知らないと損!RC造 解体工事で失敗しないための注意点とトラブル回避術
- seira murata
- 8月25日
- 読了時間: 21分

RC造の解体工事は費用が高く、木造に比べてトラブルも起きやすいのではと不安に思っていませんか?本記事では、RC造解体の坪単価による費用相場から、優良な業者の選び方、費用を安く抑えるコツまで、失敗しないための知識を網羅的に解説します。騒音や粉塵といった近隣トラブルを回避する方法も具体的に紹介。この記事を読めば、高額な解体工事で後悔しないためのポイントが全てわかり、安心して計画を進められます。
1. RC造の解体工事とは 木造や鉄骨造との違いを解説
RC造の解体工事は、他の構造の建物と比べて専門的な知識と技術が求められます。RC造とは「Reinforced Concrete」の略で、鉄筋コンクリート造のことを指します。柱や梁、床、壁が鉄筋とコンクリートで構成されており、その頑丈さゆえに解体には特有の難しさが伴います。この章では、RC造の建物の特徴や、木造・鉄骨造との違いについて詳しく解説します。
1.1 RC造建物の特徴と解体が難しい理由
RC造の建物は、法定耐用年数が47年と長く、耐震性、耐火性、遮音性に優れているのが大きな特徴です。コンクリートが圧縮力に強く、鉄筋が引張力に強いという両者の長所を組み合わせることで、非常に強固な構造を実現しています。
しかし、その頑丈さが解体工事を難しくする主な要因となっています。RC造の解体が難しいとされる理由は、主に以下の3つです。
構造の強固さ
鉄筋とコンクリートが一体化しているため、破壊するには油圧ショベルの先端に専用のアタッチメント(圧砕機など)を取り付けた大型重機が必要です。手作業での解体はほとんど不可能で、パワフルな重機と熟練の技術がなければ安全かつ効率的な工事は進められません。
騒音・振動・粉塵の発生
コンクリートを重機で砕く際には、大きな騒音や振動が発生します。また、コンクリートの粉塵が飛散しやすいため、近隣住民への配慮が不可欠です。防音シートや散水といった徹底した対策を講じなければ、深刻な近隣トラブルに発展するリスクがあります。
産業廃棄物の重量と量
解体によって発生するコンクリートがらは、木材などに比べて非常に重く、量も多くなります。これらの産業廃棄物を適切に分別し、収集運搬、処分するには多大なコストと手間がかかります。
1.2 木造やS造(鉄骨造)の解体工事との費用の違い
建物の解体費用は、その構造によって大きく異なります。一般的に、木造、鉄骨造(S造)、RC造の順に坪単価が高くなる傾向があります。これは、前述の通り、構造が頑丈になるほど解体に手間と時間がかかり、高性能な重機や多くの作業員が必要になるためです。
以下は、構造別の解体費用の目安を比較した表です。
構造別の解体費用坪単価の目安 | ||
構造 | 坪単価の目安 | 特徴 |
木造(W造) | 40,000円~60,000円/坪 | 比較的解体が容易で、廃棄物もリサイクルしやすいため費用は安価。 |
鉄骨造(S造) | 60,000円~80,000円/坪 | 木造より頑丈だが、RC造に比べれば解体は容易。鉄骨は有価物として売却できる場合がある。 |
RC造 | 70,000円~100,000円/坪 | 非常に頑丈で解体に手間がかかるため、費用は最も高額になる。騒音・振動対策も必須。 |
※上記の坪単価はあくまで目安です。建物の立地条件、階数、アスベストの有無などによって費用は変動します。
1.3 RC造の解体で用いられる代表的な工法
RC造の解体工事では、現場の状況や周辺環境に応じて様々な工法が使い分けられます。ここでは、代表的な3つの工法をご紹介します。
圧砕工法(あっさいこうほう)
油圧ショベルの先端にハサミのような形状のアタッチメント(圧砕機、ニブラー)を取り付け、コンクリートを噛み砕いて解体する最も一般的な工法です。作業効率が高い反面、騒音や振動が大きいため、住宅が密集した地域では防音対策が必須となります。
