スケルトン解体の流れを完全ガイド!期間・費用・注意点をプロが徹底解説
- seira murata
- 9月5日
- 読了時間: 20分

スケルトン解体を検討しているものの、費用相場や工事期間、依頼の流れが分からずお困りではありませんか。本記事では、スケルトン解体の基礎知識から、テナントや住宅など用途別の費用内訳、工事完了までの全手順、アスベスト調査といった注意点までプロが網羅的に解説します。トラブルを避け、適正価格で優良業者に依頼するためのポイントが全て分かり、安心して計画を進められるようになります。
1. スケルトン解体とは?内装解体や原状回復との違いを解説
店舗やオフィス、住宅のリノベーションを検討する際、「スケルトン解体」という言葉を耳にすることがあります。これは、内装をすべて取り払い、建物を骨組みだけの状態に戻す大規模な解体工事です。しかし、似たような言葉に「内装解体」や「原状回復」もあり、その違いが分かりにくいと感じる方も少なくありません。この章では、スケルトン解体の基本的な定義から、他の解体工事との具体的な違いまでを分かりやすく解説します。
1.1 スケルトン解体の定義 構造躯体だけを残す全面解体工事
スケルトン解体とは、その名の通り、建物の骨格(スケルトン)である構造躯体だけを残し、内装や設備をすべて撤去する工事を指します。構造躯体とは、建物を支える柱、梁、壁、床などの基本的な構造部分のことです。この工事により、天井や壁、床材はもちろん、キッチンやトイレといった水回り設備、電気配線、空調ダクトなどもすべて取り払われ、コンクリートがむき出しの状態(コンクリート打ちっ放し)になります。
この状態にすることで、間取りやデザインをゼロから自由に再構築できるため、大規模なリノベーションや、店舗・オフィスの用途を大きく変更する際に採用されます。
1.2 よくある内装解体との具体的な違い
スケルトン解体とよく混同されるのが「内装解体」です。両者の最も大きな違いは、解体する範囲が「すべて」か「一部」かという点にあります。内装解体は、壁紙の張り替えや間仕切りの撤去など、建物の構造には手を加えず、内装の一部だけを解体・撤去する工事を指します。以下の表で、それぞれの違いを具体的に見ていきましょう。
項目 | スケルトン解体 | 内装解体(部分解体) |
解体の範囲 | 天井、壁、床、各種設備など内装をすべて撤去 | 壁紙、床材、間仕切り壁、特定の設備など内装の一部のみを撤去 |
工事後の状態 | コンクリート打ちっ放しなど、建物の構造躯体がむき出しの状態 | 既存の構造や下地はそのまま残り、部分的に内装が撤去された状態 |
主な目的 | 大規模リノベーション、店舗・オフィスの全面改装、コンセプトの刷新 | 部分的なリフォーム、模様替え、設備の交換 |
費用と工期 | 高額になり、工期も長くなる傾向 | 比較的安価で、工期も短い傾向 |
このように、スケルトン解体は建物を一度「空っぽ」の状態に戻す大掛かりな工事であり、内装解体は必要な部分だけを改修するための工事という点で明確な違いがあります。
1.3 原状回復工事でスケルトン解体が必要になるケース
原状回復工事とは、主に店舗やオフィスなどの賃貸物件を退去する際に、入居時の状態に戻す工事のことです。一般的には、設置した間仕切りや造作物を撤去し、壁や床を修繕する内装解体レベルの工事を指します。しかし、契約内容によってはスケルトン解体が求められる場合があります。
これは、賃貸借契約書に「スケルトン返し」や「スケルトン戻し」といった特約が盛り込まれているケースです。特に、前のテナントの内装がない「スケルトン物件」として借りた場合、退去時も同様にスケルトン状態に戻すことを義務付けられていることが多くあります。後々のトラブルを避けるためにも、賃貸物件を借りる際や退去する際には、必ず賃貸借契約書で原状回復の範囲を詳細に確認することが重要です。
2. 【用途別】スケルトン解体の費用相場と内訳

スケルトン解体の費用は、建物の種類、規模、立地条件、解体範囲など様々な要因によって大きく変動します。そのため、一概に「いくら」と言い切ることは困難です。ここでは、費用の目安となる「坪単価」を建物の用途別に解説するとともに、最終的な費用を左右する具体的な要因についても詳しく見ていきましょう。
