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飲食店内装工事費用の全知識|流れ・期間からデザイン会社選びまでこの記事一本で解決

  • 執筆者の写真: seira murata
    seira murata
  • 7月16日
  • 読了時間: 32分

更新日:7月17日

飲食店 内装 工事 費用
飲食店 内装 工事 費用

飲食店の開業や改装で最も重要な内装工事費用。その相場は坪単価で決まりますが、物件の種類や業態で大きく変動します。この記事では、費用相場や内訳、コストを抑える7つのコツを徹底解説。さらに工事の流れから失敗しない業者選び、使える補助金まで、開業準備に必要な知識を網羅しました。理想の店作りを成功させるための全情報が、この記事一本で手に入ります。


1. 飲食店の内装工事費用の相場は坪単価で決まる

飲食店の内装工事にかかる費用を把握する際、最も一般的に用いられる指標が「坪単価」です。坪単価とは、内装工事費用の総額を店舗の面積(坪数)で割った、1坪あたりの工事費用のことを指します。これにより、広さが異なる物件でも費用感を比較しやすくなり、概算を掴むための重要な目安となります。

ただし、坪単価はあくまで概算を出すための指標であり、物件の状態や飲食店の業態、デザインのこだわりによって大きく変動することを念頭に置く必要があります。例えば、何もない状態から全てを作り上げる「スケルトン物件」と、前の店舗の設備が残っている「居抜き物件」とでは、坪単価に倍以上の差がつくことも珍しくありません。この章では、まず物件の種類による費用の違いを理解し、その後で具体的な業態別の坪単価相場を詳しく見ていきましょう。


1.1 スケルトン物件と居抜き物件の費用相場の違い

飲食店の内装工事費用は、借りる物件が「スケルトン」か「居抜き」かによって劇的に変わります。それぞれの特徴と費用相場を理解することが、適切な物件選びと資金計画の第一歩です。

スケルトン物件とは、建物の構造躯体(コンクリートの壁や床など)がむき出しになった、内装や設備が何もない状態の物件です。電気・ガス・水道・空調などのインフラもゼロから引き込む必要があるため、工事範囲が広く、費用は高額になる傾向があります。しかしその分、レイアウトやデザインの自由度が非常に高く、ブランドコンセプトを細部まで反映させたオリジナリティあふれる店舗を実現できるという大きなメリットがあります。

一方、居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装、厨房設備、空調、什器などが残された状態で引き渡される物件です。これらの既存設備をうまく活用できれば、内装工事費や設備購入費を大幅に削減でき、開業までの期間も短縮できる点が最大の魅力です。ただし、希望のレイアウトに変更しにくかったり、残された設備が古く修理や交換が必要になったりするデメリットも考慮しなければなりません。

両者の違いを以下の表にまとめました。

項目

スケルトン物件

居抜き物件

費用相場(坪単価)

30万円~70万円以上

15万円~50万円程度

メリット

・デザインやレイアウトの自由度が高い


・コンセプトを完全に反映できる


・全ての設備が新品になる

・初期費用を大幅に抑えられる


・開業までの期間が短い


・事業計画が立てやすい

デメリット

・工事費用が高額になる


・工事期間が長くなる


・開業までの総コストが読みにくい

・デザインやレイアウトの自由度が低い


・設備の劣化や故障リスクがある


・前の店のイメージが残ることがある

工事期間の目安

3ヶ月~6ヶ月程度

1ヶ月~3ヶ月程度


1.2 【業態別】飲食店 内装 工事 費用の坪単価目安

飲食店の内装工事費用は、提供する料理やサービスの種類、つまり「業態」によっても大きく異なります。なぜなら、業態ごとに必要となる厨房設備の規模や種類、客席の設え、そして電気・ガス・給排水・換気といった設備工事の要件が全く違うからです。ここでは代表的な業態を例に、それぞれの坪単価の目安と費用の特徴を解説します。


1.2.1 カフェ・バーの費用相場

カフェやバーは、他の飲食店と比較して大規模な厨房設備を必要としないケースが多く、内装工事費用を抑えやすい業態です。特に、火をあまり使わない軽飲食が中心であれば、高額になりがちな排煙・換気工事の負担も少なくなります。その一方で、顧客の滞在時間が長くなる傾向があるため、居心地の良い空間を演出するデザイン性や、コンセプトを表現する内装材・照明・家具などに費用がかかることが特徴です。

  • 坪単価の目安:25万円~50万円

  • 費用のポイント:本格的なエスプレッソマシンやビールサーバーなどの専門機器、カウンターの造作、こだわりの家具や照明などが費用を左右します。


1.2.2 レストランの費用相場

フレンチ、イタリアン、和食などのレストランは、本格的な調理を行うための充実した厨房設備が不可欠です。複数のコンロ、オーブン、大型の冷蔵・冷凍庫など、設置する厨房機器が多くなるため、それに伴う電気・ガス・給排水工事の費用も高くなります。また、客単価に見合った高級感や特別感を演出するために、内装材やテーブル、椅子、照明などにも質の高いものが求められる傾向があります。個室を設ける場合は、さらに間仕切り壁の工事費などが加わります。

