空き家の相続登記、必要書類はどこで何を取る?初心者向けに一覧で分かりやすく解説
- seira murata
- 10月25日
- 読了時間: 18分

親から相続した空き家、手続きが複雑で何から手をつけていいか分からず、そのままにしていませんか?2024年4月1日から相続登記が法律で義務化され、手続きを怠ると過料が科される可能性もあります。しかし、どのような書類をどこで集めればいいのか、専門知識がないと難しいと感じる方も多いでしょう。
この記事では、空き家の相続登記に必要な書類を「誰が・何を・どこで」取得するのか、初心者にも分かりやすい一覧表で徹底解説します。さらに、書類集めの具体的な手順や費用の内訳、自分で手続きするメリット・デメリットまで、相続登記の全体像を網羅的にご紹介します。
結論から言うと、相続登記の必要書類は遺言書の有無や遺産分割協議など、相続の状況によって異なります。この記事を最後まで読めば、ご自身のケースで必要な書類が明確になり、複雑な手続きもスムーズに進めることができます。まずは全体像を把握し、期限内に手続きを終えるための第一歩を踏み出しましょう。
1. 2024年4月から義務化 空き家の相続登記とは
相続登記とは、土地や建物といった不動産の所有者が亡くなった際に、その名義を亡くなった方(被相続人)から財産を受け継ぐ方(相続人)へ変更するための手続きのことです。これまで任意の手続きでしたが、所有者不明の土地や空き家が増加している社会問題を背景に、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。
この法改正により、相続によって不動産を取得したことを知った日から、一定期間内に法務局へ登記申請を行うことがすべての相続人に義務付けられました。これは、過去に発生した相続であっても対象となるため、注意が必要です。
1.1 相続登記をしないとどうなるのか
相続登記の義務化に伴い、正当な理由なく期限内に手続きを行わなかった場合、ペナルティが科されることになりました。具体的には、10万円以下の過料(罰金のようなもの)の適用対象となります。
また、過料だけでなく、相続登記を放置することには以下のような実質的なデメリットも存在します。
不動産の売却や活用ができない
不動産の名義が亡くなった方のままでは、売却したり、その土地を担保に融資を受けたりすることができません。
相続関係が複雑化する
手続きを先延ばしにしている間に、相続人が亡くなってしまうと(数次相続)、さらにその子どもや配偶者へと相続権が移っていきます。関係者がネズミ算式に増えてしまい、話し合い(遺産分割協議)をまとめるのが極めて困難になります。
他の相続人に勝手に持分を売却されるリスク
相続登記が未了の状態でも、相続人の一人が自分の法定相続分だけを第三者に売却することは可能です。そうなると、見知らぬ第三者と不動産を共有する事態になりかねません。
これらのトラブルを未然に防ぐためにも、相続が発生したら速やかに登記手続きを進めることが重要です。
1.2 いつまでに手続きが必要か
相続登記の申請義務には、法律で定められた期限があります。いつ相続が発生したかによって、起算日と期限が異なりますので、ご自身の状況を確認しましょう。
相続発生時期別の登記申請期限 | |
相続の発生時期 | 登記申請の期限 |
2024年4月1日(施行日)以降 | 「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日」から3年以内 |
2024年3月31日以前 | 2027年3月31日まで (施行日である2024年4月1日から3年間の猶予期間が設けられています) |
つまり、法改正以前に発生した相続で、まだ登記が済んでいない空き家なども義務化の対象となります。長年手続きをしていなかった不動産をお持ちの場合は、2027年3月31日までに申請を完了させる必要がありますので、早めに準備を始めましょう。
2. 空き家の相続登記 必要書類を集める前の確認ステップ

空き家の相続登記を進めるにあたり、いきなり役所や法務局に向かうのは非効率です。必要となる書類は相続の状況によって大きく異なるため、まずは現状を正確に把握するための3つのステップを踏むことが重要です。この事前確認を丁寧に行うことで、後の書類収集がスムーズになり、手続きの手戻りを防ぐことができます。
2.1 ステップ1 遺言書の有無を確認する
まず最初に、被相続人(亡くなった方)が遺言書を遺しているかどうかを確認しましょう。遺言書の有無は、その後の相続手続きの進め方を大きく左右する最も重要なポイントです。
