放置は危険!我が家のアスベスト含有建材をチェックする方法と今後の対策
- seira murata
- 10月31日
- 読了時間: 17分

「もしかして、我が家にもアスベストが…?」ご自宅の建築年数が古かったり、これからリフォームや解体を検討していたりする場合、アスベスト含有建材の存在は大きな不安要素です。結論から言えば、アスベストは飛散すると深刻な健康被害を招くため、含有の可能性がある建材を放置することは非常に危険であり、最終的には専門家による正確な調査が不可欠です。この記事を読めば、ご自宅の建築年代からリスクを判断する方法、屋根や壁、内装など場所ごとの建材の見分け方、自分でできる事前確認の手順がわかります。さらに、アスベストが見つかった場合の除去・封じ込めといった具体的な対策、工事にかかる費用相場、活用できる補助金制度まで、あなたの不安を解消し、安全な住まいを守るための正しい知識と次の行動を網羅的に解説します。
1. まずは知っておきたいアスベストの基礎知識
アスベスト含有建材について正しく理解し、適切な対策を講じるためには、まずアスベストそのものがどのような物質で、なぜ危険視されているのかを知ることが不可欠です。ここでは、アスベストの基本的な性質とその危険性、そしてこれまで日本でどのように規制されてきたのか、その歴史的背景を解説します。
1.1 アスベスト(石綿)とは何か その危険性
アスベスト(石綿)とは、天然に存在する鉱物繊維の総称です。その名は「消すことができない」という意味のギリシャ語に由来し、耐熱性、耐久性、耐薬品性、絶縁性などに非常に優れている特性から「奇跡の鉱物」とも呼ばれ、かつては建材をはじめとする多くの工業製品に幅広く利用されてきました。
しかし、その優れた特性の裏には、深刻な健康リスクが潜んでいます。アスベストの繊維は目に見えないほど極めて細かく(髪の毛の5,000分の1程度)、軽くて飛散しやすいという性質を持っています。この飛散したアスベスト繊維を呼吸によって吸い込んでしまうと、肺の組織に深く突き刺さり、長期間体内に残留します。これが、十数年から数十年という長い潜伏期間を経て、以下のような重篤な病気を引き起こす原因となるのです。
悪性中皮腫(ちゅうひしゅ):肺を覆う胸膜や腹部を覆う腹膜などにできる、極めて悪性度の高いがんです。アスベストばく露との関連が非常に強い病気として知られています。
肺がん:アスベスト繊維が肺の細胞を傷つけることで発症リスクが高まります。喫煙と重なると、そのリスクは相乗的に増加するといわれています。
石綿肺(せきめんはい/じん肺の一種):肺が線維化し、硬くなることで呼吸機能が低下する病気です。息切れや咳などの症状が現れます。
建材に含まれている状態ですぐに危険というわけではありませんが、建物の解体やリフォーム、経年劣化によってアスベストが飛散し、それを吸い込むこと(ばく露)が大きな問題となります。
1.2 アスベスト含有建材に関する法規制の変遷
日本国内では、アスベストによる健康被害の深刻さが明らかになるにつれて、段階的にその使用を規制する法律が整備されてきました。ご自宅の建築年代と照らし合わせることで、アスベスト含有建材が使用されているリスクを把握する重要な手がかりになります。
以下に、主要な法規制の変遷をまとめます。
アスベストに関する主要な法規制の変遷 | |
年代 | 主な規制内容 |
1975年(昭和50年) | 労働安全衛生法施行令の改正により、アスベスト含有率が5%を超える吹付け作業が原則禁止されました。 |
1995年(平成7年) | 特に毒性が高いとされるアモサイト(茶石綿)とクロシドライト(青石綿)の製造・輸入・使用等が禁止されました。 |
2004年(平成16年) | アスベスト含有率が1%を超える建材や摩擦材など10品目の製造等が禁止されました。 |
2006年(平成18年) | 労働安全衛生法施行令の改正により、アスベスト含有量が重量の0.1%を超える製品の製造、輸入、使用等が原則として全面禁止されました。これが規制における大きな節目となります。 |
2012年(平成24年) | 一部で猶予されていた製品についても規制対象となり、アスベスト含有製品の製造・使用は完全に禁止されました。 |
この法規制の歴史から、一般的に2006年(平成18年)以前に建築された建物には、アスベスト含有建材が使用されている可能性があると考えることができます。特に規制が強化される以前の建物ほど、そのリスクは高いと言えるでしょう。