2.1 坪単価で見るスケルトン解体の費用目安
スケルトン解体の費用を把握する上で最も一般的な指標が「坪単価」です。これは1坪(約3.3㎡)あたりの解体工事費用を示したもので、大まかな予算を立てる際に役立ちます。ただし、坪単価はあくまで目安であり、後述する様々な要因によって変動することを念頭に置いておきましょう。
用途別スケルトン解体の費用相場(坪単価) | ||
建物の用途 | 費用相場(/坪) | 主な特徴 |
テナント・店舗 | 30,000円~70,000円 | 厨房設備や装飾など解体物が多く、高めになる傾向。 |
オフィス | 20,000円~50,000円 | パーテーションやOAフロアが主で、比較的安価な傾向。 |
マンション・戸建て | 25,000円~60,000円 | 水回り設備の解体や間取りにより変動。木造かRC造かで変わる。 |
2.1.1 テナント・店舗の費用相場
飲食店や物販店、美容室などのテナント・店舗におけるスケルトン解体の費用相場は、坪単価30,000円~70,000円程度です。特に、厨房設備や排気ダクト、カウンター、造作家具など、解体・撤去に手間のかかる設備が多い重飲食系の店舗は費用が高くなる傾向にあります。一方で、シンプルな内装の物販店などは比較的安価に収まるケースもあります。
2.1.2 オフィスの費用相場
オフィスのスケルトン解体は、坪単価20,000円~50,000円程度が目安です。主な解体対象は、間仕切りとして設置されたパーテーション、タイルカーペットやOAフロア、天井のボードなどです。店舗に比べて大掛かりな設備が少ないため、費用は比較的安価になることが多いですが、大規模なオフィスになると解体物の量が増え、坪単価も上昇します。
2.1.3 マンション・戸建ての費用相場
リノベーションやリフォームを目的としたマンション・戸建てのスケルトン解体は、坪単価25,000円~60,000円程度が相場です。キッチンやユニットバス、トイレといった水回り設備の解体・撤去や、間取り変更に伴う壁の解体などが主な工事内容となります。建物の構造が木造か、鉄筋コンクリート(RC)造かによっても作業の難易度が変わり、費用に影響します。
2.2 解体費用を左右する要因と追加費用の可能性
坪単価はあくまで概算です。最終的な見積もり金額は、現場の状況によって大きく変わります。特に以下の要因は費用に直接影響するため、事前に確認しておくことが重要です。
建物の構造と材質
木造に比べ、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)は構造が強固なため、解体に手間と時間がかかり費用が高くなります。また、壁や床の材質によっても処分費用が変動します。
アスベスト(石綿)の有無
法改正により、一定規模以上の解体工事ではアスベストの事前調査が義務付けられています。もしアスベストが含有された建材が見つかった場合、専門業者による除去作業が必要となり、数十万円から数百万円の追加費用が発生する可能性があります。
現場の立地条件と搬出経路
トラックや重機が進入できないほど道が狭い、建物の前に駐車スペースがない、高層階でエレベーターが使えないといった悪条件が重なると、手作業での解体や小運搬が増えるため人件費が嵩み、費用が割高になります。
残置物の量
契約内容にもよりますが、店舗の什器やオフィス家具、個人の家財道具などの残置物が大量にある場合、その処分費用が別途「産業廃棄物処理費用」として請求されます。
夜間・休日作業の指定
商業施設内の店舗や、近隣への配慮から日中の作業が制限される現場では、夜間や休日に工事を行う必要があります。その場合、作業員の人件費が割増料金となるため、全体の費用が上がります。
3. スケルトン解体にかかる期間の目安とスケジュール

スケルトン解体を計画する際、工事にどれくらいの期間がかかるのかは、次の店舗のオープン準備やオフィスの移転、物件の引き渡し日などを決める上で非常に重要なポイントです。ここでは、工事の規模に応じた一般的な期間の目安と、工期が変動する可能性のある要因について解説します。あくまで目安であり、建物の構造や立地条件によって期間は前後します。
3.1 工事規模から見る一般的な解体期間
