放置は危険!遠方の空き家管理で失敗しない5つの方法|費用と注意点をプロが解説
- seira murata
- 7月31日
- 読了時間: 20分

遠方にある実家など空き家の管理にお困りではありませんか?放置は倒壊や固定資産税の増額など深刻なリスクを招くため非常に危険です。この記事では、ご自身での管理から代行サービスの利用、売却や賃貸まで、5つの具体的な管理方法を費用相場や注意点と共に徹底解説します。失敗しない業者の選び方や使える補助金も紹介。あなたに最適な方法を見つけ、将来のトラブルを防ぎましょう。
1. なぜ危険?遠方の空き家を放置する7つのリスク
「実家が遠方にあって、なかなか帰れない」「管理費用がかかるから」といった理由で、空き家をそのままにしていませんか?しかし、空き家の放置はあなたが思う以上に多くのリスクを抱えており、最終的には大きな金銭的負担や法的トラブルにつながる可能性があります。まずは、空き家を放置することで具体的にどのような危険があるのか、7つのリスクを正しく理解しましょう。
1.1 建物の老朽化による倒壊の危険性
人が住まなくなった家は、驚くほど早く傷んでいきます。定期的な換気が行われないと湿気がこもり、柱や壁の内部で腐食が進行。雨漏りが発生すれば、構造体の強度はさらに低下します。その結果、台風や地震などの自然災害時に、建物が倒壊・半壊する危険性が高まります。もし倒壊によって隣家を破損させたり、通行人に怪我を負わせたりした場合、所有者として多額の損害賠償責任を問われる可能性があります。
1.2 害虫や害獣が発生し近隣トラブルの原因に
人の気配がない空き家は、害虫や害獣にとって格好の住処となります。湿気の多い場所にはシロアリやゴキブリが、屋根裏や床下にはネズミやハクビシン、アライグマなどが棲みつき、繁殖の温床となります。これらの害虫・害獣が近隣の住宅へ移動し、糞尿による悪臭や騒音、家屋への侵入といった深刻なご近所トラブルに発展するケースは少なくありません。衛生環境の悪化は、地域全体の住環境にも悪影響を及ぼします。
1.3 不法投棄や不法侵入など防犯面の悪化
庭が荒れ、窓が割れたままの空き家は、管理されていないことのサインとなり、犯罪のターゲットになりやすくなります。粗大ゴミや家電製品の不法投棄場所にされたり、不審者が侵入して住み着いたり、最悪の場合は放火や犯罪の拠点として悪用されたりする危険性も。空き家の存在が、その地域の治安悪化を招く一因となることもあり、所有者としての社会的な責任が問われることになります。
1.4 景観の悪化がご近所との関係を損なう
伸び放題の雑草、剥がれ落ちた外壁の塗装、割れた窓ガラスなど、荒れ果てた空き家は地域の景観を著しく損ないます。周辺の住民は毎日その光景を目にすることになり、不快感や不安感を抱かせる原因となります。これまで良好だったご近所との関係性が、空き家の管理を怠ったことで悪化してしまう可能性も十分に考えられます。地域の資産価値低下につながるとして、苦情が寄せられることもあります。
1.5 雑草や庭木が越境し損害賠償問題に発展も
管理されていない庭の雑草や樹木は、やがて隣の敷地へ越境します。伸びた枝が隣家の外壁や屋根を傷つけたり、大量の落ち葉が雨どいを詰まらせたりといった実害が発生すると、損害賠償を請求される可能性があります。特に2023年4月の民法改正により、隣地の所有者が、催促しても切られない越境した枝を自ら切り取れるようになりました。その際の費用を請求されるなど、以前よりもトラブルが表面化しやすくなっています。
1.6 特定空き家に指定されると固定資産税が最大6倍に
放置された空き家が周辺環境に悪影響を及ぼしていると自治体に判断されると、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき「特定空家」に指定されることがあります。特定空家に指定されると、これまで適用されていた「住宅用地の特例」が解除され、土地にかかる固定資産税が最大で6倍に跳ね上がります。これは所有者にとって非常に大きな経済的負担となります。
特定空家と判断される主な状態 | |
状態の区分 | 具体例 |