ハンドクラッシャー工法
大型重機が入れない狭い場所や、騒音・振動を極力抑えたい場合などに用いられる工法です。作業員が手持ち式の小型圧砕機(ハンドクラッシャー)を使って、部分的にコンクリートを破壊します。低騒音・低振動で作業できるメリットがありますが、工期が長くなり費用も高くなる傾向があります。
ワイヤーソーイング工法
ダイヤモンド粒子が埋め込まれたワイヤーをコンクリート構造物に巻き付け、高速で回転させて切断する工法です。水を使って冷却しながら切断するため、粉塵の発生がほとんどなく、騒音や振動も極めて少ないのが特徴です。病院や学校に隣接する現場など、特に周辺環境への配慮が求められる場所で採用されますが、コストは最も高くなります。
2. RC造 解体工事にかかる費用相場と内訳

RC造(鉄筋コンクリート造)の建物の解体工事は、木造や鉄骨造に比べて頑丈な構造のため、費用が高額になる傾向があります。後悔しないためにも、まずは費用相場と見積もりの内訳を正しく理解することが重要です。ここでは、解体費用の目安や見積書で確認すべきポイント、追加費用が発生するケースについて詳しく解説します。
2.1 坪単価で見るRC造 解体工事の費用目安
解体工事の費用を概算で把握する際、一般的に「坪単価」が用いられます。RC造の解体費用は、坪単価6万円~10万円程度が相場とされています。ただし、この金額はあくまで目安であり、建物の立地条件、階数、重機の搬入経路、アスベストの有無などによって大きく変動します。
他の構造との費用感を比較すると、RC造の解体がいかに大掛かりで高コストかが分かります。
構造別の解体費用坪単価の目安 | ||
建物の構造 | 費用相場(坪単価) | 特徴 |
木造(W造) | 4万円~6万円 | 比較的解体が容易で、廃棄物も少ない。 |
鉄骨造(S造) | 5万円~8万円 | 木造より頑丈だが、RC造よりは解体しやすい。 |
RC造(鉄筋コンクリート造) | 6万円~10万円 | 非常に頑丈で、解体に専用の重機や工法が必要。コンクリートガラなど重量のある廃棄物が多く発生する。 |
例えば、30坪のRC造住宅を解体する場合、単純計算で180万円~300万円程度の費用がかかることになります。正確な金額を知るためには、必ず複数の専門業者から見積もりを取りましょう。
2.2 見積書でチェックすべき費用の内訳項目
解体業者から提示される見積書には、様々な項目が記載されています。「一式」という表記でまとめられている場合は注意が必要です。どの作業にいくらかかるのかが明確にわかる、詳細な見積書を提出してくれる業者を選びましょう。主な内訳項目は以下の通りです。
項目名 | 内容 |
仮設工事費 | 工事に必要な足場の設置、騒音や粉塵の飛散を防ぐための養生シートの設置、仮設トイレや水道・電気の設置などにかかる費用です。 |
建物本体の解体工事費 | 建物の構造体(柱、梁、壁、床など)を重機や手作業で取り壊すための費用です。人件費や重機のリース代などが含まれます。 |
廃棄物運搬処分費 | 解体で発生したコンクリートガラ、鉄筋、木材、ガラスなどの産業廃棄物を分別し、中間処理施設や最終処分場まで運搬・処分するための費用です。RC造では特にこの費用が大きな割合を占めます。 |
付帯工事費 | 建物本体以外の構造物(ブロック塀、駐車場、庭木、浄化槽など)の撤去にかかる費用です。どこまでが工事範囲に含まれるか、事前に確認が必要です。 |
諸経費 | 現場管理費、書類作成費用、近隣挨拶の費用、官公庁への届出代行費用など、工事を円滑に進めるための経費です。 |
2.3 アスベスト除去など追加費用が発生するケース
当初の見積金額に含まれておらず、工事の途中や後から追加で請求される可能性のある費用も存在します。特に注意が必要なのが、アスベスト(石綿)の除去費用と地中埋設物の撤去費用です。
