最短何日?アスベスト撤去期間の目安と工事を依頼する前に知るべき注意点
- seira murata
- 4 日前
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ご自宅や所有する建物の解体・リフォームでアスベストの撤去が必要になった際、「工事期間は一体どのくらいかかるのだろう?」と不安に思われる方も多いのではないでしょうか。結論からお伝えすると、アスベスト撤去工事は事前調査から行政への届出、実際の作業、完了報告まで含め、一般的な戸建て住宅の場合で最短でも1ヶ月程度が目安となります。ただし、この期間はアスベストの危険度(レベル)や建物の規模、除去を行う場所によって大きく変動し、特に役所への事前届出には法律で定められた期間が必要となるため、余裕を持った計画が不可欠です。この記事では、アスベストのレベル別・場所別の具体的な撤去期間の目安をはじめ、工期を左右する要因、調査から完了までの全ステップと日数を詳しく解説します。さらに、信頼できる専門業者の選び方から見積もりのチェックポイント、活用できる補助金制度まで網羅的にご紹介しますので、最後まで読めば撤去工事の全体像を正確に把握し、安心して計画を進めることができます。
1. アスベスト撤去工事にかかる期間の全体像
アスベスト撤去工事にかかる期間は、建物の状況やアスベストの種類によって大きく変動します。一概に「何日で終わる」とは断言できませんが、全体像を把握することで、ご自身のケースに近い期間の目安を知ることができます。この章では、アスベストの危険度を示す「レベル」と、建物の「場所・規模」という2つの視点から、撤去期間の目安を具体的に解説します。
工事期間は、アスベストの飛散しやすさ(発じん性)と、除去する面積や場所が大きく影響するため、まずはこれらの違いを理解することが重要です。これからご説明する目安を参考に、ご自宅や所有する建物の解体・改修計画を立てる際にお役立てください。
1.1 【レベル別】アスベストの危険度で変わる撤去期間の目安
アスベスト建材は、その発じん性(粉じんの飛散のしやすさ)によって「レベル1」から「レベル3」までの3段階に分類されています。レベルの数字が小さいほど危険度が高く、それに伴い作業も慎重に行う必要があるため、工事期間は長くなる傾向にあります。以下に、各レベルの概要と期間の目安をまとめました。
アスベストレベル | 主な建材の例 | 工事期間の目安 |
レベル1(発じん性が著しく高い) | 石綿含有吹付け材(吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウールなど) | 1週間~1ヶ月以上 |
レベル2(発じん性が高い) | 石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材など | 数日~2週間程度 |
レベル3(発じん性が比較的低い) | スレート屋根材、ビニル床タイル、サイディングなどの成形板 | 1日~数日程度 |
1.1.1 レベル1(発じん性が著しく高い)の工事期間
レベル1は、鉄骨の耐火被覆材として使用される「石綿含有吹付け材」などが該当し、最も危険度が高い分類です。綿あめ状で飛散しやすいため、作業場をシートで完全に隔離し、内部の気圧を外部より低く保つ「負圧隔離」という厳重な措置が必要となります。この隔離空間の設置や解体に時間がかかるため、小規模な範囲であっても工事期間は最低1週間程度、大規模な施設になると1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
1.1.2 レベル2(発じん性が高い)の工事期間
レベル2は、配管の保温材や断熱材などが該当します。レベル1ほどではありませんが、こちらも発じん性が高く危険なため、基本的にはレベル1に準じた隔離措置が必要です。ただし、作業範囲が限定的な場合も多く、小規模な配管の保温材撤去などであれば、数日で完了することもありますが、一般的には1週間から2週間程度を見ておくとよいでしょう。
1.1.3 レベル3(発じん性が比較的低い)の工事期間
レベル3は、戸建ての屋根材(スレート)や外壁材(サイディング)、床材(Pタイル)など、硬い板状に成形された建材が該当します。これらは割ったり砕いたりしない限り、アスベストが飛散するリスクは比較的低いとされています。そのため、大規模な隔離は不要な場合が多く、湿潤化させて手作業で丁寧に取り外す作業が中心となります。一般的な戸建ての屋根などであれば、作業自体は1日から3日程度で完了することが多いです。