  • 坪単価の目安:30万円~60万円

  • 費用のポイント:厨房設備のグレード、客席の快適性やプライベート感を高めるための造作、内装材の質によって費用が大きく変動します。


1.2.3 居酒屋・焼肉店の費用相場

居酒屋や焼肉店は、飲食店の中でも特に設備工事の費用が高額になりやすい業態です。大量の調理や強い火力を扱うため、厨房には大規模なガス工事や強力な給排気設備が必須となります。特に焼肉店では、各テーブルに排煙ダクト(無煙ロースター)を設置する必要があり、これが坪単価を押し上げる最大の要因


2. 飲食店 内装 工事 費用の詳しい内訳

飲食店 内装 工事 費用
飲食店 内装 工事 費用

飲食店の内装工事費用と一言で言っても、その中身は多岐にわたります。総額だけを見て高い・安いを判断するのではなく、何にどれくらいの費用がかかっているのかを正確に把握することが、適切な予算管理と業者選定の第一歩です。ここでは、一般的な内装工事費用の内訳を項目ごとに詳しく解説します。


2.1 設計デザイン費

設計デザイン費は、お店のコンセプトやオーナーの想いを具体的な形に落とし込むための費用です。具体的には、店舗のレイアウトを記した平面図、内装デザインを示す展開図やパース図、そして工事に必要な詳細な施工図面の作成にかかる費用が含まれます。

費用の相場は、一般的に工事費全体の10%~15%程度とされています。ただし、著名なデザイナーやデザイン性の高い設計事務所に依頼する場合や、CGパースの作成枚数が多い場合などは、この割合を超えることもあります。この設計デザインがお店の第一印象やブランドイメージ、さらには従業員の働きやすさ(オペレーション効率)まで左右するため、単なるコストではなく、お店の成功を左右する重要な「投資」と捉えるべき費用です。


2.2 内装工事費

内装工事費は、設計図面に基づいて店舗の内部を実際に作り上げていくための工事にかかる費用で、総費用の中で最も大きな割合を占めます。壁や床、天井など、お店の空間そのものを構築する工事全般を指します。


2.2.1 仮設工事

仮設工事は、本格的な工事をスムーズかつ安全に進めるための準備工事です。工事中に既存の床や壁、エレベーターなどを傷つけないように保護する「養生」や、工事用の仮設電気・水道の設置、資材置き場の確保、廃材を搬出するためのコンテナ設置などが含まれます。工事の品質と安全を確保するための縁の下の力持ちであり、見積書に必ず含まれる項目です。


2.2.2 軽鉄工事

軽鉄工事(LGS工事)は、軽量鉄骨(Light Gauge Steel)という亜鉛メッキ鋼板でできた材料を使い、壁や天井の下地となる骨組みを作っていく工事です。この骨組みに石膏ボードなどを貼ることで、店内の間仕切り壁や天井が形成されます。店舗のレイアウトの基礎となる非常に重要な工程であり、この精度が内装全体の仕上がりを左右します。


2.2.3 内装仕上げ工事

内装仕上げ工事は、軽鉄工事で作られた壁や天井の骨組み、そして床に、最終的な化粧を施す工事です。お客様が直接見て触れる部分であり、お店の雰囲気を決定づける重要な工程です。主な工事内容は以下の通りです。

  • 壁:クロス(壁紙)貼り、塗装、珪藻土や漆喰などの左官仕上げ、タイル貼り、化粧板貼りなど

  • 床:フローリング、塩ビタイル、長尺シート、クッションフロア、タイルカーペット、モルタル仕上げなど

  • 天井:塗装、クロス貼り、岩綿吸音板貼りなど

使用する素材のグレードや種類によって費用が大きく変動します。デザイン性と機能性、そして予算のバランスを考えながら素材を選ぶことが大切です。


2.2.4 建具工事

建具工事は、店舗のエントランスドア、客席の扉、トイレのドア、窓、パーテーションといった「開口部」に関する工事です。また、店舗のオリジナリティを出すための造作家具(オーダーメイドのカウンター、収納棚、ベンチシートなど)の製作・設置もここに含まれます。既製品を使用するか、職人が手掛ける造作にするかで費用は大きく変わりますが、お店の使い勝手やデザインの統一感を高める上で重要な要素です。


2.3 設備工事費

設備工事費は、飲食店の運営に不可欠なライフラインを整備するための費用です。特に飲食店では、電気・ガス・水道の使用量が家庭とは比較にならないほど多く、専門的な工事が求められます。保健所の営業許可や消防検査にも直結するため、非常に重要な工事項目です。


2.3.1 電気工事

照明器具の配線・設置、コンセントの増設、BGM用のスピーカー配線、防災設備の設置、分電盤の設置などが含まれます。特に厨房では、業務用冷蔵庫やフライヤーなど消費電力の大きい機器を多数使用するため、専用の動力電源の引き込みや、十分な電気容量の確保が必須です。容量が不足するとブレーカーが頻繁に落ち、営業に支障をきたすため、事前の綿密な計画が求められます。