2. 我が家は大丈夫?アスベスト含有建材が使われている可能性

アスベスト含有建材は、過去に多くの建築物で広く使用されていました。ご自宅にアスベストが使われているかどうかを判断する第一歩は、建物の建築年代と使用されている建材の種類を知ることです。ここでは、そのリスクを判断するための具体的なポイントを解説します。
2.1 建築年代でわかるアスベスト使用のリスク
日本国内におけるアスベストの使用は、法規制によって段階的に禁止されてきました。そのため、ご自宅がいつ建てられたかという「建築年代」が、アスベスト含有のリスクを判断する最も重要な指標となります。
原則として、2006年(平成18年)9月1日以降に着工された建築物には、アスベスト含有建材は使用されていません。しかし、それ以前に建てられた建物には、アスベストが使用されている可能性があります。特に、アスベストの使用が最も盛んだった1970年代前後に建てられた建物は注意が必要です。
建築年代別のアスベスト使用リスク | ||
建築年代 | アスベスト使用のリスク | 主な規制内容 |
〜1975年(昭和50年) | 非常に高い | 規制がほとんどなく、吹付けアスベストなどが多く使用された時期。 |
1975年〜1995年(平成7年) | 高い | 吹付けアスベストが原則禁止されたが、耐火被覆材や断熱材として使用が継続。 |
1995年〜2006年(平成18年)8月 | 可能性がある | 一部の建材を除き原則禁止。屋根材や外壁材、内装材などに含有の可能性が残る。 |
2006年(平成18年)9月以降 | 極めて低い | アスベスト含有率0.1重量%を超える製品の製造・使用等が全面的に禁止。 |
ご自宅の建築確認通知書や登記簿謄本で正確な建築年月日を確認し、上記のリスクに該当するかどうかをまずチェックしてみましょう。
2.2 場所別で見るアスベスト含有建材の種類と見分け方
アスベストは、建物の様々な場所で、多種多様な建材に使用されてきました。ただし、アスベストが含有しているかどうかを、見た目だけで正確に判断することは専門家でも不可能です。ここでは、あくまで「可能性がある」建材の例として、代表的なものを場所別にご紹介します。
2.2.1 屋根や外壁に使われるアスベスト含有建材
屋外にあり、風雨にさらされる屋根材や外壁材は、耐久性を高める目的でアスベストが使用されていました。特に一般的な戸建て住宅で多く見られます。
屋根・外壁のアスベスト含有建材(例) | ||
建材の種類 | 主な使用箇所 | 特徴・見分け方のヒント |
住宅屋根用化粧スレート | 戸建て住宅の屋根 | 「コロニアル」「カラーベスト」といった商品名で知られる薄い板状の屋根材。 |
窯業系サイディング | 戸建て住宅の外壁 | セメント質と繊維質を主な原料とした板状の外壁材。デザインが豊富。 |
押出成形セメント板 | マンションやビルの外壁・間仕切壁 | 厚みのあるパネル状のセメント板。中空構造になっていることが多い。 |
2.2.2 内装(天井・壁・床)に使われるアスベスト含有建材
内装材にも、耐火性や吸音性を目的としてアスベストが使われていました。室内のため、劣化すると飛散のリスクがより高まるため注意が必要です。
内装のアスベスト含有建材(例) | ||
建材の種類 | 主な使用箇所 | 特徴・見分け方のヒント |
石綿含有けい酸カルシウム板第1種 | 天井、壁、梁、柱 | 耐火性が高く、ビルやマンションの耐火間仕切壁、天井などに使用。 |
石綿含有ロックウール吸音天井板 | 事務所や店舗、学校などの天井 | 表面に模様や穴がある天井材。「ソーラトン」「ダイロートン」などの商品名が有名。 |
ビニル床タイル | 店舗や事務所、住宅の床 | 正方形の硬質な床材。「Pタイル」とも呼ばれる。 |
2.2.3 見えない場所にも注意 配管や断熱材
普段目にすることのない、天井裏や壁の内部、配管などにもアスベストは使用されています。これらの場所は専門家でなければ確認が困難です。
石綿保温材・耐火被覆材: ボイラー本体や配管の保温、空調ダクトの結露防止、建築物の梁や柱の耐火被覆などに使用されました。綿状のものが多く、飛散性が高いものもあります。
煙突用石綿セメント管: 湯沸器やボイラーなどの排気用煙突として使用されました。
これらの建材は、リフォームや解体工事の際に露出・損傷し、アスベストが飛散する危険性が非常に高いため、工事前の専門家による調査が法律で義務付けられています。