1.2 【場所・規模別】戸建てやマンションの撤去期間の目安
アスベストのレベルに加えて、工事を行う建物の種類や規模、場所によっても期間は変わります。ここでは代表的なケースとして「戸建て住宅」と「マンション・ビル」の2つの例を挙げて解説します。
1.2.1 戸建て住宅の屋根や外壁のケース
戸建て住宅でアスベスト撤去が問題になるのは、主にレベル3に該当するスレート屋根や外壁材です。この場合、作業期間の目安は足場の設置・解体を含めて3日~1週間程度です。実際の除去作業は1~2日で終わることが多いですが、作業前の足場設置に1日、作業後の足場解体に1日かかるため、全体としてこの程度の日数が必要になります。天候によっても作業日程が左右される可能性があります。
1.2.2 マンションやビルの内装解体のケース
マンションやビルの内装解体では、天井裏の吹付け材(レベル1)や空調ダクトの保温材(レベル2)など、複数のレベルのアスベストが使用されている可能性があります。特にレベル1の吹付けアスベストが広範囲にわたって使用されている場合、厳重な隔離養生が必要となり、工事期間は数週間から数ヶ月単位に及ぶこともあります。また、他のテナントや居住者がいる中での作業となるため、作業時間を夜間や休日に限定せざるを得ず、結果的に工期が延長するケースも考慮しておく必要があります。
2. アスベスト撤去の期間を左右する5つの要因

アスベスト撤去工事の期間は、現場の状況によって大きく変動します。画一的なスケジュールで進められるわけではなく、様々な要因が複雑に絡み合って全体の工期が決定されます。ここでは、撤去期間を左右する代表的な5つの要因について、具体的に解説します。ご自身のケースではどの要因が影響しそうか、見積もりを依頼する際の参考にしてください。
2.1 アスベストのレベルと含有量
アスベスト撤去期間を決定づける最も重要な要因は、除去対象となるアスベスト含有建材の「レベル」です。アスベストは発じん性(飛散のしやすさ)の高さによってレベル1からレベル3に分類されており、レベルが高いほど危険性も増すため、より厳重な対策と長い作業時間が必要になります。
レベル1が最も危険度が高く工期も長くなり、レベル3は比較的短期間で完了する傾向にあります。
レベル | 発じん性 | 主な建材例 | 期間への影響 |
レベル1 | 著しく高い | 吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール | 隔離養生の徹底、高濃度の粉じん対策、作業員の厳重な保護具着用が必須。作業は慎重に進められるため、工期は最も長くなる。 |
レベル2 | 高い | 保温材、耐火被覆材、断熱材 | レベル1ほどではないものの、飛散防止対策は重要。建材を破片にせず、丁寧に取り外す作業が求められるため、相応の期間が必要。 |
レベル3 | 比較的低い | スレート屋根材、ビニル床タイル、サイディングボード | 建材が硬く、通常の使用状態では飛散しにくい。湿潤化させながら手作業で解体するため、他のレベルに比べて作業期間は短い。 |
また、建材に含まれるアスベストの含有量が多い場合も、除去作業や廃棄物処理に時間がかかり、工期が延びる一因となります。
2.2 除去作業を行う面積と場所
当然ながら、除去作業を行う面積が広ければ広いほど、作業日数も比例して長くなります。例えば、戸建て住宅の屋根全体と、マンションの一室の天井裏では、必要な工数が大きく異なります。
さらに、作業場所の環境も工期に大きく影響します。高所や狭所、複雑な配管が入り組んだ場所での作業は、安全性確保のための準備や特殊な機材が必要となり、作業効率が低下するためです。
高所作業:屋根や外壁など、足場の設置・解体に数日かかる場合がある。
狭所作業:天井裏や機械室など、作業スペースが限られ、一度に作業できる人数が制限される。
屋内作業:内装材の除去では、室内の備品移動や徹底した養生に時間がかかる。
2.3 建物の構造と周辺環境
建物の構造(木造、鉄骨造、RC造など)や築年数、老朽化の度合いによっても、除去作業の難易度は変わります。特に、建材が劣化している場合は、想定以上にアスベストが飛散しやすくなっている可能性があり、より慎重な作業が求められます。