遺言書があれば、原則としてその内容に従って相続手続きが進められます。遺言書で不動産を相続する人が指定されていれば、相続人全員での遺産分割協議は不要になるケースがほとんどです。一方、遺言書がなければ、次のステップで解説する「法定相続人」全員で遺産分割協議を行い、誰が空き家を相続するのかを決める必要があります。
遺言書には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。特に、自宅などで保管されていた自筆証書遺言を発見した場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所で「検認」という手続きを受ける必要がありますので注意しましょう。
2.2 ステップ2 相続人を確定させる
次に、誰が法的な相続人になるのかを確定させる作業が必要です。相続人を確定するためには、被相続人の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)すべてを取得し、親族関係を遡って調査します。
これにより、ご自身が把握していなかった相続人が見つかるケースも少なくありません。戸籍を辿って法定相続人全員を正確に把握することが、後の遺産分割協議を有効に進め、トラブルを防ぐ鍵となります。
法律で定められた相続人(法定相続人)の範囲と順位は以下の通りです。配偶者は常に相続人となり、それ以外は下記順位の高い人が相続人となります。
法定相続人の範囲と順位 | ||
順位 | 法定相続人 | 備考 |
常に相続人 | 配偶者 | 法律上の婚姻関係にある配偶者。 |
第1順位 | 子・孫(代襲相続人) | 子が既に亡くなっている場合は、その子である孫が相続人になります。 |
第2順位 | 父母・祖父母(直系尊属) | 第1順位の相続人がいない場合に相続人になります。 |
第3順位 | 兄弟姉妹・甥姪(代襲相続人) | 第1順位、第2順位の相続人がいない場合に相続人になります。 |
2.3 ステップ3 空き家の名義人を確認する
最後に、相続の対象となる空き家の現在の名義人が誰になっているかを確認します。被相続人の単独名義だと思い込んでいても、実は配偶者との共有名義だったり、既に亡くなっている祖父母の名義のままだったりするケースがあります。
名義人の確認は、法務局で不動産の「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得することで正確に把握できます。また、毎年送られてくる固定資産税の「納税通知書」に同封されている「課税明細書」でも名義人を確認することが可能です。
登記上の名義人が誰になっているかによって、相続登記の対象範囲や、場合によっては必要となる手続きが変わってきます。例えば、祖父名義のままだった場合は、まず祖父から親への相続登記を行い、次に親からご自身への相続登記を行うといった、複数の手続きが必要になることもあります。
3. 【一覧表】空き家の相続登記の必要書類と取得場所

空き家の相続登記手続きは、ご自身で進めることも可能です。しかし、そのためには多くの書類を正確に集める必要があります。相続の状況によって必要な書類が異なるため、まずはご自身のケースに合わせて何が必要かを確認しましょう。ここでは、相続登記に必要な書類を一覧表で分かりやすく解説します。どこで何を取得すればよいのか、一つずつチェックしていきましょう。
3.1 必ず必要になる書類
どのような相続方法(遺産分割協議、遺言、法定相続)であっても、共通して必要となる基本的な書類です。まずはこれらの書類から準備を始めましょう。
3.1.1 被相続人(亡くなった方)に関する書類
被相続人の出生から死亡までの身分関係を証明するために必要です。特に「出生から死亡までの連続した戸籍謄本等」は、複数の役所から取り寄せる必要があり、収集に最も時間がかかることが多いため、早めに着手することをおすすめします。
書類名 | 取得場所 | 備考 |
出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 被相続人の本籍地があった市区町村役場 | 結婚や転籍などで本籍地が変わっている場合、それぞれの役所に請求する必要があります。 |
住民票の除票(または戸籍の附票) | 被相続人の最後の住所地があった市区町村役場 | 登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合に必要です。有効期限(5年)が切れている場合は、別途書類が必要になることがあります。 |
3.1.2 相続人全員に関する書類
次に、財産を相続する権利を持つ相続人全員について、現在の状況を証明する書類を集めます。