2.3.2 ガス工事

厨房のコンロやオーブン、給湯器などにガスを供給するための配管工事です。ガスメーターの容量変更や移設、新規引き込みなどが必要になる場合もあります。ガス工事は有資格者による施工が法律で義務付けられており、ガス会社への申請や検査も必要です。都市ガスかプロパンガスかによっても工事内容や手続きが異なります。


2.3.3 水道工事

厨房のシンクや食洗機、客席の手洗い場、トイレなどへ水を供給する「給水工事」と、使用した水を排出する「排水工事」を指します。特に飲食店では、油脂を分離して下水道に流さないようにするための「グリストラップ(油脂分離阻集器)」の設置が条例で義務付けられている見出し>ことがほとんどです。設置場所や容量の選定を誤ると、悪臭や詰まりの原因、さらには営業許可が下りない事態にも繋がるため注意が必要です。


2.3.4 空調換気工事

お客様が快適に過ごすための業務用エアコンの設置(空調工事)と、厨房の熱や煙、店内の臭いを外部に排出するためのダクト・換気扇の設置(換気工事)です。特に、焼肉店や中華料理店、鉄板焼き店など、煙や臭いが多く発生する業態では、排気能力の高い設備が不可欠です。換気能力が不十分だと、店内に煙や臭いが充満し顧客満足度が下がるだけでなく、近隣トラブルの原因にもなります。


2.4 厨房機器費

厨房機器費は、調理を行うために必要な専門機器の購入・設置費用です。業務用冷蔵庫・冷凍庫、コールドテーブル、製氷機、シンク、作業台、ガスコンロ、フライヤー、オーブン、食洗機などが該当します。お店のメニュー構成やオペレーション効率に直結するため、事業計画に基づいて必要な機器を慎重に選定する必要があります。新品か中古か、メーカーや機種によって費用は大きく変動します。


2.5 その他諸経費

上記の主要な費用のほかにも、プロジェクト全体を円滑に進めるために必要な経費が発生します。これらは見積書では「諸経費」や「現場管理費」として一括で記載されることもありますが、内訳を確認しておくことが重要です。見落としがちな費用なので、必ず予算に組み込んでおきましょう。

項目

内容

現場管理費

工事を円滑に進めるための現場監督の人件費、工事車両のガソリン代、事務用品費など、現場を管理・運営するための費用。工事費の10%~15%程度が目安。

産業廃棄物処理費

解体工事や内装工事で発生した木くず、石膏ボード、金属くずなどの廃材を、法律に則って適正に処分するための費用。

諸官庁申請費用

保健所への「飲食店営業許可申請」や、消防署への「防火対象物使用開始届」など、開業に必要な行政手続きを代行してもらう場合の費用。

消費税

設計費、工事費、機器費など、すべての費用に対してかかる税金。総額が大きくなるため、税抜価格だけでなく税込価格で予算を考えることが重要。


3. 飲食店の内装工事費用を安く抑える7つのコツ

飲食店 内装 工事 費用
飲食店 内装 工事 費用

飲食店の開業準備において、内装工事費用は大きなウェイトを占めます。しかし、工夫次第でこの費用を大幅に削減することが可能です。ここでは、誰でも実践できるコスト削減の具体的なコツを7つご紹介します。賢く費用を抑え、運転資金や他の重要な投資に資金を回しましょう。


3.1 居抜き物件を活用する

内装工事費用を最も効果的に抑える方法は、居抜き物件を選ぶことです。居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装や設備がそのまま残された状態の物件を指します。厨房設備や空調、トイレなどがすでに設置されているため、ゼロから工事を行うスケルトン物件に比べて初期投資を劇的に削減できます。

ただし、メリットばかりではありません。以下の点に注意して、慎重に物件を選びましょう。

メリット

デメリット・注意点

内装・設備工事費を大幅に削減できる

設備の老朽化が進んでいる可能性(修理・交換費用がかかることも)

開業までの期間を短縮できる

レイアウトの自由度が低く、コンセプトに合わない場合がある

電気・ガス・水道のインフラ工事が不要な場合が多い

前の店のイメージが残っている場合がある

厨房機器などの造作譲渡料(リース料)が発生する場合がある

設備の配置が使いにくい、動線が悪い可能性がある

居抜き物件を選ぶ際は、必ず専門家(内装工事業者など)に同行してもらい、設備の動作確認や劣化状況をチェックしてもらうことが重要です。一見お得に見えても、後から高額な修繕費が発生するケースも少なくありません。


3.2 複数の業者から相見積もりを取る

内装工事業者を選ぶ際には、必ず複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。1社だけの見積もりでは、提示された金額が適正価格なのか判断できません。最低でも3社程度の業者に依頼し、内容を比較検討することが鉄則です。