保安上危険となる恐れのある状態 | 建物が傾いている、屋根や外壁が剥がれ落ちそうになっている など |
衛生上有害となる恐れのある状態 | ゴミが放置され悪臭がする、害虫や害獣が発生している など |
著しく景観を損なっている状態 | 窓ガラスが多数割れている、外壁に落書きがされている など |
周辺の生活環境の保全を図るために不適切な状態 | 庭木が道路にはみ出している、動物の鳴き声で騒音被害が出ている など |
1.7 行政代執行による強制解体の可能性
特定空家に指定され、自治体からの改善の助言・指導・勧告・命令に再三応じなかった場合、最終手段として「行政代執行」が行われる可能性があります。これは、行政が所有者に代わって建物を強制的に解体し、その解体費用を全額所有者に請求するという非常に厳しい措置です。解体費用は建物の規模や構造によりますが、数百万円にのぼることも珍しくなく、放置し続けた結果、莫大な負債を抱えることになりかねません。
2. 【実践編】遠方の空き家を管理する5つの方法

遠方にある空き家を適切に管理するには、ご自身の状況や空き家の状態に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。ここでは、具体的な5つの管理方法について、それぞれの特徴や注意点を詳しく解説します。
2.1 方法1 自分で定期的に訪問して管理する
最も基本的な方法が、所有者自身で定期的に現地を訪れて管理する方法です。時間と労力はかかりますが、自分の目で直接建物の状態を確認できるため、最も安心できる方法ともいえます。最低でも月に1回は訪問するのが理想的です。
2.1.1 メリットとデメリット
自分で管理する場合のメリットとデメリットをまとめました。交通費や時間的なコストと、直接管理できる安心感を天秤にかけて検討しましょう。
内容 | |
メリット |
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デメリット |
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2.1.2 自分で空き家管理を行う際のチェックリスト
ご自身で管理を行う際は、以下のチェックリストを参考に、見落としがないように確認しましょう。
場所 | チェック項目 | 確認のポイント |
屋外 | 庭木・雑草の状態 | 雑草が繁茂していないか。枝が隣家や道路に越境していないか。 |
外壁・屋根 | ひび割れ、塗装の剥がれ、瓦のズレや破損がないか。 | |
郵便受け | チラシなどが溜まっていないか。(溜まっていると留守だと分かり侵入リスクが高まる) | |
敷地内全体 | 不法投棄されているゴミはないか。動物が住み着いた形跡はないか。 | |
屋内 | 換気・通風 | 全ての窓や扉、押し入れなどを開放し、1時間程度空気を入れ替える。カビ臭さがないか確認。 |
通水 | 各蛇口を1分程度開放し、錆や悪臭の発生を防ぐ。排水管のトラップに注水する。 | |
雨漏りの確認 | 天井や壁にシミができていないか。窓サッシ周りも確認する。 |
2.2 方法2 親族や近隣の知人に管理を依頼する
もし空き家の近くに信頼できる親族や知人が住んでいる場合、管理をお願いするのも一つの手です。ただし、あくまで相手の善意に頼る方法であるため、人間関係のトラブルに発展しないよう、依頼内容や謝礼については事前にしっかりと話し合う必要があります。
2.2.1 依頼する際の注意点と謝礼の相場
個人的な依頼だからこそ、守るべきマナーがあります。以下の点に注意して、良好な関係を維持しましょう。
依頼内容の明確化:どこまでを依頼するのか(郵便物の確認だけか、庭の草むしりも含むのか等)を具体的に決め、書面に残しておくと安心です。
万が一への備え:作業中の事故やケガに備え、個人賠償責任保険などへの加入を検討しましょう。
謝礼の取り決め:無償での依頼は相手の負担になります。月3,000円~10,000円程度の現金や、定期的な贈り物を渡すのが一般的です。感謝の気持ちを忘れずに伝えましょう。