スケルトン解体の工事期間は、対象となる建物の広さ(坪数や面積)や構造、内装材の種類によって大きく異なります。以下に、用途別の一般的な解体期間の目安をまとめました。この期間には、準備や片付け、廃棄物の搬出も含まれます。
【用途・規模別】スケルトン解体の期間目安 | |
建物の種類 / 規模 | 解体期間の目安 |
小規模店舗・テナント(~30坪) | 約5日~10日 |
中規模店舗・オフィス(30~100坪) | 約1週間~3週間 |
大規模店舗・オフィス(100坪~) | 約3週間~1ヶ月以上 |
マンションの一室(内装全体) | 約7日~14日 |
木造戸建て(内装全体) | 約2週間~4週間 |
上記はあくまで解体工事そのものにかかる日数です。実際には、業者選定から現地調査、見積もり、契約、近隣挨拶などの準備期間が工事開始前に1ヶ月程度必要になるのが一般的です。トータルのスケジュールを考える際は、工事期間だけでなく準備期間も十分に確保しておくことが重要です。
3.2 スケルトン解体の工期が延長されるケース
計画通りに工事が進まないことも想定しておく必要があります。特に以下のようなケースでは、工期が予定より延長される可能性があります。
アスベスト(石綿)の発見
解体前の調査でアスベスト含有建材が見つかった場合、法令に基づいた専門的な除去作業が追加で必要になります。除去作業には厳格な手順が定められており、工期が大幅に延長される最大の要因となります。
想定外の構造物や埋設物
壁や床を剥がした後に、図面にない配管やコンクリートブロックなどの地中埋設物が発見されると、その撤去作業のために追加の時間がかかります。
悪天候の影響
台風や大雪、長雨などの悪天候が続くと、特に廃棄物の搬出作業や屋外での作業が中断し、スケジュールに遅れが生じることがあります。
搬出経路の問題
解体現場が狭い路地に面していたり、大型車両が入れなかったりする場合、手作業での搬出が増え、通常よりも時間がかかります。また、マンションの高層階でエレベーターの使用に制限がある場合も同様です。
近隣からのクレーム対応
解体工事では騒音や振動が避けられません。万が一、近隣住民からクレームが入り、工事の一時中断を余儀なくされると、工期に影響が出ます。
これらの不測の事態に備え、スケジュールには余裕を持たせておくことをお勧めします。信頼できる解体業者は、こうしたリスクを事前に説明し、対策を提案してくれます。
4. スケルトン解体の全手順 依頼から工事完了までの流れ

スケルトン解体を成功させるためには、計画的かつ順序立てて進めることが不可欠です。ここでは、業者への問い合わせから工事完了までの具体的な7つのステップを、それぞれの段階で何をすべきかと共に詳しく解説します。この流れを把握することで、スムーズな解体工事を実現しましょう。
4.1 ステップ1 解体業者探しと問い合わせ
スケルトン解体の第一歩は、信頼できる専門業者を見つけることから始まります。インターネット検索や知人からの紹介などを活用し、複数の候補を探しましょう。業者が見つかったら、電話やウェブサイトのフォームから問い合わせを行います。
その際、以下の情報を伝えると、その後のやり取りがスムーズに進みます。
建物の種類(テナント、オフィス、マンションなど)
所在地と建物の構造(鉄骨造、RC造など)
解体を希望する範囲のおおよその面積(坪数や平方メートル)
希望する工事の時期
この段階で複数の業者に声をかけ、相見積もりを前提に進めることが、適正価格で質の高い工事を実現する鍵となります。
4.2 ステップ2 現地調査と見積もり依頼
問い合わせ後、解体業者が現場を実際に確認する「現地調査」が行われます。現地調査では、図面だけではわからない建物の構造、搬出経路、周辺環境、アスベスト含有建材の有無などをプロの目で確認し、正確な見積もりを作成します。
依頼者も可能な限り立ち会い、解体を希望する範囲や要望を直接伝えることが重要です。疑問点や不安な点があれば、この機会に質問しておきましょう。後日、現地調査の結果を基に詳細な見積書が提出されます。見積書の内容をしっかりと比較検討し、依頼する業者を決定します。
4.3 ステップ3 契約と各種届出の提出
