最大200万円も!空き家解体の補助金制度を徹底比較|申請期限と賢い活用術
- seira murata
- 9月27日
- 読了時間: 19分

空き家の解体費用は高額ですが、国や自治体の補助金制度を活用すれば、最大200万円など費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。この記事では、全国で利用できる代表的な補助金の種類や金額、対象となる建物の条件、申請から受給までの具体的な流れを網羅的に解説。最も重要な注意点は、必ず解体工事の「契約前」に申請が必要なことです。制度を正しく理解し、損をしないための賢い活用術を学びましょう。
1. 空き家解体で補助金はもらえる?まずは制度の全体像を理解しよう
結論から言うと、条件を満たせば、空き家の解体費用に対して補助金を受け取ることが可能です。近年、放置された空き家が倒壊の危険性や景観の悪化、防犯上の問題などを引き起こすことが社会問題となっています。この「空き家問題」を解決するため、国や多くの自治体が解体費用の一部を補助する制度を設けているのです。
ただし、補助金制度は大きく分けて「国が主導するもの」と「各自治体が独自に設けるもの」の2種類があります。私たちが実際に申請するのは、ほとんどの場合、後者の自治体の制度です。まずは、この全体像を正しく理解し、どこに相談すればよいのかを把握しましょう。
1.1 国が主導する補助金制度
国(主に国土交通省)は、「空き家対策総合支援事業」などを通じて、空き家対策に取り組む市区町村を財政的に支援しています。これは、国が直接、空き家の所有者個人に補助金を支給する制度ではありません。
あくまで国は自治体の取り組みを後押しする立場であり、その支援を受けた各自治体が、地域の実情に合わせて具体的な補助金制度を設計・運用しています。そのため、私たちが補助金を利用したい場合、国の事業そのものではなく、お住まいの自治体が設けている制度を確認することが最初のステップとなります。
1.2 各自治体が独自に設ける補助金制度
私たちが実際に申請手続きを行う窓口となるのが、お住まいの市区町村などが設けている独自の補助金制度です。これが最も身近で重要な制度と言えます。
補助金の名称、対象となる建物の条件、補助率や上限額、申請期間などは、自治体ごとに大きく異なります。「老朽危険家屋解体撤去補助金」や「不良住宅等除却費補助事業」といった名称で、倒壊の危険性が高いと判断された建物を対象とする制度が一般的です。まずは、お住まいの市区町村の公式ウェブサイトで情報を確認するか、役所の都市計画課や建築指導課といった担当部署に問い合わせてみましょう。
国と自治体の補助金制度における役割の違い | ||
項目 | 国が主導する制度 | 各自治体が設ける制度 |
制度の主体 | 国(国土交通省など) | 市区町村などの地方自治体 |
支援の対象 | 空き家対策に取り組む自治体 | 空き家を所有する個人・法人 |
主な役割 | 自治体への財政支援(交付金の交付) | 補助金制度の設計・運用・申請受付 |
私たちが申請する窓口 | なし(直接申請はできない) | あり(市区町村の担当課が窓口) |
2. 【一覧比較】空き家解体の代表的な補助金制度と補助額

空き家の解体で利用できる補助金は、国が主導するものもありますが、その多くはお住まいの市区町村など、各自治体が独自に設けている制度です。そのため、制度の名称や補助額、条件は自治体によって大きく異なります。ここでは、全国の自治体でよく見られる代表的な補助金制度のパターンと、具体的な事例を見ていきましょう。
2.1 老朽危険家屋解体撤去補助金
最も多くの自治体で導入されているのが「老朽危険家屋解体撤去補助金」です。この制度は、倒壊や部材の落下など、周辺地域に危険を及ぼす可能性のある老朽化した空き家を対象としています。地域の安全確保を目的としており、「特定空家等」に指定された建物などが対象となるケースが一般的です。
項目 | 概要 |
制度の目的 | 倒壊の危険性がある空き家を除去し、地域の防災性向上と安全確保を図る。 |
対象となる家屋の例 |
|
補助額の目安 | 解体工事費用の1/5から1/2程度で、上限額は30万円~100万円が一般的。 |
2.2 都市景観向上建築物等解体費補助金
この制度は、建物の危険性に加えて、地域の景観を著しく損なっている空き家の解体を促進することを目的としています。歴史的な街並みが残るエリアや、観光地、主要な道路沿いなど、特定の区域内に存在する空き家が対象となることが多いのが特徴です。地域の美観を維持し、住環境を向上させるために設けられています。
項目 | 概要 |
制度の目的 | 地域の景観を損なう空き家を除去し、良好な景観形成と住環境の向上を図る。 |
対象となる家屋の例 |