定期的な連絡:任せきりにせず、定期的に自分からも連絡を取り、状況の報告を受けるようにしましょう。
2.3 方法3 空き家管理代行サービスを利用する
物理的な距離や時間的な制約で自分で管理するのが難しい場合に、最も現実的で安心な選択肢が「空き家管理代行サービス」の利用です。プロに任せることで、空き家を適切な状態に保ち、リスクを回避できます。
2.3.1 基本的なサービス内容と料金プラン
多くの業者では、月額制の料金プランが設定されています。基本的なサービスと、必要に応じて追加するオプションサービスがあります。
項目 | 主なサービス内容 | 料金相場(月額) |
基本プラン | 月1回の巡回(外部からの目視点検、郵便物確認・転送)、写真付きの管理レポート提出 | 5,000円~10,000円程度 |
オプション | 室内換気、通水、簡易清掃、庭木の確認、災害後の臨時巡回、庭木の剪定、ハウスクリーニングなど | 基本プランに+3,000円~ (作業内容により都度見積もり) |
2.3.2 不動産会社と専門業者の違い
空き家管理サービスは、主に「不動産会社」と「管理専門業者」が提供しています。それぞれの特徴を理解し、目的に合った業者を選びましょう。
不動産会社 | 管理専門業者 | |
特徴 | 地域密着型が多く、地元の情報に精通している。管理だけでなく、売却や賃貸など将来的な活用相談も得意。 | 空き家管理に特化しており、多彩なオプションやきめ細やかなサービスが期待できる。警備会社が運営している場合もある。 |
向いている人 | 将来的に売却や賃貸を検討している人 | 純粋に家の維持管理をしっかり行いたい人 |
2.4 方法4 シルバー人材センターや便利屋に部分的に頼む
「全体の管理を任せるほどではないが、草むしりや庭木の剪定だけお願いしたい」といった場合に便利なのが、シルバー人材センターや便利屋です。必要な作業を必要な時だけ依頼できるため、費用を抑えやすいのが特徴です。
2.4.1 依頼できる作業内容と費用の目安
依頼先によって料金体系や対応範囲が異なります。事前に確認しましょう。
シルバー人材センター:主に草むしりや簡単な清掃、庭木の剪定(高所作業は不可の場合も)などを依頼できます。料金は比較的安価で、1時間1,000円~1,500円程度+事務費が目安です。
便利屋:より幅広い作業に対応可能です。料金は1時間3,000円~+出張費が相場ですが、作業内容によって変動します。
ただし、建物の専門的な点検や緊急時の対応は難しいため、あくまで補助的な手段として考えましょう。
2.5 方法5 売却や賃貸など活用して管理の手間をなくす
今後その家に住む予定がないのであれば、管理の手間と費用から解放される「活用」も有力な選択肢です。空き家を資産として活かすことで、根本的な問題解決につながります。
2.5.1 空き家バンクの活用方法
「空き家バンク」とは、自治体が主体となって運営する、空き家を売りたい・貸したい人と買いたい・借りたい人を結びつける情報サイトです。自治体によっては、空き家バンクへの登録を条件にリフォーム補助金などを設けている場合があります。お住まいの地域の自治体ホームページで制度の有無を確認してみましょう。
2.5.2 不動産会社への売却や賃貸の相談
よりスピーディーに、かつ市場価格に合った条件で活用したい場合は、不動産会社への相談が一般的です。まずは複数の会社に査定を依頼し、家の価値を把握することから始めましょう。その際は、空き家の売買や賃貸の実績が豊富な、地元に強い不動産会社を選ぶことが成功の鍵となります。担当者の提案力や販売戦略を比較検討し、信頼できるパートナーを見つけましょう。
3. 【費用一覧】遠方の空き家管理にかかる料金相場を解説

遠方にある空き家の管理には、どのような方法を選ぶかによって費用が大きく異なります。ここでは、管理方法別の具体的な料金相場と、費用を抑えるためのコツを詳しく解説します。ご自身の状況に合わせて最適なプランを検討しましょう。
3.1 自分で管理する場合の費用内訳
ご自身で遠方の空き家を管理する場合、主な費用は現地までの交通費です。年に数回訪問するだけでも、積み重なると大きな負担になることがあります。具体的な費用は、お住まいの場所から空き家までの距離や交通手段によって変動します。