2006年(平成18年)9月1日以前に着工された建物には、断熱材や内装材などにアスベストが使用されている可能性があります。アスベストの含有が疑われる場合、事前調査が義務付けられており、含有が確認されれば専門の業者による適切な除去作業が必要です。この調査費用や除去費用は、高額になるケースがあるため、事前に業者へ確認しておくことがトラブル回避につながります。
2.3.1 ブロック塀や駐車場の撤去費用
建物本体の解体費用とは別に、敷地内にある外構の撤去には「付帯工事費」として追加費用がかかります。主な対象は以下の通りです。
ブロック塀、フェンス
カーポート、ガレージ
物置
庭石、庭木、植栽
浄化槽
これらの撤去を希望する場合は、見積もりの段階で必ず業者に伝え、工事範囲に含めてもらうようにしましょう。伝え忘れると、後から別途高額な費用を請求される可能性があります。
2.3.2 地中埋設物の撤去費用
解体工事で最も予測が難しく、トラブルになりやすいのが地中埋設物です。建物を解体し、基礎を掘り起こした後に、地中から以前の建物の基礎やコンクリートガラ、浄化槽、井戸などが出てくることがあります。
これらの地中埋設物は、工事を始めるまで存在がわからないことが多く、発見された場合は撤去に追加費用が発生するのが一般的です。万が一の事態に備え、契約前に「地中埋設物が発見された場合の対応や費用」について、業者としっかり取り決めをしておくことが重要です。
3. RC造 解体工事の一般的な流れと期間

RC造(鉄筋コンクリート造)の解体工事は、木造や鉄骨造に比べて工程が多く、期間も長くなる傾向があります。ここでは、事前準備から工事完了までの一般的な流れと、必要な期間の目安について詳しく解説します。計画を立てる際の参考にしてください。
3.1 事前準備から工事完了までの8ステップ
RC造の解体工事は、以下の8つのステップで進められるのが一般的です。各ステップの内容を理解し、工事全体の流れを把握しておきましょう。
ステップ | 主な内容 | ポイント |
1. 現地調査・見積もり | 解体業者に建物の構造、立地、アスベストの有無などを調査してもらい、見積もりを依頼します。 | 複数の業者から相見積もりを取り、内容を比較検討することが重要です。 |
2. 業者選定・契約 | 見積もり内容や業者の対応を比較し、依頼する業者を決定。工事請負契約を締結します。 | 契約書の内容(工期、金額、追加費用の条件など)を十分に確認しましょう。 |
3. 近隣への挨拶 | 工事開始前に、業者が近隣住民へ工事内容や期間、連絡先などを説明して回ります。 | 施主も一緒に挨拶に伺うことで、より丁寧な印象を与え、トラブル防止に繋がります。 |
4. 行政への届出 | 建設リサイクル法に基づく届出など、必要な書類を管轄の行政機関に提出します。 | 通常は業者が代行しますが、施主名義での提出となるため、内容の確認が必要です。 |
5. 足場・養生の設置 | 騒音や粉塵の飛散を防ぐため、建物の周囲に足場を組み、防音・防塵シートで覆います。 | 近隣への影響を最小限に抑えるための重要な工程です。 |
6. 内装・設備の撤去 | 建物内部の建具、住宅設備、断熱材、アスベストなどを手作業で分別・撤去します。 | この分別作業が、後のリサイクルや適正な廃棄物処理に繋がります。 |
7. 建物本体の解体 | 重機(油圧ショベルなど)を使い、屋根、壁、柱などコンクリート躯体を解体していきます。 | 騒音や振動が最も発生する工程のため、散水などの対策が徹底されます。 |
8. 基礎撤去・整地・完了 | 地中に埋まっている基礎コンクリートを掘り起こして撤去し、土地を平らにならします。 | 工事完了後、産業廃棄物が適正に処理されたことを証明する「マニフェスト」の写しを必ず受け取りましょう。 |
