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空き家の解体費用は補助金を使わないと大損!国土交通省の制度をプロが徹底ガイド

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 9月3日
  • 読了時間: 20分
空き家 解体 費用

空き家の解体費用、相場がわからず高額にならないか不安ではありませんか。実は、国や自治体の補助金制度を活用すれば、費用を大幅に抑えることが可能です。この記事では、木造・鉄骨といった構造別の費用相場から、国土交通省の補助金制度の条件や申請方法、費用を安くする具体的なコツ、信頼できる業者の見積もり比較ポイントまで網羅的に解説します。あなたが損をせず、賢く空き家を解体するための全知識がわかります。


1. まずは結論 空き家の解体費用は補助金を使えば大幅に安くなる

「親から相続した実家が空き家になっている」「管理が大変なので解体したいけど、費用が高そうで踏み切れない」そんなお悩みを抱えていませんか?実は、その解体費用、国や自治体の補助金制度を使わないと数十万円、場合によっては100万円以上も損をしてしまう可能性があります。

放置された空き家は、倒壊の危険性や景観の悪化、不法投棄などの問題を引き起こすため、国や多くの自治体が解体を推進しています。その一環として、解体費用の一部を補助する制度が用意されているのです。この記事では、まず結論として、補助金がいかに重要か、そしてどれだけ費用を抑えられるのかを具体的に解説します。


1.1 知らないと損!空き家解体で補助金が使える理由

なぜ、空き家の解体に補助金が出るのでしょうか。それは、年々増加する空き家が社会問題となっているからです。適切に管理されていない「特定空家等」に指定されると、固定資産税の優遇措置が解除され、税金が最大6倍になることも。さらに、行政から解体を命じられ、従わない場合は強制的に解体され、その費用を請求されるケースもあります。

こうした事態を避けるため、国(国土交通省)や各自治体は、所有者が自主的に空き家を解体・撤去するのを後押しするために、費用の一部を助成する制度を設けているのです。この制度を賢く利用することが、解体費用を抑える最大のポイントです。


1.2 補助金で解体費用はいくら安くなる?シミュレーション例

補助金を利用すると、具体的にどのくらい費用負担が軽くなるのでしょうか。一般的な木造住宅(30坪)の解体を例に、補助金がある場合とない場合を比較してみましょう。

※補助金の金額や補助率は自治体によって異なります。ここでは一般的な例(補助率1/2、上限50万円)で計算します。

項目

補助金がない場合

補助金がある場合

解体費用の相場(木造30坪)

約120万円

約120万円

補助金額

0円

50万円(費用の1/2、上限適用)

自己負担額

120万円

70万円

このシミュレーションのように、補助金制度を利用するだけで自己負担額が50万円も安くなることがわかります。これだけの差があれば、解体後の土地活用の資金に回すことも可能です。補助金の存在を知らずに解体工事を進めてしまうのは、非常にもったいないことなのです。

この記事では、この後、具体的な解体費用の相場や、国・自治体の補助金制度の詳細、申請方法、さらには補助金以外で費用を安く抑えるコツまで、プロの視点から徹底的に解説していきます。


2. 【構造別】空き家の解体費用の相場はいくら?坪単価で解説

空き家 解体 費用

空き家の解体費用を把握する上で最も重要な要素が、建物の「構造」です。構造によって使用される建材や解体の手間が大きく異なるため、費用も変動します。ここでは、代表的な「木造」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」の3つの構造別に、1坪あたりの解体費用の相場(坪単価)を詳しく解説します。

ただし、ここで示す坪単価はあくまで目安です。実際の費用は、後述するアスベストの有無、立地条件、残置物の量などによって変動するため、必ず複数の解体業者から見積もりを取得して比較検討しましょう。


2.1 木造住宅の解体費用

日本の戸建て住宅で最も一般的なのが木造住宅です。他の構造に比べて解体が比較的容易で、建材もリサイクルしやすいため、解体費用は最も安価になる傾向があります。



木造住宅の解体費用相場

坪単価

30坪の場合

40坪の場合

3万円~5万円

90万円~150万円

120万円~200万円

木造の解体は、手作業と重機を併用して進められます。廃材となる木材は、チップなどに再利用されることが多く、コンクリートなどに比べて処分費用が安いことが、全体のコストを抑える要因となっています。