主な費用項目は以下の通りです。
交通費:新幹線代、飛行機代、高速道路料金、ガソリン代など
宿泊費:日帰りが難しい場合に必要
滞在費:食費などの雑費
作業費:清掃用具、除草剤、簡単な修繕材料などの購入費用
例えば、東京から地方都市へ新幹線で往復する場合、1回の訪問で数万円の交通費がかかることも珍しくありません。この交通費が、自分で管理する際の最も大きなコストと言えるでしょう。
3.2 空き家管理代行サービスの料金相場は月額5,000円から
専門業者に管理を委託する「空き家管理代行サービス」は、遠方にお住まいの方にとって最も現実的な選択肢の一つです。料金はサービス内容によって異なりますが、基本的なプランであれば月額5,000円~15,000円程度が相場です。
多くの業者は複数の料金プランを用意しており、予算や空き家の状態に合わせて選ぶことができます。
空き家管理代行サービスの料金プランとサービス内容の例 | ||
プラン名 | 月額料金の目安 | 主なサービス内容 |
ライトプラン | 5,000円~8,000円 | 月1回の外部からの目視点検(建物の破損、庭木の状態、不法投棄の確認など)、写真付き報告書の提出 |
スタンダードプラン | 10,000円前後 | 外部点検に加え、室内への立ち入り、全室の換気・通水、雨漏りの確認、郵便物の確認・転送など |
プレミアムプラン | 15,000円~ | スタンダードプランの内容に加え、簡単な掃き掃除や庭の草むしり、巡回回数の増加など、より手厚い管理 |
このほか、庭木の剪定、害虫駆除、ハウスクリーニング、緊急時の駆けつけ対応などは、別途オプション料金がかかるのが一般的です。契約前には、基本サービスに含まれる内容とオプション料金を必ず確認しましょう。
3.3 シルバー人材センターや便利屋の料金体系
「庭の草むしりだけ」「台風の後だけ見に行ってほしい」など、特定の作業を単発で依頼したい場合には、シルバー人材センターや便利屋の活用も有効です。料金体系は業者によって異なりますが、一般的には以下のようになっています。
シルバー人材センター:比較的安価で、自治体によって料金が定められています。作業内容にもよりますが、1時間あたり1,000円~2,000円程度、もしくは作業単位での料金設定が中心です。ただし、専門的な作業や危険を伴う作業は依頼できない場合があります。
便利屋:対応範囲が広く、柔軟な依頼が可能です。料金は「1時間あたり3,000円~ + 出張費」といった時間料金制か、作業内容ごとの見積もり制が一般的です。業者によって料金の差が大きいため、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
定期的な管理は不要でも、部分的に人手が必要な場合に便利な選択肢ですが、あくまで作業単位での契約となるため、空き家全体の状況を継続的に把握するのは難しい点に注意が必要です。
3.4 空き家管理の費用を安く抑えるコツ
空き家管理の費用は、工夫次第で安く抑えることが可能です。以下の4つのポイントを意識してみましょう。
複数の業者から相見積もりを取る
空き家管理代行サービスを検討する際は、必ず2~3社から見積もりを取りましょう。料金だけでなく、サービス内容や報告の質、担当者の対応などを比較検討することが、後悔しない業者選びの鍵です。
必要なサービス内容を見極める
建物の状態が比較的良い場合は、まずは最も安価な外部点検プランから始めてみるのも一つの手です。不要なオプションは付けず、本当に必要なサービスだけを選ぶことで、月々の費用を抑えられます。
地元の業者に依頼する
空き家のある地域に根差した不動産会社や工務店が管理サービスを提供している場合があります。全国展開の業者に比べて移動コストがかからない分、料金が割安なケースがあり、地域の事情にも詳しいため安心して任せられます。
自分でできることと組み合わせる
例えば、年に1~2回は自分で帰省して全体のチェックと清掃を行い、それ以外の月は業者に巡回を依頼するといったハイブリッドな管理方法も有効です。すべてを業者任せにするよりも、トータルの費用を削減できます。
