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プロが教える店舗内装工事費用の全知識|相場一覧から補助金まで総まとめ

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 2025年12月10日
  • 読了時間: 26分
店舗 内装 工事 費用

これから店舗を開業・リニューアルするにあたり、「内装工事の費用が一体いくらかかるのか見当もつかない」「坪単価の相場は聞くけれど、総額で本当に収まるのか不安」といった悩みを抱えていませんか?この記事を読めば、店舗内装工事の費用に関する全ての疑問が解決します。物件タイプ別の坪単価相場から、設計費や設備工事費を含む詳細な内訳、飲食店や美容室といった業種ごとの費用目安、さらにはコストを賢く抑える具体的な方法、活用できる補助金・助成金、そして失敗しない内装工事業者の選び方まで、店舗づくりのプロが網羅的に解説します。結論として、店舗内装工事の費用は「物件の状態(スケルトンか居抜きか)」と「依頼する業者選び」で大きく変動しますが、費用の仕組みを正しく理解し、計画的に準備を進めることで、予算内で理想の店舗を実現することは十分に可能です。この記事が、あなたの成功への第一歩となるはずです。


1. 店舗内装工事費用の基礎知識 坪単価と全体の相場

店舗の内装工事を計画する際、多くのオーナー様が最初に気になるのが「費用」です。その費用感を掴むための基本的な指標として「坪単価」がよく用いられます。坪単価とは、内装工事にかかる費用を1坪(約3.3㎡)あたりで示した金額のことです。しかし、この坪単価だけで全体の費用を判断するのは早計です。この章では、店舗内装工事費用の基本となる坪単価の考え方と、物件タイプによる相場の違い、そして総額を把握する上での注意点を詳しく解説します。


1.1 【物件タイプ別】スケルトンと居抜き物件の費用相場

店舗物件には、大きく分けて「スケルトン物件」と「居抜き物件」の2種類があり、どちらを選ぶかによって内装工事費用は大きく変動します。それぞれの特徴と費用相場を理解することが、適切な資金計画の第一歩となります。

スケルトン物件とは、建物の構造躯体(床・壁・天井のコンクリートなど)がむき出しの状態の物件です。内装が何もないため、ゼロから自由にデザインできるメリットがありますが、その分、電気・ガス・水道・空調などの設備工事もすべて必要となり、工事費用は高額になる傾向があります。

一方、居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装や設備がそのまま残された状態の物件です。既存の設備を流用できるため、初期費用を大幅に抑えられる可能性があり、開業までの期間も短縮できるのが最大のメリットです。ただし、デザインの自由度が低かったり、残された設備が古く修理や交換に追加費用がかかったりするデメリットも考慮しなければなりません。



物件タイプ別の特徴と坪単価相場

物件タイプ

特徴

坪単価の相場

スケルトン物件

床・壁・天井がコンクリートむき出しの状態。内装や設備が何もない。

30万円~60万円/坪

居抜き物件

前のテナントの内装や設備が残っている状態。

15万円~40万円/坪

※上記の坪単価はあくまで一般的な目安です。業種や店舗のコンセプト、立地条件によって変動します。


1.2 坪単価だけで判断は危険 店舗内装工事費用の総額目安

坪単価は費用感を把握するのに便利な指標ですが、「坪単価 × 店舗の坪数」だけで総工費を算出するのは非常に危険です。なぜなら、坪単価に含まれる工事の範囲は内装工事業者によって異なり、一概に比較できないためです。例えば、ある業者の坪単価には設計デザイン費が含まれていても、別の業者では別途請求されるケースがあります。

また、店舗の形状や階数、導入する厨房機器や空調設備のグレード、こだわりたいデザインの複雑さなど、様々な要因によって費用は大きく変動します。特に、給排水や排気などの設備工事は、建物の構造や階数によって工事の難易度が変わり、費用を押し上げる大きな要因となり得ます。

