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集客できるアパレル店舗設計とは?他店と差がつくおしゃれな空間づくりのコツ

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 8月9日
  • 読了時間: 18分
アパレル 店舗 設計 おしゃれ

ECサイトが普及する今、アパレル実店舗には「そこでしか得られない体験」が求められています。本記事では、集客と売上につながる店舗設計の秘訣を、基本原則から応用テクニック、具体的な事例まで徹底解説。おしゃれなだけでなく、ブランドの世界観を伝えファンを増やす空間づくりのコツが分かります。オンラインでは不可能な「体験価値」を提供し、お客様を惹きつける店舗設計の答えがここにあります。


1. なぜ今アパレル店舗の設計がおしゃれでなければならないのか

インターネット通販(EC)の普及により、消費者はいつでもどこでも手軽に衣類を購入できるようになりました。このような時代において、アパレル実店舗が生き残るためには、単に商品を販売する場所である以上の価値を提供することが不可欠です。おしゃれで洗練された店舗設計は、ECにはない付加価値を生み出し、集客と売上を向上させるための重要な戦略となります。


1.1 オンラインでは得られない体験価値の提供

実店舗ならではの強みは、お客様が五感を通じてブランドを体験できる点にあります。商品の素材感や風合いを直接手で触れて確かめたり、実際に試着してサイズ感やシルエットを確認したりすることは、オンラインでは決して得られない貴重な体験です。おしゃれで居心地の良い空間は、お客様の購買意欲を高めるだけでなく、「この場所で買い物がしたい」という特別な動機付けを与えます。店舗での体験価値を高めることが、ECサイトとの明確な差別化につながるのです。

比較項目

オンライン(ECサイト)

アパレル実店舗

商品確認

画像とテキスト情報のみ

素材感、質感、色味、サイズ感を直接確認・試着可能

空間体験

なし(デジタル上の体験)

内装、照明、音楽、香りなど五感でブランドの世界観を体験

接客

チャットボットやメールが中心

スタッフによるコーディネート提案や専門的なアドバイス

即時性

商品到着までに時間がかかる

購入後すぐに商品を持ち帰れる

1.2 ブランドの世界観を伝えファンを増やす

店舗の設計は、ブランドが持つ独自の哲学やストーリー、コンセプトを伝えるための強力なコミュニケーションツールです。内装デザイン、什器の選定、照明計画、BGM、香りに至るまで、すべての要素が一体となってブランドの世界観を構築します。お客様がその空間に身を置くことで、ブランドへの理解と共感が深まります。ブランドの世界観に共感したお客様は、価格競争に左右されにくいロイヤルカスタマー(ファン)となり、長期的にブランドを支えてくれる存在になります。


1.3 SNSでの拡散による集客効果

現代の集客において、InstagramやTikTokといったSNSの活用は欠かせません。「インスタ映え」するようなフォトジェニックでおしゃれな店舗は、お客様が自発的に写真を撮影し、SNSに投稿してくれる可能性を飛躍的に高めます。これらの投稿はUGC(ユーザー生成コンテンツ)と呼ばれ、広告費をかけずにブランドの魅力を広めてくれる非常に効果的な宣伝手法です。お客様自身が広告塔となり、新たな顧客を呼び込む強力なサイクルが生まれるため、店舗設計の段階からSNSでの拡散を意識することが重要です。


2. 集客を左右するアパレル店舗設計の基本5原則

アパレル 店舗 設計 おしゃれ

おしゃれなアパレル店舗を作る上で、単にデザイン性が高いだけでは集客や売上には結びつきません。お客様が快適に買い物を楽しみ、商品の魅力を最大限に感じられる空間には、戦略的な設計思想が必要です。ここでは、集客できる店舗作りの根幹となる「5つの基本原則」を解説します。これらの原則を押さえることで、お客様に選ばれ、愛される店舗の土台を築くことができます。