また、工事現場の周辺環境、特に近隣との距離は、作業スケジュールに直接的な影響を与えます。住宅密集地や商業地域の中心部では、騒音や粉じんの飛散防止に最大限の配慮が必要です。そのため、作業時間が日中に限定されたり、資材の搬入出のタイミングが制限されたりすることで、全体の工期が延長されることがあります。前面道路が狭く、大型車両が進入できない場合も、作業効率が落ちる原因となります。
2.4 除去作業の工法
アスベストの処理には、大きく分けて「除去工法」「封じ込め工法」「囲い込み工法」の3つの工法があります。どの工法を選択するかによって、作業内容と期間が大きく異なります。
除去工法:アスベスト含有建材を完全に取り除く方法。最も根本的な対策ですが、作業工程が多く、期間も長くなります。
封じ込め工法:薬剤を吹き付けてアスベスト層を固め、飛散を防止する方法。除去作業がないため、比較的短期間で完了します。
囲い込み工法:アスベスト層を板状の材料で完全に覆い隠し、飛散を防ぐ方法。こちらも除去に比べて工期は短くなります。
将来的な建物の解体を視野に入れると除去工法が推奨されますが、現状での飛散防止を目的とする場合は、封じ込めや囲い込みが選択されることもあります。建物の用途や今後の計画に応じて最適な工法が選ばれますが、一般的に「アスベスト撤去」という場合は、除去工法を指すことがほとんどです。
2.5 行政への事前届出の要否
アスベスト除去工事を行う際は、「大気汚染防止法」や「石綿障害予防規則」に基づき、工事内容を行政(都道府県や労働基準監督署など)へ事前に届け出る義務があります。
特に重要なのが、レベル1およびレベル2の建材を除去する場合、工事開始の14日前までに届出を完了させなければならないという規定です。つまり、業者と契約してから実際の工事が始まるまでに、最低でも2週間の待機期間が発生します。この届出期間は、工事計画を立てる上で必ず考慮しなければならない日数です。届出書類の作成や準備にも時間がかかるため、実際にはさらに余裕を持ったスケジュール設定が必要となります。レベル3の建材についてはこの事前届出は原則不要ですが、作業計画の作成や記録の保管は義務付けられています。
3. 調査から完了報告まで アスベスト撤去工事の全流れと日数

アスベスト撤去工事は、単に建材を剥がして運び出すだけの単純な作業ではありません。法令に基づいた厳格な手順を踏む必要があり、事前調査から行政への届出、後処理まで含めると、実際の作業期間以外にも多くの日数を要します。ここでは、工事開始から完了報告までの具体的な流れと、各ステップで必要となる期間の目安を詳しく解説します。
工事全体の流れと期間の目安は以下の通りです。
ステップ | 内容 | 期間の目安 |
1. 事前調査・分析 | 図面確認、現地調査、検体採取と分析 | 約1週間 |
2. 計画策定・届出 | 工事計画の作成、労働基準監督署・自治体への届出 | 約2週間 |
3. 近隣説明・準備 | 近隣への説明会、工事看板の設置 | 1日~3日 |
4. 除去作業 | 隔離養生、アスベストの除去 | 1日~数週間 |
5. 清掃・完了確認 | 清掃、空気中濃度測定、隔離の撤去 | 1日~2日 |
6. 廃棄物処理・報告 | 特別管理産業廃棄物としての処理、完了報告書の作成 | (工事完了後の手続き) |
3.1 ステップ1 事前調査と分析(約1週間)
まず、工事対象の建物にアスベストが使用されているか、使用されている場合はその種類、含有量、場所を正確に特定するための事前調査を行います。設計図書などの資料で確認する「図面調査」と、専門の資格者が現地で直接目視確認する「現地調査」を実施します。アスベスト含有の可能性がある建材が見つかった場合は、検体を採取し、専門の分析機関で分析を行います。現地調査自体は半日〜1日程度で完了しますが、分析結果が出るまでに数日から1週間ほどかかります。この調査結果が、後の工事計画や工法を決定する上で最も重要な基礎情報となります。
3.2 ステップ2 工事計画の策定と行政への届出(約2週間)
事前調査の結果に基づき、アスベストのレベルや現場の状況に応じた最適な除去方法を定め、詳細な工事計画書(施工計画書)を作成します。この計画書には、作業手順、安全対策、作業員の保護具、飛散防止対策などが明記されます。計画策定後、労働安全衛生法や大気汚染防止法に基づき、作業開始の14日前までに労働基準監督署や都道府県などの管轄行政機関へ必要な届出を行わなければなりません。この届出期間があるため、調査完了後すぐに工事を開始できるわけではなく、計画策定と合わせて約2週間の期間を見込んでおく必要があります。