したがって、店舗内装工事の総額は、以下の要素を総合的に考慮して算出されると理解しておくことが重要です。

  • 設計・デザイン費:コンセプト設計や図面作成にかかる費用

  • 本体工事費:壁・床・天井の造作や仕上げなど、内装の骨格を作る工事費用

  • 設備工事費:電気、ガス、水道、空調、換気、防災などライフラインに関わる工事費用

  • 什器・家具・外構工事費:テーブルや椅子、陳列棚、看板などの費用

  • 諸経費・予備費:現場管理費や廃材処分費、予期せぬ事態に備える費用

坪単価はあくまで概算を掴むための参考値と捉え、最終的な費用は複数の業者から詳細な見積もりを取得し、その内訳をしっかりと比較検討することが、失敗しない店舗作りの鍵となります。


2. 店舗内装工事費用の詳細な内訳をプロが解説

店舗 内装 工事 費用

店舗内装工事の費用は、一見すると「坪単価〇〇円」という数字だけで判断しがちですが、実際には様々な費用の積み重ねで成り立っています。見積書を正しく読み解き、適切な予算計画を立てるためには、その内訳を正確に理解することが不可欠です。ここでは、工事費を構成する主要な項目をプロの視点から一つひとつ丁寧に解説します。


2.1 設計・デザイン費

設計・デザイン費は、店舗のコンセプトを具体的な図面に落とし込み、機能的で魅力的な空間を創り出すための費用です。オーナーの想いを形にするための非常に重要な工程であり、店舗の成功を左右する設計図の作成費用と考えるとよいでしょう。費用は、工事費全体に対する料率(工事費の10~15%程度が目安)で算出される場合や、デザイナーの実績や知名度によって変動します。これには、コンセプト設計、基本設計、実施設計、そして工事が設計図通りに進んでいるかを確認する設計監理の費用が含まれます。


2.2 本体工事費(解体工事・内装仕上げ工事など)

本体工事費は、店舗の骨格と見た目を形成する工事にかかる費用で、内装工事費全体の中で最も大きな割合を占めることが一般的です。物件の状態(スケルトンか居抜きか)や、実現したいデザインによって内容は大きく変動します。

  • 仮設工事:工事期間中の養生や仮設トイレ、電気などの設置費用です。

  • 解体工事:既存の内装や設備を撤去する工事。居抜き物件でも、不要な部分を撤去するために発生します。

  • 軽鉄工事(LGS工事):壁や天井の下地となる骨組みを軽量鉄骨で組む工事です。

  • 内装仕上げ工事:床・壁・天井の最終的な見た目を決定づける工事。クロス貼り、塗装、タイル、フローリング、塩ビタイルなど、使用する素材のグレードによって費用が大きく変わります。

  • 建具工事:ドアや窓、間仕切りなどを設置する工事です。

  • 造作工事:現場で製作するオーダーメイドのカウンターや棚、収納などの工事を指します。


2.3 設備工事費(電気・ガス・水道・空調・換気)

設備工事費は、店舗運営に不可欠なライフラインを整備するための費用です。特に飲食店や美容室、クリニックなど、専門的な設備を要する業種では高額になる傾向があります。業種ごとの法令や規定を遵守する必要があり、専門的な知識が求められます。

  • 電気設備工事:照明器具の設置、コンセントの増設、専用回路の配線、分電盤の設置など。必要な電気容量や機器の数によって費用が変動します。

  • 給排水設備工事:キッチンやトイレ、洗面台など水回り設備の給水管・排水管を設置・移設する工事です。

  • ガス設備工事:厨房機器などにガスを供給するための配管工事。専門業者による施工が必要です。

  • 空調・換気設備工事:業務用エアコンや換気扇、排気ダクトの設置工事。特に飲食店の厨房では、熱や煙を強力に排出する換気設備が不可欠です。


2.4 什器・家具・外構工事費

お客様が直接触れたり目にしたりする部分であり、店舗の雰囲気やブランドイメージを決定づける重要な費用です。本体工事費とは別に見積もられることが多いため注意しましょう。

  • 什器・家具費:テーブル、椅子、ソファ、陳列棚、レジカウンターなど。既製品を購入するか、空間に合わせて造作(オーダーメイド)するかで費用が大きく異なります。

  • 外構・ファサード工事費:店舗の「顔」となる看板やエントランス、外壁、窓ガラス、植栽などの工事です。集客に直結するため、デザイン性と予算のバランスを慎重に検討する必要があります。