2.2 鉄骨造(S造)住宅の解体費用

鉄骨造は、柱や梁に鉄骨を使用した頑丈な構造です。使用される鉄骨の厚みによって「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に分かれ、解体費用も異なります。一般的に、アパートや小規模な店舗で使われる軽量鉄骨造よりも、ビルや工場で使われる重量鉄骨造の方が解体費用は高くなります。




鉄骨造(S造)住宅の解体費用相場

構造

坪単価

30坪の場合

40坪の場合

軽量鉄骨造

4万円~6万円

120万円~180万円

160万円~240万円

重量鉄骨造

6万円~8万円

180万円~240万円

240万円~320万円

鉄骨の切断にはガス溶断などの特殊な技術が必要となり、木造に比べて手間と時間がかかります。また、廃材となる鉄骨の処分費用も木材より高いため、坪単価が上昇します。


2.3 鉄筋コンクリート造(RC造)住宅の解体費用

鉄筋コンクリート造(RC造)は、鉄筋の型枠にコンクリートを流し込んで作る、最も頑丈な構造です。主にマンションやビルに採用されますが、一部の戸建て住宅でも見られます。その堅牢さから解体には大型の重機や特殊な工法が必要となり、解体費用は3つの構造の中で最も高額になります。



鉄筋コンクリート造(RC造)住宅の解体費用相場

坪単価

30坪の場合

40坪の場合

6万円~10万円

180万円~300万円

240万円~400万円

解体時には、騒音や振動、粉塵が大きく発生するため、防音・防塵シートなどによる徹底した養生が不可欠です。また、大量に発生するコンクリートガラの処分費用も高額になるため、全体の費用を押し上げる大きな要因となります。


3. 解体費用だけじゃない 知っておくべき費用の内訳と追加費用

空き家 解体 費用

空き家の解体にかかる費用は、建物を壊す「本体工事費」だけではありません。見積もりを見たときに「思ったより高い」と感じることがないよう、総額に含まれる費用の内訳と、状況によって発生する追加費用について正しく理解しておくことが重要です。


3.1 本体工事費以外の主な内訳

解体費用の見積書は、主に「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」の3つで構成されています。特に見落としがちな付帯工事費と諸経費には、以下のような項目が含まれます。

分類

主な費用項目

内容の例

付帯工事費

残置物撤去費用

家の中に残された家具・家電・不用品の処分費用

(外構など)

ブロック塀・フェンス撤去費用

敷地を囲む塀やフェンスの解体・処分費用

庭木・庭石撤去費用

庭にある樹木や石の伐採・撤去・処分費用


カーポート・物置撤去費用

駐車場や庭に設置されたカーポートや物置の解体・処分費用


浄化槽・便槽撤去費用

地中に埋設された浄化槽や便槽の撤去・処分費用


諸経費

官公庁への届出費用

建設リサイクル法に基づく届出などの書類作成・申請代行費用

近隣対策費用

工事前の近隣への挨拶や、工事中の騒音・振動対策にかかる費用


現場管理費用

交通誘導員の配置や、現場の安全管理にかかる人件費など


これらの費用は、空き家の状況によって必要な項目が異なります。見積もりを取る際は、どこまでの工事が含まれているのかを必ず確認しましょう。


3.2 空き家の解体費用が高くなるケースとは

同じ坪数の空き家でも、解体費用が相場より高くなることがあります。その主な原因は、建物の状態や立地条件にあります。ここでは、費用が上乗せされる代表的な3つのケースを解説します。ご自身の空き家が該当しないか、事前にチェックしておきましょう。


3.2.1 アスベストの有無

2006年以前に建てられた建物には、アスベスト(石綿)が使用されている可能性があります。アスベスト含有建材の解体・除去作業は、飛散防止のために専門的な知識と技術が必要となり、法律で厳しく規制されています。

そのため、アスベストの事前調査が義務付けられており、もし含有が確認された場合は、通常の解体費用とは別に高額な除去費用が発生します。建物の築年数が古い場合は、特に注意が必要です。