3.3 ステップ3 近隣への説明と作業準備(1日から3日)
工事を開始する前に、近隣の住民や事業所に対して、工事の概要、期間、作業時間、安全対策などを説明し、理解と協力を得ることが不可欠です。説明会の開催や個別訪問などの方法で行います。同時に、工事現場にはアスベスト除去工事中であることを示す看板を設置し、関係者以外が立ち入らないようにします。この工程は、後のトラブルを未然に防ぎ、工事を円滑に進めるために非常に重要です。
3.4 ステップ4 隔離養生と除去作業の実施(1日から数週間)
いよいよ実際の除去作業に入ります。まず、作業区域をプラスチックシートなどで完全に隔離し、外部にアスベスト繊維が漏れ出ないようにします(隔離養生)。次に、内部の気圧を外部より低く保つための「負圧除じん機」を設置し、作業中の飛散を徹底的に防ぎます。準備が整ったら、専用の防護服や呼吸用保護具を着用した作業員が、建材を湿潤化させながら手作業や専用工具で慎重にアスベストを除去していきます。この除去作業の期間は、アスベストのレベル、除去面積、場所、建物の構造によって最も大きく変動します。小規模なものであれば1日で完了することもありますが、大規模なビルなどでは数週間以上かかる場合もあります。
3.5 ステップ5 清掃と完了確認(1日から2日)
除去作業が完了したら、作業区域内に残ったアスベスト繊維をHEPAフィルター付きの高性能真空掃除機で徹底的に清掃します。その後、隔離を解く前に、作業区域内の空気中にアスベスト繊維が浮遊していないかを確認するため、「空気環境測定」を実施します。この測定で安全基準値以下であることが確認されて初めて、隔離養生を撤去することができます。清掃から測定結果の確認まで、通常1日〜2日を要します。
3.6 ステップ6 産業廃棄物処理と完了報告書の作成
除去したアスベスト含有建材は、「特別管理産業廃棄物」として法律で厳しく定められた方法で処理する必要があります。飛散しないように二重に梱包し、許可を得た専門の処理業者によって最終処分場まで運搬・処分されます。同時に、工事の全工程を記録した写真や各種測定結果、廃棄物処理が適正に行われたことを証明するマニフェスト(産業廃棄物管理票)などをまとめ、施主様へ提出する完了報告書を作成します。これらの後処理も、アスベスト撤去工事における重要な最終ステップです。
4. アスベスト撤去工事を依頼する前に知るべき注意点

アスベスト撤去工事は、専門的な知識と技術を要するだけでなく、法律で定められた手順を遵守する必要がある非常にデリケートな工事です。工事期間や費用を適切に把握し、トラブルなく安全に完了させるためには、業者に依頼する前にいくつかの重要なポイントを理解しておくことが不可欠です。この章では、後悔しないために知っておくべき注意点を具体的に解説します。
4.1 信頼できる専門業者の選び方
アスベスト撤去工事の成否は、業者選びにかかっていると言っても過言ではありません。費用が安いという理由だけで安易に選んでしまうと、不適切な工事による健康被害や、後々の追加費用発生といったトラブルにつながる可能性があります。以下のポイントを参考に、信頼できる専門業者を慎重に選びましょう。
行政への登録・許可の有無:工事を行う都道府県への解体工事業登録や、アスベスト廃棄物を運搬するための産業廃棄物収集運搬業許可(石綿含有産業廃棄物を含む)を取得しているか必ず確認しましょう。
専門資格者の在籍:現場の指揮監督を行う「石綿作業主任者」が在籍していることは必須条件です。他にも建築物石綿含有建材調査者などの資格者がいると、より信頼性が高まります。
豊富な施工実績:自社のウェブサイトなどで、同様の建物やアスベストレベルでの施工実績を公開しているか確認しましょう。特に、除去を検討している建材(屋根材、内装材など)と同様の工事経験が豊富かどうかが重要です。
損害賠償責任保険への加入:万が一の物損事故や近隣への被害に備え、適切な保険に加入しているかを確認することも大切なリスク管理です。
丁寧な説明と誠実な対応:見積もりや現地調査の際に、工事内容やリスク、費用について専門用語を多用せず、分かりやすく説明してくれるか、こちらの質問に真摯に答えてくれるかといった姿勢も判断材料になります。
4.2 見積書で確認すべき項目