2.5 諸経費と予備費

見積書の内訳の中でも見落としがちですが、必ず発生するのが諸経費と予備費です。これらを考慮せずに予算を組むと、資金ショートの原因になりかねません。

諸経費は、工事を円滑に進めるために必要な間接的な費用です。一般的に工事費総額の10%〜20%程度が目安とされます。

項目

内容

現場管理費

現場監督の人件費、交通費、通信費など、現場を管理・運営するための費用。

一般管理費

施工会社の事務所家賃や事務員の人件費など、会社の運営を維持するための経費。

産業廃棄物処理費

解体工事などで発生した廃材を法令に則って処分するための費用。

各種申請費用

消防署や保健所など、行政への届出や申請を代行してもらう際の手数料。

一方、予備費は、工事中に判明した建物の問題や、急な仕様変更など、予期せぬ事態に対応するための予算です。安心して工事を進めるためにも、工事費総額の10%程度を別途確保しておくことを強く推奨します。


3. 【業種別】店舗内装工事費用の相場一覧

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店舗の内装工事費用は、開業するお店の業種によって大きく変動します。なぜなら、業種ごとに求められる設備の専門性や内装の仕様、関連する法規制が異なるためです。ここでは、代表的な業種別に内装工事費用の坪単価相場と、費用を左右するポイントを詳しく解説します。

下記の表は、スケルトン物件(何もないコンクリート打ちっぱなしの状態)から内装を新設する場合のおおよその坪単価相場です。居抜き物件の場合は、既存の設備をどれだけ流用できるかによって費用が大きく変わります。

業種

坪単価の相場(スケルトン物件の場合)

カフェ・喫茶店

30万円~60万円

レストラン・居酒屋

40万円~100万円

アパレルショップ

20万円~50万円

雑貨店

20万円~40万円

美容室・サロン

30万円~70万円

クリニック・医院

40万円~120万円

3.1 飲食店の内装工事費用

飲食店は、他の業種と比較して設備工事費の割合が高くなる傾向にあります。特に、厨房設備とそれに伴うガス・水道・排気工事が費用の大部分を占めるため、どのような厨房機器を導入するかで総額が大きく変動します。


3.1.1 カフェ・喫茶店

カフェや喫茶店の坪単価相場は30万円~60万円程度です。レストランに比べると厨房設備は軽微で済むことが多いですが、コーヒーマシンやエスプレッソマシンなどの専用機器の導入費用がかかります。また、顧客の滞在時間が長くなる傾向があるため、居心地の良い空間を演出するためのデザインや、質の良い家具・照明にこだわることで費用が上昇します。


3.1.2 レストラン・居酒屋

レストランや居酒屋の坪単価相場は40万円~100万円と、飲食店の中でも高額になりがちです。本格的な調理を行うための厨房設備(コンロ、フライヤー、オーブンなど)に加え、大容量の給排気ダクト工事やグリストラップの設置が必須となり、設備工事費が高騰します。個室の設置や、排煙・防火区画など消防法に関わる要件も費用に影響を与えます。


3.2 物販店の内装工事費用

物販店では、ブランドイメージの表現と、商品を魅力的に見せるための内装が重要です。飲食店ほど大掛かりな設備工事は不要なため、坪単価は比較的抑えめです。


3.2.1 アパレルショップ

アパレルショップの坪単価相場は20万円~50万円ほどです。ブランドの世界観を表現する内装デザインや、商品を美しく照らす照明計画(ライティング)が費用を左右します。また、フィッティングルームやストックルームの設置も必要です。壁面の造作棚やハンガーラックなどの什器にこだわるほど、費用は高くなります。


3.2.2 雑貨店

雑貨店の坪単価相場は20万円~40万円程度です。多種多様な商品を陳列するため、壁面収納や可動式の陳列棚といった造作家具・什器の費用が中心となります。内装自体はシンプルに仕上げ、商品で彩りを加えるデザインにすることで、費用を抑えることも可能です。


