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失敗しないアスベスト分析・調査の進め方|信頼できる業者の選び方と費用相場

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 11月15日
  • 読了時間: 18分
アスベスト 分析 調査

アスベスト分析・調査で失敗しないための結論は、有資格者が在籍し、実績豊富な認定機関へ適正価格で依頼することです。2022年4月からの法改正により、建物の解体・改修工事におけるアスベスト事前調査が原則義務化されましたが、「調査の具体的な流れは?」「費用相場はいくら?」「悪質な業者に騙されたくない」など、多くの不安がつきまといます。本記事では、こうした疑問や不安をすべて解消するため、アスベスト調査の基本的な流れから分析方法、項目別の詳細な費用相場、活用できる補助金制度、そして最も重要な「信頼できる業者を見極める5つのポイント」までを網羅的に解説します。この記事を最後まで読めば、法令を遵守し、安全かつコストを抑えてアスベスト調査を進めるための具体的な知識と手順がすべてわかります。


1. なぜ今アスベスト分析・調査が必要なのか 法改正による義務化を解説

近年、建物の解体やリフォームを行う際に、アスベスト(石綿)の分析・調査が非常に重要視されています。その最大の理由は、相次ぐ法改正により、アスベストの事前調査が原則としてすべての工事で義務化されたからです。知らずに工事を進めてしまうと、法律違反による罰則の対象となるだけでなく、作業員や近隣住民の健康に深刻な被害を及ぼす危険性があります。

この章では、なぜ今アスベストの分析・調査が必須なのか、その背景にある法律の改正内容と、アスベストを放置することの危険性について詳しく解説します。


1.1 解体・改修工事におけるアスベスト事前調査の義務化

アスベストの飛散防止を徹底するため、大気汚染防止法および石綿障害予防規則(石綿則)が改正され、解体・改修工事における規制が大幅に強化されました。これにより、事業者は工事の規模に関わらず、アスベスト含有の有無を事前に調査する義務を負うことになりました。

特に重要な改正点は以下の通りです。


アスベスト事前調査に関する主な法改正のポイント

施行年月

改正内容

2022年4月1日~

一定規模以上の工事について、事前調査結果の電子報告が義務化されました。具体的には、解体部分の床面積の合計が80㎡以上の建築物解体工事や、請負金額が100万円以上の建築物改修工事などが対象となります。

2023年10月1日~

建築物のアスベスト事前調査は、専門の資格者(建築物石綿含有建材調査者など)が行うことが義務化されました。これにより、調査の信頼性と精度がより一層求められるようになっています。

これらの法改正により、建物の所有者や工事の発注者、施工業者は、これまで以上に厳格なアスベスト対策を求められます。適切な手順で調査・分析を行い、定められた方法で報告しなければ、罰則が科される可能性があるため注意が必要です。


1.2 アスベストを放置する健康被害のリスク

アスベストは「静かな時限爆弾」とも呼ばれる、極めて危険性の高い物質です。目に見えないほど細い繊維状の鉱物で、飛散しやすく、人が吸い込んでしまうと肺の中に長期間留まります。そして、10年から50年という非常に長い潜伏期間を経て、深刻な健康被害を引き起こすことが知られています。

アスベストが原因で発症する代表的な疾患には、以下のようなものがあります。

  • 中皮腫(ちゅうひしゅ):肺を覆う胸膜や腹部を覆う腹膜などにできる悪性腫瘍。アスベストとの関連が非常に強い病気です。

  • 肺がん:アスベスト繊維が肺の組織を傷つけることで発症リスクが高まります。喫煙との相乗効果で、そのリスクはさらに増大します。

  • 石綿肺(アスベスト肺):肺が線維化し、硬くなることで呼吸機能が低下する病気です。

  • びまん性胸膜肥厚:胸膜が厚く硬くなり、肺の膨らみを妨げることで呼吸困難を引き起こします。

解体や改修工事の際に適切な調査や対策を怠ると、建材に含まれるアスベストが飛散し、工事作業者だけでなく、近隣の住民までが吸引してしまう恐れがあります。未来の深刻な健康被害を防ぐため、そして社会的責任を果たすためにも、法律で定められた正確な分析・調査が不可欠なのです。


2. アスベスト分析・調査の基本的な流れを4ステップで紹介

アスベスト 分析 調査

アスベスト分析・調査は、石綿障害予防規則などの法令に基づいて定められた手順に沿って進める必要があります。ここでは、解体・改修工事前に行われる一般的なアスベスト調査の流れを4つのステップに分けて、具体的に解説します。この一連の流れを正しく理解することが、法令遵守と安全な工事の第一歩となります。


