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解体工事の見積もりで100万円損しない!相見積もりの正しい取り方と業者選び

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 7 日前
  • 読了時間: 24分
解体工事 見積もり

解体工事の見積もりは、業者によって100万円以上の差が出ることも珍しくありません。知識がないまま依頼すると、高額な追加費用を請求されるなど大きな損をする危険があります。本記事では、解体費用の相場から見積書の見方、悪徳業者を見抜くポイントまで、初心者が失敗しないための全知識を解説します。適正価格で工事を依頼するカギは「正しい相見積もり」です。その具体的な方法と優良業者の選び方が分かります。


1. 解体工事の見積もりを取る前に知っておくべき3つの基礎知識

解体工事の見積もりを依頼する前に、基本的な知識を身につけておくことは非常に重要です。知識があれば、業者が提示する見積書の内容を正しく理解し、適正な価格かどうかを判断できます。ここでは、後悔しない業者選びの第一歩として、最低限知っておきたい3つの基礎知識を分かりやすく解説します。


1.1 そもそも解体工事の見積もりとは?なぜ重要なのか

解体工事の見積もりとは、工事にかかる費用の詳細な内訳や作業内容、工期などを記載した書類のことです。単に金額を知るためだけでなく、適正な価格で信頼できる業者を選ぶための最も重要な判断材料となります。

見積もりが重要な理由は主に3つあります。

  1. 費用の透明化:「何に」「いくら」かかるのかが明確になり、不当に高額な請求を防ぎます。

  2. 業者比較の基準:複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行うことで、各社の費用やサービス内容を客観的に比較できます。

  3. トラブルの防止:工事範囲や追加費用の条件などを書面で確認することで、「言った・言わない」といった後のトラブルを未然に防ぐ契約の土台となります。

安易に1社だけで決めず、必ず複数の見積もりを比較検討することが、解体工事で損をしないための鉄則です。


1.2 解体工事の費用相場はいくら?構造別の坪単価を解説

解体工事の費用は、建物の「構造」「大きさ(坪数)」「立地条件」など、様々な要因で変動します。まずは、最も基本的な指標である「構造別の坪単価」を把握しておきましょう。ただし、これはあくまで目安であり、重機が入れない狭い場所や、アスベストの有無などによって金額は大きく変わる可能性があります。



建物の構造別・解体費用の坪単価相場

建物の構造

坪単価の目安

特徴

木造(W造)

30,000円~50,000円/坪

日本の戸建て住宅で最も一般的。比較的解体しやすく、費用も安価な傾向にある。

鉄骨造(S造)

40,000円~70,000円/坪

柱や梁に鉄骨を使用。木造より頑丈なため解体に手間がかかり、費用も高くなる。

鉄筋コンクリート造(RC造)

60,000円~80,000円/坪

鉄筋とコンクリートで造られた非常に強固な構造。解体に大型重機が必要で、工期も長く費用は最も高額になる。

1.2.1 木造住宅の解体費用相場

日本の一般的な戸建て住宅に多い木造は、他の構造に比べて解体が比較的容易です。そのため、坪単価は3万円〜5万円程度が相場となります。ただし、手壊し作業が多くなる密集地などでは、人件費がかさみ費用が上がることもあります。


1.2.2 鉄骨造(S造)住宅の解体費用相場

アパートや倉庫、軽量鉄骨の住宅などで見られる鉄骨造は、木造よりも頑丈なため解体費用が高くなります。坪単価は4万円〜7万円程度が目安です。太い鋼材が使われている重量鉄骨造の場合は、さらに費用が高くなる傾向があります。


1.2.3 鉄筋コンクリート造(RC造)住宅の解体費用相場

マンションやビルに多い鉄筋コンクリート造は、最も頑丈で解体が困難です。専用の重機やアタッチメントが必要となり、騒音や振動も大きくなるため、坪単価は6万円〜8万円程度と最も高額になります。工期も長くなるのが特徴です。


1.3 解体工事の見積もりに含まれる費用の内訳

解体費用の総額は、主に「仮設工事費」「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」の4つで構成されています。見積書の内訳を理解することで、どの項目にどれくらいの費用がかかっているのかを把握できます。


1.3.1 仮設工事費(足場・養生シートなど)

工事を安全かつ効率的に行うための準備にかかる費用です。具体的には、作業員の足場設置、騒音や粉塵の飛散を防ぐための養生シートの設置、仮設トイレや仮設電気・水道の設置費用などが含まれます。