3.3 美容室・サロンの内装工事費用

美容室やサロンの坪単価相場は30万円~70万円です。この業種で特徴的なのは、シャンプー台の設置に伴う給排水設備工事と、多数のドライヤーや美容機器を使用するための電気容量の確保が費用を押し上げる大きな要因である点です。保健所の定める衛生基準(床材の材質、作業スペースの面積など)を満たす必要があり、基準に沿った設計が求められます。セット面や待合スペース、スタッフルームのレイアウトも費用に影響します。


3.4 クリニック・医院の内装工事費用

クリニックや医院の坪単価相場は40万円~120万円と、業種別では最も高額になる可能性があります。その理由は、医療法や建築基準法、消防法など様々な法規制を遵守する必要があるため、専門性の高い設計・施工が不可欠だからです。レントゲン室を設置する場合はX線防護工事が必須となり、費用が大幅に増加します。その他にも、プライバシーに配慮した診察室の設計、車椅子でも利用しやすいバリアフリー対応、清潔感を保つための内装材選びなど、専門的な要件が多く、内装工事費は高くなる傾向にあります。


4. 店舗内装工事の費用を安く抑える7つの方法

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店舗の内装工事は、開業資金の中でも大きな割合を占める重要な投資です。しかし、工夫次第で費用を賢く抑えることは十分に可能です。ここでは、プロの視点から、内装工事のコストを削減するための具体的な7つの方法を詳しく解説します。理想の店舗を実現しつつ、健全な資金計画を立てるためにぜひ参考にしてください。


4.1 居抜き物件を最大限に活用する

内装工事費用を最も効果的に抑える方法の一つが、居抜き物件の活用です。居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装や設備が残された状態の物件を指します。スケルトン物件(建物の骨格だけの状態)から工事を始める場合に比べ、解体費用や大規模な設備工事費がかからないため、初期投資を数百万円単位で削減できる可能性があります。

特に、厨房設備や空調、給排水設備などは高額になりがちなため、これらが流用できる飲食店や美容室などの業種では大きなメリットとなります。ただし、設備の劣化状態や、自身の店のコンセプトにレイアウトが合うかどうかの見極めが重要です。内見の際には内装業者に同行してもらい、専門家の目で設備の動作確認や修繕の必要性をチェックすることをおすすめします。


4.2 相見積もりで業者を比較検討する

内装工事業者を1社に絞って依頼するのではなく、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」は、コスト削減の基本です。同じ工事内容でも、業者によって得意な分野や材料の仕入れルートが異なるため、見積金額には差が出ます。最低でも3社以上から見積もりを取得し、金額だけでなく提案内容や実績も比較検討しましょう。

見積書を比較する際は、単に総額の安さだけで判断するのは危険です。「工事一式」といった大雑把な記載ではなく、どの工事にいくらかかるのかが詳細に記載されているかを確認してください。不明瞭な点があれば積極的に質問し、誠実に対応してくれる業者を選ぶことが、後のトラブルを避ける上でも重要になります。


4.3 内装材や設備のグレードを見直す

店舗の印象を左右する内装材や設備ですが、すべての箇所で最高級のグレードを選ぶ必要はありません。コストを抑えるためには、こだわりたい部分とそうでない部分にメリハリをつけることが大切です。例えば、お客様の目に直接触れるエントランスや客席の壁・床には質の良い素材を使い、バックヤードやトイレは機能性重視でコストを抑えた素材を選ぶといった工夫が有効です。天然木のように見える木目調の塩ビタイルや、デザイン性の高い既製品の照明器具などを上手に活用することで、高級感を損なわずに費用を削減できます。


4.4 DIYできる部分は自分で行う

専門的な技術を必要としない作業を自分たちで行う「DIY(Do It Yourself)」も、人件費の削減に繋がります。例えば、壁の塗装や簡単な棚の取り付け、家具の組み立てなどは、DIYで対応しやすい部分です。自分たちの手で店づくりに関わることで、コスト削減だけでなく、店舗への愛着も深まるでしょう。ただし、電気・ガス・水道・防災に関わる工事は、専門の資格が必要であり、安全上の問題から絶対にDIYで行ってはいけません。仕上がりのクオリティや作業時間を考慮し、無理のない範囲で取り入れるようにしましょう。