2.1 ステップ1 事前調査(書面調査・現地目視調査)

分析調査に先立ち、まずは対象となる建築物のアスベスト使用状況を把握するための「事前調査」を行います。この事前調査は、「建築物石綿含有建材調査者」という専門の有資格者が行う必要があります。事前調査は、書面調査と現地目視調査の2段階で実施されます。

調査の種類

調査内容

主な確認資料・対象

書面調査

設計図書や施工記録などの書類を確認し、アスベスト含有建材が使用されている可能性のある箇所を洗い出します。

設計図、竣工図、仕様書、施工記録、過去の改修履歴、建材の製品情報など

現地目視調査

書面調査で得た情報を基に、実際に現地で建物の状況を確認します。建材の種類や劣化状況、損傷の有無などを目視で判断します。

壁、天井、床、屋根、配管の保温材、断熱材、外壁材など、アスベスト含有の可能性がある全ての建材

この事前調査の段階で、設計図書などからアスベスト含有が明らかな場合や、アスベスト含有の有無が不明でも安全を優先して「アスベスト含有とみなす(みなし措置)」と判断した場合は、次のステップである分析調査を省略することも可能です。


2.2 ステップ2 検体の採取と分析調査

事前調査の結果、アスベスト含有の有無が不明な建材が見つかった場合、その建材の一部を採取(サンプリング)し、専門の分析機関で分析を行います。検体の採取は、アスベスト繊維を飛散させないよう、湿潤化などの適切な飛散防止措置を講じながら慎重に行う必要があります。採取された検体は、分析機関に送られ、アスベストが含まれているかどうか、含まれている場合はその種類と含有率を調べます。


2.3 ステップ3 調査結果報告書の作成

分析調査が完了すると、その結果をまとめた「アスベスト事前調査結果報告書」が作成されます。この報告書には、法律で定められた以下の内容などが詳細に記載されます。

  • 調査対象の建築物の概要

  • 調査を行った者の氏名・資格情報

  • 調査年月日

  • 調査方法(書面・目視・分析)

  • アスベスト含有建材の有無と、その使用箇所、建材の種類

  • 分析結果の詳細(分析機関名、分析方法、含有率など)

この報告書は、後の行政への報告や、除去工事の計画を立てる上で極めて重要な根拠資料となります。工事が完了するまで大切に保管する必要があります。


2.4 ステップ4 行政への報告と今後の対策

アスベスト事前調査の結果は、工事の規模に関わらず、元請業者または自主施工者が労働基準監督署および地方公共団体へ報告する義務があります。報告は原則として、厚生労働省が管轄する「石綿事前調査結果報告システム」を利用した電子申請で行います。

報告後、調査結果に基づいて具体的な対策を決定します。アスベストが検出された場合、その建材のレベル(発じん性の高さ)や状態に応じて、主に以下のいずれかの対策が取られます。

  • 除去:アスベスト含有建材を完全に取り除く工法。

  • 封じ込め:薬剤などを吹き付けてアスベスト層を固め、飛散を防止する工法。

  • 囲い込み:アスベスト含有建材を板材などで完全に覆い、飛散を防ぐ工法。

どの対策を選択するかは、専門業者と相談の上、建物の状況や今後の利用計画に合わせて慎重に判断する必要があります。


3. アスベスト分析調査の主な種類と方法

アスベスト 分析 調査

アスベストの分析調査は、建材にアスベストが含まれているかどうか、また含まれている場合はどのくらいの割合かを科学的に明らかにするための重要な工程です。分析方法は日本産業規格(JIS)によって定められており、大きく分けて「定性分析」と「定量分析」の2種類があります。それぞれの目的と具体的な方法について解説します。


3.1 定性分析 アスベストの有無を調べる

定性分析は、採取した建材の検体にアスベスト繊維が含まれているか「どうか」を調べるための分析です。建材にアスベストが含まれているかどうかを確定させるための最初のステップであり、法改正によって義務化された事前調査において極めて重要な役割を果たします。分析の結果、アスベストが「有り」と判断された場合、その種類(クリソタイル、アモサイト、クロシドライトなど6種類)も特定します。

主な分析方法はJIS A 1481-1およびJIS A 1481-2に規定されており、専門の分析機関で実施されます。

分析方法(JIS規格)