|
補助額の目安 | 解体工事費用の1/3から4/5程度で、上限額は50万円~200万円と、比較的高額になる傾向があります。 |
2.3 【事例】東京都の空き家解体補助金
東京都では、都が一括で提供する補助金制度はなく、各区市町村がそれぞれ独自の助成制度を設けています。お住まいの地域の制度を確認することが必須です。ここでは代表的な区の事例をご紹介します。(※下記は一例です。最新の情報や詳細な条件は必ず各自治体の窓口にご確認ください。)
自治体名 | 制度名(例) | 補助率 | 上限額 |
世田谷区 | 老朽建築物等の解体工事助成 | 解体工事費の1/2 | 100万円 |
大田区 | 老朽建築物等除却工事助成事業 | 解体工事費の1/2 | 100万円 |
足立区 | 老朽家屋の解体工事費助成 | 解体工事費の1/2 | 50万円(木造) 100万円(非木造) |
2.4 【事例】大阪府の空き家解体補助金
大阪府も東京都と同様に、府が直接行う補助金ではなく、各市町村が地域の実情に合わせて制度を整備しています。そのため、補助金の有無や内容は市町村によって大きく異なります。必ず事前に役所の担当課に問い合わせましょう。(※下記は一例です。最新の情報や詳細な条件は必ず各自治体の窓口にご確認ください。)
自治体名 | 制度名(例) | 補助率 | 上限額 |
大阪市 | 老朽危険空家等除却費補助制度 | 解体費用の1/2 | 50万円 |
堺市 | 老朽木造建築物等除却補助 | 市が算定した基準額と実費のいずれか低い額 | 40万円 |
東大阪市 | 空家利活用改修費補助事業(除却) | 解体費用の1/2 | 50万円 |
3. 空き家解体で補助金を受け取るための4つの共通条件

空き家解体の補助金制度は、お住まいの自治体によって内容が異なりますが、多くの場合で共通する基本的な条件が設けられています。ここでは、補助金を受け取るためにクリアすべき4つの代表的な条件を解説します。ご自身の状況が当てはまるか、まずはこちらで大枠を確認してみましょう。
3.1 対象となる空き家の条件とは
まず、解体したい空き家そのものが補助金の対象となる必要があります。主に、建物の状態、所在地、構造などが審査されます。特に、周辺への危険性が高いと判断される空き家が優先される傾向にあります。
条件項目 | 主な内容 | 補足 |
老朽度・危険度 | 自治体による現地調査で、倒壊の危険性や管理不全の状態(不良住宅)であると判定されること。 | 「特定空家等」に認定されている、または評点が一定基準以上であることが求められるケースが多いです。 |
使用状況 | 概ね1年以上、居住やその他使用実績がないこと。 | 電気や水道の使用状況が確認されることもあります。 |
所在地 | 補助金制度を設けている市区町村の区域内にあること。 | これは絶対条件となります。 |
構造 | 個人が所有する木造住宅であることが多いです。 | 鉄骨造やコンクリートブロック造などは対象外、または条件が異なる場合があります。 |
3.2 対象となる申請者の条件とは
次に、補助金を申請する「人」に関する条件です。空き家の所有者本人であることはもちろん、税金の納付状況なども厳しくチェックされます。
空き家の所有者またはその相続人であること
原則として、登記事項証明書(登記簿謄本)で所有権が確認できる個人が対象です。共有名義の場合は、共有者全員の同意が必要になることが一般的です。法人が所有する空き家は対象外となるケースが多くあります。
市区町村税などを滞納していないこと
住民税や固定資産税など、その自治体に納めるべき税金を完全に納付していることが絶対条件です。滞納がある場合は、申請前に必ず解消しておく必要があります。
所得に関する要件
一部の自治体では、申請者本人やその世帯の前年所得に上限を設けている場合があります。
暴力団員等ではないこと
申請者が反社会的勢力と関わりがないことも条件となります。
3.3 対象となる解体工事の条件とは
補助金の対象となるのは、どのような解体工事でも良いわけではありません。工事の実施業者や内容にも規定があります。特に注意したいのは、工事を始めるタイミングです。
最も重要なのは、必ず補助金の「交付決定通知」を受け取った後に、解体業者と契約し、工事に着手することです。交付決定前に契約・着工してしまうと、補助金が受け取れなくなってしまいますので、絶対に順番を間違えないようにしましょう。
その他の主な条件は以下の通りです。
建設業許可を持つ業者による工事であること
建設業法に基づく許可(土木工事業、建築工事業、解体工事業のいずれか)を受けた業者、または自治体内に事業所を置く業者に発注することが条件となる場合が多いです。
建物をすべて解体する工事であること