書類名 | 取得場所 | 備考 |
現在の戸籍謄本(戸籍抄本) | 各相続人の本籍地がある市区町村役場 | 被相続人の死亡日以降に発行されたものである必要があります。 |
住民票 | 各相続人の住所地がある市区町村役場 | 空き家を相続して新しく名義人になる方のみ必要です。マイナンバー(個人番号)の記載がないものを用意します。 |
印鑑証明書 | 各相続人の住所地がある市区町村役場 | 遺産分割協議で相続する場合に必要です。発行から3ヶ月以内などの有効期限はありません。 |
3.1.3 不動産に関する書類
対象となる空き家(不動産)の情報を正確に把握するための書類です。
書類名 | 取得場所 | 備考 |
固定資産評価証明書 | 不動産が所在する市区町村役場(都税事務所) | 登記申請する年度のものが必要です。登録免許税の計算に使用します。 |
登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 | 不動産の現在の権利関係を確認するために取得します。オンラインでの請求も可能です。 |
3.2 遺産分割協議で相続する場合の追加書類
相続人全員の話し合い(遺産分割協議)によって、誰がどの財産を相続するかを決めた場合に必要となる書類です。相続トラブルを防ぎ、手続きをスムーズに進めるために最も一般的な方法です。
書類名 | 作成・取得場所 | 備考 |
遺産分割協議書 | 相続人自身で作成(または司法書士などの専門家が作成) | 相続人全員が合意した内容を記載し、全員が実印で押印します。 |
相続人全員の印鑑証明書 | 各相続人の住所地がある市区町村役場 | 遺産分割協議書に押印した実印が本人のものであることを証明するために添付します。 |
3.3 遺言書で相続する場合の追加書類
被相続人が遺言書を残していた場合は、その内容に従って相続登記を行います。遺言書の種類によって手続きが少し異なります。
書類名 | 保管場所・手続き先 | 備考 |
遺言書 | 被相続人の自宅、信託銀行、公証役場、法務局など | 公正証書遺言か自筆証書遺言かを確認します。 |
検認済証明書(自筆証書遺言の場合) | 家庭裁判所 | 自筆証書遺言の場合、原則として家庭裁判所での「検認」手続きが必要です。ただし、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用している場合は不要です。 |
3.4 法定相続分で相続する場合の追加書類
遺言書がなく、遺産分割協議も行わない場合、民法で定められた相続分(法定相続分)の割合で相続人全員の共有名義として登記することができます。この場合、「必ず必要になる書類」以外に、特別に追加で必要となる書類はありません。
ただし、不動産を共有名義にすると、将来的に売却や活用をする際に共有者全員の同意が必要になるなど、手続きが複雑化するデメリットがあります。そのため、空き家の相続においては、できるだけ遺産分割協議を行い、代表者一人の名義にすることが推奨されます。
4. 相続登記の必要書類を集める具体的な手順と流れ

空き家の相続登記は、ただ書類を集めるだけではありません。正しい順序で手続きを進めることで、手戻りなくスムーズに申請までたどり着くことができます。ここでは、相続登記の準備から申請までを4つの具体的な手順に分けて、時系列で分かりやすく解説します。
4.1 手順1 戸籍謄本などを集めて相続人を確定
相続登記の第一歩は、誰が法的な相続人なのかを公的に証明することです。そのために、まずは被相続人(亡くなった方)に関する戸籍を集めます。
具体的には、被相続人の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本が必要です。これらは被相続人の本籍地があった市区町村役場で取得します。本籍地が何度も変わっている場合は、それぞれの役場に請求する必要があります。遠方の場合は郵送での請求も可能です。
同時に、相続人となる方全員の現在の戸籍謄本も取得します。これらの戸籍謄本一式を揃えることで、法的に相続権を持つ人が全員確定し、次のステップに進むことができます。
4.2 手順2 不動産の登記事項証明書などを取得
相続人を確定させたら、次に相続する空き家の正確な情報を確認します。登記申請書には、不動産の情報を登記記録の通りに正確に記載する必要があるためです。
主に必要となるのは以下の2つの書類です。
登記事項証明書(登記簿謄本)
不動産の所在地(地番・家屋番号)や現在の所有者、権利関係などが記載されています。最寄りの法務局の窓口や、オンラインで取得できます。
固定資産評価証明書