相見積もりで比較すべきは、総額だけではありません。以下のポイントを細かくチェックすることで、コストパフォーマンスに優れた信頼できる業者を見つけられます。

  • 工事内容の範囲: 見積もりに含まれる工事と含まれない工事が明確か。

  • 各項目の単価と数量: 「一式」という表記ばかりでなく、材料費や人件費などが具体的に記載されているか。

  • 使用する建材や設備のグレード: 指定したメーカーや品番が反映されているか。

  • 工期: 無理のないスケジュールが組まれているか。

  • 諸経費の内訳: 現場管理費や廃材処分費などが適正な範囲か。

安さだけで業者を決めると、追加工事で費用がかさんだり、仕上がりの質が低かったりするリスクがあります。見積もりの内容について丁寧に説明してくれ、こちらの質問に誠実に答えてくれる業者を選びましょう。


3.3 中古の厨房機器や什器を利用する

厨房機器やテーブル、椅子などの什器は、新品で揃えると非常に高額になります。特に、業務用冷蔵庫や製氷機、フライヤーといった厨房機器は、状態の良い中古品やリースアップ品を活用することで、費用を半分以下に抑えられる-すもあります。

中古品は、厨房機器専門のリサイクルショップ(例:テンポスバスターズなど)や、インターネットオークションなどで探すことができます。ただし、中古品には以下のような注意点もあります。

  • 保証がない場合が多い: 購入後すぐに故障するリスクを考慮する必要があります。信頼できる販売店から購入することをおすすめします。

  • サイズや仕様の確認: 設計した厨房のスペースに収まるか、ガスの種類や電源の電圧が店舗の設備と合っているかを事前に必ず確認しましょう。

  • メンテナンスの必要性: 購入後に清掃やメンテナンスが必要になる場合があります。

全ての機器を中古で揃える必要はありません。使用頻度が高く、故障すると営業に致命的な影響を与えるシンクやコンロ、冷蔵庫などは新品を選び、補助的な機器を中古で探すなど、メリハリをつけるのが賢い方法です。


3.4 DIYで対応できる部分は自分で行う

専門的な技術や資格が不要な作業を自分たちで行う(DIY)ことも、コスト削減に繋がります。工事費の多くは人件費(職人の工賃)であるため、自分たちで作業すればその分を節約できます。

ただし、安全面や品質を考慮し、プロに任せるべき作業とDIYできる作業を明確に線引きすることが重要です。

DIYに比較的向いている作業

プロに必ず任せるべき作業

壁紙の塗装(ペンキ塗り)

電気・ガス・水道の配線・配管工事(有資格者による施工が必須)

簡単な棚やカウンターの設置

防水工事や左官工事などの専門技術が必要な作業

家具や什器の組み立て

壁や天井の下地作り(軽鉄工事など)

インテリアの装飾

空調・換気設備の設置

DIYは費用を抑えられる反面、時間と労力がかかります。また、仕上がりのクオリティがプロに劣る可能性も考慮しなければなりません。開業準備のスケジュールと照らし合わせ、無理のない範囲で取り組むことが大切です。友人や知人に手伝ってもらうなど、楽しみながら進めるのも良いでしょう。


3.5 シンプルなデザインや汎用的な素材を選ぶ

内装デザインにこだわりすぎると、費用は青天井になりがちです。特殊な形状の造作や、輸入物のタイル、無垢材といった高級な素材は、材料費だけでなく加工費や施工費も高くなります。内装はできるだけシンプルなデザインを基本とし、広く流通している汎用的な素材を選ぶことで、工事費用を抑えることができます。

例えば、以下のような選択肢が考えられます。

  • 壁: 特殊な塗り壁ではなく、量産品のビニールクロスを選ぶ。

  • 床: 無垢フローリングではなく、デザイン性の高い塩ビタイルやフロアタイルを選ぶ。

  • 天井: 天井を張らずに躯体を現しにする「スケルトン天井」にすれば、天井材と施工費を削減できる(業態や物件の条件による)。

シンプルな内装でも、照明計画や家具、小物、アートなどで工夫すれば、お店独自の個性を十分に表現できます。コストをかける部分と抑える部分にメリハリをつけ、全体のバランスを考えたデザインを設計会社に相談してみましょう。


3.6 補助金や助成金を活用する

国や地方自治体は、新規創業者や中小企業を支援するための様々な補助金・助成金制度を用意しています。これらの制度の中には、店舗の改装費用や設備投資に利用できるものがあり、返済不要の資金を確保できる可能性があります

代表的なものとして「小規模事業者持続化補助金」や「事業再構築補助金」などがありますが、自治体独自の制度も数多く存在します。利用できる制度は、事業内容や地域、申請時期によって異なります。

申請には事業計画書の作成などが必要で、手間と時間がかかりますが、活用できれば資金繰りが大幅に楽になります。まずは商工会議所や自治体の産業振興課、中小企業診断士などの専門家に相談し、自分の事業で活用できる制度がないか情報収集を始めましょう。


3.7 工事の時期を調整する

あまり知られていませんが、内装工事の費用は依頼する時期によって変動する可能性があります。建設業界には繁忙期と閑散期があり、業者が比較的忙しくない閑散期を狙うことで、価格交渉がしやすくなったり、丁寧な対応を期待できたりします