2.1 コンセプト設計 ブランドイメージの土台作り

店舗設計におけるコンセプトは、すべてのデザインや計画の方向性を決定づける羅針盤です。誰に、何を、どのように伝えたいのかを明確にすることで、一貫性のある魅力的な店舗空間が生まれます。ターゲット顧客の年齢層やライフスタイル、ブランドが持つ独自のストーリーや価値観、商品の価格帯などを総合的に考慮し、店舗全体で表現したい世界観を具体的に定義することが重要です。このコンセプトが明確であればあるほど、内装材の選定からVMD、販促戦略まで、あらゆる判断にブレがなくなります。


2.2 ゾーニング お客様が回遊しやすい空間分け

ゾーニングとは、店舗の空間を機能や目的に応じて区切ることです。お客様が店内をスムーズに見て回れるように、またスタッフが効率的に動けるように空間を計画します。適切なゾーニングは、お客様が自然と店内を奥まで巡り、多くの商品に触れる機会を創出します。お客様の視点に立ち、どこに何があれば快適に買い物ができるかを考えることが、効果的なゾーニングの鍵となります。

ゾーンの種類

役割と設計のポイント

ファサードゾーン

店舗の「顔」となる部分。お客様の入店を促す最も重要なエリア。ブランドイメージを象徴するディスプレイやサインを配置します。

メイン通路ゾーン

お客様が店内を回遊する際の主動線となるエリア。十分な通路幅を確保し、ベビーカーや車椅子でも通りやすいように配慮します。

販売ゾーン

商品を陳列し、販売する中心的なエリア。カテゴリ別(アウター、トップス等)やテイスト別に商品をグルーピングして見やすく配置します。

サービスゾーン

レジカウンターやフィッティングルーム、ストック(在庫置場)など、接客や店舗運営に必要な機能を集約したエリア。お客様の動線を妨げない位置に計画します。

2.3 動線計画 売上を最大化するお客様の流れ

動線計画は、ゾーニングに基づいてお客様の店内での動きや視線の流れを設計することです。お客様の歩みを意図的に誘導し、できるだけ多くの商品の前を通り、滞在時間を延ばすことで、売上(買い上げ率)を最大化することを目的とします。一般的に、人は店の奥へ進み、壁沿いに反時計回りに回遊する傾向があると言われています。この習性を利用し、主動線(メインの通路)と副動線(コーナーへの通路)を明確に分け、通路の突き当りにはマネキンや人気商品を配置して視線を引きつける(アイキャッチ)などの工夫が有効です。


2.4 VMD(ビジュアルマーチャンダイジング) 商品を魅力的に見せる技術

VMD(Visual Merchandising)とは、視覚的な要素を駆使して商品の魅力を伝え、お客様の購買意欲を高める戦略的な陳列・装飾技術のことです。「見やすく、選びやすく、買いやすい」売場を実現し、商品の価値を視覚的に最大限に伝えることがVMDの役割です。VMDは主に3つの要素で構成され、それぞれが連動することで効果を発揮します。

VMDの要素

役割と展開場所

VP (Visual Presentation)

店舗やブランドのコンセプト、シーズンのテーマを象徴的に表現するディスプレイ。お客様の興味を引き、入店を促します。


【展開場所】ウィンドウディスプレイ、ファサード、店内の最も目立つ場所

PP (Point of Presentation)

各売場で展開されている商品をコーディネートで見せ、具体的な着こなしを提案するディスプレイ。お客様の「欲しい」という気持ちを喚起します。


【展開場所】マネキン、トルソー、壁面シェルフの上など

IP (Item Presentation)

個々の商品を分かりやすく分類・整理して陳列すること。お客様が商品を手に取りやすく、比較検討しやすいように配置します。


【展開場所】ハンガーラック、陳列棚、什器など

2.5 五感を刺激する空間演出(照明・音楽・香り)

お客様の記憶に残る店舗体験は、視覚情報だけで作られるものではありません。照明、音楽(BGM)、香りといった五感に訴えかける要素は、空間の居心地を大きく左右し、ブランドイメージを深く印象付けます。これらの要素をブランドコンセプトに合わせて巧みに組み合わせることで、滞在時間を延ばし、お客様に特別な高揚感やリラックス感を提供できます。

