後悔しない店舗のスケルトン解体!優良業者の見つけ方と見積もりのポイント
- seira murata
- 5 日前
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店舗のスケルトン解体で「こんなはずではなかった」と後悔しないために。本記事では、坪単価で見る費用相場から、信頼できる優良業者の見つけ方、損をしないための見積もり比較のポイントまで、専門家が徹底解説します。解体工事を成功させる鍵は「複数の優良業者から相見積もりを取ること」です。この記事を読めば、適正価格で安心して依頼するための知識と具体的な手順がすべて分かります。
1. はじめに 店舗のスケルトン解体とは
店舗の移転や閉店、リニューアルに伴い必要となる解体工事。その中でも「スケルトン解体」は、建物の構造躯体(骨組み)以外のすべてを撤去し、コンクリートがむき出しになった状態に戻す工事を指します。これは、賃貸借契約における「スケルトン返し」の義務を果たすためや、次のテナントが全く新しい内装を自由に設計できるようにするために行われます。この記事では、店舗のスケルトン解体に関する基礎知識から、後悔しないための業者選びまでを詳しく解説します。
1.1 スケルトン解体と原状回復の基本的な違い
店舗の解体工事を検討する際、「スケルトン解体」と「原状回復」は混同されがちな言葉ですが、その意味は異なります。原状回復は「物件を借りた当初の状態に戻す」ことを指し、その範囲は賃貸借契約書の内容によって大きく変わります。一方、スケルトン解体は原状回復の中でも最も解体範囲が広い工事です。契約書に「スケルトン渡し」と記載があればスケルトン解体が必要になりますが、「原状回復」としか書かれていない場合は、必ずしもスケルトン状態に戻す必要はありません。契約内容を事前にしっかり確認することが、余計な費用やトラブルを防ぐ第一歩です。
スケルトン解体と原状回復の違い | ||
項目 | スケルトン解体 | 原状回復 |
定義 | 建物の構造躯体(骨組み)のみを残し、内装や設備をすべて撤去すること。 | 物件を借りた当初の状態に戻すこと。 |
工事範囲 | 天井、壁、床、配線、配管、空調設備など、内装のすべてを撤去。コンクリート打ちっぱなしの状態にする。 | 契約内容によって異なる。壁紙の張り替えやクリーニングのみの場合もあれば、スケルトン解体を求められる場合もある。 |
目的 | 物件を完全にリセットし、次のテナントが自由に内装を設計できるようにする。 | 賃貸借契約上の義務を果たすこと。 |
1.2 居抜き物件との関係性とメリットデメリット
スケルトン解体と対極にあるのが「居抜き」です。居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装や厨房設備、什器などをそのまま残した状態で次のテナントに引き渡す物件のことです。スケルトン状態にして貸し出すか、居抜き物件として貸し出すかは、オーナーや次のテナントの意向によって決まります。それぞれにメリットとデメリットが存在するため、状況に応じた判断が求められます。
スケルトン状態と居抜き物件のメリット・デメリット | ||
スケルトン状態のメリット | スケルトン状態のデメリット | |
貸主 (オーナー) |
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借主 (次のテナント) |
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退去者 |
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2. 店舗のスケルトン解体にかかる費用相場と内訳

店舗のスケルトン解体を検討する上で、最も気になるのが「費用」ではないでしょうか。解体費用は店舗の規模や状態によって大きく変動するため、事前に相場感を把握し、何にどれくらいの費用がかかるのかを理解しておくことが、予算計画と業者選びの第一歩となります。ここでは、スケルトン解体の費用相場と、その内訳について詳しく解説します。
2.1 坪単価で見るスケルトン解体の費用目安
スケルトン解体の費用は、一般的に「坪単価」で算出されます。ただし、これはあくまで目安であり、店舗の業種や内装、立地条件によって大きく変動します。特に、厨房設備や給排水設備が複雑な飲食店は、他の業種に比べて高くなる傾向にあります。