補助金の対象は、原則として建物全体を解体して更地にする「全部解体」です。内装のみの解体やリフォーム、一部の解体は対象外となります。
他の補助金等を受けていない工事であること
同じ解体工事に対して、国や他の自治体から重複して補助金を受け取ることはできません。
3.4 その他の条件(税金の滞納がないこと等)
上記以外にも、細かな条件が定められている場合があります。代表的なものをいくつかご紹介します。
申請者の条件でも触れましたが、税金の滞納は多くの自治体で補助金不交付の直接的な理由となります。固定資産税はもちろん、住民税や国民健康保険税など、自治体に納めるべき税金全般が対象です。申請を検討する段階で、ご自身の納付状況を必ず確認しておきましょう。
また、補助金は年度ごとの予算で運用されているため、申請期間が定められています。予算の上限に達した時点で、期間内であっても受付が終了してしまうこともあります。解体を決めたら、できるだけ早く自治体の担当窓口に相談することが重要です。
4. 【完全ガイド】空き家解体補助金の申請から受給までの流れ

空き家解体の補助金制度は、正しい手順を踏むことでスムーズに受給できます。しかし、手続きの流れを把握していないと、時間や手間がかかるだけでなく、最悪の場合、補助金が受け取れない可能性もあります。ここでは、申請から受給までの一般的な流れを6つのステップに分けて、誰にでも分かりやすく解説します。
4.1 ステップ1 事前相談と補助金の確認
まず最初に行うべきは、空き家が所在する市区町村の担当窓口(例:建築指導課、都市計画課など)への事前相談です。電話や窓口で、ご自身の空き家が補助金の対象になるかを確認しましょう。
この段階で確認すべき主なポイントは以下の通りです。
補助金制度の有無と、対象となる空き家の条件
今年度の予算残高と申請受付期間
申請に必要な書類一式
手続き全体の流れと注意点
補助金は予算の上限に達し次第、受付が終了することがほとんどです。そのため、解体を検討し始めたら、できるだけ早い段階で自治体に相談することをおすすめします。
4.2 ステップ2 申請書類の準備と提出
事前相談で必要なものがわかったら、申請書類を準備します。自治体によって必要書類は異なりますが、一般的には以下のような書類が求められます。不備があると審査が遅れる原因になるため、慎重に準備しましょう。
書類の種類 | 主な内容と取得場所 |
補助金交付申請書 | 自治体の窓口やウェブサイトから入手します。 |
解体工事の見積書 | 解体業者から取得します。複数の業者から相見積もりを取ることが推奨されます。 |
建物の登記事項証明書 | 法務局で取得します。建物の所有者や構造などを証明する書類です。 |
位置図・案内図 | 住宅地図のコピーなど、空き家の場所がわかるものです。 |
現況写真 | 建物の外観や内部、周辺の状況がわかる写真を複数枚撮影します。 |
納税証明書 | 市区町村の税務課などで取得し、税金の滞納がないことを証明します。 |
すべての書類が揃ったら、指定された窓口に提出します。郵送を受け付けている場合もありますが、直接窓口に持参して、担当者に不備がないか確認してもらうとより安心です。
4.3 ステップ3 交付決定通知の受領
申請書類を提出すると、自治体による審査が行われます。書類の内容や現地調査などを経て、補助金の交付が適切であると判断されると、「補助金交付決定通知書」が郵送で届きます。
審査には通常、数週間から1ヶ月程度の時間がかかります。この通知書が届くまで、次のステップには進めません。
最も重要な注意点は、この交付決定通知を受け取る前に解体工事の契約や着工を絶対に行わないことです。事前着工は補助金の対象外となり、一切補助金を受け取れなくなってしまいます。
4.4 ステップ4 解体工事の契約と実施
無事に「補助金交付決定通知書」が届いたら、いよいよ解体工事のステップに進みます。申請時に見積もりを依頼した解体業者と正式に工事請負契約を締結し、工事を開始します。
工事中は、自治体への実績報告に備えて、必ず以下の写真を撮影・保管しておきましょう。
着工前(建物全体)
工事中(基礎部分など)
完了後(更地になった状態)
これらの写真は、補助金事業が適切に実施されたことを証明する重要な証拠となります。
4.5 ステップ5 実績報告と補助金の請求
解体工事が完了し、費用の支払いが済んだら、定められた期限内に自治体へ「実績報告書」を提出します。この報告書をもって、補助金の支払いを正式に請求することになります。
実績報告時に必要となる主な書類は以下の通りです。
書類の種類 | 主な内容 |
実績報告書 | 自治体指定の様式に、工事内容や費用などを記入します。 |
工事請負契約書の写し | 解体業者と締結した契約書のコピーです。 |