1.3.2 本体工事費(建物の取り壊し費用)

建物そのものを取り壊すための費用で、解体費用の中心となる項目です。重機(ショベルカーなど)の使用料や、作業員の人件費がこれにあたります。建物の構造や規模によって大きく変動します。


1.3.3 付帯工事費(外構・地中埋設物の撤去費用)

建物本体以外で、敷地内にあるものを撤去するための費用です。例えば、ブロック塀、カーポート、庭木・庭石、物置、浄化槽などが該当します。見積もり時に撤去範囲を明確に伝えないと、後から高額な追加費用が発生する原因になるため注意が必要です。


1.3.4 諸経費(廃棄物運搬処理費・官公庁への届出費用など)

工事そのもの以外で必要となる費用をまとめた項目です。主なものに、解体で発生した木材やコンクリートガラなどの産業廃棄物を処理場まで運搬・処分する費用(廃棄物処理費)や、建設リサイクル法に基づく官公庁への届出代行費用、アスベスト調査費用などがあります。


2. 【実践編】解体工事の見積もり依頼から契約までの5ステップ

解体工事 見積もり

解体工事の見積もりは、正しい手順を踏むことでスムーズに進み、トラブルを未然に防ぐことができます。ここでは、具体的な流れを5つのステップに分けて、初心者の方にも分かりやすく解説します。


2.1 ステップ1 事前準備と解体範囲の確認

解体業者に見積もりを依頼する前に、まずはご自身の状況を整理し、必要な準備を整えましょう。事前の準備が、正確な見積もりとスムーズな業者選びの第一歩となります。

最初に、解体工事の対象範囲を明確に決めておくことが重要です。建物本体以外にも、庭木やブロック塀、カーポート、物置など、どこまでを解体・撤去してほしいのかをリストアップしておきましょう。解体範囲が曖昧だと、業者によって見積もりの前提条件が異なり、正確な比較ができなくなってしまいます。

また、以下の書類を手元に準備しておくと、業者とのやり取りがスムーズになります。

  • 建物の図面(配置図・平面図・立面図など):建物の構造や面積、隣地との距離を把握するために必要です。

  • 登記事項証明書(登記簿謄本):建物の所有者や所在地、床面積などを正確に確認できます。法務局で取得可能です。

  • アスベスト調査報告書:過去に調査を実施している場合に必要です。2006年9月1日以前に着工した建物は、アスベスト含有の可能性があるため特に重要です。

これらの情報をもとに、解体したい範囲と建物の状況を正確に業者へ伝えられるように準備しましょう。


2.2 ステップ2 解体業者を探して見積もりを依頼する

準備が整ったら、次はいよいよ解体業者を探し、見積もりを依頼します。このとき、必ず複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行うようにしてください。1社だけの見積もりでは、その金額が適正かどうかを判断できません。

業者を探す方法には、インターネットの一括見積もりサイトを利用する方法や、個別に検索する方法、知人から紹介してもらう方法などがあります。まずは3社程度に候補を絞り、ステップ1で準備した情報をもとに見積もりを依頼しましょう。電話やウェブサイトの問い合わせフォームから連絡を取るのが一般的です。その際、現地調査の日程調整も行います。


2.3 ステップ3 業者の現地調査に立ち会う

見積もり依頼後、業者が現地を訪れて建物の状況や周辺環境を確認する「現地調査」が行われます。正確な見積もりを出してもらうために、現地調査には必ず立ち会うようにしましょう。立ち会うことで、業者に直接こちらの要望を伝えられるだけでなく、担当者の人柄や専門知識、対応の丁寧さなどを確認する絶好の機会にもなります。