店舗の業種別スケルトン解体費用の坪単価目安 | ||
店舗の業種 | 坪単価の目安 | 費用の特徴 |
飲食店(レストラン・カフェ・居酒屋など) | 30,000円~80,000円 | 厨房設備、グリストラップ、ダクト、防水工事など撤去物が多く、高額になりやすい。 |
物販店(アパレル・雑貨店など) | 25,000円~60,000円 | 大掛かりな設備は少ないが、造作棚や什器、内装デザインによって費用が変動する。 |
美容室・サロン | 30,000円~70,000円 | シャンプー台やボイラーなどの給排水設備、間仕切り壁の撤去が主な費用となる。 |
オフィス・事務所 | 20,000円~50,000円 | パーテーションやOAフロアの撤去が中心。比較的、費用は安価な傾向にある。 |
上記の坪単価はあくまで一般的な目安です。正確な費用を知るためには、必ず複数の解体業者から現地調査の上で見積もりを取得することが重要です。
2.2 解体費用を左右する5つのポイント
同じ坪数でも解体費用に差が出るのはなぜでしょうか。ここからは、見積もり金額を大きく左右する5つの具体的なポイントを解説します。
2.2.1 店舗の業種と内装設備
前述の通り、店舗の業種は費用に直結します。特に飲食店の厨房にあるような重量のある業務用設備や、壁や床に埋め込まれた配管・配線の撤去は、手間と時間がかかるため費用が加算されます。また、大理石やコンクリートブロックなど、特殊な素材で内装が作られている場合も、解体と廃棄物の処理費用が高くなります。
2.2.2 建物の構造と立地条件
建物の構造(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造)によって、解体の難易度が変わります。一般的に、頑丈な鉄筋コンクリート造(RC造)は解体に手間がかかるため、費用が高くなる傾向があります。また、店舗の立地条件も重要です。重機やトラックが進入できない狭い路地にある店舗や、繁華街のビル内で夜間しか作業できない場合は、手作業が増えたり夜間割増料金が発生したりするため、人件費や運搬費が通常より高くなります。
2.2.3 アスベスト含有建材の有無
2006年以前に建てられた建物では、壁や天井、床材などにアスベスト(石綿)が含まれている可能性があります。アスベストの調査は法律で義務付けられており、もし含有が確認された場合は、専門の資格を持つ作業員による厳重な飛散防止対策を施した上での除去作業が必要です。アスベスト除去工事は高額な追加費用が発生するため、築年数が古い建物の場合は特に注意が必要です。
2.2.4 廃棄物の量と種類
スケルトン解体で発生する木くず、コンクリートがら、石膏ボード、ガラスなどは「産業廃棄物」として法律に基づき適正に処理しなければなりません。解体費用の内訳の中でも、この産業廃棄物の運搬・処分費用が大きな割合を占めます。内装の造作が多いほど廃棄物の量が増え、費用も比例して増加します。
2.2.5 解体工事の時期
解体業界にも繁忙期と閑散期があります。多くの企業が決算期を迎える年度末(2月~3月)や、年末(12月)は工事が集中しやすいため、作業員やトラックの確保が難しくなり、費用が割高になることがあります。もしスケジュールに余裕があれば、これらの繁忙期を避けて依頼することで、費用を抑えられる可能性があります。
2.3 見積書で確認すべき費用の内訳
解体業者から提示される見積書には、様々な項目が記載されています。後々のトラブルを避けるためにも、各項目が何を示す費用なのかをしっかり理解しておきましょう。
スケルトン解体の見積書における主な内訳 | |
項目 | 内容 |
仮設工事費 | 工事前の養生(床や壁の保護)、仮設電気・水道の設置、作業スペースの確保などにかかる費用。 |
内装解体工事費 | 天井、壁、床、間仕切り、造作物の解体・撤去作業にかかる人件費や機材費。工事のメインとなる費用。 |
設備撤去工事費 | 厨房設備、空調設備、給排水設備、電気設備などの撤去にかかる費用。専門性が高いため別途計上されることが多い。 |
産業廃棄物運搬処分費 | 解体で発生した廃棄物を分別し、中間処理施設や最終処分場まで運搬・処分するための費用。 |
諸経費 | 現場管理費、事務手数料、官公庁への届出費用、近隣挨拶の費用など。会社によって含まれる内容が異なる。 |