工事費用の領収書の写し | 業者に費用を支払ったことを証明する書類です。 |
工事写真 | ステップ4で撮影した「着工前・工事中・完了後」の写真を提出します。 |
産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し | 解体で出た廃棄物が適正に処理されたことを証明する伝票です。 |
報告書の提出期限は工事完了後30日以内など、厳格に定められている場合が多いため、工事完了後は速やかに準備を進めましょう。
4.6 ステップ6 補助金の受領
提出された実績報告書の内容を自治体が審査し、問題がなければ補助金の額が最終的に確定します。その後、「補助金確定通知書」が送付され、申請時に指定した銀行口座へ補助金が振り込まれます。
実績報告書の提出から実際の振り込みまでは、1ヶ月から2ヶ月程度かかるのが一般的です。以上で、補助金の申請から受給までの一連の手続きはすべて完了となります。
5. 知らないと損!空き家解体補助金の申請期限と注意点

空き家解体の補助金制度は、解体費用を大幅に軽減できる非常に魅力的な制度ですが、利用するにはいくつかの重要な注意点があります。特に「申請のタイミング」を間違えると、補助金が一切受け取れなくなるという致命的な事態に陥りかねません。ここでは、後悔しないために必ず押さえておくべきポイントを詳しく解説します。
5.1 申請期限はいつ?年度ごとに確認が必要
空き家解体の補助金は、国の予算や各自治体の財源をもとに運営されています。そのため、ほとんどの制度は単年度事業として扱われ、毎年申請期間が定められています。前年度に制度があったからといって、今年も同じ条件で実施されるとは限りません。
申請の受付期間は自治体によって様々ですが、一般的には新年度が始まる4月頃から受付を開始し、予算の上限に達するか、年度の後半(11月~1月頃)に締め切られるケースが多く見られます。解体を検討し始めたら、まずはご自身の空き家がある市区町村のウェブサイトを確認するか、担当窓口(建築指導課、都市計画課など)に問い合わせて、その年度の情報を正確に把握しましょう。
自治体による申請期間の一般的なパターン | ||
パターン | 受付期間 | 注意点 |
通年受付型 | 4月頃~翌年1月頃まで | 期間中であっても、予算の上限に達した時点で受付が終了します。先着順となるため、早めの申請が必須です。 |
期間限定型 | 例:4月1日~6月30日など | 特定の短い期間しか申請を受け付けていません。期間を逃すとその年度は申請できなくなるため、事前の準備が非常に重要です。 |
5.2 【最重要】必ず解体工事の「前」に申請する
補助金申請における最大の注意点は、必ず「解体工事の契約・着工前」に申請手続きを行うことです。これは、補助金の対象となる空き家や工事内容であるかを、自治体が事前に審査・認定する必要があるためです。
よくある失敗例として、「先に解体業者と契約して工事を始めてしまった」「すでに解体工事が終わってしまった」というケースがありますが、この場合、後から補助金を申請することは絶対にできません。補助金の利用を考えている場合は、以下の正しい手順を必ず守ってください。
自治体の窓口へ事前相談・申請
自治体から「交付決定通知書」を受領
解体業者と本契約
解体工事の開始
焦って業者との契約を進めてしまうと、本来受け取れるはずだった数十万円、場合によっては100万円以上の補助金を逃すことになります。「申請→交付決定→契約・着工」この順番を絶対に間違えないようにしましょう。
5.3 補助金が打ち切られるケースもある
申請期間内であっても、補助金が利用できなくなるケースがあります。主な理由は、自治体の設定した予算の上限に達してしまうことです。
人気の補助金制度では、受付開始から早い段階で申請が殺到し、夏頃には予算が尽きて締め切られてしまうことも珍しくありません。特に、危険な空き家を対象とした補助金は需要が高く、競争率が高くなる傾向にあります。
また、申請書類に不備があった場合、修正に時間がかかっている間に予算が上限に達してしまうリスクも考えられます。空き家の解体を決断したら、できるだけ早く情報収集を開始し、必要書類を準備して、受付開始後すみやかに申請手続きを進めることが、補助金を確実に活用するための鍵となります。
6. 補助金を賢く活用!空き家解体費用をさらに抑える方法

空き家の解体費用は、補助金制度を利用するだけでも大幅に軽減できますが、さらにもう一工夫することで自己負担を最小限に抑えることが可能です。ここでは、補助金とあわせて実践したい、解体費用を賢く節約するための3つの方法を具体的に解説します。
6.1 複数の解体業者から相見積もりを取る