演出要素

効果と具体的な手法

照明

空間全体の雰囲気を決定づけます。ベース照明で明るさを確保しつつ、スポットライトで商品を際立たせるなど、光の強弱でメリハリをつけます。商品の色を正確に見せる高い演色性(Ra)の照明を選ぶことも重要です。

音楽(BGM)

ブランドの世界観を聴覚的に伝えます。アップテンポな曲は購買意欲を刺激し、スローテンポな曲は滞在時間を延ばす効果が期待できます。ターゲット顧客の年代や好みに合わせた選曲が求められます。

香り

記憶と強く結びつく嗅覚にアプローチします。ブランドオリジナルのアロマを導入すれば、香りがブランドの象徴となり、再来店を促すきっかけにもなります。リラックス効果や高級感を演出する効果もあります。

3. 他店と差がつくおしゃれなアパレル店舗設計のテクニック

アパレル 店舗 設計 おしゃれ

アパレル店舗の設計において、基本的な原則を押さえることはもちろん重要ですが、数ある競合の中からお客様に選ばれるためには、もう一歩踏み込んだ工夫が必要です。ここでは、お客様の記憶に残り、再来店や口コミにつながる「他店と差がつく」おしゃれな空間づくりの具体的なテクニックを、ファサード、内装、什器、そしてSNS時代の仕掛けという4つの視点から解説します。

3.1 思わず入りたくなるファサード(外観)設計

ファサードは店舗の「顔」であり、お客様が最初に出会う場所です。通行人の足を止め、店内へと誘う魅力的なファサードは、入店率を大きく左右する重要な要素。ブランドの個性を表現し、期待感を高める設計を心がけましょう。


3.1.1 看板・サインのデザイン

看板やサインは、遠くからでも店舗の存在を知らせ、ブランド名を認知させる役割を担います。単に店名を伝えるだけでなく、ブランドの世界観を凝縮したデザインにすることが重要です。ブランドロゴのフォント、色使い、そして看板の素材感(木、アイアン、ネオンなど)をコンセプトに合わせて選び抜くことで、一貫性のあるメッセージを発信できます。


3.1.2 ウィンドウディスプレイの作り方

ウィンドウディスプレイは、店舗の前を通る人々への強力なアプローチ手段です。季節感やトレンドを取り入れ、ブランドが今最も伝えたいスタイルを表現しましょう。マネキンにストーリー性のあるコーディネートをさせ、背景や小道具を効果的に使うことで、お客様が商品を着用した自分の姿を具体的にイメージできるようになり、入店のきっかけを生み出します。


3.2 内装で魅せるおしゃれな空間づくり

一歩足を踏み入れた瞬間に広がる内装は、ブランドの世界観を体感してもらうための舞台です。素材の選び方や照明計画にこだわることで、商品の魅力を最大限に引き出し、お客様の滞在時間を延ばす快適な空間を創造できます。


3.2.1 床材・壁材・天井材の選び方

床・壁・天井は空間の印象を決定づける最も大きな要素です。素材の質感や色味を組み合わせることで、目指すブランドイメージを具現化します。例えば、無垢材のフローリングは温かみやナチュラル感を、モルタルの壁はモダンで洗練された印象を与えます。コンセプトに基づき、素材の持つ特性を理解して選定し、空間全体に統一感を持たせることが、洗練された雰囲気づくりの鍵となります。