  • 繁忙期: 公共工事が集中する年度末(2月~3月)や、年末年始を控えた時期(11月~12月)は、職人の確保が難しくなり、価格が高騰しがちです。

  • 閑散期: 年明けの1月や、梅雨時期の6月、真夏の8月などは、比較的工事が少なくなる傾向があります。

もちろん、飲食店のオープン時期は売上計画にも関わるため、最も重要な要素です。しかし、開業時期に多少の柔軟性を持たせられるのであれば、工事業者の閑散期を意識してスケジュールを組むことで、コスト削減に繋がる可能性があることを覚えておきましょう。


4. 【開業準備】飲食店 内装 工事の基本的な流れと期間

飲食店 内装 工事 費用
飲食店 内装 工事 費用

飲食店の開業は、多くの準備が必要です。特に内装工事は、お店のコンセプトを形にし、お客様の居心地やスタッフの働きやすさを左右する重要なプロセスです。資金計画やオープン日から逆算したスケジュール管理を成功させるためにも、工事全体の流れと各ステップにかかる期間を正確に把握しておくことが不可欠です。

ここでは、コンセプト設計から開業準備までの基本的な7つのステップと、それぞれの目安期間を解説します。物件の状態や規模によって期間は変動しますが、全体像を掴むための参考にしてください。



飲食店 内装工事の流れと期間の目安

ステップ

内容

期間の目安

ステップ1

コンセプト設計と事業計画

1ヶ月~3ヶ月

ステップ2

物件探しと契約

1ヶ月~3ヶ月

ステップ3

内装デザイン会社選びと契約

2週間~1ヶ月

ステップ4

設計と見積もり

1ヶ月~2ヶ月

ステップ5

内装工事の着工

1ヶ月~3ヶ月

ステップ6

竣工と引き渡し

1日~1週間

ステップ7

開業準備

2週間~1ヶ月

※各ステップは並行して進められる部分もあります。全体の期間としては、物件契約からオープンまで最低でも4ヶ月~6ヶ月程度を見込んでおくと良いでしょう。


4.1 ステップ1 コンセプト設計と事業計画

すべての土台となるのが、コンセプト設計と事業計画です。これが曖昧なまま進むと、物件探しや内装デザインで方向性がぶれてしまい、時間と費用のロスにつながります。まずは「誰に、何を、どのように提供し、どんな価値を感じてもらいたいか」を徹底的に考え抜きましょう。

この段階で具体的に決めるべき項目は以下の通りです。

  • 店舗のコンセプト(例:オーガニック野菜専門の隠れ家ビストロ、SNS映えするネオ大衆酒場など)

  • ターゲット顧客層(年齢、性別、ライフスタイルなど)

  • 提供するメニューと価格帯

  • 必要な席数やキッチンの規模

  • 資金計画(自己資金、融資の検討)と収支計画

これらの内容をまとめた事業計画書は、後の資金調達(融資)の際にも必須の書類となります。時間をかけてでも、具体的で実現可能な計画を練り上げることが成功の鍵です。


4.2 ステップ2 物件探しと契約

事業計画が固まったら、次はそのコンセプトを実現するための物件を探します。立地はもちろん、物件の種類(スケルトンか居抜きか)、広さ、家賃などを総合的に判断します。不動産会社に相談し、複数の候補を内見しましょう。

物件を契約する前には、必ず内装工事業者や設計デザイナーに同行してもらい、専門家の視点で物件をチェックしてもらう「物件調査」を行いましょう。希望するレイアウトが実現可能か、電気・ガス・水道・排気などのインフラ容量が十分かなどを事前に確認することで、「契約したのに理想の厨房が作れない」「想定外の設備工事費がかかる」といった最悪の事態を防ぐことができます。


4.3 ステップ3 内装デザイン会社選びと契約

理想の店舗を形にするための重要なパートナーとなる、内装デザイン会社を選びます。設計デザイン会社、工務店、内装工事会社など、依頼先にはいくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分の計画に合った依頼先候補を複数リストアップしましょう。

候補の業者にはコンセプトと事業計画を伝え、過去の施工事例(ポートフォリオ)を見せてもらいます。担当者との相性やコミュニケーションの取りやすさも重要な選定基準です。複数の業者から提案と見積もり(相見積もり)を取り、内容を比較検討した上で、最も信頼できる一社と契約を結びます。


4.4 ステップ4 設計と見積もり

契約した業者と打ち合わせを重ね、具体的な店舗デザインを固めていくフェーズです。まずはコンセプトや要望を基に、客席や厨房のレイアウトを大まかに決める「基本設計」を行います。平面図やイメージパースなどで全体の方向性を確認し、合意が得られたら、さらに詳細な「実施設計」に進みます。

実施設計では、内外装の仕上げ材、照明計画、コンセントの位置、建具のデザインなど、工事に必要なすべての情報を盛り込んだ詳細な図面を作成します。この最終図面に基づいて、項目ごとに単価や数量が明記された詳細な見積書が提出されます。ここで提示された金額と内容に納得できれば、正式に「工事請負契約」を締結し、工事の準備が始まります。