解体工事の費用を抑える上で、最も基本的かつ効果的な方法が「相見積もり」です。解体費用には定価がなく、同じ条件の工事であっても業者によって提示する金額は数十万円、場合によっては100万円以上も異なるケースが珍しくありません。最低でも3社以上の解体業者から見積もりを取り、内容を比較検討することが鉄則です。
相見積もりを取ることで、費用の比較だけでなく、各社の対応や提案内容の違いも明確になります。安さだけを追求するのではなく、工事内容やアスベスト除去の有無、近隣への配慮など、サービス全体の質を見極めることが重要です。最近では、インターネットで複数の業者に一括で見積もりを依頼できるサービスもあり、手間をかけずに比較検討ができます。
6.1.1 相見積もりでチェックすべきポイント
見積書の内訳が詳細か(「一式」などの曖昧な表記が多くないか)
追加費用の発生条件が明記されているか
建設業許可や解体工事業登録の有無
損害賠償保険に加入しているか
廃棄物の処理方法が明確か
6.2 解体後の土地活用も視野に入れる
空き家を解体した後の土地を「負の資産」ではなく「収益を生む資産」として捉えることも、費用を抑える上で非常に重要です。解体後の更地を放置すると、固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、税負担が増加する可能性があります。解体後の土地を有効活用し、解体費用を回収、さらには継続的な収入源とすることを計画しましょう。
土地の立地や広さに応じて、様々な活用方法が考えられます。代表的な土地活用の方法と、そのメリット・デメリットを以下にまとめました。
活用方法 | 特徴・メリット | デメリット |
駐車場経営 | 初期投資が比較的少なく、短期的な収益化も可能。管理の手間も少ない。 | 税金の優遇措置が少ない。立地によっては収益が見込めない。 |
土地の売却 | まとまった現金が一度に手に入る。維持管理の手間や固定資産税の負担がなくなる。 | 買い手が見つからない可能性がある。売却益に対して譲渡所得税がかかる。 |
アパート・マンション経営 | 長期的かつ安定した高い収益が期待できる。節税効果も高い。 | 多額の初期投資が必要。空室リスクや管理の手間がかかる。 |
トランクルーム経営 | 狭小地や変形地でも始めやすい。アパート経営より初期投資を抑えられる。 | 収益性は立地に大きく左右される。認知度が上がるまで時間がかかる場合がある。 |
どの方法が最適かは専門的な知識も必要となるため、不動産会社や土地活用の専門家に相談することをおすすめします。
6.3 税金の特例措置も確認しよう
空き家の解体に関連する税金の知識は、思わぬ出費を防ぎ、節税につながる重要なポイントです。特に「固定資産税」と「譲渡所得税」については、必ず確認しておきましょう。
6.3.1 固定資産税の変動に注意
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大で6分の1に軽減されています。しかし、建物を解体して更地にすると、この特例の対象外となり、翌年から固定資産税が大幅に上昇する可能性があります。ただし、自治体によっては「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、危険な空き家の解体後に一定期間、税負担の増加を緩和する措置を設けている場合があります。解体前に必ずお住まいの市区町村役場に確認しましょう。
6.3.2 売却するなら「空き家3,000万円特別控除」の活用を
相続した空き家を解体して土地を売却する場合、「空き家の発生を抑制するための特例措置(通称:空き家3,000万円特別控除)」が利用できる可能性があります。この特例は、一定の要件を満たせば、土地の売却によって得た利益(譲渡所得)から最大3,000万円を控除できるという非常に有利な制度です。
主な適用要件には、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、売却代金が1億円以下であることなどがあります。制度の適用には複雑な条件があるため、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
7. まとめ
本記事で解説したように、空き家の解体には国や自治体の補助金制度が活用でき、費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。制度の種類や条件は自治体ごとに異なるため、まずはお住まいの市区町村の窓口に相談することが重要です。申請は必ず解体工事の「前」に行う必要がある点を忘れないでください。補助金と複数業者からの相見積もりを賢く利用し、計画的に解体を進めましょう。
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