概要

特徴

JIS A 1481-1(偏光顕微鏡法)

アスベスト繊維が持つ特有の光学的性質(複屈折や分散色など)を利用して、顕微鏡で観察し、アスベストの有無と種類を特定します。

現在、最も主流となっている分析方法です。熟練した技術者が行うことで、迅速かつ正確に6種類のアスベストを識別できます。

JIS A 1481-2(X線回折・位相差分散顕微鏡法)

X線回折分析で結晶構造を、位相差分散顕微鏡で繊維の光学的性質を調べる方法です。偏光顕微鏡法と併用されることが多くあります。

偏光顕微鏡法での判定が困難な微細な繊維や、他の鉱物と混在している場合に、分析の精度を高める補助的な役割を果たします。

3.2 定量分析 アスベストの含有率を調べる

定量分析は、定性分析によってアスベストの含有が確認された建材に対し、そのアスベストが「どのくらいの割合で」含まれているか(含有率)を調べるための分析です。アスベスト含有率が0.1重量%(ウェイトパーセント)を超えるかどうかが、法規制の対象となるかの重要な判断基準となるため、除去工事の要否や作業レベルの決定に不可欠な情報となります。

定量分析の方法は、主にJIS A 1481-3およびJIS A 1481-4に規定されています。

分析方法(JIS規格)

概要

主な適用対象

JIS A 1481-3(X線回折分析法)

検体にX線を照射し、その回折強度をあらかじめ濃度のわかっている標準物質と比較することで、アスベストの含有率を算出します。

比較的アスベスト含有率が高い建材(成形板など)の分析に適しています。

JIS A 1481-4(ポイントカウント法)

顕微鏡下で検体を一定間隔で移動させながら、格子状のポイントと重なったアスベスト繊維の数を数え、面積率から重量含有率を算出します。

吹付け材や保温材など、アスベストが不均一に分布している低密度の建材に適しています。

これらの分析は専門的な知識と設備を要するため、必ず国や自治体の認定を受けた信頼できる分析機関に依頼することが重要です。


4. 【項目別】アスベスト分析・調査の費用相場

アスベスト 分析 調査

アスベスト分析・調査にかかる費用は、建物の規模や構造、調査内容によって大きく変動します。費用は主に「事前調査費用」「分析調査費用」「報告書作成費用」の3つに分けられます。ここでは、それぞれの項目別に費用相場を詳しく解説します。業者から提示された見積もりが適正価格か判断する際の参考にしてください。


4.1 事前調査(書面・現地)の費用

事前調査は、設計図書などの資料を確認する「書面調査」と、実際に現地で建材を目視確認する「現地調査」からなります。費用は、調査対象となる建物の延床面積によって算出されるのが一般的です。建物の構造が複雑であったり、部屋数が多かったりすると費用は高くなる傾向があります。


建物の延床面積ごとの事前調査費用相場

建物の延床面積

費用相場

~100㎡

50,000円~80,000円

100㎡~300㎡

70,000円~120,000円

300㎡~1,000㎡

100,000円~200,000円

1,000㎡以上

200,000円~(要見積もり)

上記の金額はあくまで目安です。正確な費用は、調査を依頼する業者に必ず見積もりを依頼して確認しましょう。また、設計図書などの資料が揃っている場合は、調査がスムーズに進み、費用を抑えられる可能性もあります。


4.2 分析調査(検体採取・分析)の費用

事前調査の結果、アスベスト含有の可能性がある建材が見つかった場合、検体を採取して専門の分析機関で調査を行います。この費用は、採取する検体の数と分析方法によって決まります。検体採取費と分析費用がそれぞれ必要になる点に注意が必要です。



分析調査の費用相場(1検体あたり)

項目

費用相場

備考

検体採取費

10,000円~30,000円

採取場所の状況(高所など)により変動します。

定性分析

30,000円~50,000円

アスベストの有無を調べる分析です。(JIS A 1481-1, 2など)

定量分析

40,000円~80,000円

アスベストの含有率を調べる分析です。(JIS A 1481-3など)

複数の検体を同時に分析依頼すると、1検体あたりの単価が割引になるケースが多くあります。アスベスト含有が疑われる建材が複数ある場合は、まとめて依頼することを検討しましょう。


4.3 報告書作成の費用

調査結果をまとめた「アスベスト事前調査結果報告書」の作成にも費用がかかります。この費用は、事前調査や分析調査の費用に含まれている場合と、別途請求される場合があります。2022年4月からは、一定規模以上の解体・改修工事において、労働基準監督署などへの電子システムによる報告が義務化されており、その報告代行費用が含まれることもあります。