見積もり内容や工事計画に納得できたら、正式に工事請負契約を締結します。契約書には、工事内容、金額、工期、支払い条件、万が一の事故に備えた保険の加入状況などが明記されています。契約書の内容は隅々まで確認し、不明な点があれば必ず署名前に質問してください。
契約後、工事開始前には関連法規に基づく各種届出が必要です。これらの手続きは、基本的に解体業者が代行してくれますが、どのような届出が必要か把握しておきましょう。
スケルトン解体で必要となる主な届出 | |
届出の種類 | 概要 |
建設リサイクル法に基づく届出 | 延床面積が80平方メートル以上の解体工事で必要。工事の7日前までに都道府県知事への届出が義務付けられている。 |
アスベスト(石綿)関連の届出 | 一定量以上のアスベスト含有建材の除去を行う場合に、労働基準監督署や自治体への届出が必要。 |
道路使用許可申請 | 工事車両の駐車や資材の搬出入で公道を使用する場合に、管轄の警察署へ申請が必要。 |
4.4 ステップ4 近隣への挨拶と養生
解体工事では騒音や振動、粉塵の発生が避けられません。工事開始前に近隣住民やテナントへ挨拶回りを行い、理解と協力を得ておくことは、トラブルを未然に防ぐために非常に重要です。挨拶は業者が主体となって行いますが、施主も同行するのが望ましいでしょう。工事の概要や期間、作業時間、緊急連絡先などを伝えます。
同時に、工事範囲外の共用部(廊下、エレベーターなど)や隣接する区画を傷つけたり汚したりしないよう、シートやパネルで保護する「養生」を徹底的に行います。
4.5 ステップ5 解体工事の開始
全ての準備が整ったら、いよいよ解体工事が始まります。スケルトン解体は、一般的に以下の手順で進められます。
内装材の撤去:壁紙、Pタイル、カーペット、石膏ボードなどを手作業で丁寧に剥がしていきます。
造作物の解体:間仕切り壁、カウンター、棚などの造作物を解体します。
設備機器の撤去:キッチン、トイレ、洗面台、エアコン、照明器具などの設備を取り外します。
躯体の仕上げ:コンクリート躯体に残った接着剤や塗料を剥がし、清掃して仕上げます。
工事中は安全管理を徹底し、計画に沿って作業を進めていきます。
4.6 ステップ6 産業廃棄物の分別と搬出
解体工事で発生したコンクリートガラ、木くず、金属くず、廃プラスチックなどは「産業廃棄物」として法律に基づき適切に処理しなければなりません。現場では、これらの廃棄物を品目ごとに細かく分別し、許可を受けた収集運搬業者によって中間処理施設や最終処分場へ搬出されます。
不法投棄などのトラブルを避けるためにも、業者が法令を遵守して適正に処理を行っているかが重要になります。この処理の証明となるのが、次のステップで説明する「マニフェスト」です。
4.7 ステップ7 工事完了確認と引き渡し
全ての解体作業と清掃が完了したら、施主立ち会いのもとで最終確認を行います。契約書や図面と照らし合わせながら、解体範囲に間違いがないか、躯体に不要な傷がついていないか、清掃は行き届いているかなどをチェックします。
問題がなければ、工事完了となり物件の引き渡しを受けます。この際、業者が産業廃棄物を適正に処理したことを証明する「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」の写しを必ず受け取ってください。これをもって、スケルトン解体の一連の流れはすべて完了となります。
5. スケルトン解体を依頼する前に知るべき5つの注意点

スケルトン解体は、建物の構造躯体のみを残す大規模な工事です。そのため、思わぬトラブルや追加費用を防ぐには、事前の準備と確認が欠かせません。ここでは、工事を依頼する前に必ず押さえておくべき5つの重要な注意点を解説します。
5.1 アスベスト調査の必要性と法改正
2022年4月に大気汚染防止法と石綿障害予防規則が改正され、アスベスト(石綿)に関する規制が強化されました。建物の解体・改修工事を行う際は、規模の大小や建材の種類にかかわらず、アスベスト含有の有無を調査することが法律で義務付けられています。
特に、2006年以前に建てられた建築物には、アスベスト含有建材が使用されている可能性が高いため注意が必要です。事前調査の結果、アスベストが検出された場合は、その飛散性レベルに応じた適切な除去作業が追加で必要となり、工期や費用に影響します。2023年10月からは、有資格者による事前調査が義務化されており、調査結果は自治体への報告が必要です。信頼できる業者に依頼し、法に則った適切な対応をしてもらいましょう。