現地調査では、主に以下の点が確認されます。立ち会い時には、これらの情報について業者としっかり共有しましょう。


現地調査での主な確認項目

確認項目

確認する理由と施主が伝えるべきこと

建物の構造と規模

木造、鉄骨造などの構造や延床面積から、必要な重機や作業工程を判断するため。

内装材・屋根材

アスベスト含有の可能性がある建材が使われていないかを目視で確認するため。

室内の残置物

家具や家電などの残置物の量を確認し、処分費用を見積もるため。撤去してほしいものを具体的に伝える。

敷地と道路の状況

重機やトラックが進入できるか、道路の幅は十分かを確認するため。前面道路が狭い場合は費用が割高になる可能性がある。

隣地との距離・周辺環境

足場や養生の設置スペース、近隣への影響(騒音・振動・粉塵)を考慮するため。

付帯工事の対象

ステップ1で決めた解体範囲(ブロック塀、庭木、物置など)を現地で指し示し、撤去対象を明確に伝える。

地中埋設物の可能性

浄化槽や井戸、以前の建物の基礎など、地中に埋まっている可能性のあるものを伝える。

不明点や不安なことがあれば、この機会に遠慮なく質問し、疑問を解消しておきましょう。


2.4 ステップ4 見積書を受け取り内容を比較検討する

現地調査後、通常1週間から10日ほどで見積書が提出されます。複数の業者から見積書が揃ったら、内容を詳細に比較検討します。ここで重要なのは、総額の安さだけで業者を決めないことです。見積書は、工事内容の信頼性を判断するための重要な資料です。

以下のポイントに注目して、各社の見積書をじっくり比較しましょう。

  • 工事範囲の明記:依頼した解体範囲(建物本体、外構、残置物など)がすべて含まれているか確認します。

  • 費用の内訳:単に「解体工事一式」と記載されているのではなく、「仮設工事費」「本体工事費」「廃棄物運搬処理費」など、項目ごとに単価や数量が具体的に記載されているかを確認します。

  • 廃棄物処理費の記載:木くず、コンクリートがら、金属くずなど、廃棄物の種類ごとに処分単価と量が明記されているかチェックします。

  • 追加費用の条件:地中埋設物が発見された場合など、どのようなケースで追加費用が発生するのか、その際の単価などが明記されているかを確認します。

  • 諸経費の内容:官公庁への届出費用や近隣挨拶の費用などが含まれているかを確認します。

見積書の内容に不明な点があれば、必ず業者に問い合わせて説明を求めましょう。丁寧かつ明確に回答してくれるかどうかも、信頼できる業者を見極めるポイントです。


2.5 ステップ5 契約と工事開始

比較検討の結果、依頼する業者を1社に絞り込んだら、最終的な打ち合わせを経て工事請負契約を結びます。契約は口約束ではなく、必ず書面で「工事請負契約書」を取り交わしてください'mark>。契約書にサインする前には、以下の項目を隅々まで確認し、内容に相違がないか確かめましょう。

  • 契約金額と支払条件:見積書通りの金額か、支払い方法(着手金・中間金・完了金など)や支払時期はいつか。

  • 工期:工事の開始日と完了予定日が明記されているか。

  • 工事内容:見積書と相違なく、解体範囲が正確に記載されているか。

  • 追加工事に関する規定:追加工事が発生した場合の費用負担や手続きについて記載があるか。

  • 損害賠償保険:万が一の事故に備え、業者が損害賠償保険に加入しているか、その内容が記載されているか。

  • 契約解除の条件:やむを得ず契約を解除する場合の条件や違約金について記載があるか。

契約内容に納得できたら、署名・捺印します。契約後は、業者が建設リサイクル法に基づく届出などの手続きを進め、工事開始前に近隣住民への挨拶回りを行います。そして、いよいよ解体工事がスタートします。


3. 解体工事の相見積もりで失敗しないための正しい方法

解体工事 見積もり

解体工事の見積もりは、1社だけでなく複数の業者から取得する「相見積もり」が鉄則です。しかし、ただ複数の見積もりを集めるだけでは意味がありません。ここでは、適正価格で信頼できる業者を見つけるための、正しい相見積もりの方法を具体的に解説します。


3.1 相見積もりは3社から取るのが基本

解体工事の相見積もりは、比較検討のしやすさと手間を考慮して3社に依頼するのが最も効率的です。なぜ3社が最適なのか、その理由を理解しておきましょう。

  • 1社だけの場合:提示された金額や工事内容が適正なのか判断する基準がなく、高額な契約を結んでしまうリスクがあります。

  • 2社だけの場合:一方の金額が極端に高い、または安い場合、どちらが相場に近いのか判断が難しくなります。

  • 3社の場合:各社の見積もりを比較することで、解体費用の相場観が掴めます。また、工事内容や担当者の対応の違いも明確になり、総合的に最適な業者を選びやすくなります。

4社以上に依頼すると、各社とのやり取りや現地調査の立ち会いに時間がかかり、情報過多で比較が煩雑になる可能性があるため、まずは3社に絞って依頼することをおすすめします。