相続登記にかかる登録免許税を計算するために必要です。不動産の所在地を管轄する市区町村役場(東京23区の場合は都税事務所)で取得します。
これらの書類を取得することで、登記申請の対象となる不動産を特定し、税額計算の準備を整えます。
4.3 手順3 遺産分割協議書を作成
遺言書がなく、法定相続分とは異なる割合で財産を分けたい場合や、特定の相続人が空き家を単独で相続する場合には、相続人全員の合意内容を証明する「遺産分割協議書」を作成します。
遺産分割協議書には、手順2で取得した登記事項証明書を見ながら、誰がどの不動産を相続するのかを正確に記載します。そして、相続人全員が内容に合意した証として、各自が署名し、実印を押印します。この協議書とあわせて、相続人全員の印鑑証明書も必要となりますので、事前に準備しておきましょう。
4.4 手順4 法務局へ登記申請書と必要書類を提出
すべての書類が揃ったら、いよいよ最終ステップです。不動産の所在地を管轄する法務局へ登記申請を行います。管轄の法務局はどこでもよいわけではないため、事前に法務局のウェブサイトなどで確認しておきましょう。
まず、法務局のウェブサイトにある雛形や記載例を参考に「登記申請書」を作成します。そして、これまで集めてきた戸籍謄本一式、住民票、遺産分割協議書、印鑑証明書、固定資産評価証明書といったすべての必要書類を添付します。登録免許税額分の収入印紙を申請書に貼り付けることも忘れないでください。
提出方法は、法務局の窓口へ直接持参するほか、郵送やオンライン(登記・供託オンライン申請システム)でも可能です。書類に不備がなければ、1〜2週間ほどで登記が完了し、登記識別情報通知書が発行されます。
5. 空き家の相続登記にかかる費用の内訳

空き家の相続登記を進めるにあたり、どれくらいの費用がかかるのかは誰もが気になるところです。費用は大きく分けて、「登録免許税」「必要書類の取得費用」「専門家(司法書士)への報酬」の3つで構成されます。ここでは、それぞれの費用の内訳と目安について詳しく解説します。
5.1 登録免許税の計算方法
登録免許税とは、不動産の登記を申請する際に国に納める税金のことです。相続登記の場合、以下の計算式で算出されます。
登録免許税 = 不動産の固定資産税評価額 × 0.4%
例えば、空き家(土地・建物)の固定資産税評価額が合計で1,000万円の場合、登録免許税は「1,000万円 × 0.4% = 4万円」となります。固定資産税評価額は、毎年春頃に市区町村から送られてくる「固定資産税の納税通知書」に記載されている価格、または市区町村役場で「固定資産評価証明書」を取得することで確認できます。
なお、一定の条件を満たす土地の相続登記については、2025年3月31日まで登録免許税が免税となる特例措置があります。具体的には、相続した土地の価額(固定資産税評価額)が100万円以下である場合などが対象です。ただし、建物にはこの免税措置は適用されないため注意が必要です。
5.2 必要書類の取得費用
相続登記には、戸籍謄本や住民票など、さまざまな書類が必要です。これらの書類を取得する際には、それぞれ手数料がかかります。主な書類の取得費用と場所の目安は以下の通りです。
書類の種類 | 取得場所 | 手数料の目安(1通あたり) |
戸籍謄本 | 市区町村役場 | 450円 |
除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 市区町村役場 | 750円 |
住民票の写し | 市区町村役場 | 300円前後 |
印鑑証明書 | 市区町村役場 | 300円前後 |
固定資産評価証明書 | 市区町村役場(都税事務所) | 300円前後 |
登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 | 600円(窓口請求) |
これらの費用は、相続人の人数や被相続人の本籍地の移動回数などによって、取得する通数が変わるため、総額も変動します。特に、被相続人が何度も転籍している場合は、そのすべての役所で戸籍謄本(除籍謄本など)を取得する必要があり、費用と手間がかさむ傾向にあります。
5.3 司法書士に依頼する場合の報酬
相続登記の手続きを司法書士に依頼する場合、上記の実費に加えて司法書士への報酬が発生します。司法書士の報酬は事務所によって異なり、また、相続関係の複雑さや不動産の数によっても変動します。
一般的な空き家の相続登記であれば、報酬の相場は7万円~15万円程度と考えておくとよいでしょう。この報酬には、通常、登記申請書の作成代行、法務局への申請手続き代行、戸籍謄本などの必要書類の収集代行、遺産分割協議書の作成などが含まれます。