5.2 騒音や振動など近隣住民への配慮
スケルトン解体工事では、コンクリートをはつる音や重機による振動、粉塵の発生が避けられません。これらが原因で近隣住民や同じ建物内のテナントとトラブルに発展するケースは少なくありません。工事開始前に、解体業者が近隣へ工事内容、期間、作業時間帯などを丁寧に説明し、挨拶回りを行うことがトラブル防止の鍵となります。
また、建物の周囲を養生シートで覆い、定期的に散水するなどして、粉塵の飛散を最小限に抑える対策も不可欠です。工事を円滑に進めるためにも、近隣への配慮を徹底してくれる誠実な業者を選ぶことが重要です。
5.3 建物の構造や管理規約の事前確認
特にマンションやオフィスビルなどの集合建築物でスケルトン解体を行う場合、建物特有のルールを確認する必要があります。管理規約で工事可能な範囲、曜日、時間帯、搬入出経路などが定められている場合が多いため、必ず事前に管理組合やビル管理会社に確認が必要です。
また、建物の構造上、撤去できない壁(耐力壁)や柱、梁が存在します。これらは建物の強度を支える重要な部分であり、誤って損傷させると建物の安全性に深刻な影響を及ぼす危険があります。設計図面などを基に、解体範囲を業者と入念に打ち合わせ、どこまで解体可能かを正確に把握しておきましょう。
5.4 電気・ガス・水道などライフラインの停止手続き
解体工事を開始する前に、対象区画の電気、ガス、水道、インターネット回線などのライフラインを停止・撤去する手続きが必要です。手続きの窓口やタイミングはライフラインの種類によって異なります。工事中に散水用の水道や工具用の電気を使用する場合があるため、どのタイミングで何を停止・撤去するかを解体業者と事前に打ち合わせることが重要です。
一般的に、各種契約者(施主)自身が手続きを行う必要があります。以下の表を参考に、計画的に進めましょう。
ライフラインの種類 | 主な連絡先 | 手続きのポイント |
電気 | 契約している電力会社 | メーターの撤去を依頼します。工事用電源が必要な場合は業者と相談します。 |
ガス | 契約しているガス会社 | 閉栓と配管の撤去を依頼します。作業員による立ち会いが必要な場合があります。 |
水道 | 管轄の水道局 | 閉栓(メーター撤去)を依頼します。粉塵対策の散水用に一時的に残すこともあります。 |
電話・インターネット | 契約している通信会社 | 回線の撤去を依頼します。撤去工事に時間がかかる場合があるため早めに連絡しましょう。 |
5.5 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の確認
スケルトン解体で発生するコンクリートがらや木くず、廃プラスチックなどは「産業廃棄物」に分類され、法律に則って適正に処理しなければなりません。この処理工程が正しく行われたことを証明する書類が「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」です。
廃棄物の排出事業者である工事の発注者(施主)にも、不法投棄などがあった場合の責任が問われる可能性があるため、マニフェストの写しを必ず受け取り、5年間保管する義務があります。解体業者が収集運搬業者や中間処理業者に廃棄物を引き渡す際に発行され、最終処分が完了すると最終処分の完了を記した「E票」が発注者に返送されます。このE票が届くまで、一連の流れをしっかりと確認しましょう。
6. 失敗しない優良なスケルトン解体業者の選び方

スケルトン解体は、建物の構造に関する専門知識と高度な技術を要する工事です。業者選びを誤ると、高額な追加費用の請求、近隣住民とのトラブル、さらには建物の構造躯体を傷つけてしまうといった重大な問題に発展しかねません。価格の安さだけで判断せず、信頼できる優良な業者を慎重に見極めることが、工事を成功させるための最も重要な鍵となります。
6.1 解体工事の許可や保険の有無を確認する
安心して工事を任せるための大前提として、業者が法的に必要な許可を取得し、万が一の事態に備える保険に加入しているかを確認しましょう。これらは優良業者であれば当然備えているべき必須条件です。