3.2 解体業者を探す3つの方法とメリット・デメリット

信頼できる解体業者を見つけるには、いくつかの方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。



解体業者の探し方比較表

探し方

メリット

デメリット

一括見積もりサイトを利用する

  • 一度の入力で複数の業者に依頼でき、手間が少ない

  • 業者間の競争が働き、費用が安くなる傾向がある

  • サイト独自の基準をクリアした業者が登録されている安心感がある

  • 複数の業者から一斉に連絡が来ることがある

  • 登録業者の中からしか選べない

  • サイトによって業者の質に差がある可能性がある

インターネットで個別に探す

  • 自分のペースでじっくり探せる

  • 業者のホームページで施工事例や実績を詳しく確認できる

  • 地域密着型の優良業者を見つけられる可能性がある

  • 1社ずつ連絡を取るため手間と時間がかかる

  • 業者の良し悪しを自分で見極める必要がある

  • 情報収集能力が求められる

知人やハウスメーカーから紹介してもらう

  • 過去の実績があるため、信頼性が高く安心感がある

  • 悪質な業者に当たるリスクが低い

  • 業者探しの手間が省ける

  • 紹介であるため、断りにくいことがある

  • 価格交渉がしにくい場合がある

  • ハウスメーカー経由の場合、中間マージンが上乗せされている可能性がある

3.2.1 一括見積もりサイトを利用する

一括見積もりサイトは、建物の情報などを一度入力するだけで、提携している複数の解体業者へ見積もり依頼ができるサービスです。時間や手間をかけずに比較検討を始めたい方に適しています。


3.2.2 インターネットで個別に探す

Googleなどの検索エンジンで「地域名 解体業者」と検索し、業者のホームページを一つひとつ確認する方法です。施工事例や会社の理念などをじっくり比較し、納得のいく業者を自分のペースで探したい方に向いています。


3.2.3 知人やハウスメーカーから紹介してもらう

過去に解体工事を経験した知人や、新築を依頼するハウスメーカー、工務店に紹介してもらう方法です。信頼性は高いですが、紹介だからと安心せず、必ず自分でも見積もり内容を精査することが重要です。


3.3 見積もり依頼時に伝えるべき必須項目

正確な見積もりを出してもらうためには、依頼時に必要な情報を漏れなく伝えることが不可欠です。複数の業者に依頼する際は、必ず全ての業者に同じ条件を伝えるようにしましょう。これにより、各社の見積もりを公平に比較することができます。

  • 物件の基本情報:物件の正確な住所、建物の構造(木造・鉄骨造など)、延床面積、階数

  • 解体の範囲:建物本体以外に撤去したいもの(ブロック塀、カーポート、庭木、物置、浄化槽など)の有無

  • 現地の状況:隣接する建物との距離、前面道路の幅員(大型トラックや重機が進入可能か)、電線やガス管の位置

  • 書類の有無:建物の図面(配置図、平面図など)や登記簿謄本があれば、より正確な見積もりに役立ちます。

  • 希望の工事時期:解体工事を完了させたい時期の目安

  • アスベストの有無:アスベスト調査の経験や図面からわかる使用の可能性など、把握している情報

これらの情報を事前に整理し、依頼時に明確に伝えることで、後から「聞いていなかった」という理由での追加費用発生などのトラブルを防ぐことができます。


4. 【保存版】怪しい解体業者の見積書に共通する5つの危険なサイン

解体工事 見積もり

解体工事の見積書は、業者選びの最も重要な判断材料です。しかし、専門用語が多く、初めて見る方には分かりにくい点も少なくありません。中には、その分かりにくさを利用して不当な利益を得ようとする悪質な業者も存在します。ここでは、高額な追加請求や工事トラブルを避けるために、怪しい解体業者の見積書に共通する5つの危険なサインを具体的に解説します。


4.1 「一式」表記が多く内訳が不透明

見積書の中で最も注意すべき項目の一つが「一式」という表記です。もちろん、細かな作業をまとめて「一式」と記載すること自体が悪いわけではありません。しかし、本来は個別に算出できるはずの主要な工事項目まで「解体工事一式」のようにまとめて記載されている場合は注意が必要です。何にいくらかかっているのかが不明瞭なため、工事内容が適正なのか、金額が妥当なのかを判断できません。