4.5 中古の什器や家具を導入する

テーブルや椅子、陳列棚といった什器・家具は、新品ではなく中古品を導入することで大幅に費用を抑えられます。厨房機器や美容機器を専門に扱う中古販売店、リサイクルショップ、インターネット上のフリマサービスなどを活用して探してみましょう。店舗のコンセプトに合うデザインのものが見つかれば、新品同様の雰囲気を演出しつつ、購入費用を半分以下に抑えることも可能です。購入前には必ず実物を確認し、傷や汚れ、動作状況などをしっかりとチェックすることが失敗しないためのポイントです。


4.6 リース契約を検討する

厨房機器やレジシステム、複合機といった高額な設備は、購入する代わりにリース契約を利用するのも一つの手です。リースであれば、開業時の大きな初期投資を避け、月々の定額料金で最新の設備を利用できます。月々のリース料は経費として計上できるため、会計処理がしやすいというメリットもあります。ただし、契約期間の総支払額は購入するよりも割高になるケースが多いため、自己資金の状況や事業計画に合わせて、購入とリースのどちらが適しているかを慎重に判断しましょう。


4.7 工事の時期を調整する

意外と知られていませんが、内装工事業界にも繁忙期と閑散期があります。一般的に、年度末にあたる2月〜3月や、年末商戦前の9月〜11月は依頼が集中する繁忙期となり、職人の人件費が高騰したり、業者自体のスケジュールが埋まっていたりすることがあります。逆に、梅雨時期の6月や真夏の8月、年明けの1月などは比較的閑散期にあたり、価格交渉がしやすくなる可能性があります。開業時期に絶対的な制約がない場合は、こうした閑散期を狙って工事を依頼することで、コストを抑えられるかもしれません。早めに業者へ相談し、スケジュールに余裕を持たせることが重要です。


5. 店舗内装工事で活用できる補助金・助成金と融資制度

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店舗の内装工事には多額の費用がかかり、自己資金だけですべてを賄うのは簡単なことではありません。しかし、事業計画を諦める必要はありません。国や地方自治体が提供する補助金・助成金、そして金融機関の融資制度を賢く活用することで、資金調達の課題を乗り越えることが可能です。これらの制度は、返済不要の給付金(補助金・助成金)と、返済を前提とした借入金(融資)に大別されます。それぞれの特徴を正しく理解し、ご自身の事業計画や資金状況に最適な方法を見つけることが、開業成功への重要な一歩となります。


5.1 国や自治体が提供する補助金・助成金の例

補助金や助成金は、国や自治体が政策目標を達成するために、事業者の取り組みを金銭的に支援する制度です。最大のメリットは原則として返済が不要である点です。ただし、多くは事業を実施した後に経費を申請し、審査を経て支払われる「後払い」形式となります。そのため、工事費用そのものは一時的に立て替える必要があります。また、公募期間が定められており、申請には詳細な事業計画書が求められるため、事前の情報収集と準備が不可欠です。ここでは、内装工事費にも活用できる可能性のある代表的な国の補助金を紹介します。


5.1.1 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が地域の商工会議所・商工会の助言を受けながら経営計画を作成し、販路開拓や生産性向上に取り組む費用の一部を支援する補助金です。店舗の改装が「新たな顧客層の獲得」や「提供サービスの魅力向上」といった販路開拓に繋がる場合、内装工事費用が補助対象経費として認められるケースがあります。例えば、「テイクアウト販売用のカウンターを設置する」「バリアフリー化して高齢者や車椅子のお客様を呼び込む」といった目的の工事が該当する可能性があります。ただし、あくまで販路開拓が主目的であるため、単なる老朽化対策の改装は対象外となる点に注意が必要です。