3.2 工事開始前に必要な行政への届出
解体工事を行う際は、関連法規に基づき、事前に管轄の行政機関へ届出を行う義務があります。届出を怠ると罰則の対象となるため、必ず確認が必要です。通常は解体業者が手続きを代行してくれますが、施主としてどのような届出が必要か把握しておきましょう。
届出の種類 | 概要 | 提出義務者 |
建設リサイクル法に基づく届出 | 延床面積80㎡以上の建物を解体する場合に必要。分別解体や再資源化の計画を届け出ます。 | 施主(業者が代行) |
アスベスト(石綿)事前調査結果報告 | 建材にアスベストが含まれているかどうかの調査結果を、労働基準監督署などに報告します。 | 元請業者 |
特定建設作業実施届出書 | 騒音規制法や振動規制法で定められた重機を使用する場合、市区町村に届け出ます。 | 元請業者 |
道路使用許可申請 | 工事車両の駐車や足場の設置などで道路を使用する場合、管轄の警察署に申請します。 | 元請業者 |
これらの届出は工事開始の7日前までに行う必要があるものが多いため、余裕を持ったスケジュール管理が不可欠です。
3.3 RC造の解体工事にかかる期間の目安
RC造の建物は堅牢なため、木造に比べて解体工事に時間がかかります。建物の規模や立地条件によって変動しますが、一般的な期間の目安は以下の通りです。
建物の延床面積 | 解体期間の目安 |
30坪(約100㎡) | 約3週間 ~ 1.5ヶ月 |
50坪(約165㎡) | 約1ヶ月 ~ 2ヶ月 |
100坪(約330㎡) | 約2ヶ月 ~ 3ヶ月以上 |
上記の期間はあくまで目安です。以下の要因によって工期は延長される可能性があります。
アスベストの含有レベルが高い場合:除去作業に特別な対策が必要となり、工期が大幅に延びます。
前面道路が狭い、隣家との距離が近い場合:重機の搬入や作業に制限がかかり、手作業が増えるため時間がかかります。
地中埋設物の有無:解体後に地中から予期せぬ障害物(以前の建物の基礎など)が見つかった場合、その撤去に追加の日数が必要です。
天候不順:大雨や強風、積雪などの悪天候が続くと、安全確保のために作業を中断せざるを得ません。
解体業者との契約時には、工期が延長する可能性のある条件についてもしっかりと確認しておくことが大切です。
4. 失敗しない優良な解体業者の選び方5つのポイント

RC造の解体工事は、木造に比べて専門性が高く費用も高額になりがちです。だからこそ、信頼できる優良な業者を選ぶことが、トラブルを避け、適正価格で工事を完了させるための最も重要な鍵となります。ここでは、悪徳業者を避け、安心して任せられる解体業者を見つけるための5つの具体的なポイントを解説します。
4.1 建設業許可や産業廃棄物収集運搬業許可を確認する
解体工事を行う業者は、法律に基づいた許可を得ている必要があります。これらの許可がない業者に依頼してしまうと、不法投棄や施工トラブルに巻き込まれるリスクが非常に高まります。必ず契約前に以下の許可の有無を確認しましょう。
許可の種類 | 内容と確認のポイント |
建設業許可(解体工事業) | 請負金額が500万円以上(税込)の解体工事を行うために必須の許可です。RC造の解体はほとんどの場合この金額を超えるため、事実上必須の資格と言えます。 |
産業廃棄物収集運搬業許可 | 解体工事で発生したコンクリートがらや鉄筋などの産業廃棄物を、自社のトラックで処分場まで運搬するために必要な許可です。解体を行う自治体と、廃棄物を降ろす処分場がある自治体の両方の許可が必要になります。 |
これらの許可は、許可番号を教えてもらい、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」や、各都道府県のウェブサイトで実在するかどうかを確認できます。無許可の業者は違法であり、万が一不法投棄が行われた場合、排出事業者である施主(あなた)が責任を問われる可能性もあるため、絶対に契約してはいけません。