相続人が多い、不動産が複数の市区町村にまたがっているなど、手続きが複雑になる場合は報酬が高くなる可能性があります。依頼する際は、複数の司法書士事務所から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することをおすすめします。
6. 相続登記は自分でできる?専門家への依頼も検討しよう

空き家の相続登記は、法務局の窓口やオンラインで情報収集をすれば、ご自身で手続きを進めることも不可能ではありません。しかし、必要書類の収集や作成には専門的な知識が求められる場面も多く、時間と手間がかかるのが実情です。ここでは、ご自身で手続きする場合と、専門家である司法書士に依頼する場合のメリット・デメリットを比較し、どちらがご自身の状況に適しているか判断する材料を提供します。
6.1 自分で手続きするメリットとデメリット
ご自身で相続登記の手続きを行う最大のメリットは、専門家への報酬を節約できる点です。一方で、慣れない作業に多くの時間を費やしたり、書類の不備で手続きが滞ったりするリスクも考慮する必要があります。
項目 | メリット | デメリット |
費用 | 司法書士への報酬がかからず、費用を安く抑えられる。 | 交通費や郵送費など、やり取りが増えるほど実費がかさむ可能性がある。 |
時間・手間 | 相続や不動産登記に関する知識が身につく。 | 必要書類の収集や作成、法務局とのやり取りに多くの時間がかかる。平日に休みを取って役所や法務局へ行く必要がある。 |
正確性・確実性 | ー | 書類の不備や記載ミスが発生しやすく、何度も補正(修正)のために法務局へ足を運ぶことになる可能性がある。 |
対応範囲 | ー | 相続関係が複雑な場合(相続人が多い、疎遠な相続人がいるなど)や、不動産が複数ある場合は手続きが非常に困難になる。 |
6.2 司法書士に依頼するメリットとデメリット
司法書士は不動産登記の専門家です。依頼すれば、煩雑な手続きの大部分を代行してもらえ、スムーズかつ確実に相続登記を完了させることができます。特に、お仕事で忙しい方や、手続きに不安がある方にとっては心強い存在です。
項目 | メリット | デメリット |
費用 | ー | 登録免許税などの実費に加えて、司法書士への報酬(手数料)が発生する。 |
時間・手間 | 戸籍謄本の収集から登記申請まで一括で任せられ、時間と手間を大幅に削減できる。平日に役所へ行く必要がない。 | 司法書士との打ち合わせの時間は必要になる。 |
正確性・確実性 | 専門家が正確な書類を作成・申請するため、ミスなくスムーズに手続きが完了する。法的なアドバイスも受けられる。 | ー |
対応範囲 | 遺産分割協議書の作成や、複雑な相続関係の整理など、関連する手続きもまとめて相談・依頼できる。 | ー |
相続人が少なく関係性も良好で、平日に時間が確保できる場合はご自身での手続きも選択肢の一つです。しかし、少しでも不安がある、時間をかけたくない、相続関係が複雑といった場合は、司法書士への依頼を積極的に検討することをおすすめします。
7. まとめ
2024年4月1日から相続登記が義務化され、空き家を相続した際の手続きは、すべての方にとって避けては通れない重要な課題となりました。この記事では、空き家の相続登記に必要な書類は何か、どこで取得すればよいのかを一覧表も交えて具体的に解説しました。
相続登記の必要書類は、遺言書の有無や遺産の分割方法によって異なり、非常に多岐にわたります。手続きをスムーズに進めるためには、まず「遺言書の確認」「相続人の確定」「不動産の名義人確認」という事前準備を確実に行うことが重要です。その上で、市区町村役場や法務局など、適切な場所で計画的に書類を収集していく必要があります。
ご自身で手続きを行うことも可能ですが、戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成など、専門的な知識が必要な場面も少なくありません。そのため、手続きの複雑さや時間的な負担を考慮すると、司法書士などの専門家への依頼も有力な選択肢となります。専門家に依頼することで、書類の不備なく、正確かつ迅速に登記を完了させられるという大きなメリットがあります。
相続登記は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内」に申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。この記事を参考に、ご自身の状況に合わせた必要書類を把握し、期限内に確実に手続きを完了させましょう。

コメント