素材の種類

主な特徴

与える印象の例

床材

無垢フローリング、モルタル、Pタイル、カーペットなど

温かみ、高級感、モダン、インダストリアル、リラックス感

壁材

塗装(AEP)、クロス、木材、タイル、左官仕上げなど

シンプル、ミニマル、個性的、ラグジュアリー、ナチュラル

天井材

スケルトン(躯体現し)、塗装、板張りなど

開放感、ラフ、スタイリッシュ、落ち着き

3.2.2 世界観を表現する照明計画

照明は、空間に雰囲気と奥行きを与えるだけでなく、商品を美しく見せるための重要なツールです。店舗全体を照らす「ベース照明」、特定の商品を際立たせる「スポットライト」、空間のアクセントとなる「デザイン照明」を効果的に組み合わせましょう。特に、商品の色が自然光の下で見た時と近く見えるよう、演色性(Ra)の高い照明を選ぶことは、お客様の満足度と信頼に直結します。


3.3 こだわりの什器とフィッティングルーム

商品を陳列する什器や、購入の最終決定の場となるフィッティングルームは、お客様の購買体験に直接影響を与える要素です。細部にまでこだわることで、ブランドの姿勢を伝え、顧客満足度を高めることができます。


3.3.1 オリジナリティを出す什器の選び方と配置

ハンガーラックやシェルフ、ディスプレイテーブルといった什器は、単なる商品陳列の道具ではありません。空間を構成するインテリアの一部として、デザイン性の高いものを選びましょう。ブランドコンセプトに合わせてオーダーメイドで製作したり、個性的なヴィンテージ家具を取り入れたりすることで、他にはない独自の空間を演出できます。また、お客様がスムーズに回遊できるよう、什器の高さや配置に変化をつけ、リズミカルなレイアウトを意識することも大切です。


3.3.2 購入を後押しする快適なフィッティングルーム設計

フィッティングルームは、お客様がじっくりと商品と向き合うプライベートな空間です。狭さや暗さ、使い勝手の悪さは、購入意欲を削ぐ大きな原因となります。十分な広さ、明るく顔色が綺麗に見える照明、複数角度から確認できる鏡、手荷物を置くスペースを確保するなど、試着時のストレスをなくす「おもてなし」の視点で設計することが、購入の最後の一押しにつながります。


3.4 インスタ映えするフォトジェニックな仕掛け

現代において、SNSによる情報の拡散は非常に強力な集客ツールです。お客様が思わず写真を撮って誰かにシェアしたくなるような「フォトジェニック」な要素を店舗デザインに組み込むことは、有効なマーケティング戦略と言えます。特徴的なアートが描かれた壁、デザイン性の高い大きな鏡、ブランドロゴのネオンサインなど、ブランドの世界観を象徴する「写真映え」するスポットを意図的に設けることで、お客様自身が広告塔となり、新たな顧客を呼び込むきっかけが生まれます。


4. 【事例で学ぶ】おしゃれなアパレル店舗の設計アイデア

アパレル 店舗 設計 おしゃれ

ここでは、具体的な業態別の事例を参考に、他店と差がつく店舗設計のアイデアを深掘りします。自店のコンセプトに近い事例から、空間づくりのヒントを見つけましょう。


4.1 セレクトショップに見る多様な商品の見せ方

複数のブランドやテイストの商品を扱うセレクトショップでは、店舗全体としての統一感を保ちつつ、各商品の個性を引き出す設計が求められます。ポイントは、多様な商品をまとめ上げる「編集力」を空間で表現することです。

例えば、内装はコンクリートや白壁、モルタルといった無機質でニュートラルな素材を基調にすることで、どんなテイストの商品も引き立てやすくなります。ブランドごとに小さなエリアを設けるゾーニングや、可動式の什器を導入してポップアップストアやイベントに柔軟に対応できるフレキシブルな空間づくりも、顧客を飽きさせない工夫と言えるでしょう。BEAMSやUNITED ARROWSなどの大手セレクトショップでは、ブランドの世界観を尊重しながらも、独自の視点で商品を陳列し、新しい価値を提案しています。


4.2 古着屋に学ぶ一点物の魅力を引き出す空間

古着屋の魅力は、なんといっても一点物の商品が持つストーリー性や希少価値です。店舗設計においては、顧客が「宝探し」を楽しめるようなワクワク感と、商品の背景にある物語を感じさせる演出が鍵となります。