見積書に「解体工事一式」としか書かれていない場合は注意が必要です。どの作業にいくらかかるのかが不透明で、後から追加費用を請求されるリスクがあります。必ず詳細な内訳が記載された見積書を提出してもらい、不明な点は契約前に確認することが大切です。
3. 店舗のスケルトン解体工事の一般的な流れ

店舗のスケルトン解体は、思いつきで始められるものではありません。業者探しから工事完了まで、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、一般的な工事の流れを7つのステップに分けて解説します。全体像を把握することで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに工事を進めましょう。
3.1 ステップ1 解体業者探しと現地調査
最初のステップは、信頼できる解体業者を探すことです。インターネット検索や知人からの紹介などを活用し、複数の候補業者をリストアップします。気になる業者が見つかったら、連絡を取り、現地調査を依頼しましょう。現地調査では、業者が店舗の広さ、構造、内装材の種類、搬出経路などを直接確認し、正確な見積もりを作成するための情報を収集します。このとき、どこまで解体してほしいのか、残したい設備はあるかなど、希望を具体的に伝えることが重要です。
3.2 ステップ2 見積書の取得と比較検討
現地調査が終わると、各業者から見積書が提出されます。最低でも2〜3社から見積もりを取得する「相見積もり」を行いましょう。見積書を比較する際は、総額の安さだけで判断してはいけません。工事内容の詳細、解体範囲、廃棄物処理費、諸経費などが明記されているか、各項目の内訳を細かくチェックします。不明な点や曖昧な記載があれば、必ず業者に質問し、納得できる説明を求めましょう。
3.3 ステップ3 契約と各種届出の手続き
見積もり内容や業者の対応に納得できたら、正式に工事請負契約を締結します。契約書には、工事金額、工期、支払い条件、追加工事が発生した場合の取り決めなどが記載されています。隅々まで目を通し、内容を十分に理解した上で署名・捺印してください。また、建物の規模によっては、解体工事の前に公的な届出が必要です。多くは業者が代行してくれますが、誰が責任を持って手続きを行うのか、契約前に確認しておきましょう。
主な届出の例 | ||
届出の種類 | 概要 | 備考 |
建設リサイクル法に基づく届出 | 床面積の合計が80㎡以上の建築物の解体工事で必要。 | 工事開始の7日前までに都道府県知事へ届出。 |
道路使用許可申請 | 工事車両の駐車や資材の搬出入で公道を使用する場合に必要。 | 管轄の警察署へ申請。 |
アスベスト除去等作業届 | 一定量以上のアスベスト含有建材の除去作業で必要。 | 労働基準監督署や自治体へ届出。 |
3.4 ステップ4 近隣への挨拶と養生
解体工事は、騒音や振動、粉塵の発生が避けられません。工事開始前に、近隣の店舗や住民の方々へ挨拶回りを行い、工事の概要や期間を説明して理解を得ることが、トラブル防止の鍵となります。業者が主体となって行いますが、施主も一緒に回ることで、より丁寧な印象を与え、誠意が伝わりやすくなります。挨拶と並行して、現場では養生作業が行われます。これは、粉塵が外部に飛散するのを防いだり、共用部である廊下やエレベーターを傷つけたりしないように、シートやパネルで保護する重要な作業です。
3.5 ステップ5 内装解体からスケルトン工事へ
準備が整うと、いよいよ解体工事が始まります。まずは、壁紙、床材、天井などの内装材や、厨房設備、空調、トイレ、間仕切り壁といった内部の造作物を撤去していきます。その後、建物の構造体(コンクリート躯体や鉄骨など)があらわになるまで解体を進め、スケルトン状態にしていきます。工事中は安全管理を徹底し、計画に沿って作業が進められます。
3.6 ステップ6 産業廃棄物の分別と搬出
解体工事で発生した木くず、コンクリートがら、金属くず、プラスチックなどの廃棄物は、「産業廃棄物」として法律に基づき適正に処理する必要があります。現場では、これらの廃棄物を品目ごとに丁寧に分別します。分別された産業廃棄物は、許可を持つ専門の収集運搬業者によって、中間処理施設や最終処分場へ計画的に搬出されます。この工程を疎かにする業者は不法投棄のリスクがあるため注意が必要です。
3.7 ステップ7 清掃と最終確認および引き渡し