3.2.2 残置物の量

家の中に家具や家電、衣類などの「残置物」が多く残っている場合、その処分費用が追加でかかります。解体業者は産業廃棄物の処理許可しか持っていないことが多く、家庭ごみである残置物(一般廃棄物)を処分するには、別途許可を持つ業者に委託する必要があります。

残置物の量が多いほど処分費用は高額になるため、可能な範囲で事前に自分で片付けておくと、費用を節約できます。ただし、大型家具の運び出しなどは危険も伴うため、無理せず業者に相談することも検討しましょう。


3.2.3 立地条件と重機の利用

解体工事の費用は、重機を効率的に使えるかどうかで大きく変わります。例えば、以下のようなケースでは費用が高くなる傾向にあります。

  • 前面道路が狭い: 重機や廃材を運ぶトラックが現場に入れず、小型車両で何度も往復する必要があるため、運搬費用がかさみます。

  • 住宅密集地にある: 騒音や粉塵への対策がより一層必要となり、養生シートなどの費用や人件費が増加します。

  • 重機が使えない: 重機が入れない敷地では、手作業での解体(手壊し)が中心となり、工期が長くなる分、人件費が大幅にアップします。

特に手壊し解体になると、坪単価が通常の1.5倍から2倍近くになることも珍しくありません。事前に現地の状況を業者にしっかり確認してもらうことが不可欠です。


4. 【本題】国土交通省の空き家解体補助金制度を徹底解説

空き家 解体 費用

空き家の解体費用を抑える上で最も重要なのが、国や自治体が提供する補助金制度の活用です。ここでは、その根幹となる国土交通省の「空き家対策総合支援事業」について、仕組みから申請方法まで詳しく解説します。


4.1 空き家対策総合支援事業とは?

「空き家対策総合支援事業」とは、国土交通省が主体となり、管理不全な空き家の解体や活用を促進するために、地方公共団体(市町村など)の取り組みを支援する制度です。この事業の大きな特徴は、国が直接個人に補助金を交付するのではなく、自治体が行う補助金事業に対して国が費用の一部を補助するという点です。つまり、私たちが実際に申請するのは、この国の支援を受けた各自治体の窓口となります。

この制度の目的は、倒壊の危険性がある、衛生上有害である、景観を損なっているといった「特定空家等」を減らし、安全で安心なまちづくりを進めることにあります。そのため、多くの自治体では、この国の事業を活用して独自の解体費用補助制度を設けています。


4.2 補助金を受け取るための条件と対象者

補助金を受け取るためには、お住まいの自治体が定める条件をすべて満たす必要があります。国の制度を基にしているため共通する部分も多いですが、詳細は自治体ごとに異なります。ここでは、一般的に定められている主な条件を解説します。

項目

主な条件の内容

対象となる空き家

  • 自治体による現地調査の結果、「特定空家等」または「管理不全空家」に認定されている、もしくはその恐れがあると判断された建物。

  • 旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)で建築された木造住宅など、耐震性に問題があるとされる建物。

  • 1年以上使用されていないなど、空き家としての定義を満たしていること。

対象者(申請者)

  • 対象となる空き家の所有者(登記事項証明書で確認)またはその相続人。

  • 市町村税などの税金を滞納していないこと。

  • 暴力団員等ではないこと。

対象となる工事

  • 自治体に登録されている解体業者が行う解体工事であること。

  • 補助金の交付決定通知を受けた後に契約・着手する工事であること。(事前着工は原則として対象外です)

  • 他の同様の補助金を受けていないこと。

これらの条件はあくまで一例です。補助率(解体費用の何割を補助するか)や上限額も自治体によって大きく異なるため、解体を検討し始めたら、まずはお住まいの自治体の担当窓口(建築指導課、都市計画課など)に相談することが不可欠です。


4.3 申請から受給までの流れと必要書類

補助金の申請から受け取りまでのプロセスは、一般的に以下の流れで進みます。手続きには時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