店内は商品を詰め込みすぎず、あえて余白を設けることで、一つひとつのアイテムに目が留まりやすくなります。照明は全体を均一に明るくするのではなく、スポットライトを活用して特定の商品をドラマチックに照らし出すと効果的です。また、古材やアイアン、レンガといったヴィンテージ感のある素材を内装に取り入れることで、商品と空間が一体となり、独特の世界観が生まれます。高円寺や下北沢の個性的な古着屋のように、オーナーのこだわりが詰まった空間は、それ自体が店の魅力となります。


4.3 ラグジュアリーブランドの世界観を体現する店舗設計

ラグジュアリーブランドの店舗は、単に商品を販売する場所ではなく、ブランドの哲学や美学を顧客に体験してもらうための空間です。素材、空間、サービス全てにおいて妥協のないクオリティで、圧倒的な非日常体験を創出することが求められます。

ファサードから内装に至るまで、大理石や上質なウッド、真鍮などの高級感あふれる素材を惜しみなく使用します。動線はゆったりと確保され、顧客が優雅に店内を回遊できるよう設計されています。また、プライバシーが確保されたソファスペースやVIPルームを設けるなど、特別な顧客体験を提供するための工夫も欠かせません。銀座や表参道に並ぶブティックのように、店舗そのものがアート作品のような存在感を放ち、ブランドの価値を雄弁に物語っています。


4.4 カフェ併設店舗の設計ポイント

アパレル店舗にカフェを併設するスタイルは、顧客の滞在時間を延ばし、ブランドへのエンゲージメントを高める有効な手法です。ファッションだけでなく、ライフスタイル全体を提案することで、新たなファン層の獲得にも繋がります。設計においては、アパレルと飲食という異なる機能をいかにスムーズに繋ぎ、相乗効果を生み出すかが重要です。

アパレルとカフェのエリア分け、動線計画、そして保健所の基準を満たす設備要件など、専門的な知識が不可欠です。主なポイントを以下にまとめました。

設計項目

ポイントと注意点

ゾーニング(空間分け)

床材を変えたり、ガラスのパーテーションを設けたりすることで、空間を緩やかに区切ります。アパレルの世界観を壊さない、統一感のあるカフェデザインが求められます。

動線計画

服を見たいお客様と、カフェでくつろぎたいお客様の動線がぶつからないよう配慮が必要です。レジを共通化するか、別にするかも売上効率に関わる重要な判断です。

設備・法規

カフェ営業には、保健所の営業許可が必要です。厨房設備、客席の手洗い、換気など、法規で定められた基準をクリアする設計を初期段階から計画に盛り込む必要があります。

空間演出

コーヒーの香りが衣類に移らないよう、換気計画は特に重要です。BGMも、両方の空間で心地よく聞こえるような選曲や音響設計が求められます。

5. アパレル店舗設計を依頼する際のポイントと費用

アパレル 店舗 設計 おしゃれ

理想の店舗を実現するためには、信頼できるパートナー選びが不可欠です。ここでは、店舗設計会社を選ぶ際のポイントから、オープンまでの流れ、そして気になる費用について詳しく解説します。後悔しない店舗づくりのために、しっかりとポイントを押さえておきましょう。


5.1 店舗設計会社の選び方と注意点

店舗の成功は、設計会社選びにかかっていると言っても過言ではありません。デザイン性だけでなく、ビジネスパートナーとしての視点を持つ会社を選ぶことが重要です。


5.1.1 アパレル店舗の実績と提案力を確認する

まず確認すべきは、アパレル店舗の設計実績です。特に、自社のブランドコンセプトやターゲット層に近い店舗を手がけた経験があるかは重要な判断基準となります。実績豊富な会社は、アパレル特有の動線計画やVMD、在庫管理スペースの確保といったノウハウを持っています。過去の施工事例を見せてもらい、デザインのテイストだけでなく、集客や売上に繋がる具体的な提案力があるかを見極めましょう。