報告書作成の費用相場

項目

費用相場

アスベスト事前調査結果報告書作成

20,000円~50,000円

行政への電子報告代行

10,000円~30,000円

見積もりを取得する際には、報告書作成費用や行政への報告代行費用が含まれているかを必ず確認することが、後々のトラブルを防ぐための重要なポイントです。


5. 失敗しないアスベスト分析・調査業者の選び方5つのポイント

アスベスト 分析 調査

アスベスト分析・調査は、専門的な知識と技術を要するため、業者選びが極めて重要です。信頼できる業者に依頼しなければ、不正確な調査結果により健康被害のリスクを見逃したり、法令違反につながったりする恐れがあります。ここでは、安心して任せられる業者を選ぶための5つのポイントを解説します。


5.1 有資格者(建築物石綿含有建材調査者)が在籍しているか

2023年10月1日から、建築物のアスベスト事前調査は、厚生労働大臣が定める講習を修了した「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者が行うことが法律で義務付けられました。無資格者による調査は法令違反となるため、必ず有資格者が在籍しているかを確認しましょう。

業者のウェブサイトで資格保有者の情報を確認したり、問い合わせ時に資格者証の提示を求めたりするのが確実です。調査対象の建物に応じて必要な資格(一般、特定、一戸建て等)が異なるため、自社の建物に適した資格者がいるかも併せて確認すると良いでしょう。


5.2 アスベスト分析の実績が豊富か

アスベスト含有建材は種類が多く、目視だけでは判断が難しいケースも少なくありません。実績が豊富な業者は、多様な建材や建物構造に関する知見を蓄積しており、図面や目視だけでは見落としがちなアスベスト含有の可能性を的確に判断できます。

業者のウェブサイトで、これまでの調査件数や、工場、ビル、戸建て住宅といった建物の種類ごとの調査事例を確認しましょう。特に、自身が調査を依頼したい建物と類似した物件での実績が豊富であれば、より精度の高い調査が期待できます。


5.3 見積もりの内容が明確で分かりやすいか

費用に関するトラブルを避けるため、見積もりの内容が明確であることは必須条件です。「調査一式」といった曖昧な記載ではなく、各項目の単価や数量が具体的に示されているかを確認してください。複数の業者から相見積もりを取り、内容を比較検討することをおすすめします。

安さだけで選ぶと、必要な調査が省略されたり、後から高額な追加費用を請求されたりするリスクがあります。以下のチェックリストを参考に、見積書の内容を精査しましょう。


見積書チェックリスト

チェック項目

確認するポイント

調査費用の内訳

書面調査、現地調査の費用がそれぞれ記載されているか。

分析費用の内訳

検体採取費、分析費が検体数や分析方法別に明記されているか。

報告書作成費用

報告書の作成費用が含まれているか。

諸経費

交通費や駐車場代などの諸経費が明確に記載されているか。

追加費用の可能性

想定外の検体が必要になった場合など、追加費用が発生する条件が記載されているか。

5.4 調査後の対策まで一貫して相談できるか

アスベストが検出された場合、調査だけで終わりではありません。除去、封じ込め、囲い込みといった対策工事や、行政への各種届出が必要になります。調査から分析、対策工事、行政報告までワンストップで対応できる業者であれば、手続きがスムーズに進み、責任の所在も明確になります。

調査を依頼する段階で、アスベストが検出された場合の対応フローや、除去工事の実績、提携している専門業者の有無などを確認しておくと安心です。長期的な視点で建物の安全管理をサポートしてくれるパートナーを選びましょう。


5.5 国や自治体の認定を受けた分析機関か

分析調査を外部の機関に委託している業者も多くあります。その場合、提携している分析機関が公的な認定を受けているかどうかが、分析結果の信頼性を担保する上で重要な指標となります。

分析の精度や信頼性を示す主な認定・登録制度には以下のようなものがあります。業者選定の際に、どのレベルの分析機関と提携しているかを確認することをおすすめします。


主な分析機関の認定・登録制度

認定・登録制度

概要

JIS A 1481シリーズ対応

日本産業規格(JIS)が定めるアスベスト分析方法に対応している機関。品質管理体制が整っている証となります。

厚生労働省 石綿則に基づく登録

労働安全衛生法(石綿障害予防規則)に基づき、国が定める施設や機器、技能要件を満たした分析機関。

建材中の石綿含有率等分析機関(日測協)