すべての解体作業と廃棄物の搬出が完了したら、現場の清掃が行われます。その後、施主が立ち会いのもと、契約書通りの範囲がきちんと解体されているか、躯体に不要な損傷がないかなどを最終確認します。すべての点検で問題がなければ、業者から現場の引き渡しを受け、工事は完了となります。この時点で、工事完了確認書などに署名し、残金の支払い手続きを進めます。
4. 後悔しないための優良なスケルトン解体業者の見つけ方

店舗のスケルトン解体は、専門的な知識と技術が求められる工事です。費用を抑えることばかりに目を向けて業者を選ぶと、工事の質の低下や近隣トラブル、最悪の場合は法的な問題に発展する可能性もあります。ここでは、安心して任せられる優良な解体業者を見つけるための具体的な方法と、注意すべきポイントを解説します。
4.1 必須条件 解体工事に必要な許認可を確認する
スケルトン解体を行う業者は、法律で定められた許認可を取得している必要があります。無許可の業者に依頼すると、不適切な工事や産業廃棄物の不法投棄といったトラブルに巻き込まれるリスクが非常に高くなります。契約前には必ず以下の許認可の有無を確認しましょう。
許認可の種類 | 内容と確認ポイント |
建設業許可(解体工事業) | 税込み500万円以上の解体工事を請け負う場合に必須となる許可です。都道府県知事または国土交通大臣から交付されます。許可番号を確認しましょう。 |
解体工事業登録 | 税込み500万円未満の解体工事を請け負う場合に必要となる登録です。工事を行う都道府県ごとに登録が必要です。 |
産業廃棄物収集運搬業許可 | 解体工事で発生した廃棄物を、中間処理施設や最終処分場まで運搬するために必要な許可です。この許可がない業者は、廃棄物処理を他社に委託するか、違法に処理するしかありません。 |
これらの許認可情報は、業者のウェブサイトや会社案内、見積書などに記載されていることが一般的です。もし見当たらない場合は、直接問い合わせて提示を求めましょう。誠実な業者であれば、快く応じてくれるはずです。
4.2 信頼できる業者か見極める5つのチェックリスト
許認可の確認は最低限のステップです。さらに、以下の5つのポイントをチェックすることで、より信頼性の高い業者を見極めることができます。
チェック項目 | 確認方法とポイント |
1. 店舗解体の実績 | 業者のウェブサイトで施工事例を確認します。特に、自身の店舗と同じ業種や類似した規模の解体実績が豊富かをチェックしましょう。経験豊富な業者は、特有の設備や構造への理解が深く、スムーズな工事が期待できます。 |
2. 担当者の対応 | 問い合わせや現地調査の際の担当者の対応は重要です。専門用語を分かりやすく説明してくれるか、質問に的確に答えてくれるか、こちらの要望を真摯に聞いてくれるかなど、コミュニケーションの質を見極めましょう。 |
3. 各種保険への加入 | 万が一の物損事故や人身事故に備え、「損害賠償責任保険」に加入しているかを必ず確認してください。保険証券のコピーを提示してもらうとより安心です。 |
4. 明確な見積書 | 見積書の内訳が詳細で分かりやすいことが優良業者の特徴です。何にいくらかかるのかが明確に記載されており、「解体工事一式」のような曖昧な表記が多用されていないかを確認します。 |
5. 近隣への配慮 | 解体工事は騒音や振動、粉塵の発生が避けられません。工事前の近隣への挨拶回りや、養生の徹底など、近隣対策に関する計画や配慮がしっかりしているかをヒアリングしましょう。 |
4.3 悪徳業者に注意!避けるべき業者の特徴
残念ながら、解体業界には悪質な業者も存在します。大切な資産と信用を守るため、以下のような特徴を持つ業者との契約は絶対に避けましょう。
極端に安い見積もりを提示する: 相場からかけ離れた安い金額には理由があります。後から高額な追加費用を請求されたり、産業廃棄物を不法投棄してコストを削減したりするケースが後を絶ちません。
契約を異常に急がせる: 「キャンペーン中なので今日中に」「足場代をサービスしますから」といった言葉で即決を迫る業者は危険です。冷静に比較検討する時間を与えないのは、後ろめたいことがある証拠かもしれません。
事務所の所在地が不明確: ウェブサイトに会社の住所が記載されていない、あるいはレンタルオフィスやバーチャルオフィスである場合は注意が必要です。トラブル発生時に連絡が取れなくなる可能性があります。