5.1.2 事業再構築補助金

ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援する、補助額の大きい制度です。新分野展開や事業転換、業態転換など、大規模な変革を伴う取り組みが対象となります。例えば、「居酒屋経営から、厨房設備を活かした冷凍食品の製造・販売事業へ転換するための工場改装」や「全く新しいコンセプトの店舗を開業するための内装工事」など、既存事業の枠を超えた挑戦に伴う設備投資・建物改修費として活用できる可能性があります。申請要件が複雑で、認定経営革新等支援機関との事業計画策定が必須となるため、専門家と連携して準備を進めることが重要です。


5.2 日本政策金融公庫などの融資制度

補助金だけでは資金が不足する場合や、つなぎ資金が必要な場合に活用したいのが融資制度です。融資は返済義務のある借入金ですが、特に政府系金融機関である日本政策金融公庫は、民間金融機関に比べて創業者や中小企業に対して積極的に融資を行っているのが特徴です。金利が比較的低く、長期での返済計画を立てやすいメリットがあります。店舗の内装工事費用は「設備資金」として融資の対象となります。

制度名

主な対象者

特徴

新創業融資制度

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方

原則、無担保・無保証人で利用可能な点が最大の魅力です。ただし、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が確認できるなどの要件があります。

新規開業資金

新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方

運転資金と設備資金(内装工事費など)を合わせて融資を受けられます。女性、若者、シニアの方を対象とした優遇制度もあります。

これらの制度を利用するには、説得力のある事業計画書と、工事費用の正確な見積書が不可欠です。融資担当者に事業の将来性や返済能力をしっかりと示すことが、審査を通過するための鍵となります。まずは最寄りの支店窓口で相談してみることをお勧めします。


6. 失敗しない内装工事業者の選び方と見積もりのポイント

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店舗の内装工事は、開業資金の中でも大きな割合を占める重要な投資です。そして、その成否は依頼する業者によって大きく左右されます。デザインや費用はもちろん、工事の品質やスケジュール管理まで、信頼できるパートナーを見つけることが、理想の店舗を実現するための第一歩です。この章では、業者選びで後悔しないための具体的な方法と、見積もりを比較検討する際の重要なチェックポイントをプロの視点から詳しく解説します。


6.1 依頼先の種類と特徴(設計事務所・工務店など)

店舗の内装工事を依頼できる業者には、主に「設計事務所」「工務店」「内装会社(デザイン施工会社)」の3種類があります。それぞれに特徴や得意分野があるため、ご自身の店舗のコンセプトや予算、こだわりたいポイントに合わせて最適な依頼先を選びましょう。

種類

特徴

メリット

デメリット

設計事務所

デザイン・設計を専門に行う。施工は別途工務店などに依頼する「設計施工分離方式」が基本。

・デザイン性が高く、独創的な空間を実現しやすい


・第三者の立場で施工を監理してくれる

・設計料が別途必要


・施工会社との連携が別途必要で、手間と時間がかかる

工務店

施工を専門に行う。設計機能を持つ場合もあるが、基本的には設計図をもとに工事を進める。

・地域密着型が多く、柔軟な対応が期待できる


・設計施工を分離した場合、コストを抑えやすいことがある

・デザイン提案力は業者による差が大きい


・デザインにこだわる場合は別途設計者が必要

内装会社


(デザイン施工会社)

デザイン・設計から施工までを一貫して請け負う。ワンストップで対応可能。

・窓口が一つで、打ち合わせや責任の所在が明確


・設計と施工が連携し、スムーズに工事が進む

・設計と施工が一体なため、競争原理が働きにくい


・会社の得意なデザインテイストに偏る可能性がある

初めて店舗を開業する方や、デザインから施工までまとめて相談したい方には、ワンストップで対応してくれる内装会社(デザイン施工会社)がおすすめです。


6.2 信頼できる業者を見極める5つのチェックリスト

良い業者を見つけるためには、複数の会社を比較検討することが不可欠です。以下の5つのポイントを基準に、信頼できるパートナーとなり得るかを見極めましょう。

  1. 店舗の業種に合った施工実績が豊富か


    飲食店の厨房設備や美容室の給排水設備など、業種によって必要な工事は大きく異なります。自店の業種や作りたいデザインテイストに近い施工実績(ポートフォリオ)が豊富にあるかを確認しましょう。