  1. 事前相談・申請


    まずは自治体の担当窓口に相談し、対象となるかを確認します。対象となる場合、申請書と必要書類を提出します。

  2. 現地調査・審査


    自治体の職員が空き家の状況を現地で確認し、提出された書類と共に審査が行われます。

  3. 交付決定通知


    審査に通ると、自治体から「補助金交付決定通知書」が届きます。この通知を受け取る前に解体業者と契約したり、工事を始めたりしないよう注意してください。

  4. 解体工事の契約・実施


    交付決定後、解体業者と正式に契約し、工事を開始します。

  5. 完了実績報告


    工事が完了したら、契約書や領収書の写し、工事写真などを添えて「完了実績報告書」を自治体に提出します。

  6. 補助金額の確定・請求


    報告書を基に補助金額が最終的に確定され、自治体から「額の確定通知書」が届きます。その後、請求書を提出します。

  7. 補助金の受給


    指定した口座に補助金が振り込まれます。多くの場合、補助金は後払いとなるため、一時的に解体費用全額を立て替える必要があります。

申請時に必要となる主な書類は以下の通りです。自治体によって追加の書類が必要になる場合があるため、必ず事前に確認しましょう。

  • 補助金交付申請書(自治体の様式)

  • 事業計画書

  • 解体工事の見積書の写し

  • 建物の登記事項証明書(登記簿謄本)

  • 固定資産税納税証明書など、税金の滞納がないことを証明する書類

  • 申請者の住民票

  • 空き家の現況写真

  • 位置図・案内図


5. あなたの街でも使える!自治体独自の空き家解体費用補助金制度

空き家 解体 費用

前章で解説した国土交通省の「空き家対策総合支援事業」とは別に、各市区町村が独自に空き家の解体費用に対する補助金・助成金制度を設けています。これらの制度は、国の制度と併用できる場合や、より利用しやすい条件が設定されていることも少なくありません。お住まいの地域にどのような制度があるかを知ることは、解体費用を抑える上で非常に重要です。

自治体独自の制度は、その地域の空き家問題の実情に合わせて設計されており、倒壊の危険性が高い「特定空家等」の解体を促進することを目的としているケースが多く見られます。


5.1 お住まいの自治体の補助金制度の探し方

ご自身の空き家が所在する市区町村の補助金制度を調べるには、以下の方法が有効です。制度は年度ごとに更新されたり、予算の上限に達し次第受付を終了したりすることが多いため、必ず最新の情報を確認しましょう。

  • 公式サイトで検索する: 「〇〇市 空き家 解体 補助金」「〇〇町 助成金 老朽住宅」といったキーワードで検索するのが最も手軽で確実です。

  • 担当窓口に問い合わせる: 自治体のウェブサイトで情報が見つからない場合や、詳細を確認したい場合は、担当部署に直接電話で問い合わせましょう。「建築指導課」「都市計画課」「住宅政策課」といった部署が担当していることが一般的です。

問い合わせの際は、空き家の所在地、構造、現在の状況などを伝えると、スムーズに案内してもらえます。解体工事の契約前に申請が必要なケースがほとんどですので、計画の早い段階で確認することが成功のカギとなります。


5.2 【具体例】東京都・大阪府・名古屋市の補助金制度

ここでは、主要都市の補助金制度をいくつか例としてご紹介します。ただし、下記はあくまで一例であり、対象となる建物の条件や補助金額、申請期間は年度によって変動します。実際に利用を検討する際は、必ずお住まいの自治体の公式発表をご確認ください。




主要都市の空き家解体補助金制度(一例)

自治体名

制度名称(例)

補助金額の上限(例)

主な対象条件(例)

東京都大田区

老朽建築物等の除却工事助成

最大100万円

区の測定で不良住宅と判定された木造建築物など。

大阪府大阪市

老朽木造住宅の除却補助制度

最大50万円

昭和25年以前に建築された木造住宅で、空き家であることなど。

愛知県名古屋市

木造住宅解体工事費補助

最大40万円

昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅で、市の耐震診断で判定値が1.0未満であることなど。