優良な業者の見積書は、誰が見ても工事内容と費用が分かるように、内訳が細かく記載されています。



見積書の内訳表記の比較

項目

危険な見積書の例

安心できる見積書の例

工事内容

解体工事費 一式 2,000,000円

  • 仮設足場養生費 〇〇㎡ 〇〇円

  • 木造建物本体解体費 〇〇坪 〇〇円

  • 基礎コンクリート撤去費 〇〇㎥ 〇〇円

  • ブロック塀撤去費 〇〇m 〇〇円

  • 庭木・庭石撤去費 〇〇本 〇〇円

廃棄物処理

廃棄物処理費 一式 300,000円

  • 木くず運搬処理費 〇〇㎥ 〇〇円

  • コンクリートガラ運搬処理費 〇〇㎥ 〇〇円

  • その他混合廃棄物運搬処理費 〇〇㎥ 〇〇円

内訳が不透明な見積書は、他社との比較検討が困難になるだけでなく、後から「この作業は一式に含まれていない」と高額な追加費用を請求される口実にもなり得ます。必ず詳細な内訳を提出するよう求めましょう。


4.2 追加費用の発生条件が記載されていない

解体工事では、工事を開始してから地中に予期せぬ障害物(過去の建物の基礎、浄化槽、井戸、大量のコンクリートガラなど)が見つかることがあります。このような地中埋設物の撤去には、追加で費用が発生するのが一般的です。問題なのは、追加費用が発生する可能性や、その場合の費用算出基準について一切記載がない見積書です。

優良な業者は、現地調査の段階で地中埋設物のリスクを説明し、見積書にも「地中埋設物が発見された場合は、別途協議の上お見積もりします」といった注記や、想定される撤去費用の単価を記載してくれます。起こりうるリスクについて事前に説明がない業者は、いざ問題が発生した際に高額な請求をしてくる可能性があり、非常に危険です。契約前に必ず追加費用に関する項目を確認してください。


4.3 アスベスト調査に関する記載がない

現在の法律では、建物の解体工事を行う前に、アスベスト(石綿)含有建材の使用の有無を調査することが義務付けられています。一定規模以上の工事では、調査結果の行政への報告も必須です。そのため、見積書に「アスベスト事前調査費用」や、調査の結果アスベストが発見された場合の「除去費用」に関する記載が一切ない場合、その業者は法令を遵守していない可能性'mark>があります。

アスベストの取り扱いは専門的な知識と技術が必要であり、不適切な処理は作業員だけでなく近隣住民にも深刻な健康被害を及ぼす恐れがあります。アスベストに関する項目が見積書にない場合は、その理由を業者に確認し、明確な回答が得られなければ契約を見送るべきです。コンプライアンス意識の低い業者に依頼すると、後々大きなトラブルに発展しかねません。


4.4 極端に安すぎる見積もり金額

複数の業者から見積もりを取った際に、1社だけ他社より大幅に安い金額を提示してくることがあります。費用が安いことは魅力的ですが、安易に飛びつくのは非常に危険です。解体費用には、人件費、重機のリース代、廃棄物の適正な処理費用など、必要不可欠なコストが含まれており、極端に安くするには必ず理由があります。

安すぎる見積もりの裏には、以下のようなリスクが隠れている可能性があります。

  • 不法投棄:最もコストのかかる廃棄物処理費用を削るため、山中などに不法投棄する。発覚した場合、施主(あなた)が責任を問われるケースもあります。

  • 手抜き工事:近隣への騒音や粉塵を防ぐための養生シートや散水を怠り、近隣トラブルを招く。

  • 高額な追加請求:契約後に「あれもこれも別途費用だ」と、次々に追加費用を請求し、最終的には他社より高額になる。

  • 労働環境の悪化:下請け業者に適正な対価を支払わず、作業員の安全管理がずさんになる。

相見積もりで適正な相場を把握し、安すぎる見積もりには必ずその理由を確認することが重要です。納得のいく説明が得られない場合は、避けるのが賢明です。


4.5 会社の情報(許可番号など)が記載されていない

見積書は、業者と顧客との間で交わされる重要な公的書類です。そのため、発行元である会社の情報が正確に記載されている必要があります。会社名、所在地、電話番号はもちろんのこと、最も重要なのが「建設業許可番号」または「解体工事業登録番号」の記載です。