4. 失敗しない空き家管理会社の選び方 4つのポイント

遠方にある大切な資産を守るためには、信頼できる空き家管理会社をパートナーに選ぶことが不可欠です。しかし、数多くの会社の中からどこを選べば良いか迷ってしまう方も多いでしょう。ここでは、悪質な業者に騙されず、安心して管理を任せられる会社を見極めるための4つの重要なポイントを解説します。
4.1 ポイント1 管理サービスの範囲と内容が明確か
空き家管理サービスと一口に言っても、その内容は会社によって大きく異なります。契約後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、基本サービスに含まれる内容と、オプションとなる作業を事前にしっかりと確認しましょう。最低限、以下の項目がサービスに含まれているか、見積書や契約書で詳細にチェックすることが重要です。不明な点は必ず質問し、書面で回答をもらうようにすると安心です。
確認項目 | チェックすべき内容の例 |
巡回・点検 | 月1回など、巡回の頻度は適切か。建物の外観(外壁のひび割れ、屋根の破損など)や敷地内の状況を確認してくれるか。 |
室内管理 | 全室の窓開け換気、雨漏りやカビのチェック、通水(蛇口をひねり錆や悪臭を防ぐ)などが含まれているか。 |
郵便物管理 | ポストに溜まった郵便物やチラシを回収し、必要なものを転送してくれるか。 |
庭木・雑草 | 庭木や雑草の状態を確認してくれるか。剪定や草刈りは基本サービスか、オプション料金が必要か。 |
オプション作業 | 台風や大雪後の臨時巡回、簡単な清掃、庭木の剪定、害虫駆除など、追加で依頼できる作業の範囲と料金が明確になっているか。 |
4.2 ポイント2 写真付きなど定期的な報告体制があるか
遠方に住んでいると、自分の目で空き家の状態を直接確認することは困難です。そのため、管理会社からの定期的な報告が、現地の状況を把握する唯一の手段となります。どのような形式で、どのくらいの頻度で報告してくれるのかは、安心して任せられるかを判断する上で非常に重要な要素です。
最低でも月に1回、以下のような内容を含む詳細な報告書を提出してくれる会社を選びましょう。
作業内容がわかる日付入りの写真(建物の外観、室内、庭など複数箇所)
建物の状態に関する具体的なコメント(ひび割れ、雨漏りのシミ、カビの有無など)
郵便物の確認結果
その他、特記事項(近隣の変化や気づいた点など)
契約前に報告書のサンプルを見せてもらい、内容が分かりやすいかを確認することをおすすめします。また、万が一、建物に異常が発見された場合に、すぐに電話やメールで連絡をくれるなど、緊急時の連絡体制が整っているかも確認しておきましょう。
4.3 ポイント3 万が一の損害賠償保険に加入しているか
どんなに信頼できる会社でも、人的ミスや不測の事態が起こる可能性はゼロではありません。例えば、管理作業中に誤って窓ガラスを割ってしまったり、鍵を紛失してしまったりするケースも考えられます。こうした万が一のトラブルに備え、管理会社が「損害賠償責任保険」に加入しているか必ず確認してください。
保険に加入している会社であれば、管理中の事故によって建物や家財に損害を与えてしまった場合でも、保険で補償してもらえます。保険加入の有無は、会社の信頼性やリスク管理能力を測るバロメーターの一つです。契約書に保険に関する記載があるかを確認し、もし記載がなければ、加入証明書の提示を求めましょう。
4.4 ポイント4 地元での実績と評判は良いか
空き家管理は、その地域の気候や特性を熟知している会社に任せるのが安心です。特に、台風や大雪などの自然災害が多い地域では、地元の事情に精通していることが迅速かつ適切な対応につながります。会社のウェブサイトで設立年数や管理実績を確認し、長年にわたって地域に根ざして活動している会社を選びましょう。
また、インターネット上の口コミや評判も参考になりますが、それだけを鵜呑みにするのは危険です。最終的には、複数の会社から見積もりを取り、担当者の対応を直接比較することが大切です。質問に対して丁寧かつ的確に答えてくれるか、親身に相談に乗ってくれるかなど、コミュニケーションの取りやすさも重要な判断基準となります。地域での長年の実績は、多くの所有者から信頼されている証と言えるでしょう。