4.5 ステップ5 内装工事の着工

工事請負契約後、いよいよ内装工事がスタートします。近隣への挨拶を済ませた後、解体工事から始まり、軽鉄工事(壁や天井の下地作り)、設備工事(電気・ガス・水道・空調)、内装仕上げ工事(床・壁・天井の仕上げ)といった順で進んでいきます。

工事期間中は、オーナーとしてただ待つだけでなく、定期的に現場に足を運び、工事の進捗状況を確認することが大切です。週に一度など、設計者や施工管理者と「現場定例」の場を設け、図面通りに進んでいるか、何か問題は起きていないかなどを確認し、認識のズレを防ぎましょう。


4.6 ステップ6 竣工と引き渡し

すべての工事が完了すると「竣工(しゅんこう)」となります。その後、オーナー、設計者、施工業者の三者が立ち会いのもと、店舗の最終チェックである「施主検査」を行います。

施主検査では、図面通りに仕上がっているか、壁や床に傷や汚れはないか、建具の開閉はスムーズか、設備機器は正常に作動するかなどを細かくチェックします。もし修正が必要な箇所が見つかった場合は「手直し工事」を依頼します。すべてのチェックと手直しが完了し、問題がなければ、鍵や各種設備の保証書、取扱説明書などを受け取り、店舗の「引き渡し」となります。


4.7 ステップ7 開業準備

店舗の引き渡しを受けてからが、オープンに向けた最終準備の始まりです。内装工事と並行して進められる部分もありますが、この段階で一気に忙しくなります。

主な準備項目は以下の通りです。

  • 厨房機器や調理器具、食器、什器の搬入・設置

  • 食材の仕入れルートの確保と発注

  • スタッフの採用とオペレーション研修

  • 保健所による「営業許可」の検査、消防署による「消防検査」の立ち会い

  • レジシステムの導入、キャッシュレス決済の契約

  • WebサイトやSNSの開設、チラシやDMなどの販促活動

  • 友人や関係者を招いたプレオープン

特に保健所の営業許可や消防検査は、内装が完成していないと受けることができません。引き渡し後、速やかに申請・検査を受けられるよう、事前に担当部署とスケジュールを調整しておくことが重要です。すべての準備を整え、万全の態勢でグランドオープンを迎えましょう。


5. 失敗しない飲食店の内装工事業者の選び方

飲食店 内装 工事 費用
飲食店 内装 工事 費用

飲食店の内装工事は、開業資金の中でも大きな割合を占める重要な投資です。そして、その成否は理想の店舗を実現できるかどうか、さらには事業の成功そのものを左右します。だからこそ、信頼できるパートナーとなる工事業者選びは絶対に失敗できません。ここでは、飲食店の内装工事を依頼できる業者の種類と特徴、そして優良な業者を見極めるための具体的なチェックポイントを詳しく解説します。


5.1 依頼先候補の種類と特徴

飲食店の内装工事を依頼できる業者には、主に「設計デザイン会社」「工務店」「内装工事会社」の3つの種類があります。それぞれに得意分野や特徴が異なるため、ご自身の店舗コンセプトや予算、こだわりたいポイントに合わせて最適な依頼先を選ぶことが重要です。まずはそれぞれの違いを理解しましょう。






依頼先候補の種類別 特徴比較表

種類

デザイン性

設計の自由度

工事の品質

コスト

特徴

設計デザイン会社

◎ 高い

◎ 高い

△〜◎ (施工会社による)

高め

コンセプト設計からデザイン提案に特化。施工は別会社に依頼することが多い。

工務店

○ 標準

○ 標準

○〜◎ (自社施工が多い)

抑えやすい

設計から施工まで一貫対応が可能。地域密着型で柔軟な対応が期待できる。

内装工事会社

△〜○ (設計機能による)

△〜○ (設計機能による)

◎ 高い

普通

内装工事のプロフェッショナル。施工品質に強みを持つ。


5.1.1 設計デザイン会社

設計デザイン会社は、店舗のコンセプト設計や空間デザインを専門とする会社です。オリジナリティ溢れる独創的な空間や、明確なブランドイメージを店舗デザインに反映させたい場合に最適な選択肢と言えます。デザイナーがお客様の要望をヒアリングし、専門的な知見から最適なデザインを提案してくれます。ただし、設計と施工が分離している場合が多く、別途施工会社を探す必要があります。設計会社が施工監理まで行うことで、設計図通りの品質を担保できるというメリットもあります。


5.1.2 工務店

工務店は、設計から施工までを一貫して請け負うことができる地域密着型の会社が多いのが特徴です。設計と施工の窓口が一本化されるため、コミュニケーションがスムーズで、責任の所在も明確になります。また、設計デザイン会社に比べて設計料や中間マージンを抑えられる傾向があり、コストを意識しつつ、品質の高い工事を求める場合に適しています。デザイン力は会社によって差があるため、過去の施工事例を確認し、自分のイメージに合うデザインが可能か見極めることが重要です。