  2. 建設業許可や資格を保有しているか


    500万円(税込)以上の内装工事を請け負うには「建設業許可」が必要です。許可の有無は、会社の信頼性を測る一つの指標になります。あわせて、担当者が建築士や施工管理技士などの資格を持っているかも確認すると良いでしょう。

  3. 担当者とのコミュニケーションは円滑か


    担当者は、工事完了まで二人三脚で進む重要なパートナーです。こちらの要望を正確に汲み取り、専門的な視点から的確な提案をしてくれるか、レスポンスは迅速かなど、コミュニケーションの相性を重視しましょう。

  4. 保証やアフターフォロー体制が整っているか


    引き渡し後に不具合が発生した場合の対応についても、契約前に必ず確認が必要です。「工事保証書」の発行の有無や、保証期間、どのような内容まで対応してくれるのかを明確にしておきましょう。

  5. 経営状況に不安はないか


    万が一、工事の途中で業者が倒産するようなことがあれば、工事は中断し、支払った費用が戻らないリスクもあります。過度に安価な見積もりを提示する業者や、設立から日が浅い会社の場合は特に、慎重な判断が求められます。


6.3 見積書で必ず確認すべき重要項目

相見積もりを取得したら、総額だけで判断せず、内容を詳細に比較することが重要です。安く見えても必要な工事が含まれておらず、後から追加費用が多額に発生するケースもあります。見積書では特に以下の項目に注意して確認しましょう。

  • 工事項目と内訳の具体性


    「内装工事一式」のように曖昧な表記が多くないかを確認します。優良な業者の見積書は、「壁:クロス張り XX㎡ 単価〇〇円」のように、工事項目ごとに数量や単価が細かく記載されています。不明瞭な「一式」表記が多い場合は、必ず詳細な内訳の提出を求めましょう。

  • 使用する建材や設備のメーカー・品番


    壁紙や床材、照明器具、厨房機器などのメーカー名や品番が具体的に記載されているかを確認します。同じような見た目でも、グレードによって価格や耐久性が大きく異なるため、仕様が明確になっていることが重要です。

  • 「別途工事」の範囲


    見積もりに含まれていない「別途工事」の範囲を確認することも非常に重要です。例えば、看板工事、電話・インターネット回線工事、防災設備の設置などが別途扱いになっていないか、想定外の出費を防ぐために必ずチェックしましょう。

  • 諸経費の内容


    現場管理費や一般管理費などの「諸経費」が計上されています。これは工事を円滑に進めるための必要経費ですが、工事費総額の10%〜15%程度が一般的です。相場から大きくかけ離れていないかを確認し、内訳が不明な場合は説明を求めましょう。


7. 依頼から完成まで 店舗内装工事の基本的な流れ

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店舗の内装工事は、思い描いた理想の空間を現実にするための重要なプロセスです。しかし、何から手をつければ良いのか、どのような手順で進むのか分からず不安に感じる方も多いでしょう。ここでは、企画段階から店舗の完成、そしてその後に至るまでの一連の流れを4つのステップに分けて詳しく解説します。全体像を把握し、計画的に準備を進めることで、後悔のない店舗づくりを実現しましょう。