500万円以上の解体工事を請け負うには「建設業許可」、500万円未満の場合は「解体工事業登録」が法律で義務付けられています。これらの許可や登録がない業者は、そもそも工事を行う資格がありません。見積書に許可番号や登録番号の記載がない場合、無許可で営業している違法業者の可能性があります。このような業者と契約すると、工事の品質が低いだけでなく、万が一事故が起きても保険が適用されず、責任の所在も不明確になるなど、計り知れないリスクを負うことになります。必ず許可番号の記載を確認し、不審に思ったら国土交通省の検索システムなどで実在する業者かを確認しましょう。


5. 優良な解体業者を見極めるための見積もり以外のチェックポイント

解体工事 見積もり

適正な見積書を提示されたとしても、それだけで優良な解体業者と判断するのは早計です。工事を安全かつ円滑に進めるためには、業者の信頼性や姿勢を見極める必要があります。ここでは、見積書の内容以外で必ず確認しておきたい4つの重要なチェックポイントを解説します。


5.1 建設業許可または解体工事業登録の有無

解体工事を行うためには、法律で定められた許可や登録が必須です。無許可・無登録の業者は違法であり、不法投棄やずさんな工事などのトラブルに巻き込まれるリスクが非常に高まります。必ず事前に確認しましょう。

許可と登録は、請け負う工事の金額によって下記のように分かれています。

種類

対象となる工事

概要

建設業許可

税込み500万円以上の解体工事

一定以上の経営経験や技術力、財産的基礎などの厳しい要件をクリアした業者のみが取得できる許可です。(土木一式、建築一式、とび・土工・コンクリート、解体のいずれかの許可が必要)

解体工事業登録

税込み500万円未満の解体工事

工事現場での実務経験などの技術的な要件を満たした業者が、都道府県知事から受ける登録です。

これらの許可番号や登録番号は、業者のウェブサイトや見積書、名刺などに記載されていることが一般的です。記載が見当たらない場合は、必ず担当者に直接確認してください。国土交通省の検索システムなどでも確認が可能です。


5.2 損害賠償保険に加入しているか

どれだけ熟練した業者が細心の注意を払って作業しても、解体工事に事故のリスクはつきものです。例えば、重機のアームが隣家の壁を傷つけたり、飛散物が通行人に当たってしまったりする可能性はゼロではありません。万が一の事故に備え、業者が損害賠償保険に加入しているかは必ず確認すべき最重要項目です。

もし業者が保険に未加入だった場合、事故による損害賠償責任を施主であるあなたが負わなければならないケースもあります。見積もりを依頼する段階で保険加入の有無を確認し、契約前には保険証券の写しを見せてもらうとより安心です。


5.3 現地調査や質問への対応が丁寧か

現地調査や問い合わせ時の担当者の対応は、その会社の姿勢を映す鏡です。信頼できる業者かどうかを判断する上で、非常に重要な手がかりとなります。

具体的には、以下の点に注目しましょう。

  • 建物の構造や周辺環境を隅々まで丁寧に確認しているか

  • こちらの質問に対して、専門用語を多用せず分かりやすく説明してくれるか

  • -

  • 解体範囲や工事の進め方について、プロの視点から具体的な提案をしてくれるか

  • メールや電話へのレスポンスが迅速で誠実か

少しでも不安や疑問に感じたことを質問し、その際の反応を見ることで、コミュニケーションが円滑に取れる相手かどうかを見極めましょう。工事期間中は担当者と密に連絡を取り合うことになるため、信頼関係を築けるかどうかが大切です。


5.4 近隣住民への配慮を考えてくれるか

解体工事は、騒音・振動・粉塵の発生が避けられず、近隣住民の方々へ少なからずご迷惑をおかけする工事です。近隣トラブルを未然に防ぎ、円満に工事を終えるためには、業者の配慮が欠かせません。

優良な業者は、近隣対策の重要性を熟知しています。見積もり時や現地調査の際に、以下のような点について具体的な対策を考えているか確認してみましょう。

  • 工事開始前の挨拶回りを誰が、いつ、どのように行う予定か

  • 騒音や粉塵を抑制するための養生シートの設置や散水計画

  • 工事車両の駐車場所や搬出入ルートの確認

  • クレームが発生した場合の対応フロー

「近隣へのご挨拶はどのようにされますか?」といった質問を投げかけ、明確で具体的な回答が返ってくる業者は信頼できる可能性が高いでしょう。施主の不安に寄り添い、トラブル防止策を積極的に提案してくれる業者を選ぶことが、安心して工事を任せるための鍵となります。


6. 解体工事の見積もりに関するよくある質問

解体工事 見積もり

解体工事の見積もりを初めて取る方にとっては、多くの疑問や不安がつきものです。ここでは、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。事前に確認して、スムーズな業者選びに役立ててください。


6.1 見積もりは無料でお願いできますか?