5.1.3 内装工事会社

内装工事会社は、その名の通り内装工事を専門に行う会社です。軽鉄工事やボード工事、仕上げ工事など、施工に関する専門知識と技術力に長けています。設計機能を持つ会社もありますが、基本的には施工に特化しているケースが多いです。すでに設計図が完成しており、質の高い施工を求める場合や、特定の工事のみを依頼したい場合に強みを発揮します。飲食店特有の設備工事(厨房、給排水、空調換気など)にも精通している会社を選ぶことが成功のカギとなります。


5.2 優良な業者を見極める5つのチェックポイント

依頼先の種類を理解したら、次は数ある業者の中から本当に信頼できる一社を見つけ出すステップです。契約後に後悔しないためにも、以下の5つのポイントを必ずチェックしましょう。


5.2.1 飲食店の施工実績が豊富か

最も重要なポイントの一つが、飲食店の施工実績です。飲食店には、一般的な店舗とは異なる専門的なノウハウが求められます。例えば、お客様が快適に過ごせる客席のレイアウト、スタッフが効率的に働ける厨房の動線設計、そして保健所の検査基準をクリアするための衛生管理や消防法に準拠した設備計画など、多岐にわたります。業者のウェブサイトで施工事例(ポートフォリオ)を確認し、自分が出店したい業態(カフェ、レストラン、居酒屋など)の実績が豊富かどうかを必ず確認しましょう。実績が多ければ多いほど、予期せぬトラブルにも的確に対応できる経験値が期待できます。


5.2.2 担当者との相性やコミュニケーションはスムーズか

内装工事は、打ち合わせから完成まで数ヶ月にわたる長い付き合いになります。そのため、担当者との相性やコミュニケーションの円滑さはプロジェクトの成否を大きく左右します。どんなに素晴らしい実績を持つ会社でも、担当者との意思疎通がうまくいかなければ、理想の店舗は実現できません。初回の相談や打ち合わせの際に、こちらの要望を真摯に聞いてくれるか、専門用語をかみ砕いて説明してくれるか、質問へのレスポンスは迅速か、といった点を確認しましょう。少しでも「話しにくい」「高圧的だ」と感じたら、その業者との契約は慎重に検討すべきです。


5.2.3 見積書の内容が詳細で明確か

見積書は、業者とオーナーとの間の契約内容を明確にする重要な書類です。信頼できる業者の見積書は、内容が詳細で透明性が高いという共通点があります。逆に、「工事一式」といった大雑把な記載が多い見積書は、後から追加料金を請求されるトラブルの原因になりかねません。「どの工事に」「どの材料を」「どれくらいの量使い」「単価はいくらか」といった項目が細かく記載されているかを確認してください。不明な点があれば遠慮なく質問し、納得できるまで丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。複数の業者から相見積もりを取ることで、費用の妥当性や各社の誠実さも比較できます。


5.2.4 アフターフォローや保証は充実しているか

店舗は引き渡しが完了したら終わりではありません。実際に営業を始めると、建具の不具合や設備の故障など、何らかのトラブルが発生する可能性があります。そんな時に迅速に対応してくれるかどうかが、優良な業者を見極めるポイントです。契約前に、工事後の保証期間や保証内容、定期点検の有無、トラブル発生時の連絡先や対応体制などを書面で確認することが不可欠です。「何かあったら連絡してください」という口約束だけでなく、契約書に保証内容が明確に記載されているかしっかりとチェックしましょう。


5.2.5 複数の提案をしてくれるか

オーナーの要望をそのまま形にするだけでなく、プロの視点からより良い選択肢を提案してくれる業者は、信頼できるパートナーと言えます。例えば、予算が厳しい場合にコストを抑えるための代替案を提示してくれたり、デザイン性を損なわずに機能性を向上させるアイデアを出してくれたり、集客効果を高めるためのファサードデザインを提案してくれたりする業者です。こちらの要望やコンセプトを深く理解した上で、プラスアルファの価値を提供しようという姿勢があるかどうかを見極めましょう。一方的に意見を押し付けるのではなく、共に最高の店を作り上げようという熱意が感じられる業者を選ぶことが、プロジェクト成功への近道です。


6. 飲食店の内装工事費用に使える補助金・助成金と融資制度

飲食店 内装 工事 費用
飲食店 内装 工事 費用

飲食店の開業には、物件取得費や厨房機器費と並び、内装工事費用が大きな割合を占めます。自己資金だけで全てを賄うのが難しい場合、国や自治体が提供する補助金・助成金や、公的機関の融資制度を積極的に活用しましょう。これらの制度は、返済不要の給付金や低金利での融資を受けられるため、開業時の資金繰りの負担を大幅に軽減し、より理想に近い店舗づくりを実現するための強力な後押しとなります。


6.1 国や自治体が提供する補助金・助成金

補助金や助成金は、国や地方自治体が特定の政策目的(例:地域活性化、創業支援)を達成するために、事業者の経費の一部を支援する制度です。最大のメリットは原則として返済が不要である点です。ただし、利用にあたってはいくつかの注意点があります。