5. 遠方の空き家管理で使える補助金や助成金制度

遠方にある空き家の管理や活用には、解体やリフォームなどでまとまった費用がかかることがあります。しかし、国や自治体が設けている補助金・助成金制度をうまく活用すれば、経済的な負担を大幅に軽減できる可能性があります。これらの制度は、主に「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、地域の安全確保や景観維持、空き家の有効活用を促進するために設けられています。ここでは、代表的な制度の内容と探し方について解説します。
5.1 解体や除却に関する補助金
倒壊の危険性がある老朽化した空き家や、管理不全で「特定空き家」に指定された物件などを解体・除却する際に利用できる補助金です。放置すれば近隣に危険を及ぼす空き家を減らし、安全なまちづくりを目的としています。
補助金の対象となる条件や金額は自治体によって異なりますが、一般的な概要は以下の通りです。
項目 | 内容の目安 |
対象となる空き家 |
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補助率・上限額の目安 | 解体費用の1/5~1/2程度(上限額は30万円~100万円程度が中心) |
主な注意点 |
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5.2 リフォームや改修に関する助成金
空き家を修繕し、居住用や地域交流の拠点などとして再利用(利活用)する場合に利用できる助成金です。空き家を資源と捉え、移住・定住の促進や地域の活性化を図ることを目的としています。
こちらも自治体ごとに多種多様な制度がありますが、対象となる工事や助成額の目安は以下のようになります。
項目 | 内容の目安 |
対象となる工事例 |
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補助率・上限額の目安 | 改修費用の1/3~2/3程度(上限額は50万円~200万円程度と幅広い) |
主な注意点 |
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5.3 お住まいの自治体での制度の探し方
補助金や助成金は、現在お住まいの自治体ではなく、空き家が所在する市区町村の制度を利用することになります。遠方にお住まいの場合でも、以下の方法で調べることができます。
まず、空き家のある市区町村の公式ウェブサイトを確認しましょう。「(市区町村名) 空き家 補助金」や「(市区町村名) 空き家 解体 助成」といったキーワードで検索するのが最も効率的です。建築指導課や都市計画課、空き家対策担当課といった部署が担当していることが多いため、部署名から探すのも有効です。
ウェブサイトで情報が見つからない場合や、制度の詳細、ご自身の空き家が対象になるかを確認したい場合は、担当部署に電話で直接問い合わせてみましょう。その際、空き家の住所や現在の状況を伝えると、スムーズに相談が進みます。
また、地元の事情に詳しい不動産会社や工務店、空き家管理会社などが、利用可能な補助金制度の情報を把握しているケースもあります。管理や売却の相談とあわせて、補助金についても尋ねてみるのも一つの手です。
6. まとめ
遠方にある空き家を放置することは、建物の倒壊や固定資産税の増額など、多くのリスクを伴います。そのため、ご自身の状況に合わせた適切な管理方法を選ぶことが極めて重要です。管理方法には、自分で定期訪問する、親族に依頼する、専門の管理代行サービスを利用するなど複数の選択肢があります。費用や手間を比較検討し、場合によっては売却や賃貸といった活用も視野に入れ、大切な資産を守るための第一歩を踏み出しましょう。
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