書面での契約を避ける: 契約書や注文請書といった正式な書面を交わさず、口約束で工事を進めようとする業者は論外です。「言った、言わない」のトラブルの元凶となります。
必要な許認可を提示しない: 許認可の提示を求めてもはぐらかしたり、拒否したりする業者は、無許可で営業している違法業者である可能性が極めて高いです。
少しでも「おかしいな」と感じたら、その業者との話を進めるのはやめ、他の業者を探すのが賢明です。
5. 損をしないスケルトン解体の見積もりのポイント

店舗のスケルトン解体は、決して安い買い物ではありません。だからこそ、見積もりの内容を正確に理解し、適正価格で信頼できる業者に依頼することが重要です。この章では、費用で損をしないために、見積もりを取得する際の具体的なポイントを解説します。
5.1 適正価格を知るために相見積もりは必須
スケルトン解体の費用は、業者によって大きく異なる場合があります。1社だけの見積もりでは、提示された金額が高いのか安いのか、また工事内容が適切なのかを判断することは困難です。必ず3社以上の解体業者から見積もりを取得する「相見積もり」を行いましょう。
相見積もりを行うことで、以下のようなメリットがあります。
お住まいの地域や店舗の条件における費用相場を把握できる
各社の工事内容や提案を比較し、最適なプランを選べる
価格交渉の材料になる場合がある
悪徳業者や不当に高額な請求をする業者を見抜くことができる
ただし、相見積もりを取る際は、すべての業者に同じ条件(解体範囲、希望工期など)を伝えることが重要です。条件が異なると、見積もり金額を公平に比較できなくなってしまいます。単に金額の安さだけで判断せず、見積もりの内訳の明確さや担当者の対応なども含めて総合的に比較検討することが、後悔しない業者選びの鍵となります。
5.2 見積書で必ず確認すべき項目
解体工事の見積書には専門用語が多く、初めて見る方には分かりにくいかもしれません。しかし、後々のトラブルを避けるためにも、以下の項目は必ずチェックし、不明な点があれば必ず業者に質問しましょう。
スケルトン解体見積書のチェック項目 | |
項目名 | 確認するポイント |
工事名称・工事場所 | 解体する店舗の名称や住所が正確に記載されているか確認します。 |
仮設工事費 | 工事前の養生(床や壁の保護)、仮設トイレや電気・水道の設置費用です。近隣への配慮として養生の範囲が適切か確認しましょう。 |
内装・設備解体撤去費 | 壁、天井、床材、造作物の解体費用や、厨房設備、空調、電気配線、給排水管などの撤去費用です。どこからどこまでが解体範囲に含まれているか、図面などで明確になっているかを確認します。 |
産業廃棄物運搬処理費 | 解体で発生した廃材(木くず、コンクリートがら、石膏ボード、金属くず等)を処分場まで運搬し、処理するための費用です。廃材の種類ごとに数量と単価が明記されているか確認します。 |
アスベスト調査・除去費用 | アスベスト含有の可能性がある場合、その調査費用や除去費用が含まれているか、または別途見積もりとなっているかを確認します。 |
諸経費 | 現場管理費、事務手数料、交通費、駐車場代などです。諸経費が全体の10%を超えるなど、あまりに高額な場合は内訳を確認しましょう。 |
備考・注意事項 | 追加費用が発生する可能性のあるケースや、工事の前提条件などが記載されています。契約前に必ず目を通しましょう。 |
5.3 「一式」表記の注意点と追加費用が発生するケース
見積書で特に注意したいのが「○○工事一式」という表記です。詳細な内訳が記載されていない「一式」表記が多い見積書は、どの作業にいくらかかっているのかが不透明です。工事完了後、「これは一式の範囲外です」と言われ、高額な追加費用を請求されるトラブルの原因になりやすいため、注意が必要です。
信頼できる業者は、可能な限り詳細な内訳を提示してくれます。「一式」という表記がある場合は、その具体的な作業範囲と内容を必ず書面で確認するようにしましょう。
また、以下のようなケースでは、契約後に追加費用が発生することがあります。
地中埋設物の発見:床下のコンクリートを解体した際に、図面にない配管や基礎などが見つかった場合。
アスベスト含有建材の発見:事前の調査では見つからなかった箇所から、工事中にアスベストが発見された場合。
想定外の残置物:事前に申告していた量より、処分すべき残置物が大幅に多かった場合。