このように、自治体によって制度の名称や対象となる建物の条件(建築年、構造、危険度など)、補助される金額は大きく異なります。東京都23区内でも、各区がそれぞれ独自の制度を設けているため、空き家のある区の情報をピンポイントで調べることが重要です。まずは第一歩として、お住まいの自治体のウェブサイトを確認することから始めましょう。


6. 補助金以外で空き家の解体費用を安く抑える5つの方法

空き家 解体 費用

国や自治体の補助金制度は非常に魅力的ですが、条件に合わなかったり、申請期間を逃してしまったりすることもあります。しかし、諦める必要はありません。ここでは、補助金に頼らずとも解体費用を賢く節約するための具体的な5つの方法をご紹介します。


6.1 1. 複数の業者から相見積もりを取る

解体費用を抑えるための最も基本的かつ効果的な方法が、複数の解体業者から見積もり(相見積もり)を取ることです。解体費用には定価がなく、業者によって金額が大きく異なるため、1社だけの見積もりで決めると高値掴みをしてしまう可能性があります。最低でも3社以上から見積もりを取り、工事内容と金額をしっかり比較検討しましょう。単に安いだけでなく、対応の丁寧さや実績も考慮して、信頼できる業者を選ぶことが重要です。相見積もりを取ることで、地域の費用相場を把握できるというメリットもあります。


6.2 2. 家財道具などの残置物を自分で処分する

家の中に残された家具や家電、衣類などの「残置物」の処分を解体業者に依頼すると、「産業廃棄物」として扱われるため、処分費用が割高になります。費用を抑えるためには、解体工事が始まる前に、自分でこれらを処分しておくことを強くおすすめします。まだ使えるものはリサイクルショップやフリマアプリで売却したり、知人に譲ったりすることで、処分費用を節約するどころか収入になる可能性もあります。




残置物の処分方法と費用の比較

処分方法

費用の目安

メリット

デメリット

自分で処分

無料~数万円

費用を大幅に削減できる。売却できれば収入になる。

手間と時間がかかる。分別や搬出が大変。

解体業者に依頼

数万円~数十万円

手間がかからず、一度にすべて処分できる。

産業廃棄物扱いとなり、費用が高額になる。

6.3 3. 庭木やブロック塀などを自分で撤去する

建物本体以外の撤去作業、いわゆる「付帯工事」も費用の総額に影響します。もしご自身で対応可能であれば、庭木の伐採や抜根、小さな物置の解体、ブロック塀の撤去などを事前に行うことで、その分の費用を削減できます。ただし、専門的な工具が必要な作業や、隣家との境界にあるブロック塀の撤去などは、安全面やトラブル防止の観点から無理をせず、プロの業者に任せるようにしましょう。どこまで自分で対応できるか、見積もりの段階で業者に相談してみるのがおすすめです。


6.4 4. 解体工事の時期を調整する

解体業界にも繁忙期と閑散期があります。一般的に、公共工事が増える年度末(12月~3月)や、天候が安定している秋口(9月~11月)は繁忙期にあたり、業者のスケジュールが埋まりやすく、費用も高くなる傾向があります。一方で、梅雨の時期(6月~7月)や真夏(8月)は閑散期となり、価格交渉に応じてもらいやすくなる可能性があります。工事の時期を急がないのであれば、業者の閑散期を狙って依頼することで、費用を抑えられるかもしれません。


6.5 5. 建物滅失登記を自分で行う

建物を解体した後には、1ヶ月以内に法務局へ「建物滅失登記」を申請する義務があります。この手続きは土地家屋調査士に依頼するのが一般的ですが、その場合4~5万円程度の代行費用がかかります。しかし、この滅失登記は、必要書類を揃えれば自分で行うことが可能です。自分で申請すれば、土地家屋調査士への依頼費用はかからず、登記事項証明書の取得費用など数千円の実費で済みます。手続きは管轄の法務局で行いますので、時間と手間を惜しまなければ数万円の節約につながる有効な方法です。


7. 失敗しない解体業者の選び方と見積もりのチェックポイント

空き家 解体 費用

空き家の解体は、補助金を使っても決して安い買い物ではありません。だからこそ、信頼できる業者に依頼し、適正な価格で工事を行うことが重要です。ここでは、悪徳業者に騙されず、安心して解体を任せられる業者選びのコツと、見積書のチェックポイントをプロの視点から解説します。