4.2 詳細な見積書を提出してくれるか
「解体工事一式」といった曖昧な見積書を提出する業者は要注意です。後から「あれは含まれていなかった」などと理由をつけ、高額な追加費用を請求されるトラブルの原因になります。優良な業者は、誰が見ても分かりやすい詳細な見積書を提出してくれます。
見積書では、以下の項目が具体的に記載されているかチェックしましょう。
建物本体の解体工事費(構造別、面積)
仮設工事費(足場、養生シート、防音パネルなど)
付帯工事費(ブロック塀、カーポート、庭石、樹木などの撤去費用)
産業廃棄物処理費(コンクリートがら、アスベスト、木くずなど品目ごとに単価と数量が明記されているか)
重機回送費
各種手続きの代行費用
諸経費
特に「廃棄物処理費」の内訳が明確になっているかは重要なポイントです。不明な項目があれば遠慮なく質問し、担当者が丁寧に納得のいく説明をしてくれるかどうかも、業者を見極める判断材料になります。
4.3 損害賠償保険に加入しているか
RC造の解体工事は、大型重機を使用するため、木造解体に比べて騒音や振動が大きくなります。細心の注意を払って作業しても、予期せぬ事故が起こる可能性はゼロではありません。例えば、重機のアームが隣家の壁を傷つけたり、振動で窓ガラスにひびが入ったりするケースが考えられます。
万が一の事態に備え、業者が損害賠償保険に加入しているかは必ず確認してください。保険に加入していれば、事故による損害を保険で補償してもらえますが、未加入の場合、補償を巡って業者とトラブルになったり、最悪の場合は施主が賠償責任を負わされたりする可能性もあります。口頭での「加入しています」という返事だけでなく、保険証券のコピーを提示してもらうなど、書面で確認するとより安心です。
4.4 近隣への配慮や対応が丁寧か
解体工事を円滑に進めるためには、近隣住民の理解と協力が不可欠です。騒音や振動、粉塵の飛散は、近隣トラブルの主な原因となります。優良な業者は、技術力だけでなく、近隣への配慮も徹底しています。
業者選びの際には、以下の点を確認しましょう。
工事開始前に、担当者が施主と一緒に近隣へ挨拶回りを行ってくれるか。
工事の概要や期間、作業時間などを丁寧に説明してくれるか。
粉塵対策としての養生シートの設置や、こまめな散水を計画しているか。
見積もり依頼や問い合わせの際の電話対応や、担当者の言葉遣いが丁寧か。
見積もり時の担当者の対応は、その会社全体の姿勢を映す鏡です。質問に対して真摯に答えてくれるか、こちらの不安に寄り添う姿勢があるかなど、コミュニケーションの部分もしっかりと見極めましょう。
4.5 RC造の解体実績が豊富か
RC造の建物は非常に頑丈なため、木造や鉄骨造の解体とは異なる専門的な知識、技術、そして高性能な重機が求められます。したがって、RC造の解体工事を数多く手がけてきた実績のある業者に依頼することが成功の鍵となります。
実績が豊富な業者は、現場の状況(建物の規模、立地、周辺環境など)を的確に判断し、最も安全で効率的な工法を選択するノウハウを持っています。また、起こりうるトラブルを予測し、未然に防ぐ対策を講じる能力にも長けています。業者の公式ウェブサイトで過去の施工事例を確認したり、見積もりの際に「同じような規模のRC造の解体実績はありますか?」と直接質問したりすることで、その業者の経験値や技術力を推し量ることができます。
5. RC造 解体工事の費用を安く抑える3つのコツ

RC造の解体工事は、その頑丈さから木造などに比べて高額になりがちです。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を賢く抑えることが可能です。ここでは、解体費用を安くするための具体的な3つのコツをご紹介します。