5.1.2 コミュニケーションと相性

店舗設計は、担当者と密にコミュニケーションを取りながら進めていく長期的なプロジェクトです。こちらの要望を正確に汲み取り、専門家としての意見を分かりやすく伝えてくれる担当者でなければ、理想の店舗は作れません。打ち合わせの段階で、担当者の人柄や対応の丁寧さ、レスポンスの速さなどを確認し、信頼関係を築ける相手かどうかを判断しましょう。


5.1.3 相見積もりと契約内容の精査

設計を依頼する際は、必ず複数の会社から見積もり(相見積もり)を取りましょう。料金だけで判断するのではなく、提案内容や設計範囲、どこまでが費用に含まれているのかを詳細に比較検討することが大切です。特に「設計監理業務」が含まれているかは必ず確認してください。設計監理とは、設計図通りに工事が進んでいるかをプロの目でチェックする重要な業務です。契約を結ぶ前に、業務範囲と追加費用が発生する可能性について、書面で明確にしておきましょう。


5.2 設計からオープンまでの流れ

店舗設計の依頼からオープンまでは、多くのステップを踏む必要があります。一般的な流れを把握しておくことで、スケジュール管理や準備をスムーズに進めることができます。

  1. 相談・ヒアリング:設計会社にブランドコンセプト、予算、希望などを伝えます。

  2. 現地調査:物件の採寸や設備(電気、水道、空調など)の状況を確認します。

  3. 基本設計:ヒアリングと調査を元に、コンセプトやゾーニング、デザインの方向性を固め、平面図やイメージパースを作成します。

  4. 実施設計:基本設計を元に、工事に必要な詳細な図面(仕上表、展開図、電気設備図など)を作成します。

  5. 見積もり・施工会社選定:実施設計図を元に、施工会社から見積もりを取ります。

  6. 工事着工・設計監理:施工会社と契約し、工事を開始します。設計者は図面通りに工事が進んでいるか定期的に現場でチェックします。

  7. 竣工・引き渡し:工事が完了し、最終チェックを経て店舗の引き渡しを受けます。

  8. オープン準備:商品の搬入やディスプレイ、スタッフ研修などを行い、オープンを迎えます。


5.3 店舗設計にかかる費用の内訳と相場

店舗設計にかかる費用は、大きく「設計料」と「工事費」に分けられます。物件の規模や状態、内装の仕様によって大きく変動するため、あくまで目安として参考にしてください。



店舗設計・工事費用の内訳と目安

費用項目

内容

費用の目安

設計・デザイン料

コンセプト設計、基本設計、実施設計、設計監理などにかかる費用。

総工事費の10%~15%程度

内装工事費

床・壁・天井の工事、建具の製作・設置など、店舗の内装を作り上げるための工事費用。

坪単価 30万円~80万円以上

設備工事費

電気、空調、換気、給排水、ガス、防災設備などの工事費用。

物件の状態により大きく変動

什器・家具費

陳列棚、ハンガーラック、カウンター、ソファ、フィッティングルームのミラーなどの購入・製作費用。

既製品か造作かで大きく変動

特に、スケルトン物件(何もないコンクリート打ちっぱなしの状態)から店舗を作る場合は、内装・設備工事費が高くなる傾向にあります。一方で、居抜き物件(前のテナントの内装や設備が残っている状態)を活用すれば、初期費用を抑えることが可能です。予算を伝える際は、どこまでを費用に含めるのかを明確にし、余裕を持った資金計画を立てることが成功の鍵となります。


6. まとめ

ECサイトでの購入が主流となった今、アパレル店舗に求められるのは、オンラインでは得られない「体験価値」の提供です。ブランドの世界観を五感で伝え、顧客をファンにするためには、おしゃれで戦略的な店舗設計が不可欠です。本記事で解説したコンセプト設計や動線計画、VMDなどの基本を押さえ、他店にはない魅力的な空間を創造しましょう。こだわりの店舗設計こそが、SNSでの拡散を促し、集客と売上を最大化する鍵となります。

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