具体的には、以下の2点を必ず契約前に確認してください。
確認項目 | 内容と重要性 |
解体工事業登録・建設業許可 | 解体工事を行うには、建設業法に基づき、請負金額500万円未満の場合は「解体工事業登録」、500万円以上の場合は「建設業許可(解体工事業)」が必要です。これらの許可や登録がない業者は違法業者であり、不法投棄や工事トラブルのリスクが非常に高いため、絶対に契約してはいけません。 |
損害賠償責任保険 | 工事中の騒音や振動、粉塵の飛散によって近隣の建物に損害を与えたり、通行人に怪我をさせてしまったりといった不測の事態に備えるための保険です。保険未加入の業者に依頼すると、万が一の際に依頼主が損害賠償責任を負う可能性があります。保険証券のコピーを提示してもらうなど、確実に加入していることを確認しましょう。 |
6.2 実績が豊富で専門性が高いか見極める
スケルトン解体は、建物の種類(木造、RC造、鉄骨造など)や用途(店舗、オフィス、住居など)によって、注意すべき点や適切な工法が異なります。そのため、依頼する建物の解体実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。業者の専門性を見極めるには、以下の点を確認しましょう。
公式ウェブサイトの施工事例を確認する: 自身が依頼する建物と類似の物件(例:飲食店のスケルトン解体、オフィスの原状回復工事など)の実績が掲載されているかを確認します。写真付きで具体的な工事内容が紹介されていれば、より信頼性が高いと判断できます。
業者の得意分野を把握する: テナントや店舗の内装解体を専門にしているのか、戸建てやマンションのリノベーションに伴う解体を得意としているのかなど、業者の専門分野を見極めましょう。
有資格者の在籍を確認する: 解体工事施工技士や建築士、アスベスト診断士などの有資格者が在籍している業者は、専門性が高く、法令を遵守した安全な工事が期待できます。
6.3 見積書の内容が詳細で明確かチェックする
複数の業者から見積もり(相見積もり)を取り、その内容を比較検討することは、適正価格を把握し、悪徳業者を避けるために不可欠です。ただし、単に総額の安さだけで比較するのは危険です。安すぎる見積もりは、後から高額な追加費用を請求されたり、必要な工程が省かれていたりする可能性があります。
信頼できる業者の見積書は、誰が見ても内容が理解できるよう、詳細かつ明確に記載されています。以下のチェックリストを参考に、見積書を精査してください。
チェック項目 | 確認するポイント |
工事内容の内訳 | 「解体工事一式」のような曖昧な表記ではなく、「天井撤去」「壁材撤去」「床材撤去」「設備機器撤去」など、作業項目ごとに単価と数量が具体的に記載されているか。 |
産業廃棄物処理費 | 木くず、コンクリートがら、石膏ボードなど、廃棄物の種類ごとに処分費用が明記されているか。産業廃棄物管理票(マニフェスト)の発行についても記載があるか確認しましょう。 |
仮設・養生費用 | 工事に必要な足場の設置や、共用部・近隣への粉塵飛散を防ぐための養生シート設置などの費用が含まれているか。 |
追加費用の条件 | 「地中埋設物の発見時」や「想定外のアスベスト含有建材発見時」など、どのような場合に追加費用が発生する可能性があるのか、その条件が事前に明記されているか。 |
見積書に不明な点があれば、遠慮なく担当者に質問しましょう。その際の対応が丁寧で、納得のいく説明をしてくれるかどうかも、業者を見極める重要な判断材料となります。
7. まとめ
本記事では、スケルトン解体の定義から費用相場、工事期間、具体的な流れ、そして注意点までを網羅的に解説しました。スケルトン解体は建物の構造躯体のみを残す大規模な工事であり、費用や工期は物件の状況によって大きく変動します。トラブルを未然に防ぎ、計画通りに工事を完了させるためには、アスベスト調査や各種届出といった事前準備が不可欠です。成功の鍵は、複数の業者から詳細な見積もりを取り、実績や許可の有無を比較検討して、信頼できる優良業者を選ぶことにあります。
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