結論から言うと、現地調査や見積もり作成は、ほとんどの解体業者で無料です。業者にとって見積もりは契約を獲得するための営業活動の一環であるため、費用を請求されるケースは稀です。

ただし、以下のような例外的なケースでは費用が発生する可能性もゼロではありません。

  • 対応エリア外の遠隔地で、出張費が必要な場合

  • 特殊な調査(地中埋設物の詳細調査など)を依頼する場合

  • 見積もり作成のために図面の作成が必要な場合

トラブルを避けるためにも、見積もりを依頼する最初の段階で「現地調査と見積もりは無料ですか?」と必ず確認しておきましょう。口頭での確認だけでなく、メールなどの記録が残る形で確認しておくとより安心です。


6.2 見積もり後のしつこい営業への対処法と断り方

複数の業者から見積もりを取ると、契約を急かしたり、頻繁に電話をかけてきたりする業者に遭遇することがあります。しつこい営業に悩まないためには、曖昧な返事をせず、はっきりと断りの意思を伝えることが重要です。

丁寧かつ明確に断るためのポイントと例文を以下に示します。

断る際のポイント

具体的な断り方の例文

感謝を伝える

「この度は、お忙しい中お見積もりいただき、誠にありがとうございました。」

結論を明確に伝える

「大変恐縮ですが、今回は他社様にお願いすることにいたしました。」


「検討の結果、今回は工事を見送ることにいたしました。」

理由は簡潔に述べる

「予算の都合で、今回はご縁がなかったということでご了承ください。」


(詳細な理由を伝える義務はありません)

今後の連絡を断る

「つきましては、今後のご連絡はご遠慮いただけますと幸いです。」

電話でのやり取りが苦手な場合は、メールで断りの連絡を入れるのがおすすめです。そもそも、優良な業者は過度な営業活動を行いません。しつこい営業をしてくる業者は、顧客への配慮が欠けている可能性があり、契約を避けた方が賢明かもしれません。


6.3 見積もりから追加費用が発生するケースとは?

「見積もり金額=最終的な支払い金額」とならないケースは、残念ながら存在します。これは、現地調査の段階では確認できない問題が、工事開始後に発覚するためです。優良な業者は、事前に追加費用が発生しうるケースについて説明してくれますが、施主側も知識として知っておくことが重要です。

主な追加費用の発生ケースは以下の通りです。

発生ケース

具体例と内容

地中埋設物の発見

解体を進める中で、地中から以前の建物の基礎、浄化槽、井戸、コンクリートガラなどが見つかるケースです。これらを撤去・処分するために追加費用がかかります。

アスベストの発見

事前のアスベスト調査で見つからなかった箇所から、レベル1やレベル2といった飛散性の高いアスベスト含有建材が発見された場合、特別な除去作業が必要となり高額な追加費用が発生します。

残置物の量の超過

見積もり時に申告していた家具や家電などの残置物の量が、実際には大幅に多かった場合、その処分費用が追加で請求されることがあります。

近隣からの要望

工事中に近隣住民から追加の養生や防音対策、作業時間の変更などの要望があり、それに対応するために追加の費用が発生する場合があります。

こうした不測の事態による追加費用は、ある程度やむを得ない側面もあります。大切なのは、契約前に「どのような場合に追加費用が発生するのか」「その際の費用はいくらくらいか」「費用の発生前に報告・相談があるか」を業者にしっかり確認しておくことです。この確認を怠ると、高額な追加請求をされるトラブルに発展しかねません。


7. まとめ

解体工事で100万円以上損をしないためには、正しい知識を持って「相見積もり」を取ることが最も重要です。業者によって費用は大きく異なるため、最低3社から見積もりを取得し、内訳を詳細に比較検討することが、悪徳業者を避け適正価格を知るための確実な方法です。本記事で解説した見積書のチェックポイントや優良業者の見極め方を参考に、後悔のない業者選びを実現してください。

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