7.1 信頼できる業者を見つける3つのコツ

優良な解体業者を見つけるためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。以下の3つのコツを実践し、後悔のない業者選びをしましょう。


7.1.1 1. 解体工事に必要な許可・登録を確認する

解体工事を行う業者は、法律に基づき都道府県知事の許可や登録が必要です。無許可・無登録の業者は違法であり、不法投棄や高額請求などのトラブルに巻き込まれる危険性が非常に高いため、必ず最初に確認しましょう。

  • 建設業許可(解体工事業):解体工事の請負金額が500万円(税込)以上の場合に必要です。

  • 解体工事業登録:解体工事の請負金額が500万円(税込)未満の場合に必要です。

業者のホームページや見積書に許可番号・登録番号が記載されているかを確認し、不明な場合は直接問い合わせてください。


7.1.2 2. 必ず3社以上から相見積もりを取る

解体費用は業者によって大きく異なります。1社だけの見積もりで決めると、その金額が適正価格なのか判断できません。必ず3社以上の業者から見積もり(相見積もり)を取り、工事内容と金額を比較検討しましょう。

相見積もりを取ることで、費用の相場感がわかるだけでなく、各社の対応や提案力を比較することもできます。ただし、極端に安い見積もりを提示する業者には注意が必要です。必要な工程を省いたり、後から高額な追加費用を請求されたりするケースがあります。


7.1.3 3. 実績と保険加入の有無を確認する

業者の信頼性を判断するために、過去の解体実績を確認しましょう。特に、ご自身の空き家と同じような構造(木造、鉄骨造など)や立地条件での施工実績が豊富であれば、安心して任せやすくなります。

また、万が一の事故に備え、損害賠償責任保険に加入しているかどうかも重要なチェックポイントです。工事中に隣家を傷つけたり、通行人に怪我をさせたりした場合、保険に未加入だと大きなトラブルに発展する可能性があります。保険証券のコピーを見せてもらうなどして、必ず確認してください。


7.2 見積書で必ず確認すべき項目

複数の業者から見積書を取り寄せても、内容を正しく理解できなければ比較できません。以下の項目が明確に記載されているか、一つひとつ丁寧に確認しましょう。「一式」という表記が多く、詳細が不明瞭な見積書は要注意です。

チェック項目

確認すべきポイント

工事内容の範囲

建物本体の解体だけでなく、基礎、ブロック塀、カーポート、庭木、庭石などの撤去がどこまで含まれるかを確認します。「付帯工事」として別途記載されている場合もあります。

廃棄物処理費用

「産業廃棄物処分費」として、木くず、コンクリートがら、鉄くずなど、廃棄物の種類ごとに数量と単価が明記されているかを確認します。適正な処分が行われるか(マニフェスト発行の有無)も重要です。

残置物撤去費用

家の中に残っている家具や家電などの「残置物」の処分費用が含まれているかを確認します。含まれていない場合、自分で処分するか、別途費用を支払う必要があります。

諸経費の内訳

書類作成費、近隣への挨拶費用、道路使用許可の申請費用などが含まれます。何に対する費用なのか内訳が記載されているかチェックしましょう。

追加費用の可能性

工事開始後に地中からコンクリートガラや浄化槽などの「地中埋設物」が発見された場合の対応と、その際の追加費用の有無や算定基準が明記されているかを確認します。ここが曖昧だとトラブルの原因になります。

見積もりの有効期限

見積書に記載された金額がいつまで有効なのかを確認します。期限が切れると、再見積もりが必要になる場合があります。

8. まとめ

空き家の解体費用は構造や立地で変動しますが、最も重要なのは国や自治体の補助金制度を最大限活用することです。補助金を使わなければ数十万円以上損をする可能性も。国土交通省の制度のほか、お住まいの自治体独自の支援も必ず確認しましょう。費用を賢く抑えるには、補助金の活用と並行して、複数の信頼できる業者から相見積もりを取ることが不可欠です。まずは自治体の窓口や専門業者へ相談し、最適な計画を立てましょう。

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