3. 自宅のアスベスト含有建材をチェックする具体的な方法

「もしかしたら我が家にもアスベストが?」と不安に思っても、何から手をつければ良いかわからない方も多いでしょう。ここでは、ご自宅のアスベスト含有建材をチェックするための具体的な方法を、ご自身でできることから専門家による調査まで、順を追って解説します。
3.1 自分でできる事前確認の手順と限界
専門家に調査を依頼する前に、まずはご自身で建築時期や設計図書からある程度の危険性を推測することが可能です。ただし、あくまで事前確認であり、アスベストの有無を断定するものではないことをご理解ください。
はじめに、ご自宅の「建築確認通知書」や「設計図書(仕様書)」といった書類を確認しましょう。そこに記されている建築年月日が2006年9月1日以前である場合、アスベスト含有建材が使用されている可能性があります。また、仕様書に使用されている建材の商品名が記載されていれば、国土交通省が公開している「石綿(アスベスト)含有建材データベース」で照合し、アスベスト含有の有無を確認できる場合があります。
しかし、目視だけでアスベストの有無を正確に判断することは不可能です。アスベスト含有建材と非含有建材は見た目が酷似しているものが多く、専門家でも分析しなければ断定はできません。絶対に自己判断で壁を剥がしたり、建材を削ってサンプルを採取したりするような行為は行わないでください。アスベストが飛散し、深刻な健康被害を引き起こす原因となります。
3.2 正確な判断は専門家による調査が必要
アスベストの有無を確実に判断するためには、専門家による調査が不可欠です。特に、解体やリフォームを予定している場合は、法律で事前調査が義務付けられています。調査は、専門的な知識と資格を持つプロに依頼しましょう。
3.2.1 アスベスト調査の流れと費用相場
専門家によるアスベスト調査は、一般的に以下の流れで進められます。
書面調査:設計図書などを基に、アスベスト含有建材が使用されている可能性のある箇所を洗い出します。
現地調査(目視):書面調査の結果と実際の建物を照合し、建材の劣化状況などを確認します。この段階でアスベスト含有が明らかな場合は、分析調査を省略することもあります。
分析調査:アスベスト含有の可能性がある建材の一部を採取(サンプリング)し、専門の分析機関で含有の有無や種類を調べます。
報告書作成:すべての調査結果をまとめた報告書が作成され、それに基づいて今後の対策を検討します。
調査費用は、建物の規模や調査内容によって大きく変動します。以下に一般的な費用相場をまとめました。
調査項目 | 費用相場(税別) | 備考 |
書面・現地目視調査 | 30,000円~100,000円 | 建物の規模や図面の有無により変動します。 |
検体採取・分析調査 | 30,000円~50,000円 / 1検体 | 分析する検体数に応じて費用が加算されます。 |
報告書作成費用 | 20,000円~50,000円 | 調査費用に含まれている場合もあります。 |
一般的な木造戸建て住宅の場合、総額で10万円~30万円程度が目安となりますが、あくまで参考価格です。正確な費用は必ず事前に見積もりを取得して確認してください。
3.2.2 信頼できる調査業者の選び方
安心して調査を任せられる、信頼できる業者を選ぶことは非常に重要です。以下のポイントを参考に、慎重に業者を選定しましょう。
有資格者が在籍しているか:アスベスト調査には専門知識が必要です。「建築物石綿含有建材調査者」という資格を持つ専門家が在籍していることを必ず確認しましょう。
調査実績が豊富か:特に戸建て住宅の調査実績が豊富な業者を選ぶと、スムーズな対応が期待できます。過去の実績をウェブサイトなどで確認しましょう。
見積もりが明確で丁寧か:複数の業者から相見積もりを取り、内容を比較検討することが大切です。調査範囲、分析方法、報告書の内容など、見積もりの内訳が詳細かつ明確に記載されているかチェックしてください。不明瞭な点について丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
第三者機関での分析を行っているか:自社で分析を行う業者よりも、客観性を担保できる第三者の分析機関に依頼している業者の方が信頼性は高いと言えます。
4. アスベスト含有建材が見つかった場合の今後の対策