まず、ほとんどの制度は後払い(精算払い)が基本です。つまり、一度は自己資金で工事費用などを立て替え、事業完了後に報告書を提出して審査を受けた後、補助金が振り込まれる流れとなります。そのため、当面の運転資金や工事費用の支払いに充てる「つなぎ資金」を別途用意する必要があります。

また、申請期間が定められており、公募期間を逃すと次の機会まで待たなければなりません。さらに、申請すれば必ず採択されるわけではなく、事業計画の内容が厳しく審査されます。内装工事が補助対象となるかどうかも制度によって異なるため、公募要領を熟読し、自身の事業計画と合致するかを慎重に確認することが不可欠です。ここでは、飲食店の内装工事にも活用しやすい代表的な補助金を紹介します。


6.1.1 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が地域の商工会や商工会議所の助言を受けながら経営計画を作成し、販路開拓や生産性向上に取り組む費用の一部を支援する制度です。飲食業の場合、常時使用する従業員が5人以下の事業者が対象となります。

内装工事費用そのものが主目的ではありませんが、「新たな顧客層を獲得するための店舗改装」や「バリアフリー化工事による客層の拡大」など、販路開拓に直結する取り組みの一環として実施する内装工事であれば、補助対象経費として認められる可能性があります。単なる老朽化した内外装の更新では対象とならないため、事業計画のストーリー作りが重要です。


小規模事業者持続化補助金の概要(例)

項目

内容

対象経費の例

店舗改装費(販路開拓目的のもの)、チラシ作成費、ウェブサイト関連費、新メニュー開発費など

補助上限額

通常枠:50万円


特別枠(賃金引上枠、後継者支援枠など):最大200万円

補助率

原則として補助対象経費の2/3以内(特別枠は3/4以内の場合あり)

注意点

公募回によって制度内容が変更されるため、必ず最新の公募要領をご確認ください。


6.1.2 事業再構築補助金

ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等が新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、または事業再編という思い切った事業再構築に挑戦する際の費用を支援する、大型の補助金です。

例えば、「イートイン中心のレストランが、デリバリー・テイクアウト専門店に業態転換するための大規模な厨房・店舗改装」や、「居酒屋がゴーストレストラン事業を始めるための新たな厨房スペースの設置」といったケースで活用できます。補助対象経費として「建物費(建物の建築・改修)」が明確に認められており、大規模な内装工事を伴う事業転換を計画している場合に非常に有効です。補助額が大きい分、事業計画の革新性や収益性について、より詳細で説得力のある説明が求められます。


事業再構築補助金の概要(例)

項目

内容

対象経費の例

建物費(建物の建築・改修、撤去)、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費、広告宣伝・販売促進費など

補助上限額

申請枠や従業員規模により数千万円~1億円超と幅広い(例:成長枠 従業員20人以下で最大2,000万円)

補助率

原則として中小企業で1/2(大規模な賃上げを行う場合は2/3)

注意点

補助額が大きく要件も複雑なため、認定経営革新等支援機関などの専門家と相談しながら申請準備を進めることが推奨されます。


6.2 日本政策金融公庫の融資制度

日本政策金融公庫は、100%政府出資の金融機関であり、民間の銀行などから融資を受けることが難しい創業者や中小企業への資金供給を積極的に行っています。特にこれから飲食店を開業する方にとっては、非常に心強い存在です。

民間の金融機関に比べて低金利・長期の返済期間で融資を受けやすく、無担保・無保証人で利用できる制度も充実しています。内装工事費用や厨房機器の購入費といった「設備資金」と、開業当初の仕入れや人件費などの「運転資金」をまとめて借り入れることが可能です。

融資を受けるためには、審査を通過する必要があります。審査において最も重要視されるのが「創業計画書」の質と「自己資金」の額'mark>です。なぜこの事業を始めるのか、どのような店舗コンセプトで、どのくらいの売上と利益が見込めるのかを、具体的かつ客観的なデータに基づいて示す必要があります。また、開業資金総額の1/3から1/10程度の自己資金を準備していることが、事業への本気度を示す上で重要とされています。代表的な融資制度には以下のようなものがあります。


6.2.1 新規開業資金

新たに事業を始める方や、事業開始後おおむね7年以内の方が利用できる、最も代表的な創業者向け融資制度です。飲食店の開業に必要な内装工事費、厨房機器購入費、保証金、運転資金など、幅広い用途に利用できます。


6.2.2 中小企業経営力強化資金

認定経営革新等支援機関(商工会、税理士、中小企業診断士など)の指導や助言を受けながら事業計画を策定する場合に利用できる制度です。専門家によるチェックを経た事業計画であるため、通常よりも有利な金利で、無担保・無保証人での融資を受けやすいという大きなメリットがあります。


7. まとめ

飲食店の内装工事費用は、物件の種類や業態で大きく変動しますが、成功の鍵は事前の情報収集と計画性にあります。この記事で解説した費用の相場や内訳、コスト削減のコツを参考に、複数の業者から相見積もりを取りましょう。信頼できるパートナーを見つけ、補助金なども賢く活用することが、理想の店舗を予算内で実現する最善の道です。しっかり準備を進め、夢の開業を成功させてください。

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