5.1 複数業者から相見積もりを取る
解体工事の費用は、業者によって大きく異なる場合があります。そのため、必ず複数の業者から見積もり(相見積もり)を取得し、比較検討することが最も重要です。最低でも3社程度から見積もりを取り、料金だけでなく、工事内容や内訳の明確さ、担当者の対応などを総合的に判断しましょう。
単に一番安い業者を選ぶのではなく、「なぜその金額でできるのか」をしっかり確認することが大切です。極端に安い見積もりは、後から追加費用を請求されたり、不法投棄などのトラブルに繋がったりするリスクも潜んでいます。各社の見積書を比較することで、ご自身の工事内容における適正な費用相場を把握できます。
5.2 自治体の補助金や助成金制度を活用する
お住まいの自治体によっては、老朽化した建物の解体に対して補助金や助成金制度を設けている場合があります。特に、倒壊の危険性がある「特定空き家」に指定されている建物や、耐震基準を満たさない古い建物などが対象となることが多いです。制度を活用できれば、解体費用の一部を補助してもらえるため、大幅な負担軽減に繋がります。
補助金制度は自治体ごとに名称や条件、申請期間が異なります。まずは、解体予定の建物がある市区町村のウェブサイトを確認するか、建築指導課や都市計画課などの担当窓口に問い合わせてみましょう。
主な補助金・助成金制度の例 | |
制度の名称(例) | 内容 |
老朽危険家屋解体撤去補助金 | 倒壊の危険性がある老朽化した家屋の解体費用の一部を補助する制度。 |
空き家解体費用補助金 | 地域の景観や安全を保つため、長期間放置された空き家の解体費用を補助する制度。 |
ブロック塀等撤去費用助成金 | 地震時に倒壊の危険があるブロック塀などの撤去費用を助成する制度。 |
アスベスト除去等費用補助金 | アスベスト含有建材の除去工事にかかる費用の一部を補助する制度。 |
これらの制度は予算に上限がある場合や、申請期間が限られていることがほとんどです。解体工事を計画し始めたら、できるだけ早い段階で情報を集めることをお勧めします。
5.3 建物内の不用品は事前に自分で処分する
建物内に残された家具や家電、衣類などの不用品(残置物)の処分を解体業者に依頼すると、追加費用が発生します。業者がこれらを処分する場合、「産業廃棄物」として扱われるため、ご自身で「一般廃棄物」として処分するよりも費用が割高になる傾向があります。
手間はかかりますが、工事が始まる前に自分で不用品を処分しておくことで、費用を大きく節約できます。まだ使えるものはリサイクルショップやフリマアプリで売却したり、知人に譲ったりするのも良いでしょう。粗大ゴミとして自治体のルールに従って処分したり、不用品回収業者に依頼したりする方法もあります。残置物の量によっては、この一手間で数十万円単位の費用削減に繋がるケースも少なくありません。
6. RC造 解体工事でよくある近隣トラブルと回避術

RC造の解体工事は、その頑丈さゆえに木造などと比べて騒音・振動・粉塵が発生しやすく、近隣トラブルに発展しやすいという特徴があります。一度関係が悪化すると、工事の遅延や精神的な負担にもつながりかねません。トラブルを未然に防ぐためには、信頼できる解体業者を選ぶことはもちろん、施主自身もどのようなトラブルが起こりうるのか、そしてその対策について正しく理解しておくことが極めて重要です。ここでは、代表的なトラブルとその回避術について具体的に解説します。
6.1 騒音や振動によるクレーム対策
RC造の解体では、コンクリートを破砕するための重機(ブレーカーなど)を使用するため、どうしても大きな騒音や振動が発生します。これらは完全に無くすことはできませんが、適切な対策を講じることで最小限に抑えることが可能です。
主な対策としては、以下の点が挙げられます。
防音シート・パネルの設置:工事現場全体を囲う足場に、厚手の防音シートや防音パネルを設置することで、外部へ漏れる音を大幅に軽減できます。業者が見積もりに含んでいるか確認しましょう。