専門家による調査で自宅にアスベスト含有建材が確認された場合でも、冷静に対応することが重要です。建材の状態によっては直ちに健康被害を及ぼすわけではありませんが、将来的なリスクをなくすためには適切な対策が不可欠です。ここでは、具体的な対策の種類や費用、活用できる公的支援について解説します。
4.1 対策は3種類 除去・封じ込め・囲い込み
アスベスト含有建材への対策は、主に「除去」「封じ込め」「囲い込み」の3つの工法があります。建材の種類や劣化状況、建物の利用計画、予算などに応じて最適な方法を選択します。それぞれの工法の特徴を理解し、専門業者と相談して決定しましょう。
工法 | 概要 | メリット | デメリット |
除去工法 | アスベスト含有建材を完全に取り除き、撤去する工法です。 | アスベストを根本的になくすことができ、将来的な不安が解消されます。 | 3つの工法の中で最も費用が高額になりやすく、工事が大掛かりになる場合があります。 |
封じ込め工法 | アスベスト含有建材の表面に薬剤を吹き付け、塗膜を形成して飛散を防止する工法です。 | 除去に比べて費用を抑えられ、工期も比較的短く済みます。 | 建材自体は残るため、将来の解体時には除去が必要になります。塗膜の劣化にも注意が必要です。 |
囲い込み工法 | アスベスト含有建材を板材などの非アスベスト建材で完全に覆い、密閉空間に隔離する工法です。 | 比較的安価で、室内の使用に影響を与えずに施工できる場合があります。 | 建材が残るため、将来的な除去費用が発生します。また、建物の内部空間が少し狭くなります。 |
4.2 除去工事にかかる費用の目安
アスベスト除去工事の費用は、アスベストのレベル(発じん性)、建材の種類、施工面積、作業場所の状況などによって大きく変動します。以下はあくまで一般的な目安であり、正確な金額は必ず複数の専門業者から見積もりを取得して確認してください。
アスベストレベル(建材例) | 費用相場(1平方メートルあたり) | 主な工事内容 |
レベル1(吹付けアスベストなど) | 20,000円~85,000円程度 | 厳重な隔離養生、負圧除じん機の設置、作業員の保護具着用、特別管理産業廃棄物としての処理など、最も厳格な措置が求められます。 |
レベル2(保温材、耐火被覆材など) | 10,000円~60,000円程度 | レベル1に準じた飛散防止対策が必要となります。配管など複雑な形状の箇所では費用が高くなる傾向があります。 |
レベル3(スレート屋根、Pタイルなど) | 3,000円~20,000円程度 | 手作業で丁寧に解体・除去し、破断させないように作業します。湿潤化させて粉じんの飛散を抑制します。 |
※上記の費用には、足場の設置費用や廃材の処分費用などが別途必要になる場合があります。
4.3 活用できる補助金・助成金制度について
アスベスト対策にかかる経済的負担を軽減するため、国や地方自治体(都道府県・市区町村)が補助金・助成金制度を設けている場合があります。制度を利用することで、費用の⼀部を補うことが可能です。
4.3.1 補助金の対象となる主な事業
戸建て住宅などのアスベスト含有調査(分析調査)にかかる費用
アスベストの除去、封じ込め、囲い込み工事にかかる費用
4.3.2 制度利用の注意点
補助金・助成金制度は、お住まいの自治体によって内容が大きく異なります。補助対象となる建物の条件、補助率や上限額、申請期間などが定められているため、必ず事前に確認が必要です。また、予算の上限に達し次第、受付を終了する場合が多いため、早めに情報を収集し、準備を進めることをお勧めします。
具体的な制度の内容や申請方法については、お住まいの市区町村の役所(建築指導課、環境保全課など)の担当窓口に問い合わせてみましょう。
5. アスベスト含有建材に関するよくある質問

ここでは、アスベスト含有建材に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で分かりやすく解説します。ご自宅の状況と照らし合わせながら、正しい知識を身につけましょう。
5.1 アスベストレベル1,2,3の違いとは
アスベスト建材は、解体や改修工事の際にアスベストが飛散する危険性(発じん性)の高さによって3つのレベルに分類されています。レベル1が最も危険性が高く、作業には厳重な対策が法律で義務付けられています。
レベル | 発じん性(危険度) | 主な建材の例 | 概要と作業時の注意点 |