(公社)日本作業環境測定協会による認定制度。特にAランクは、高い技術力と精度管理能力を持つと評価されています。

これらの認定を受けた機関による分析報告書は、公的な手続きにおいても高い信頼性が得られます。業者に問い合わせる際は、どの認定機関で分析を行うのかを明確にしておきましょう。


6. アスベスト調査で活用できる補助金・助成金制度

アスベスト 分析 調査

アスベストの分析調査や除去工事には費用がかかりますが、国や地方自治体が設けている補助金・助成金制度を活用することで、その経済的負担を大幅に軽減できる可能性があります。これらの制度を賢く利用し、安全な環境づくりを進めましょう。


6.1 国の補助金制度(住宅・建築物アスベスト改修事業)

国土交通省が主体となり、地方公共団体と連携して実施している補助制度です。民間建築物の所有者などがアスベストの分析調査や除去、封じ込め、囲い込みといった対策工事を行う際に、その費用の一部を補助します。多くの自治体で実施されている補助金制度の基盤となっています。


6.2 地方自治体(都道府県・市区町村)の補助金制度

国からの補助に加えて、各都道府県や市区町村が独自に補助金・助成金制度を設けている場合があります。制度の有無や名称、補助対象、補助率、上限額などは自治体によって大きく異なるため、建築物が所在する自治体の担当窓口(建築指導課など)や公式ウェブサイトで最新の情報を確認することが不可欠です。

多くの場合、予算には限りがあり、申請期間も定められているため、早めに情報を収集し、計画を立てることが重要です。


6.3 補助金・助成金の対象と内容(一般的な例)

補助金の具体的な内容は自治体ごとに異なりますが、一般的には以下のような項目が対象となります。申請を検討する際の参考にしてください。

項目

内容の例

対象建築物

個人住宅、共同住宅、事務所、店舗、工場、倉庫など、吹付けアスベスト等が施工されている可能性のある民間建築物。

対象となる費用

  • 建築物石綿含有建材調査者によるアスベスト分析調査費用

  • アスベストの除去、封じ込め、囲い込み工事にかかる費用

  • 除去工事に伴う仮設や保護具、廃棄物処理費用など

補助率・上限額

  • 分析調査:費用の全額(上限10万円~25万円程度)

  • 除去等工事:対象費用の2/3以内(上限100万円~200万円程度)

※上記はあくまで一例です。必ず管轄の自治体にご確認ください。

6.4 申請する際の注意点

補助金・助成金制度を利用する際には、いくつか重要な注意点があります。手続きを誤ると補助金が受けられなくなる可能性があるため、必ず事前に確認しましょう。

  • 必ず調査や工事の「契約前」「着手前」に申請が必要です。事後の申請は原則として認められません。

  • 年度ごとに予算が定められており、上限に達した場合は受付が終了となることがあります。

  • 申請から交付決定までに一定の期間を要するため、スケジュールには余裕を持って計画を立てましょう。

  • 申請には、見積書や調査計画書、建物の図面など、様々な書類が必要となります。


7. まとめ

本記事では、アスベストの分析・調査について、法改正による義務化の背景から具体的な流れ、費用相場、そして信頼できる業者の選び方までを網羅的に解説しました。2022年4月から施行された改正大気汚染防止法および石綿障害予防規則により、建物の解体・改修工事におけるアスベストの事前調査は、事業者の明確な義務となっています。これは、知らずにアスベストを飛散させ、作業員や近隣住民に深刻な健康被害を及ぼすリスクを防ぐための極めて重要な措置です。

失敗しないアスベスト調査の結論は、「信頼できる専門業者に依頼すること」に尽きます。業者を選ぶ際は、本記事で紹介した5つのポイント、特に「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者が在籍しているか、分析実績は豊富か、見積もりの内訳は明確か、そして調査後の除去工事まで一貫して相談できるかを確認することが不可欠です。適切な業者選びが、法令遵守と安全確保の鍵を握ります。

調査には費用が発生しますが、国や地方自治体が設けている補助金・助成金制度を活用することで、経済的な負担を軽減できる場合があります。アスベストに関する不安や疑問がある場合は、まずは複数の専門業者に相談し、建物の状況に合った最適な調査計画の提案を受けることから始めましょう。この記事が、あなたの安全で確実なアスベスト対策の一助となれば幸いです。

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