低騒音・低振動工法の採用:油圧でコンクリートを圧砕する「圧砕機(クラッシャー)」など、比較的騒音の少ない重機や工法を選択することも有効です。ただし、工法によっては費用や工期に影響する場合があるため、業者とよく相談することが大切です。
作業時間の遵守:騒音規制法や振動規制法で定められた作業時間を守るのはもちろんのこと、早朝や夕方遅く、日曜日・祝日の作業を避けるなど、近隣住民の生活リズムに配慮したスケジュールを組むことがクレーム防止につながります。
6.2 粉塵の飛散を防ぐ養生の重要性
コンクリートや外壁を解体する際には、大量の粉塵が発生します。この粉塵が飛散すると、近隣の住宅の壁や窓、駐車している車、洗濯物などを汚してしまい、大きなトラブルの原因となります。粉塵対策は、解体工事において必須の項目です。
最も基本的かつ効果的な対策は「養生」と「散水」です。
養生シートによる飛散防止:足場の周りを隙間なく養生シートで覆うことで、粉塵が外部に広がるのを防ぎます。シートが破れていたり、隙間が空いていたりすると効果が半減するため、業者が丁寧に養生を行っているか、工事中も定期的に確認するとよいでしょう。
作業中の散水:解体作業と同時に、常に水をまき続けることで粉塵の飛散を大幅に抑制できます。特にコンクリートを破砕する際には、散水が不可欠です。散水を怠る業者はトラブルを起こしやすい傾向にあるため、注意が必要です。
6.3 工事前の挨拶回りで伝えるべきこと
技術的な対策以上に、近隣トラブルの回避に効果的なのが「事前の丁寧な挨拶回り」です。事前に工事内容を説明し、誠意ある対応を示すことで、近隣住民の理解と協力を得やすくなります。「何も聞かされていないのに、突然うるさい工事が始まった」という状況が、最もクレームに発展しやすいことを覚えておきましょう。
挨拶回りは、工事開始の1週間〜10日前までには、施主と業者の担当者が揃って行うのが理想です。挨拶に伺う範囲は、最低でも両隣、向かいの3軒、裏の家を含めた周辺の住宅です。その際に伝えるべき内容は、以下の通りです。
挨拶回りで伝えるべき内容リスト | |
項目 | 伝える内容の具体例 |
工事の概要 | 建物の解体工事であること、工事の目的を簡潔に説明します。 |
工事期間 | 「〇月〇日から〇月〇日までの予定です」と、具体的な開始日と終了予定日を伝えます。 |
作業時間帯 | 「平日の午前8時から午後5時まで作業を行います」など、具体的な作業時間を伝えます。 |
休工日 | 「日曜日と祝日はお休みです」など、工事を行わない曜日を明確に伝えます。 |
緊急連絡先 | 工事に関する問い合わせや万が一のトラブルに備え、解体業者の社名、現場責任者の氏名、携帯電話番号を記載した書面(工事案内状)と粗品(タオルや洗剤など)をお渡しします。 |
お詫びとお願い | 騒音や振動、工事車両の出入りなどでご迷惑をおかけすることへのお詫びと、ご理解ご協力をお願いする言葉を丁寧に伝えます。 |
誠意をもって事前に情報提供を行うことで、住民の方も心の準備ができ、多少の騒音や振動にも寛容になりやすいものです。良好な近隣関係を維持するためにも、挨拶回りは必ず行いましょう。
7. まとめ
RC造の解体工事は、木造や鉄骨造に比べて頑丈な構造から費用が高額になりやすく、騒音や振動といった近隣トラブルも発生しやすいという特徴があります。そのため、工事で失敗しないためには、信頼できる優良な業者を選ぶことが最も重要です。複数の業者から詳細な見積もりを取り、許可の有無や保険加入状況を確認しましょう。この記事で解説した費用を抑えるコツやトラブル回避術を参考に、計画的かつ円滑に解体工事を進めてください。
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