベル(発じん性)や建材の状態、予算などによって異なります。まずは調査を依頼した会社や、専門の除去工事業者と相談し、最も安全で適切な対策方法を選択することが大切です。対策工事には別途費用が発生するため、その見積もりも併せて取得しましょう。
7. まとめ
2022年の法改正により、建物の解体・改修工事におけるアスベストの事前調査は義務化されました。調査を怠ると罰則が科されるため、必ず実施が必要です。調査費用は建物の規模や調査の種類によって変動しますが、国や自治体の補助金制度や、複数業者からの相見積もりを取得することで費用を抑えられます。信頼できる業者を選ぶには、「建築物石綿含有建材調査者」の資格保有や豊富な実績を確認することが重要です。適切な調査を行い、安全な工事を進めましょう。

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