近隣からの要望による追加工事:騒音対策のための防音シートの追加など、近隣対応で発生する工事。
こうした不測の事態に備え、契約前に「どのような場合に追加費用が発生する可能性があるか」を業者に確認し、その際の対応についても話し合っておくと安心です。
6. 店舗のスケルトン解体でよくあるトラブル事例と対策

店舗のスケルトン解体は、専門的な知識と技術が必要な工事です。しかし、事前準備や業者選びを誤ると、予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。ここでは、代表的なトラブル事例とその具体的な対策について解説します。事前に知識を身につけ、スムーズな解体工事を実現しましょう。
6.1 近隣住民との騒音や粉塵をめぐるトラブル
解体工事では、騒音、振動、粉塵の発生が避けられません。特に、商業ビルやマンションの1階など、隣接する店舗や住居がある場合は、近隣への配慮が不可欠です。対策を怠ると、クレームや工事の中断につながる恐れがあります。
主なトラブル原因 | 具体的な対策 |
騒音・振動 解体作業中の重機や工具の音、建材を破壊する際の振動。 |
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粉塵・ホコリ 壁や床を解体する際に発生する粉塵が飛散し、近隣の店舗の商品や住居の洗濯物などを汚してしまう。 |
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6.2 高額な追加請求に関するトラブル
「契約時の見積もり金額から、最終的に高額な追加費用を請求された」というケースは、最も多いトラブルの一つです。これは、見積もりの内容や契約前の確認が不十分な場合に起こりがちです。
追加請求が発生する主な要因と対策は以下の通りです。
追加請求の主な要因 | トラブルを避けるための対策 |
見積書の内容が「一式」表記 内訳が不明瞭で、後から「これは含まれていない」と言われる。 | 必ず詳細な内訳が記載された見積書を提出させる。「仮設工事費」「解体工事費」「廃棄物処理費」など項目ごとに確認する。 |
予期せぬ地中埋設物や構造物の発見 解体を進める中で、図面になかった配管やコンクリート基礎などが見つかる。 | 契約前に「追加工事が発生する可能性」について業者に確認し、万が一発生した場合の費用算出基準を書面で取り決めておく。 |
アスベスト含有建材の発見 古い建物の天井や壁材からアスベストが見つかり、特別な除去費用が必要になる。 | 事前に建物の築年数を確認し、必要であればアスベストの事前調査を依頼する。調査費用や除去費用が見積もりに含まれているか確認する。 |
6.3 産業廃棄物の不法投棄トラブル
解体工事で発生した木材、コンクリートガラ、プラスチックなどは産業廃棄物として法律に基づき適正に処理しなければなりません。しかし、一部の悪徳業者が処分費用を削減するために不法投棄を行うケースがあり、施主がトラブルに巻き込まれることがあります。
産業廃棄物の排出事業者は「施主(工事発注者)」です。万が一、委託した業者が不法投棄を行った場合、施主も責任を問われ、原状回復費用や罰金を科されるリスクがあるため、十分な注意が必要です。
6.3.1 不法投棄を防ぐためのチェックポイント
許認可の確認
業者が「解体工事業登録」や「産業廃棄物収集運搬業許可」を保有しているか、契約前に必ず確認しましょう。許可証のコピーを提示してもらうのが確実です。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の提出
マニフェストは、廃棄物が適正に処理されたことを証明する重要な書類です。工事完了後、業者からマニフェストの写し(E票など)を必ず受け取り、5年間保管してください。これを怠る業者は絶対に避けましょう。
7. まとめ
店舗のスケルトン解体を後悔なく終えるためには、信頼できる優良な解体業者選びが最も重要です。費用や工事品質はもちろん、近隣トラブルや高額な追加請求、産業廃棄物の不法投棄といった問題を未然に防ぐためです。適正価格を把握するために必ず複数の業者から相見積もりを取り、見積書の内容を詳細に比較検討しましょう。また、建設業許可や解体工事業登録といった許認可の有無も忘れずに確認することが、成功への鍵となります。

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