各ステップの期間はあくまで目安であり、店舗の規模や業種、工事内容によって変動します。事前に業者と綿密なスケジュール調整を行うことが成功の鍵となります。



店舗内装工事の基本的な流れと期間の目安

ステップ

主な内容

期間の目安

1. 企画・コンセプト設計

事業計画の策定、店舗コンセプトの具体化、物件の選定

1ヶ月~3ヶ月

2. 業者選定・契約

内装工事業者のリストアップ、相見積もり、業者決定と契約

1ヶ月~2ヶ月

3. 詳細設計・施工

実施設計図の作成、内装材や設備の最終決定、現場での工事

3ヶ月~4ヶ月

4. 引き渡し・アフターフォロー

竣工検査(施主検査)、手直し工事、鍵や保証書の受け取り

1週間~2週間

7.1 企画・コンセプト設計

店舗内装工事の成否を分ける最も重要なステップが、この企画・コンセプト設計です。まず、どのような店舗にしたいのか、ターゲット顧客は誰か、どのようなサービスや商品を提供するのかといった事業計画の根幹を固めます。この事業計画をもとに、店舗の雰囲気、デザインの方向性、ブランドイメージといった「コンセプト」を具体的に言語化・視覚化していきます。この段階でコンセプトが曖昧だと、後の設計や業者選びで方向性がブレてしまい、結果的に満足のいかない内装になるため、時間をかけてじっくりと検討しましょう。並行して、コンセプトに合った立地の物件探しも行います。スケルトン物件か居抜き物件かによって、後の工事費用や工期が大きく変わるため、慎重な判断が求められます。


7.2 業者選定・契約

固まったコンセプトを形にしてくれる、信頼できるパートナー(内装工事業者)を見つけるステップです。依頼先には、設計事務所、デザイン会社、工務店など様々な種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分の店舗の規模やこだわりに合った業者を複数リストアップしましょう。そして、必ず複数の業者から相見積もりを取得します。見積もりを比較する際は、単に総額の安さだけで判断するのではなく、提案内容の質、工事範囲の明確さ、過去の実績、担当者との相性などを総合的に評価することが極めて重要です。十分に比較検討し、納得できる業者が見つかったら、工事請負契約を締結します。契約書の内容は隅々まで確認し、不明点があれば必ず質問して解消しておきましょう。


7.3 詳細設計・施工

契約した業者と二人三脚で、具体的な設計図を作成し、実際の工事を進めていくステップです。まず、基本設計をもとに、平面図や展開図、電気・水道・ガスなどの設備図といった詳細な「実施設計図」を作成します。この段階で、壁紙や床材などの内装材、照明器具や厨房機器などの設備、造作家具の仕様などを最終決定します。すべての仕様が確定し、各種申請が許可されたら、いよいよ着工です。工事期間中は、定期的に現場へ足を運び、図面通りに進んでいるか、品質に問題はないかなどを自分の目で確認することをおすすめします。業者との定例会議などを通じて、進捗状況を共有し、認識のズレを早期に修正していくことが、トラブルを防ぎ、理想の店舗を実現するための鍵となります。


7.4 引き渡し・アフターフォロー

工事が完了し、いよいよ店舗が完成する最終ステップです。工事が完了すると、まず「竣工検査(施主検査)」が行われます。これは、施主が業者立ち会いのもと、図面や仕様書通りに仕上がっているか、傷や汚れ、設備の不具合などがないかをチェックする非常に重要な検査です。ここで見つかった問題点はリストアップし、手直し工事を依頼します。すべての手直しが完了したら、最終金支払いと引き換えに、店舗の鍵や各種設備の取扱説明書、保証書などを受け取り、正式に「引き渡し」となります。また、引き渡し後の保証期間や、定期点検などのアフターフォロー体制についても契約前に必ず確認しておきましょう。万が一の不具合が発生した際に、迅速に対応してくれる業者であれば、長期間にわたって安心して店舗を運営することができます。


8. まとめ

本記事では、店舗内装工事の費用について、坪単価の相場から詳細な内訳、業種別の費用感、コストを抑える具体的な方法まで、網羅的に解説しました。店舗内装工事の費用は、物件がスケルトンか居抜きか、また業種やデザインのこだわりによって大きく変動します。そのため、坪単価という一面的な情報だけで判断するのではなく、工事費や設備費、設計費などを含めた総額で資金計画を立てることが成功の鍵となります。

費用を適切に抑えるためには、「居抜き物件の活用」や「複数の業者からの相見積もり」、「補助金・助成金の活用」が特に有効です。特に、小規模事業者持続化補助金のような制度や、日本政策金融公庫の融資は、初期投資の負担を軽減する上で大きな助けとなります。

そして、理想の店舗を実現するための最も重要な要素は、信頼できるパートナーとなる内装工事業者を見つけることです。本記事でご紹介した業者選びのポイントや見積書のチェック項目を参考に、ご自身のビジョンを形にしてくれる最適な業者を選定してください。この記事で得た知識が、あなたの店舗開業という夢を実現するための一助となれば幸いです。

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