複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討することは非常に重要です。その際、総額だけでなく、詳細な内訳までしっかりと確認する必要があります。「工事一式」といった曖昧な記載ではなく、各項目が明記されている見積書を提出する業者を選びましょう。
見積書で特に注意して確認すべき項目は以下の通りです。
項目名 | 確認するポイント |
事前調査・分析費用 | 調査方法(図面調査、現地調査)、分析方法(定性・定量分析)が明記されているか。 |
各種届出作成・提出費用 | 労働基準監督署や自治体への届出書類の作成・提出費用が含まれているか。 |
仮設・養生費用 | 作業レベルに応じた適切な隔離養生(セキュリティーゾーンの設置、二重のプラスチックシートでの密閉など)の費用か。 |
除去作業費用 | 除去するアスベストのレベル、面積、工法(手作業、専用工具の使用など)が具体的に記載されているか。 |
廃棄物運搬・処分費用 | 法令に則った梱包、運搬、最終処分場での処理費用が含まれているか。マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行についても確認しましょう。 |
清掃・完了確認費用 | 高性能真空掃除機(HEPAフィルター付き)による清掃や、空気環境測定の費用が含まれているか。 |
4.3 補助金や助成金制度の活用について
アスベストの除去には高額な費用がかかるため、国や地方自治体は、その費用の一部を補助する制度を設けている場合があります。これらの制度をうまく活用することで、経済的な負担を軽減できる可能性があります。
制度の実施主体:主に都道府県や市区町村が主体となって実施しています。
補助の対象:アスベストの含有調査(分析調査)費用や、除去・封じ込め・囲い込みといった対策工事費用が対象となるのが一般的です。
注意点:補助金・助成金制度は、年度ごとに予算が定められており、申請期間も限られています。また、着工前に申請が必要なケースがほとんどです。工事を計画する早い段階で、お住まいの自治体の建築指導課や環境関連の部署に問い合わせ、条件や手続きについて確認することをおすすめします。
4.4 工事期間が延長する可能性のあるケース
事前に提示された工事期間はあくまで目安であり、予期せぬ事態によって延長される可能性があります。どのような場合に期間が延長する可能性があるのかを事前に把握しておくことで、心づもりができ、業者とのコミュニケーションも円滑になります。
悪天候による作業の中断:屋根や外壁など、屋外での作業は雨や強風、積雪などの影響を受けやすく、安全確保のために作業を中断せざるを得ない場合があります。
想定外のアスベストの発見:事前調査では確認できなかった場所に、工事の過程で新たにアスベスト含有建材が見つかることがあります。この場合、追加の除去計画の策定や行政への届出変更が必要となり、工期が延長します。
建物の構造上の問題:解体を進めていく中で、図面では分からなかった複雑な構造や、建材の著しい劣化が判明し、除去作業が難航するケースがあります。
近隣からのクレーム対応:騒音や車両の出入りなどに関して近隣住民からクレームが寄せられ、その対応のために一時的に工事が中断することがあります。
5. まとめ
アスベスト撤去工事にかかる期間は、アスベストの危険度(レベル)、除去する面積や場所、建物の構造など様々な要因によって大きく変動します。除去作業自体は最短1日で完了するケースもありますが、事前調査や分析、行政への届出、近隣への説明などを含めると、工事全体では最低でも1ヶ月以上かかるのが一般的です。
特に、発じん性が著しく高い「レベル1」や「レベル2」のアスベストは、労働安全衛生法や大気汚染防止法に基づき厳格な隔離養生や事前届出が義務付けられているため、計画から完了まで数ヶ月を要することも珍しくありません。一方で、比較的危険性の低い「レベル3」のアスベストは、届出が不要な場合も多く、比較的短期間で工事が完了します。
正確な期間と費用を知るためには、専門業者による現地調査が不可欠です。信頼できる業者を複数社選定し、見積もりを比較検討しましょう。その際、自治体が設けている補助金や助成金制度が活用できないかも確認することをおすすめします。本記事で解説した期間の目安や工事の流れを参考に、安全かつ計画的にアスベストの撤去を進めてください。

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