レベル1 | 著しく高い | 吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールなど | 耐火・断熱目的で天井や梁に吹付けられていることが多いです。劣化すると綿状のアスベストが飛散しやすく、最も危険性が高いとされています。除去作業は、作業場所を完全に隔離し、高レベルのばく露防止対策が求められます。 |
レベル2 | 高い | アスベスト含有保温材、耐火被覆材、断熱材など | 配管の保温材や断熱材として使用されていることが多いです。シート状や筒状になっており、破損すると飛散する危険性があります。レベル1に準じたばく露防止対策が必要です。 |
レベル3 | 比較的低い | スレート屋根材、ビニル床タイル、サイディングなど | セメントなどで固められているため、通常の状態ではアスベストが飛散する可能性は低いです。しかし、切断や破砕、研磨などを行うと飛散する危険があるため、作業時は湿潤化などの飛散防止措置が必須です。 |
5.2 飛散していなければ放置しても大丈夫か
アスベスト含有建材は、板状に固められているなど安定した状態で損傷がなければ、直ちに健康被害を及ぼす危険性は低いとされています。そのため、日常生活において過度に心配する必要はありません。
しかし、それはあくまで「現時点」での話です。建材の経年劣化や、地震・台風といった自然災害による損傷、リフォーム時の誤った扱いなどによって、アスベストが飛散するリスクは常に存在します。特に、吹付けアスベスト(レベル1)のように露出している場合は、わずかな振動でも飛散する恐れがあります。
したがって、「放置しても大丈夫」と自己判断するのではなく、専門家による定期的な状態のチェックを受け、将来的な除去や封じ込め、囲い込みといった対策を計画しておくことが重要です。
5.3 解体やリフォーム時の注意点
ご自宅の解体やリフォームを検討している場合、アスベスト含有建材の有無に関わらず、法律(大気汚染防止法・石綿障害予防規則)に基づいた事前の調査がすべての工事で義務付けられています。
調査の結果、アスベスト含有建材が確認された場合は、そのレベルに応じた適切な手続きと対策が必須となります。主な注意点は以下の通りです。
届出の義務:レベル1、レベル2の建材を除去する場合、工事開始前に労働基準監督署や都道府県などへの届出が必要です。
専門業者による施工:アスベストの除去作業は、専門的な知識と技術を持つ登録業者でなければ行えません。資格を持つ「石綿作業主任者」の監督のもと、適切な飛散防止対策(作業場所の隔離、湿潤化など)を講じながら作業を進める必要があります。
近隣への配慮:工事前には近隣住民へ説明を行い、アスベスト除去作業中であることがわかるように掲示をしなければなりません。
適切な廃棄物処理:除去したアスベスト含有建材は、法律で定められた方法に従って適正に処理する必要があります。
費用を安く抑えようと、無資格の業者に依頼したり、自分で解体したりすることは絶対にやめてください。アスベストを飛散させ、ご自身やご家族、近隣住民の健康に深刻な被害を及ぼす可能性があります。
6. まとめ
本記事では、アスベスト含有建材の基礎知識から、ご自宅に潜むリスクの確認方法、そしてアスベストが見つかった場合の具体的な対策までを網羅的に解説しました。アスベストは、その建材が損傷しない限り直ちに飛散するわけではありませんが、経年劣化や地震、将来の解体・リフォーム工事によって飛散し、深刻な健康被害を引き起こす危険性があります。これが、アスベスト含有建材の放置が危険である最大の理由です。
ご自宅の安全を確認するための第一歩は、建築年代や使用されている建材からリスクを把握することです。しかし、アスベストの含有の有無を正確に判断するには、専門家による調査が不可欠です。目視での自己判断には限界があるため、少しでも不安を感じた場合は、信頼できる専門の調査会社に相談することが賢明な判断と言えます。
万が一アスベスト含有建材が見つかった場合でも、除去工事だけでなく、建材の状態や場所に応じて「封じ込め」や「囲い込み」といった対策を選択できます。工事には費用が発生しますが、国や地方自治体が設けている補助金・助成金制度を活用することで、経済的負担を軽減できる可能性があります。
ご自身とご家族の健康、そして安全な住環境を守るために、まずはご自宅のアスベストリスクに関心を持つことが重要です。この記事を参考に、正しい知識を持って適切な行動をとるための一歩を踏み出してください。

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